番外編 第一空挺団空挺教育隊
何のために生まれてこんなことしてるのか、なんて考えたことあるわけがない。60年、70年前の爺さん達が命懸けで守り抜いた日本を、俺たちはこうして今爺さん達に変わり守ることになっている。だけど、国を愛すって何だ。
何を愛せば、どう愛せば、自分の命を躊躇いもせず投げ出すことができるんだろう。
わかんね。
俺には全然わかんね。体力だけが取り柄でさ、でも心も体も小さい俺は班員からコケにされてきた。空挺に合格した時、嬉かった。これであいつらを見返せるってさ。だが、このザマだ。降下訓練も勿論普段から永遠のハイポートや腕立て伏せ。教官は言った。
「憎いのはお前らじゃない、憎いのは敵だ。俺たちの仲間として戦うからには、だからこそちゃんとしてほしい。空挺団として、このウィングの徽章の誇りを保つために」
その言葉は刻まれたが今の俺には。
もうすぐ最終攻撃が始まる。それだけの体力が新隊員に備わっているのか、甚だ疑問だが?
100キロ近い行軍を終えての攻撃。一体何人が付いてくる?いや、ついて行くしかないんだ。
やってやるさ、ああ。
89を握りなおす。うっかり緊張しすぎて引き金を引きそうになる。危ねえ、安全装置がかかってると言えどこれはまずい。
あーもう、仕方無えだろ。どうせここで死んだって、辞めれば一生後悔するんだ。なら、やるしかないだろ?