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12 求婚の区切り



 二人暮らしを始めてから、約一ヶ月が経過した。

 自分に惚れてる男と一つ屋根の下という、いかにも少女漫画的なシチュエーションなのに、読者からクレームが入りそうなぐらい何の問題も起こらなかった。

 いや、本当に些細なものなら皆無とまでは言わないが、いちいち挙げ連ねるのもどうかというレベルなもんだからね。


 ろくに衝突もないのは、つまるところ、彼が私に遠慮しているからに他ならないだろう。

 通常、成長する過程で自分なりのこだわりが形作られていって、それがぶつかり合うことで喧嘩になるのだ。

 異なる環境で育った私たちの価値観が、そっくり同じであることは有り得ない。

 昔の己を捨て、森の流儀に染まろうと努めるフェリクスだからこそ、こちらの負担が最低限の状態で同居が成り立っている。


 少年であった彼を保護した際に、生活の流れを把握させていたこともあり、具体的なルール等の取り決めについての話し合いも、難航するような場面は特になかった。

 そりゃ、服のたたみ方から何から、私が仕込んだ通りに覚えてきた相手なんだから、不和の起こりようもないってもんだ。

 家事分担は、個人に任せきるものと、日替わりや週替わりで行うものを決めて、滞りなく回している。

 フェリクスが些事さじを片付けてくれるおかげで、拡張された縄張りのパトロールにも十分な時間を割けるようになったのは、素直にありがたい。


 一瞬、どこの光源氏計画かという感想が脳裏をよぎったが、大きく(かぶり)を振ってその文字を雲散させた。

 そんな(よこしま)な目的で、少年時代の彼にアレコレ説明してやってたんじゃあない。

 不可抗力だ。



 新たなルーティンをこなす日々の中、美貌の青年は言葉でこそ爆弾投下しまくりだが、態度は常に紳士的かつ慎重であった。

 むしろ、私の方がうっかり二度ほど逆ラッキースケベをやらかしてしまったもので、誠に申し訳なく思っている。

 自分の家だし、男とはいえ私より弱いし、嫌ってる相手でもないので、どうしても気を抜いてしまう瞬間があるのだ。

 これがわざとなら、とんだ悪女ぶりだろう。


 ちなみに、内容は全裸遭遇と棒タッチだ。

 前者は、フェリクスが小屋裏の水場で風呂に入っているのに、その先にあるトイレに迂回を忘れて直ルートで向かったせいで、ちょうど大壺から出て体を拭こうとしていた瞬間にかち合ってしまった、というもの。

 後者は、料理中、床下の貯蔵庫から取ってもらった追加食材を彼から受け取ろうと、振り向かずにバトンリレーの要領で後ろに腕を伸ばしたら、想像より近くに立っていたらしく……というものである。

 彼は、現状を理解した直後、真っ赤になって甲高い悲鳴を上げていた。

 しかも、当日のみならず次の日まで引きずる乙女ぶりで、ちょっと面倒臭かった。

 下手につついて悪化してもいけないと、敢えて反応せずにいたら、最終、美青年から何故そんなに普通でいられるのかと不満そうにされてしまい、そこだけ今も腑に落ちずにいる。


 あぁ、それと、ハプニング接触ではないが髪を切ってやったな。

 あまりに長すぎるとやはり危険だということで指摘したら、以前と同様に剣でザックリいこうとしていたので、慌てて止めたのだ。


 もう少し、類い希な外見を大事にして欲しい。

 自分が絶世の美男子だという事実を、彼は知らないのだろうか?

