うちの天使は小悪魔ですよー!!
午後4時に合わせて乗り合い馬車乗り場へ向かう。
今日は私がかけはぎした外套しか仕上がらなかったので、それ一つだけ職業斡旋所に提出。期限前提出も個別支払いもしてくれるので、ものすごい助かる。これで明日のお昼までの食材を市場で買って帰れる。報酬としてはもっと買い物ができるけど、日持ちしないから1日分だけ。
午後4時を少し過ぎた頃に馬車が到着。概ね時間通り。優秀だね。
続々と人が降りる中、馬車内から手を振るエラ。
ああ、笑顔だ。再登園初日は無事に済んだかな?
ステップの最後の一段をぴょこんと飛び降り、一直線に駆けてくるエラ。ワンコか!
「お帰りなさい」
寸前で止まったのに、私に抱きしめられてびくりとする。普段は淑女の振る舞いを意識している私の逸脱した行動に戸惑ったのだろう。
ごめんねエラ。可愛いものは愛でておかないと私のストレスなの。
「た、ただいま戻りました、お姉様」
頬を染めてー!小悪魔!うちの天使は小悪魔ですよー!!
「さ。久しぶりの学園は疲れたでしょう? 夕飯はエラの好きなものにしましょうね。と言っても贅沢はできないけれど」
体を離して苦笑とともに手を差し出す。手を繋いでおけば私が盾になって、エラの制服が汚れずにすむでしょう。おずおずと重なる手は荒れていて、その小ささにやっぱり居たたまれなくなるけど、これからよこれから!
「お姉様のシチューが食べたいです!」
ほんとこの子はこちらにばっかり気をつかって……
さ~て、底値まで値切るわよー!




