プロローグ 蘇った記憶
思い出した。はっきりと思い出した。
何を、と言われるとなんと答えようか悩む。が、簡単に言うとこうだ。私は……この世界以外で生きていた。ただ、これだけだ。でも、それがどんなことを示しているのか。それは私にも分からない。
「……様、姉様!!」
「ん……オル、ヴィニス……?どうしたの?」
「え、姉様!?意識を戻されたのですか!?」
ベットの上で横たわる私を心配そうな目で見つめているのは弟のオルヴィニスだ。目を真っ赤に腫らして……きっと泣いていたのだろう。それより、意識が戻った?え?
「私……どれほどの間寝ていたの?」
「それは…
…2週間です。」
え、2週間!?そんなに!?
「高熱を出されて、それからずっと目を覚まさずに……僕、本当に心配で心配で。」
「そう、だったの……」
そっか、熱が出て……その影響かしら。いや、そうよね。私が……前世の記憶を思い出したのは。これは、前の世界で言う、
「異世界転生か……」
そんなマンガとかラノベみたいなことある?
「い、せかい?てんせい?」
あ、オルヴィニスが困ってる。そうよね、この世界じゃそんなこと聞かないわよね。
「何でもないわ。忘れて?」
これが、今から2年前。私が7歳のときの出来事である。