 仮にも惚れた女が見た目に好意を抱いてると告げれば、必死に維持してくれそうだがねぇ。

 私の口から言うと、変に期待を持たせかねないから難しいところだ。

 普通に価値観の一方的押し付けだし、健全な青少年の純情を弄ぶような真似はよろしくない。


 恥ずかしがりつつも接触の機会に飛びついてきたフェリクスを、外に連れ出し丸太に座らせる。

 ろくに手入れもしてないはずなのに艶やかなソレを何度か(くし)で梳いてから、肩に少しかかるぐらいの位置にハサミを入れてやった。

 聞かれなかったので黙っていたが、完全に短髪にしてしまわなかったのは、単純に私個人の好みの問題だ。

 絹のようにサラツヤした手触りの、太陽に輝く南の海にも似た澄んだ青色をした彼の髪が、ゆるく風に靡く様は本当に美しかったから、ついつい長めに残してしまったんだよ。

 終わってみれば、フェリクスが妙に前かがみな姿勢になっていたので、なるべく視線を向けないようにした上で後片付けはやっておくからと言って、先に小屋に帰してやった。


 ………………若い。


 思わず、空に向かって深いため息を吐いてしまった。

 拾い集めた髪束については、どこでどう巡って彼の生存がバレるかも分からないので、用心のため全て燃やしておくことにする。

 せっかく綺麗な色をしているのだから、消毒して装飾品に加工したら、結構良い物が出来そうだったんだが……。

 とはいえ、あのヤンデレ予備軍の一部だったブツだし、妙な効果発揮して呪いのアイテムみたいになっても怖いから、本気で惜しいって程でもないけどね。



 同居が三ヶ月目に突入した頃、色々と慣れすぎてきている事実に改めて危機感を抱いた。

 焦った私は、一刻も早くフェリクスにドン引きして帰って欲しくて、羞恥心から封印していた、独り特有の開放感あふれる日常をそのままに過ごし始める。

 具体的には、気分に合わせてダンスを踊ったり、渋めのごっこ遊びを始めてみたり、というものだ。


 最初の発見時、シリアス脳の美青年は、まさか私の頭がおかしくなったのかと、深刻な表情で肩を掴んで前後に揺さぶるなどしてきた。

 まったくもって失礼千万な話である。

 誤解がとけた後でボソっと「いっそ本当に狂ってくれれば強引にでも傍にいられるのに」とか呟いてたの、絶対忘れないからな。

 思考の方向性がいちいち物騒なんだよ、このヤンデレ予備軍めが。


 そんなこんなで奇行を二度三度と繰り返す内、やがてフェリクスは、そうした場面に遭遇すると、無邪気な幼子を目にした時のような微笑ましそうな顔で近くに侍って、無言で見学なんぞしてくるようになった。

 要は、意図に反して、私の精神だけが摩耗してしまう結果となったわけだ。

 無性に腹が立ったので、「見世物じゃない、黙って眺めるぐらいなら入ってこい!」と怒鳴れば、彼は、「遊興にふけった経験がなく、どうしたものか皆目見当もつかない」等と言って、しきりに困惑していた。

 それでも、興醒め行為を繰り返されたくなかったので、いくつか「こう来たら、こう」とパターンを教えてやったら、今度はクソ真面目に学んで実践なんぞしてくれるのが美青年クオリティだ。

 まあ、当人もそこそこ楽しそうにしてたから良しとする。


 ちなみに、ダンスレッスン初日は、数時間、ひたすら二人で踊り狂っていた。


「テイキッイージー!

 カモン! キック、アンド、ターン!」

「むっ、こうか?」

「ベリグーッ!

 ネクストチャレンジ! セイ、ホーぉっ!」

「ほーぉ」

「ソー、ホッホッ!」

「ほっほ」

「オーケーオーケー!

 レッツ、キーポンダンシーン!」

「コツが掴めてきたぞ」


 翌日、冷静になってから、ようやく、これはまたもや墓穴を掘っただけなのではないかと思い至る。


 いやでも、ほら、レスポンスがあると、テンション上がっちゃわない?

