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London.BLACK  作者: 生ヴェルダン
1/1

Request1 [非日常]

時計塔が見下ろしている。

ここはロンドン。活気溢れるこの街には日常的な生活に満ちている。女性が子供と一緒に昼食の買い出しをしている。

中年男性がベンチに座って新聞を読んでいる。少年達が公園で遊んでいる。しかし、あたりまえだが日常を過ごす者もいれば非日常を過ごす者もいる。そこの人気のない路地を走る少女もその一人だ。


その少女は可憐で美しい銀髪に紫色の瞳を持ち、白いワンピースを着ていた。身長は小学生低学年ぐらいだ。

その日、少女は初めて外を走った。少女は走る必要がないところで育った為、息は荒く足に激痛が走る。何故少女がこんなに辛くとも走っているのか。


「いたぞ!追え!」


「逃がすな!捕まえろ!」


黒いフードを被った怪しい男が6人。少女を追いかける。

そう、少女はこの男達から逃げるために走っていたのだ。

少女は同世代の女の子の中でならけっこう足が速いの方なのだが、命を賭けて裏社会を生き抜いてきた男達の全速力には到底及ばなかった。

ついに少女は男達の手の届く所まで距離を縮められてしまった。男の手が少女を捕まえようと迫ってくる。もうおしまいだ…と、少女は産まれて初めて諦めた。少女は絶望に呑み込まれる中、頭上から微かに女性の声が聞こえた様な気がした。


「ブースト!!」


女性の声が人気のない路地裏に響き渡る。次の瞬間。一つの鉄の塊が落ちてきた。少女に手を伸ばしていた男はその下敷きになり。血を辺りに撒き散らし、即死した。バキバキと骨が軋み、骨が折れる音が鮮烈に聞こえる。鉄の塊は砕け散り、周りに雨の様に降る。


「AM11:37の6.55…まさか本当に時間ぴったりだとは。全く。今回の依頼人はいったいどんな変態なのやら…」


鉄の塊の落下で空気中に舞った砂煙の中からその女性は現れた。

白い髪でアホ毛が特徴のショートヘアー、赤い髪留めをし、ジーパンを履いている。シャツの上に渋いベージュ色のコートを着こなすスタイル抜群の若い女性だった。脚の太ももには銃をしまうためのホルダーあり、黒い手袋をしている。手には何も持っていないが首に赤い宝石をつけている。


「誰だお前は!」


黒いフードを被った男達は銃を向けて問う。女性は答えた。


「私の名前はフェリス・ミラー。貴方達には…[なんでも屋]と言えばわかるかな?」


「ま…まさかあの[なんでも屋]か!?あの[ブラックミラー]の!?」


5人のうちの一人がトラウマを思い出したかのように顔を青ざめる。他の男達は聞いたことが無かったが仲間の一人があそこまでの表情をする事からただ者でないことは理解できた。あいつはいったい何なんだと怯えている男に仲間が問いかける。男は語る。


「風の噂だが聞いたことがある…ブラックミラーはなんでも屋の名前だ…!裏でマフィアや政治家と通じてて、殺しを依頼されたら絶対に対象を逃がさない完璧な仕事人!なんでもあの女は特に危険だ!噂通りなら超能力を使うぞ!」


「うーん…確かにマフィアや政治家とかには多少縁はあるけど超能力者ではないかなぁ?」


男達は怯え、フェリスはため息をこぼした。当たり前な話だ。急に他人に超能力者だと言われたら誰だって呆れはする。しかし、彼女は例外だった。


「まぁこれも他人から見たら超能力なのかもね」


そうフェリスが口にしたその時、不思議な事が起きた。フェリスが人差し指を相手に向けるとその人差し指が光りだした。フェリスは光を放つ指で空中に[I(アイ)]という文字を書くと空中にIの字が青く浮き出る。


「形状…刀身…アイアン!」


そう言いながらフェリスがIの字を握るとパキパキと音をたてて…なんと徐々に鉄が生成されていくではないか。非科学的な起き、フェリス以外の者は驚きを隠せないだろう。そして鉄が形をなしていき、刀の様な形になった。


