でも生きてる
夜は私が浮浪児姉妹に付くことに。目が覚めてぐるぐる巻きにされてたらパニックだよね~。お姉ちゃんの方は私の顔か声は知ってるはずだからそのパニックも緩和されるはず。……たぶん。
お母様も付くと言ってくれたけど、熱もないし、看病らしいことはそれほどないだろう。何かあれば起こすし、昼間は交代してもらうことで納得してくれた。
お母様もソフィアもエラも、何も言わずに受け入れてくれた。
ありがとう。
姉妹が二人並んでベッドに入ってもまだ少し余裕がある。さすがに私は入れないけども。姉妹用のつぎはぎワンピースを繕いながら、観察。
寝顔は似てる気がするけど髪の色が違うなぁ。きれいになったら何色になるんだろ?
二人とも何歳くらいかな。
寒くはないかな。くるまれてるから逆に暑いかな。
熱がなくて良かった。
唇を濡らした布で湿らせると少し口を開ける。その時は少し抱き起こしてスプーンで水を飲ませる。ぬるま湯よりも冷めたからか、ぶるりと震える。
膝の上に横抱きにして、背中をさすりながら体を揺らす。
甥と姪が赤ちゃんだった頃を思い出した。あの子たちも抱っこしてると静かだったなぁ。
呼吸が落ち着くとまたベッドに戻す。
妹ちゃんの方が反応が薄い。でも生きてる。水を飲めてる。
「お姉ちゃんもそばにいるからね」
囁きながら妹ちゃんを抱っこし続けた。
コンコンコン
小さなノックの音にドアを開けるとお母様がいて。
「おはようゾーイ。……う、さすがに臭うわね。お湯を沸かしたからお風呂に入ってから寝なさいな」
スカーフで鼻と口を覆ったお母様とチェンジして、遠慮なく風呂に入りさっぱりすると、ソフィアとエラが朝食を準備していた。
「「 おはようございますお姉様 」」
はああああ癒される~!
うちの妹たちが朝から可愛い!
「二人とも昨日はありがとう。ちゃんと休めた?」
「もちろんです。今日のためにもと昨夜はすぐに休みました」
ソフィア~!
「今日は天気が良さそうなので、洗濯は任せてくださいね」
エラ~!
お母様にも伝えたけど二人にも姉妹の様子を伝え、今日は野菜スープを薄めたものを飲ませるようにお願いする。味覚から少しずつ刺激してみよう。
と。
まめに水分補給をしたせいか、昼頃に姉妹はオネショをしたようで、お母様のベッドを借りて寝ていた私は階下からの三人の悲鳴に飛び起きた。
そこからは怒涛の時間。
またも風呂を沸かし、結局意識がはっきりしたお姉ちゃんはお母様と一緒に入浴。目は開いたけどなんだかよくわかってなさそうな妹ちゃんも続けてお風呂のお母様へパス。
真っ黒になった湯船のお湯でまたもシーツやら服やらを洗い、濡れた所をお湯で流した布団を外に干したり。
みんなでぐったり。
布団の予備はお義父様のしかもうないので、使うのにものすごく悩む。シーツももう替えがないし、汚しても替えるのが楽な藁を調達しようかと話し合い。ちょっとアルプスな少女気分になれるかもなんてのん気に提案したけど、また荷馬車を借りなきゃならないし、どこの農家さんで分けてもらえるかもわからない。
お姉ちゃんの方は萎縮しちゃったのか、また眠りについた妹ちゃんを抱えてへなちょこソファで小さくなっている。
騒ぎ過ぎちゃったか……ごめんね、恐くないからね。
とりあえず、荷馬車を借りようと立ち上がった時に玄関がノックされた。
扉の外にいたのは週末お坊ちゃん姿のユーイン王子と布をやたらたくさん抱えたリオさん。
「シーツの寄付は要らんかね?」
何キャラですか、王子サマ?




