第1話 私の生きる世界①
記憶を取り戻して2年、私は9歳になった。と言っても、私の精神年齢?は前世の記憶の中の私の年齢である17歳だけども。
ここで、今まで思い出した前世の記憶について話したいと思う。私はどこにでもいる女子高生だった。あ、ラノベとか大好きだった(笑)。いじめられている親友を庇ったことが原因で、クラス……いや、学年中からいじめの対象とされた。持ち物を隠されたり、悪口を言われたり……最後の方の記憶では、髪を切られたり、殴られたりもしている。
でも……それ以上は思い出せない。どのような怪我をしたか、どのように死んだのか。それと、
私と親友の名前と容姿もだ。いじめてたヤツらや、家族のことはすぐに思い出した。でも、どうしても私と親友のことは分からないのだ。
まあ、思い出さない方がいいってことなんだろう。いじめを苦に死んだとか。まぁ、そんなことはどうでもいい。それより大事なのは、この世界のことだ。
今の私が生きるこの世界は、簡単に言えば、ファンタジーの世界だ。ごく一部の魔力を持つ人たちによって動かされる政治、行われる経営。魔力第一の世界である。私は貴族の娘ではあるが、魔力を持たないため、この世界での立場はそう高いものではない。
あ、そうそう私の名前は『リノア・フォン・エカチェリーニ』という。我が家、エカチェリーニ家は代々、この国、エティシオの国立博物館を管理してきた。当主である父は、魔力を持たない者としてはかなり上の地位にいる。でも、平民として生まれ、魔力を持たないものが地位を手に入れることはこの世界ではできない。
なんというか……前世の記憶を持つ私にとっては不思議な世界でならない。