「…だからなんだというのだ?」


男達は銃をフェリスに銃を向ける。当たり前だ。例えどんな力で作ったかわからない刀だとしても銃の前では無力。フェリスの圧倒的不利な状況は覆せない。


「諦めろ。せめて神様に天国に行かせてくれるように祈るんだな」


男はそう言った。だがフェリスは笑っていた。


「祈った方がいいのはそっちの方だろ?」


フェリスは男達笑う。そしてどこからとなく若い男の声が聞こえた。


「これからお前らが行くのは火の中だぞ」


次の瞬間、男3人が炎を纏っていた。男二人はギリギリ背後から飛んでくる炎から逃れられた。

残った男二人は地獄を見た。苦しみを叫び、燃えている者が3人。その後ろにあったおぞましい影が姿を現す。火を放つ特殊なハンマーを持ち、肘から手の甲にかけて鉄のカバーをつけた黒いコートを着ている。ペストマスクと雪の様に白い髪が特徴の男がそこにいた。


「残念だなぁ。二人も逃してしまった…」


残念そうに若い男がため息をつく。


「しまった!仲間か!?」


形成は逆転。若い男とフェリスが男二人を挟み撃ちにする形になった。男達はとっさの判断でお互い背中を預け、銃を構える。


「クソがっ!」


男達が銃の標準を相手に合わせる。だがその時にはもうフェリスが[B]の文字を書いていた。男達は引き金を引く。その瞬間にフェリスと若い男は武器を構え、声を合わせた。


「「ブースト!!」」


一瞬だった。最初に聞こえたのは男達が放った銃の音だがその時にはもう男達の頭は原型を留めていなかった。あとから聞こえたのは風を切る音。その音と共に風が周りを強く吹いた。


フェリスの書いた文字[B]のブーストは加速させる力を持っている。フェリスはそれを自分に使い。ジェット機の様な速さで銃弾を掻い潜り、男の頭を切り裂いた。


若い男はフェリスと違って超能力の様なものはついていない。しかし、彼には優秀な頭脳があった。小さい頃に彼はフェリスよりも科学知識を多く習得していた。それは自分にフェリスの様な超能力が備わっていない事からの焦りから生まれたものかもしれない。しかし彼はそんな事よりもフェリスを守れる力が欲しかった。大切な人を守れなかった自分を恨んだ。そして彼は成長した。


彼が持っているハンマーの様なものにはブースターと火炎放射器が搭載されている。彼のブースターはフェリスのブーストと同じような性能を誇る。火炎放射器は20mしか届かないがロンドンで使うなら充分な距離だ。

若い男はブースターを使いフェリスと息を合わせる様に飛んだ。そして男の頭にハンマーを振るった。


二人の男は絶命し、その場には燃え尽きた亡骸と頭が歪な男の遺体、辺りを彩る血と鉄に囲まれた少女と彼らがいた。


「初めまして。私はフェリス。君を保護しに来た。」


フェリスに続いて若い男も自己紹介をする。


「僕の名前はエスペラント。突然女性に名前を聞くのは失礼だけど…君の名前は?」


二人は手を差し伸ばす。少女は一瞬迷った。

当たり前だ。周りに転がっている死体も、飛び散った血も、鼻が曲がるぐらい強烈な人の焦げた臭いも。全部この二人がやったのだから。だが少女は両手を上に伸ばす。この二人の目は優しい人の目だ。この人達は信じれる。少女はそう思った。

少女は口を開く。


「私の名前は…ノア。ノアっていいます…!」


少女は小さな両手で二人の手を握った。





「「…へ?」」


フェリスとエスペラントは唖然とした。

フェリスとエスペラントの自宅に帰ってきたのだが…玄関にメッセージ付きのダンボールが置いてある。差出人は不明。だがすぐに今回の依頼人だというのがわかる。書かれていた内容はこうだ。


『仕事お疲れ!☺︎✨けどごめんね~⤵こっちは時間が無くてさー(笑)☺︎今引き取りに行けないから当分その子をよろしく~(*´∀`*)

P.S もちろん報酬は跳ね上がるぞ~』


「…今どきのJKかぁぁぁあああいっ!!」


フェリスのツッコミが街中に響きわたる。ここはイギリスの首都ロンドン。今日も街は活気に溢れている。これは、少女が幸せになるまでの物語だ。

初投稿です。こんにちは。生ヴェルダンと申します。最近小説家になろうを始めたばっかりなので全然わからないところが色々ありますが頑張っていこうと思います。

アドバイスや感想を書いて頂けると光栄です。青い鳥で下手なイラストを描いてたりキャラの詳細などを書いているので宜しければ是非是非。

次回はフェリスやエスペラントの詳細、生活を書いていきます。次回もよろしくお願いします!

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