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ジュパーン高原2

「弓を放てーーーー」


リーダーらしき男が声を張り上げる。

次の瞬間放たれた弓は弧を描き、ゴブリンに命中していった。次々と倒れるゴブリンに歓声が上がる。しかしゴブリンは止まらなかった。何事もなかったかのようにまたこちら側に進軍を始める。


「第二射!放てーーーーー」


その後も弓がなくなるまで放ったがゴブリンの数は1割も減らなかった。


「行くぞ!突撃ーーーーー」


そしてとうとう戦闘が始まった。剣士たちはゴブリンを一刀両断し、拳闘士は拳で頭を吹き飛ばす。先ほどまで弓を射ていたものもナイフや剣に持ち替え、戦場に向かっていった。そこには勇敢に戦うスルドとバンクの姿もあった。「やったぜ!ぼろ儲けだ!」「楽勝じゃん!」なんていう声も聞こえる。

カケルはそれを見ながらも魔法を高めるのに集中していた。なぜなら仲間が減っていく状況に対し、ゴブリンの王はただただ笑いながらこちらに向かっていたからだ。ここでリーダーがまた指示を出した。


「魔法を放つぞ!みんな一度退けーーーー」


一斉にこちらに冒険者が戻っていく。そして魔法を放とうとした時、リーダーは気づいた。


「おい、お前らなにやっている!早く戻れ!魔法が打てん!」


よく見ると何人かがまだゴブリンと戦っていた。どうやら一体でも多く狩って金が欲しいらしい。


「こいつら弱いっすもん、このままいけば狩り尽くせる!キングもやっちまうぞお前ら!」


『オォーーーー』


ある冒険者が言った一言にまだ残っていた冒険者が賛同し、一体のキングに向かって走っていく。


「おい!お前らよs「ボウッ」


リーダーらしき男が止めようとした時にはもう遅かった。目の前で巨大な炎に焼かれ灰になる冒険者、一瞬にしてまだ残っていた50数名の冒険者が死んだ。こちらに退避していた冒険者の顔が引き攣り、魔法部隊にも動揺が起こる。


「キャアーーーーータスケテーーーー」

「俺はまだ死にたくないーーーー」「叶うわけねえ」


「おい!諦めるな!もうすぐ援軍が来るんだ!それまで持ちこたえろ!」


リーダーらしき男が戦意を取り戻そうと試みるが恐怖は連鎖していく。一瞬で死んだ仲間を見て逃げていくものやその場で立ち尽くすもの魔法部隊からも逃げ出すものが多くいた。気がつくとカケルの部隊も3人になっていた。カケルは震えながらもゴブリンキングを見た。「ニカァ」と口が開き、笑っている。



カケルはスルドとバンクを探した。どうすればいいか聞くためだ。

しかしそれはかなわなかった。

後ろを振り返ると逃げ帰る二人の姿があった。


(あの人たちには支えなきゃいけない家族がいる。当然だ。)


そう思いながらもカケルは大きな失望を隠せなかった。あのかっこいい冒険者も所詮は自分の命が大事なだけで他のやつとなにも変わらないと。そしてカケルも逃げようとした時、あることに気づいた。逃げ惑う冒険者を押しのけこちらに向かって来る一人の女の子がいることを。


「カケルーーーーーーーあ!そこにいたーーーーーーー探したんだから!」


カレンだ。一瞬ぽかんとしたがカケルはすぐに正気に戻る。


「おいなんでここにいるんd「こっちのセリフよ!」


カケルが発した言葉はカレンの言葉に遮られた。


「すぐ戻って来ると思って待ってたのに帰ってこないし、探し回ってもいないし、だから衛兵さんに聞いたら似たやつが戦いに行ったもののなかにいたってきいて・・・・それで・・・・」


カレンから涙が溢れる。本当にカケルを心配していたらしい。


(この子を2度も泣かせるなんて俺は最低なやつだな・・・・)


「ごめん・・・」

カケルはカレンの涙を拭うともう一度周りを見渡した。

周りにはまだ戦っているものが大勢いた。頑張ってはいるものの押されているのは目に見えてわかる。


「カレン!俺はフリーズを使ってあいつらの動きを止めてみる。俺が足止めをしている間にサガに戻れ!俺もすぐにそっちに戻る」


「で、でm「大丈夫だ」


カケルは真っ直ぐにカレンを見つめる。


「・・・わかった、戻ってきてよ」


「おう!」


カケルは笑顔で答え、カレンがサガに向かったのを見るとリーダーらしき男の方に向かった。


(じゃあまずは)



「リーダーさん!魔法使いにフリーズで足止めするように呼びかけてください。お願いします。何度も足止めしてうまくいけば援軍が来るまで持ちこたえられるはずです。」


いきなり声をかけられ驚いたのか一度ビクッとしたがすぐに理解するとフリーズを使うよう指示してくれた。どうやらカケルのこともちゃんと1冒険者として見てくれているようだ。そしてカケルはすぐに自分もフリーズを使うため、キングに狙いを定め、魔力を高める。


(まさか俺の人生初魔法がこんなことになるとはな・・・うまくいってくれよ・・・・・)


カケルの横からおい!お前、それ・・・・という声が聞こえたが無視し、呪文を叫ぶ。


「フリィィィィィーーーーーーーーーズ」


次の瞬間大きな陣が自分の背後に描かれた。

足止めを考え使った魔法はゴブリンキングとその周りのゴブリンを巻き込み、あたり一面を凍りつかせた。


『え?』


周りの冒険者達と自分の声が重なる。目の前には笑った表情のまま固まったゴブリンキングとゴブリン達がいる。一瞬の静寂と思考停止が起こる。


(え?嘘嘘?え?なんでこんな威力なの?俺の放った魔法だよな?)


s自分の放った魔法の威力に戸惑いを隠せない自分を横目に一気に『オォー』と冒険者たちが息を吹き返す。そして先ほどまで笑っていたゴブリンキングたちからも笑顔が消えた。


「お、おいお前!まだ使えるか?」


カケルが声のした方を向くと真剣な顔でこちらを見ているリーダーらしき男の姿があった。それをみてカケルは一気に冷静になる。


「はい!なぜこんな威力なのかはわからないですけど、まだまだ使えます!」


「じゃあまずはキングを一掃してくれ!頼む!」


(そうだ、こんなことを考えるのは後だ!俺がやらないと・・・・)


「はい!任せてください!」


そして援軍が1時間後に目にしたの光景は凍りついたジュパーン高原とゴブリンキングだった。


ここまで読んでくださりありがとうございます。できれば感想評価お願いします。

これからどんどんかっこいい主人公をぶち壊していきます。

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