 別に変な草とかキめなくても、我々人間は脳内麻薬という合法ハッピー物質がホイホイ出ちゃうわけでさ。

 うん、だから、これはそう、仕方のないことだった。


 突然ワケ分かんない言語でしゃべり出した私に戸惑いつつも、ツッコミひとつ入れず、ひたすら健気に従順について来ようとする彼の姿勢には、ちょっとだけキュンとしたね。

 ダメな流れだね。


 一週間くらい経って、今度はごっこ遊びを教えてやったら、私の役ぶりが知ってる誰かにそっくりだとかでツボにハマったフェリクスが腹を抱えて爆笑していた。

 いつもなら、警官と犯人の一人二役尋問ごっことかハードボイルド探偵ごっことかが多いんだけど、初心者に優しい、想像しやすいお題目にしようってんで、社交界デビューしたての可憐な美少女に意地悪なご令嬢が絡んで、そこへ正義の王子様が助けに来るってストーリーを即興で作ってやったわけだ。

 配役は、美少女が木彫りの熊で、私が裏声でアテレコ、悪役な令嬢を私自身がやって、もちろん王子はフェリクス。

 そうしたら、私の演技にウケて、彼、役どころか、もうマトモに言葉もしゃべれなくって。

 しまいにゃ、涙ぬぐいながら、こう。


「はぁ……これ程までに笑ったのは、生まれて初めてだ。

 リレイジアはさすがだな」


 っあーーー邪気のない満面の笑顔が眩しぃいーーーッ!

 止めろ止めろ!

 汗までキラキラさせやがって、この奇跡の美男子めがぁっ!


 さすがに演技を続ける空気でもなくなったので、フェリクスの初めてのごっこ遊びは、そうと成立する前にお開きになった。



 んでもって、私の突発お遊びノリにも完璧に慣れてきた更に一ヶ月後ぐらいに、彼は豊かになってきた表情筋を活用しつつ、改めての感謝の言葉など吐いてくる。

 距離を取りたい身としては、反射的に苦い顔になってしまっても許されるだろう。


「この様な愉快な日々を過ごせるようになるなど、昔の僕には考えも及ばなかった」

「へー、そっスか」

「そうだとも。

 すべて貴女という存在のお陰だ。

 ありがとう、僕の光の乙女リレイジア


 ダぁレが僕のだコノぉぉっ。


 くそっ、くそっ。

 森から出てって欲しいのに、むしろ、どんどん仲良くなってるだろコレ。

 心の距離ガンガン縮まっちゃってるじゃん。

 私のバカっ間抜けっ脳みそカリカリ梅っ!

 水でもかぶって反省しなさいっ!


 気が付けば、遊びに限らない日常でも、ツーと言えばカーぐらいの連携が取れるようになっちゃってるし。

 どうしてアレ取ってだの、ソレをコレしたいだの、適当なセリフが正確に通じるんだ。

 むしろ、言葉すら不要な時まであるんだけど!?

 まだ半年も経ってないってのに、なんだこの熟年夫婦みたいな阿吽感はっ。


 それに、教えられたことを愚直にやるだけじゃなくて、自分でも色々考えて動いてくれて、それがまた具合が良くて、だからって、見返りを求めるでもなく、役に立てるだけで嬉しいとか、傍にいられるだけで幸せだとか、もうホントお前は男の理想を具現化した良妻賢母系女子かって。

 そのくせ、未だにちょいと長めに目が合うだけで、照れて赤くなるのがまたズルくてな。


 まぁ、侵入者の確認に行く時だけは、第二の自分ライバルの出現を懸念してるのか、とにかく殺せ殺せってうるさくて、ヤンデレ予備軍なヤベェ男であることを思い出させてくれるけど。

 とりあえずの様子見だけして帰ったら、「貴女がやらないなら僕がやる!」とか叫んで飛び出して行きそうになって、慌てて止めた……なんて日もあったね、最初の頃はね。

 背後から羽交い絞めにしたら、普段は極力接触を禁止してるせいか、あっという間に腰砕けになって、フニャフニャ地面に倒れ込んでたよ。

 まぁ、思いっきり乳とか当たってたし、初心ウブな美青年には刺激が強すぎたらしいね。

 顔も体も歪んだ醜女に興奮しちゃう彼の変態的嗜好については、いつも通り、その辺に置いておくことにする。


 そういえば、以前は鼻歌ぐらいしか声を発さない日なんてザラだったけど、今はフェリクスが私の話を聞きたがるから、逆にしゃべらない日の方が珍しくなっているよ。

 だからって、それが負担になってもいないのは、どんな態度で何を語ろうと、彼が満足してくれているからだろうかね。

 単純に森の状況の報告でも、配下の起こしたイザコザの愚痴でも、どうでもいいウンチクの垂れ流しでも、くだらない冗談を吐き出すでも、ガチで何でも真剣に清聴してくれるものだから、つい口を動かしすぎてしまうのだ。


