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4 金色のとぐろを巻きしもの

「ショウ兄、あっちの藪の方を突っ切ってもらえる? そこを通ると、一番近くの村まで最短でいけそう」

 トカゲ姿の弟が、俺の肩に乗りながら、なんか偉そうに道順を示し始めた。


「おまえ、何でそんなこと分かるんだよ」

「ああ、僕のパラメーター、知力が異様に高いんだ。そのおかげで色々ステータス画面で見れる情報が多いみたい。マップも見れるし。後は、ランクの低いカードなら、入手法なんかも見れるよ。ところで、ショウにいちゃんのステータスはどんな感じ? 種族は獣人みたいだけど。僕なんか魔族なんだよ、やになっちゃう」

 ステータス? そういえば、妖精にそんな話を教えてもらったような。確か、ステイサムオーブンと唱えると見れるんだっけか。

「ステイサムオーブン!」

 しかし、何も反応しなかった。どういうことだ。


「ショウ兄、ステイサムじゃなくて、『ステータスオープン』だよ」

 え……! だ、だって、あの妖精、一方的に話し進めるから……くそ。弟の前で恥をかいてしまったじゃないか!


「わ、わかってるよ! アニキズジョークだよ。まったく、ジョークだと分からないとは情けない弟め。……ステータスオープン!」

 俺は、弟に、アメリカンジョークも出来ることをアピールしながら、ステータスオープンというと、目の前に、半透明の画面が浮かび上がった。


「開けたの? ふーん、人のステータス画面は見れないみたいだね。ショウ兄さん、なんて書いてあるか読み上げてくれる?」

「読み上げろったって、色々文字あって大変だぞ!?」

「でも、大事なことだから、早く」

 強気な弟が俺の肩の上でふんぞり返っている。兄の偉大さを知らしめるためにこのまま肩から落としてやろうかとも思ったけれども、やっぱりアマゾンに来て不安で怯えている弟のために、大人しく言うことを聞いてあげることにした。


「まず、ステイタス画面の右下のパーソナルデータってとこ選んで」

 弟に言われるままタッチする。


--------------

種族:獣人(猿)

職業:無職

HP:400

MP:30

STR:60

VIT:60

DEX:80

AGI:85

INT:5

LUC:special

保持スキル:神々に愛されし者

-------------



「えーっと、種族獣人。職業、無職……? 小学生って無職なのか? あー、それと……おい、弟よ、その下は外国語だ。アマゾン仕様になってるぞ」

「アマゾン仕様じゃなくて、普通に英語、アルファベット。読めないなら、数字だけ上から言っていって」

 こやつ、兄をバカにしていないか? 小学二年生のくせに! 間違えて小学6年生の勉強してるくせにっ! でも、兄ちゃんは海のように広い心で許してやる。兄ちゃんだから。


「えーと、数字は……上から400、30、60、60、80、85、5……ん?」

 なんか、最後のところ、数字じゃなくてアマゾン仕様になってる……。


「どうしたの兄さん? 最後のLUCの数値は?」

 弟がせかしてくるけど、でもここで、兄ちゃんが英語読めないって知ったら、弟に馬鹿にされる! 小学2年生のくせに、小学6年生の通信教育受けてるドジな弟に、馬鹿にされる!

「……60」

 俺はとりあえず、適当な数字を言ってみた。許せ、弟よ、兄ちゃんには意地ってものがあるんだ。


「ふーん。そうすると、やっぱりショウにいちゃんのほうが色々ステータスは高めだね。MPとINT以外は、僕よりショウ兄ちゃんのほうが高いや。説明で妖精が、もとの体の特製を生かしたステータスって言ってたし、なるほど。保持スキルのところには何か書いてある?」

「保持スキル? ああ、これか……えっと、神々に愛されし者だって」

「神々に愛されし者? うーんどんな能力なんだろ。タッチして能力の詳細見れる?」

 特殊能力の欄をタッチしてみたけれど、なんも反応なし。


「なんも反応しないぞ」

「そっか……ショウ兄ちゃんの知力だと詳細まではみれないか……」

 なんかまたバカにされた気がする……。やはりここは肩からずり落としてやろうか……。


 そう思って、弟が乗ってる左肩を見ようとしたら、その向うに素敵な何かが目に入った。

 こ、こんな藪の中に……というか藪だからこそ!?


 俺は、我慢できずにそのとぐろをまいた大きな茶色い物質に近づいた。


「ちょっ!? ショウにいちゃん、一体いきなり、何……!? って、何これ、ウンチ!」

 弟がものすっごく嫌そうな顔をした、たぶん。トカゲ顔だからあれだけど。

「おお、近くで見ると、思ったよりもでかい。コレは大物だ」

「ちょっとやめなよ、ショウにいちゃん。うんこなんて構ってないでさっさと行こうよ!」

「お前、何言ってるんだよ。こんなに立派なんだぞ。男たるもの、こういう立派なモノを見たのなら、やらなきゃいけないことがある」

 俺は、近くに落ちていた木の枝を拾って、容赦なくその大きな塊へと差し込んだ。

 やっぱ、ウンチ見つけたなら、枝でツンツンしなきゃだよな! 小学生の常識!


 とか思っていたら、ウンチが突然光った。

 思わず目をつぶって、目を開けるとそこにあるはずの立派なウンチは消えて、カードが一枚落ちていた。


“貫かれた金運幸運”

“使用回数--”

“巨万の富があなたのもの”


絵柄は金色のとぐろを巻いたうんこだった。なんだこれ。


「兄さん! これ、すごいレアカードだよ! ちょっとまって、今図鑑の説明文みるから。僕は、INTが高いから、半径1m以内のカードは自分で所持しなくても、図鑑の詳細が見れるんだ。えっとね……。どうやら、お店で売ってお金にするアイテムカードみたいだ。すっごくレアで、うるとかなり高額! 入手法は、ごく稀にフィールドに落ちてる特別なうんこをつつくことで、出現するんだって……! ショウにいちゃん、そのこと知ってたの!?」


「いや、知らないけど。でもウンチをつつくのは小学生の嗜みだ。お前も小学生なら、それぐらい覚えておけよ」


「それが小学生の嗜みなら、僕は小学生をやめる……」


 弟は、小さな声でそうつぶやくと、トカゲ顔をふるふると横に振った。

まあ、まだ小学二年生の弟に話すには、早かったかもしれない。


 俺は、図鑑にさっき手に入れたカードを収納すると、そのまま、弟がいう村までの最短ルートというものを突き進むことにした。



--------------

■今回ゲットしたカード■


カード名:貫かれた金運幸運

種類:生活カード

ランク:銀

効果:ショップにて8000ペンスで売ることができる

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