表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/78

いいとも~!!


 どうやら我がタスタット商会(休業中)は第三王子の遊び場として王家から認定されたようで、なんと王子がいない時も見張りが付いているそうだ。

 私たちをダシにして王子に何かされても困るという方向の理由から。

 ……ですよねー……


「もちろん家の中までは覗いたりはしていない。タスタット商会に侵入しようとする輩について重点を置いてる」


 それが結局我が家の防犯になってるのだから、こちらとしてはお礼しかない。

 そして昼の大騒ぎが外にいる見張りさんにしっかり聞こえたようで、どういう連絡が行ったのか、大量の使い古しのシーツと共にユーイン王子がやって来た。


「これらは城でもう使われなくなったもので、えー、掃除用におろすものだ、そうです……まだ掃除には使われていないし、埃も被ってはいなかったし、母上と侍女長の了解は取ってある、ので、遠慮せず使って、ください……?」


 ユーイン様よ、たどたどしいのはなぜ?

 その謎はリオさんがすぐに教えてくれた。


「お世話になっている女性に新品ではなく使い古しを渡すという葛藤がね……」


 なるほど。


「そこは使い古しで大助かりですわ、ユーイン様。一級品も良いですが、今の私たちに必要ないことは一目瞭然です。施しは何が最適か判断が難しいものですけれど、本日お持ちいただいた使い古しのシーツは今一番欲しいものでした。とても嬉しいです。ありがとうございます」


 立ち上がり、ユーイン様に礼をするとお母様たちもそれに続いた。


「……うん。では、存分に使ってほしい」


 とは言っても、お城で使用されたもので使い古し認定を受けたものでもめっちゃ上等なんですけどね。姉妹の服と下着をもっと作ろうっと。


 この週末は来ないと宣言していたからと、その後あっさり帰って行ったユーイン王子とリオさん。次のあみぐるみ会にはクッキーをたくさん用意しておきます。


「お姉様……」


「ん? なあに、エラ」


「今度ユーイン様がいらっしゃる時に、見張りさんたちの分もクッキーを作っていいでしょうか?」


 !……いいとも~!!


「何人いらっしゃるのかしら? でも余ったら私たちのおやつにしましょうね」


 食いしん坊ソフィアはまだ健在ね。クッキーなら次の日でも美味しいもんね!





 妹ちゃんを抱えて小さくなっていたお姉ちゃんのそばへ行く。

 洗われてきれいになったお姉ちゃんの髪色は赤茶で、妹ちゃんはクリーム色。手入れがまったくされていないから今は荒れ放題だけど、艶が出れば妹ちゃんの髪は売れるかもしれない。

 目の色は、お姉ちゃんが茶色で妹ちゃんは青。

 明らかに血の繋がりがない。

 それを言ったら私とエラもそうだけど。


 ゆっくり近づき二人の前に膝を突いて目線を合わせる。それでもお姉ちゃんはびくりとした。妹ちゃんは眠っている。


「騒ぎすぎちゃってごめんなさい。これからおやつにするけど、食べられるかしら?」


 ぐぅぅぅ~


 途端に鳴るお姉ちゃんのお腹の音。お姉ちゃんは恥ずかしいと思ったのか真っ赤になってアワアワしだしたけど、妹ちゃんを抱えているから何もできない。

 やだもう可愛いんですけどー!!


「ふふ、お腹がすいてるのね、良かったわ。さ、妹ちゃんはソファに寝かせて、あちらの椅子に座ってね」


 お姉ちゃんの手からそっと妹ちゃんを抱え、そのままソファにそっと寝かす。手を抜く時にむずむずしたけど目は開けず、静かになった。


 妹ちゃんの様子を見ていたお姉ちゃんもホッとし、お姉ちゃんの小さな手を取って作業台へと移動を促す。大人しくついてきてくれたことに内心ホッとしつつ、お姉ちゃん用に台所から持ってきた丸椅子に座ってもらう。


 お姉ちゃんの場所は妹ちゃんのソファが見える位置。

 その隣にお母様が着き、ソフィアがお茶を淹れ、エラがトレイにカップを4つ載せて来る。


 やっとあら熱が取れたプリンです!

 熱いと持てないからね!

 カラメルもバニラビーンズもないけど、これも私は好き。


 お姉ちゃんが一人でどこまでできるか見るために、私はスプーンを手に持ち、ゆっくりとプリンをすくい、自分の口に入れる。

 お母様、ソフィア、エラと順に同じ動きをしたところで、お姉ちゃんが恐る恐ると自分の前にあるスプーンを手に取った。

 お姉ちゃんはスプーンよりも大きくすくってしまってまたアワアワしたけど、一度戻して小さく取ってごらんと言えばその通りにできた。なぜか私の方を見るので頷いてみるとパクりと口に入れた。


 その直後のお姉ちゃんの表情に私らはデレた。


 ここまで必死にプリンを食べてもらえると、作ったかいがあるなぁ。








こんなに早くプリンを食べさせるのは、アレルギーを考えるならアウトです。

物語ということでお目こぼしください(。-人-。)





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