番外編;カレンとの別れ
番外編的な感じで書きました。少し感動話的な感じで描きたかったのですが・・・
旅立つ前、カケルはカレンと城にある個室で会話した。
「今から言うことは信じられないかもしれないが聞いてくれるか?」
カケルの確認にカレンは「うん」と首を縦にうごかす。
「今まで黙っていたんだが俺は俺であって俺じゃないんだ・・・」
「それはどういうこと?」
「実は・・・」
そこからカケルは自分がカケルだがこの世界のカケルではないこと、自分が勇者として転生したこと、そして今から魔王を倒しに行かなけれなならないことを全て洗いざらい話した。
「騙すようなことしてごめん・・・」
カケルはカレンに頭を下げる。これはカケルの本心からの謝罪だった。それに対しカレンからは意外な返事が帰ってきた。
「いいよ、実はね・・・私もカケルのパパとママもなんとなくわかってたわよ・・・」
「俺が勇者だって?おれもさっき知ったとこなんだが・・・」
カケルは自分が勇者だと周りがわかっていたと言うことに心底驚く。
「い、いやそっちじゃななくてカケルが元のカケルじゃないってこと!」
「なんだそっちか」
カレンは下を向きながら話を続けた。
「最初は記憶喪失だと思ってたんだよ?でもそれにしてはねっとだっけ?みんなが知らない言葉をたまに言うし、逆にみんなが知ってて当然のことを知らないと思ったら必要以上に聞いてくるし前から近くにいた人なら気付くわよ!」
「なるほどな」
カケルは転生して最初の一週間くらいは必死だった。違和感に気づかない方がおかしいのだ。
(たしかにたまにネットしたいとかぼやいてたな・・・まさか聞かれていたとは・・・)
「でもさ・・・それから半年も一緒にいるとさ・・・カケルはカケルだなって思った」
「中身が違うのにか?」
カケルの質問にカレンはじっとこっちを見つめ答える。
「うん、なんでかな性格とか全然違うのにね、もっとおとなしかったしいい子だったし」
「うるせ」
「でも優しいところとか頑張り屋なところとかおんなじとこもいっぱいあった・・・やっぱりカケルはカケルだなって」
カレンの瞳から涙が溢れる。それをみてカケルも奥から何かこみ上げてくるものを感じる。気がつくとカケルの口は今まで抑えてきたことを話していた。
「俺さ、最初違う世界来れてラッキーって思ったんだ・・・でもいざ生活してみると知らないことばかりで不安で不安で気がつくとこっちに馴染めるように、少しでもこっちのカケルの近づくために必死だった。なんで転生したのか、俺は一体誰なんだって・・・」
一気に抑えていた感情が爆発したのだ。さっきまで国王との会話では別れなど平気だと思っていたカケルの頬には気がつくと涙が流れている。
「でも俺今日勇者だってわかって俺のやることがわかったんだ。だから俺、ちょっくら魔王倒しにいってくるわ」
精一杯のカッコつけ!カケルが本当にこっちの世界に来てカケルとなった瞬間だった。
「前のカケルはそんな言葉遣いじゃなかった」
「前まで頑張ってたからな」
「でもそっちの方が自然だよ」
「おう」
二人は笑った。そしてカケルはカレンに親に自分のことを話すことちゃんと魔王を倒したら戻ってくることを伝えるように頼んだ。そして別れようした時カケルはカレンに引き止められる。
「あのさ、カケルは私のことどう思ってる?」
突然なんだとカケルは思うがそれは口に出さず答える。
(家族みたいなもんだしな・・・モンスター娘に言われてたら嫁って答えてたかも・・・)
「好きだぞ」
その言葉にカレンは俯いてなぜか「バカ」と、しばらく経った後こちらをみて「じゃあいってらっしゃい」と言った。
カケルはそれに対してカケルらしく「おう」と笑顔で答えたのだった。
この時カレンは村に戻って来て自分と結婚すると思っているのだがハーレムを作って戻ってくるカケルをボコボコにしたあと脅迫混じりの告白をカケルにさせることになるとは思っていなかった。
このくらいまではカケルはいい子だった感じです。だからまだカッコいいです。