 ちなみに、イザコザというのは、ケンカの仲裁といったような可愛らしいものではない。

 そも、フェリクスのような特殊な立場の者や緊急招集の場などを除き、私は例え配下同士であろうと、命の奪い合いを禁じてはいないのだ。

 そんな大自然のことわりに背くような命令を出しては、森の生態系が狂いかねないという判断である。

 そりゃ、度を越えてヤンチャがすぎるモンスターがいれば、ぬしとして始末に動くこともあるが。

 ま、ソレはソレ。


 私の愚痴の多くは、異種族間での交易行為において発生する諸問題に起因する。

 いや、実際のところ交易というには拙い物々交換なのだが、事前に定められたレートに従わない者がいたり、品質等級が規定値から外れていたり、約束の期日を守れなかったりした場合に、正当な事情があれば調停役として基準を修正したり、改めての場を設けたり、単に個としてのエゴなら程度に合わせて罰したり、粛清したり、誰しもに公平な立場としてボスである私が裁きを下すのだ。


 微妙に知恵のある生物たちのトップというのは、本当に面倒臭いものなのである。

 配下関連については自分以外の誰にも任せられないので、そこそこ広域を治める身としては、渋々ながらも東奔西走させられるしかない。

 基本、(ぬし)の座を退(しりぞ)く時は、敵対者に殺される時だと思っているので、これらが私の生涯から切り離されることは有り得ないだろう。

 唯一可能性があるとすれば、いつかリレイジアより強くなりたいと、空いた時間に一人で身体や技を鍛えているフェリクスが、やがて本当にその務めから解放してくれるパターンぐらいか。

 実現するなら、今度は逆に暇で愚痴る日なんかが来るのかもしれないな。


 ……いや、待て。

 ちょっと待て、私。


 いつからそんな遠い未来まで美青年が当たり前に傍にいるものと錯覚していた?

 私は彼を穏便に追い出そうとしているんだぞ?

 伴侶にする気もなく、キープくん状態で何年も侍らせておくつもりか?

 ピチピチ十代な絶世の美男子を無意味に囲って若い時間を浪費させると?


 バカな。

 あまりにクソすぎる。

 しかも、相手は野生の醜女だぞ。

 釣り合いが全く取れない。


 でも、なぁ。

 マジこのままだとズルズル同居を続けることになりかねないんだよなぁ。


 具体的に期間を設けるか?

 出会って半年を迎える日……は、ちょっと今からだと近すぎるから、キリよく一年?

 その期限までに自分から帰るって言わせられなきゃ、諦めて彼を受け入れるか、たとえ自死されようとキッパリ断って追い出すか、断った上で望むなら殺してやるか、のいずれかの行動を起こすと。

