転生
(ん?あれ?俺死んだはずなのに声が聞こえる。まさか神様なのだろうか・・・・・)
カケルは恐る恐る目を開けた。
「心配したのよ!カケル!いきなり倒れたと思ったら高熱なんだもの!3日も意識を取り戻さないなんて..............ほんとに死んだと思ったのよ..............バカァ..............」
髪がブロンドで目が青色、そこにはカケルの知らない女の子がいた。今にも泣き出しそうな顔でカケルを見ている。そんな状況にカケルはとりあえず今思ったことを口に出した。
「なんで泣いてるの?いや君、誰?」
『・・・』
少しの静寂......女の子の顔はどんどん怖くなり、後ろに『ゴゴゴゴゴ』という文字が見える。あれこれまずいこといっちゃった?とカケルは本能がそう告げている。
「それが幼馴染にいう言葉かーーーーー」
次の瞬間、初めて会った女の子からのグーの拳、頬に伝わる衝撃と共に再び意識を失った。
ーーーーー
再び目がさめると今度はカケルの両親と名乗る全く知らない人もいた。正直言ってわけがわからなかったカケルにはただただこの状況に対し苦笑いし続けた。
「カケルまさか僕たちのことを覚えていないのかい?」
父親と名乗る男がカケルに真剣な表情で尋ねる。明らかにおかしい様子と他人行儀な会話からカケルを記憶喪失だと思っているらしい。
(これには乗っておいたほうが良さそうだな・・・・・)
カケルは首を縦に振った。するとカケルの手を握りこう尋ねられた。
「よく聞くんだ私は君の父のカイだ。隣が妻で君の母であるクレア、その隣にいるのがいつの仲良くしてたカレンだ。カケル、お前はどこまでおぼえているんだ?」
(まずは自分の現状を知らないとな・・・・・)
「正直さっぱり覚えていないです。だからまず俺のこと、そしてこの世界のことを教えてください。」
カケルは自分の父親と名乗る男に対し真剣な顔で答えたのだった。
そこからカケルはこの世界が魔法が使える世界で魔王がこの世界を滅ぼそうとしていること、自分は農民だが生まれつき病弱で基本的に布団の中だったことなど他にも知りたいことをだいたい聞いた後、カケルはひとこと「一人にしてくれ」と言った。自分の状況を整理するためだ。
カイやカレンはまだカケルを心配し、これからのことも話したそうにしていたようだったがクレアが「カケルには一人の時間が必要でしょ」と二人を連れて部屋を出ていった。
「じゃあまずは..............」
カケルは鏡の前に立った。そこには少し細くなってはいるが前の顔と瓜二つのカケルが写っていた。
自分はたしかに殺された。刺された周りを触る。傷はないようだ......
カケルは別の世界のカケルとしてここにいた。
(別の世界のカケルの体に俺の魂が入ったような感じなのだろうか・・・・・)
次にゆっくり体を動かしてみる。
「くそ、力が全然入らないな。」
歩くなどには支障はないがすぐに息が切れる。寝たきり生活は本当だったようだと身をもって理解する。
そしてカケルは布団の上に寝そべり1番の疑問を頭に思い浮かべる。
(なぜ俺はまだ生きている?それにこの体、こっちの世界のカケルの意識はどこにいったんだ?・・・・・)
その後、両親やカレンに自分について詳しく聞いたがどうやらこっちの世界のカケルはとても優しいやつだったようだ
。畑仕事ができないため魔法を勉強をして、魔法で親に恩返しをしたいと考えていたらしい。カケルは素直にこっちのカケルに感心した。
しかし今自分の中にカケルには体の中にこの世界のカケルの意識、魂があるという感じが全くしなかった。
(空が光ったのとなにか関係がありそうだな・・・・・)
どうやら両親が言うには突然に空が光ったと同時にこっち世界のカケルが苦しみだし、高熱を出した後3日間眠ったままだったそうだ。そして今日ようやく意識を取り戻したということらしい。
(今の俺にはわかりそうにないな・・・・・)
「まずこの世界についてもっと知らないとな」
カケルは一言小さく呟き、もう一度鏡を見た。
そこにはニヤニヤと笑っている自分の顔があった。
普通なら全然知らないところで知らない奴になっていたなんて頭がおかしくなるだろう。
だがカケルには胸の内にはそんな不安を吹き飛ばすほどの期待があったのだ。
(魔王いるなら俺好みのモンスター娘もいるのでは?・・・・・)
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