王都『ヴァナディース』へ
バイトの合間に書きました
「カケルーーーーーーー」
サガに戻るとカケルの懐にカレンが飛び込んだ。
「な?戻ったろ?」
「うん!」
カレンに笑顔が溢れる。
嫌がるカレンを引き剥がした後、今度は冒険者に囲まれる。
「おい!お前!なんだあの魔法?見たことねぇぞ!」「あなたのおかげよ」「英雄誕生だな」
「ちょ、ちょっと待ってください、俺初めて魔法を使ったんです、いきなりそんなこt「だとしたら本当に英雄じゃねーか」「そーだ英雄の誕生だーーーーー」
カケルの周りで英雄コールが起こる。カケルも悪い気はしないが死んでいった冒険者を思うと素直に喜べなかった。そこへ冒険者をかき分けてリーダーがきた。表情はどこかぎこちない。
「まずは言わせてくれ・・・・・お前に助けられた、礼を言う・・・・・一つ聞きたいんだがいいか?」
「はい」
「なぜ、最初からあの魔法を使わなかった?もし使っていればあいつらは死ななかった!」
リーダーの悲痛を訴えるような声に先ほどまでうるさかった英雄コールが一気に静まり返る。
「さっきも言いましたが俺が魔法を使ったのはこれが初めてで「普通魔力は小さい時から訓練していないとあそこまでは大きくならない。だからそれは嘘だ。」
周りの空気がガラッと変わる。
そして今度はまわりから「じゃあこいつは最初から見殺しにするために・・・・」「無駄死にだったってこと?」と疑問の声が上がった。
「い、いやおれはそんな・・・・」
「カケルは記憶喪失なの!記憶を失ってからは魔法は使ってないのよ!」
カレンもフォローしてくれたが誰も聞く耳を持たない。
(これ俺やばいな・・・あの目だ、以前も向けられたあの・・・)
カケルは思い出した。
あの得体の知れないものを見る目、学校で周りの奴に向けられていたものだと・・
(まぁ、こんな視線を向けられているのは慣れているが)
なお止まない疑問と得体の知れないものを見る目、リーダーらしき男がさらに続けてかけるに質問しようとしたときそれは起こった。
「おい、ゴブリンキング氷つかせたやつはどこにいる!出てこい」
周りもそれに気づき、道を開ける。そこには馬に乗り、銀色の鎧に美しい金の装飾を施したものをきた女がいた。
「私は王都からの援軍の指揮官である、フレイ・ゲルマ・ヴァナディーナスである。高原一帯を凍らせたものを探している。」
「ヴァナディーナスって王族じゃねーか」「綺麗だな」「今更きてなんなんだ」
フレイの言葉にさまざまな冒険者の言葉が飛び交う。だがそれを不快に感じたのだろう。
「少し黙れ」
フレイは騒いでいた冒険者一人の首筋に剣を当てる
「あっ・・・うっ・・・」
一気に周りが静まり返る。
「お前のようだな、名はなんと言う」
フレイはそう言いながら剣を鞘に収めた。
「かけるです」
「お前はこのまま王都に来てもらう」
「え?なぜ?」
フレイの言葉にカケルの体は一瞬固まる。
「いいからこい」
カケルは腹に違和感を覚えた。見ると剣も持ち手の部分が腹に突き刺さっている。
ウッと小さなうめき声をあげ、倒れるカケル。そしてそのまま連れていかれたカケルを周りの冒険者はただ呆然と見つめていた。
ーーーーー
「カケルーー起きて!」
目を開けるとカレンの顔が目の前にあった。
(なんか俺女気絶させられる呪いでも受けているのだろうか・・・)
どうやら今は馬車の中のようだ。
「目覚めたようだな」
向かい側にはさきほどカケルを気絶させたフレイが座っていた。
「先ほどは手荒なことをして申し訳ない。こうでもしないとお前を連れて行くことができないと思ったのでな」
「べ、別に気にしてないですよ」
フレイに謝られ少しキョドルカケル、よこにはジト目を向けるカレンの姿があった。
「あれは本当にお前がやったのだな」
「はい」
フレイの質問にカケルは頷きながら答える。
「一つ訪ねたいのだが半年前に何かお前の体に異常はなかったか?例えば倒れてねむったままになったとか」
心当たりのありすぎる質問にカケルとカレンは驚く。
「え?なんで知ってるの?」
カレンが聞き返したがフレイは「ふむ・・・やはり、お父様がいった通り・・・・」一人ぶつぶつ言っている。
「あの!フレイさん!」カケルも続けて質問しようとし、フレイも気づいたようだ。
「ああ、すまんな、なぜこれを知っているかどうか聞きたいのだな」
カケルとカレンが首を縦に降る。
「話は私のお父様に聞いた方が早いだろう、現在しろに向かっている、もうすぐつく」
その言葉にカケルは窓の外を見る。そこには大きな壁に囲まれた町と大きな城があった。
(ここが王都なのか?サガの3倍はあるんじゃないか)
「では今からカケル・・・カレンもいいだろう。お父様にあってもらう。」
この言葉にカケルとカレンは硬直する。
「お父様ということは国王様ーーーー?!!」
カケルは転生して半年、まさかのいきなり国王に会うという事態にこんな急展開ありかよとただただ驚くしかなかった。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
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