 どの道を選ぶにせよ、覚悟を決めなきゃいけないな。


 よくある少女漫画みたいに、私がどっかに逃げるってのは無理だ。

 奇形児だし、森の外の地理には明るくないし、何よりボスとしての立場がある。

 あと、そんなことをして、完全に闇落ちしたフェリクスに後を追われるようになったら怖すぎるわ。

 アイツの殺気って、妙にドロドロねばねばしてて、余波を浴びるだけで気分が悪くなるんだよ。

 ソレを直に向けられるようになるなんて、考えたくもないね。


 しかし、どう転ぶにしても、気が進まない。

 いっそ、本人に何か条件でも課すかね。

 私が判断するんじゃなくて、与えた目標を達成したら夫婦になってもいい、みたいな。


 意外とストレス少なく同居できちゃってるし、最初の頃と比べると彼を伴侶にする忌避感も薄れてきてはいるんだよね。

 これも一種のストックホルム症候群にあたるんだろうか。

 だけど、一緒にいて自然体で過ごせる相手ってのは存外貴重だ。

 それが異性となれば尚更。

 まぁ、まだ気持ち的にデメリットが勝ってる現時点じゃ、受け入れてやろうとも思わないわけだが。

 かといって、死なれるのも殺すのも辛い。

 実行は可能だろうけど、その後できっと泣いちゃうわ。


 だからこそ、一人で結論を出そうと悩み続けるよりは、相手の頑張りに委ねた方が踏ん切りがつき易い……かもしれない?


 何かいい課題あるかな。

 ジャンケンみたいな運頼み系はなしね。

 結果をすんなり飲み込みにくいもん。

 達成の難易度は高いけど、努力次第でけして不可能というレベルまではないヤツが望ましい。

 かつ、お互いの一生を決める試練として納得のいく内容で。


 個人的には、私と闘って勝ったらって言いたい。

 別に強い人が好きだなんて趣味はないが、仮に無理やり手籠めにされる日が来ても諦めがつく。

 しょうがないよね、だって、私より強いんだもんね、みたいな。

 ま、後々我に返った本人が心身共に深く傷付いてしまうのは分かりきってるから、実際にはキチンと抵抗してやる所存ですけれどもぉー。


 とにかく、タイマン張れってのはダメだ。

 常日頃から暴走を恐れて、ろくに触れることすらままならない男に突きつけるには、あまりに酷な話だ。

 そもそも、以前に提案した時、きっぱり拒否されてる。

 普段だって、無意識に私の手を掴もうと伸ばした腕を、そうと気付いた瞬間、躊躇なく反対の手で剣を抜いて刺し貫こうとしやがるフェリクスだぞ。

 あの時は、野生の反射神経で刃が腕に到達する前に横から弾き飛ばしてやって事なきを得たけど。

 基本、大和撫子みたいな控えめ美男子なのに、前触れなく病み行為に走るの本気でビビるから止めて欲しい。

 自傷に対する葛藤が一ミクロンもない。

 野生生活にゃ大きな怪我はご法度だってのに、困った坊やだよ。


 とはいえ、仮にも群れを持つボスを娶ろうってんなら、戦闘力は必要不可欠だろう。

 動物より賢いといったって、モンスターも本能的に弱肉強食の意識が深く根付いている。

 配下の誰かにやられる程度では、主に並ぶ相方として納得のいかない者も出るはずだ。


 ……そうなると、条件は決まったようなもの、か。


 彼らを殺さず圧倒できるだけの実力を、出会ってから一周年の約半年後までに得られるか否か。

 ……いや、半年はさすがに鬼畜すぎ?

 えっと、じゃあ、一年だ。

 試練を課した日から一年にしよう。

 それでも短い気もするが、現状の成長速度を考えれば不可能と断ずるほどではないだろう。

 多分、きっと、おそらく。

 あんまり長く期間を取っても、本末転倒だからね。

 ダラダラ今のままの関係を続けすぎないよう、区切りをつけるべく課す条件なわけだし。

 

 具体的には……戦闘力が高い順に選んだ配下モンスターたちと十連戦して、勝利したら結婚、負けたら死って感じにするか。

 勝負のさなか、誰かに殺されそうになった際、希望するならトドメは私が刺してやる。

 フェリクスの思考パターンからすれば、どっちに転んでも損はないと頷くはず。


 よしよし、そうとなりゃ、まずは配下たちへの根回しからだな。

 日々の縄張りパトロールのついでに、話をつけておこう。



 決まることが決まって、ちょっと心が軽くなったぞ。

 しかし、そこまでして得られるのが奇形女子だけとか、当人ながら、酷い戦利品もあったものだよなぁ。

 やれやれだね。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 森の中で始まるパラッパラッパーw
[一言] 条件付きって考える時点でもう受け入れてるも同然だよなあ…… もうとっくにほだされちゃってる自覚を持とうw
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