22 戦いの準備
「うーん、まあこんな感じかな。ショウにいちゃんはMP少ないんだから、魔法カードは慎重に使ってね。一応MPを回復できるカードはあるけれど、常にMP20以上残すように意識すること。最終手段の放られた海神の小指が使えるぐらいは確保したいから」
生意気な弟が一仕事終えた感を出しながら言ってる。俺は話を聞きながら、弟チョイスのカードをホルダーに納めた。
そしてバレないように、こっそり熟成肉をホルダーにしのばせる。
これで、俺のホルダーの中には、【炎を纏いし狼 ウルフレイム、妖怪仙人 ヌメリヒョン、スノウレディの投げキッス、動かざるもの ナマケモーニャ、放られた海神の小指、薬草、ムルク村特産のチーズ、熟成肉】という8種類のカードがあることになる。
「足りなくなったらカード辞典からカードを出せるし、こんなもんでいいかな。ショウにいちゃん、ちゃんと自分がもってるカードの効果は覚えててね」
「任せとけ! 」
俺が手で胸を叩いて応じると、弟はなぜか胡散臭そうな目で俺のことを見てきた。
なんて生意気な弟だろうか。
「ショウにいちゃん、装備品は大丈夫? 一応ステータスでみて」
「そうびー? んーっと、ちょっと待てよ」
俺はそう言いながらステータス画面を開いた。
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装備
武器:分銅の奮闘手袋
胴体:モフホワイトの毛皮
頭:フォックモフスの髪飾り
靴:肉球サンダル
アクセサリー:なし
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俺はステータス画面に表示された装備品を弟に伝えたところ、問題なかったみたいで、俺たちの準備は終わった。
「準備終わったのか? それにしても、ショウジ達と過ごすようになってから、モンスターを倒した時のカードドロップ率が異様に高い。何か、ドロップ率を上げるアイテムでも装備してるのか?」
「いや、よくわかんないけど、そういうのは装備品してないはず。だよな、コウジ?」
「うん、そのはず。そういう効果がついてるアイテムは装備品してないよ。ていうか今までモンスターを倒したら、必ずカードが落ちてたから、必ず落ちるものだとおもってましたけど、そうじゃないんですか?」
「普通は必ずおちない。ドロップ率は人によるらしいが、私の場合はモンスターを3匹倒して、1枚落ちれば運がいい方だな。フィーは落ちやすい方だったと思うが、必ず落ちるなんてことはない、よな?」
「ええ、そうね。半々ぐらいかしら。もしかしたら、プレイヤーは、必ず落ちるような設定になっているのかもしれないわね。どちらにしろ、落ちにくいならともかく落ちやすいのだからいいじゃない。私もあなた達と一緒に行動してたくさんカードを手に入れることができたから、ラッキーよ」
そう言って、フィーは満足げに手に入れたカードを扇のようにしてカードを広げで見ている。
「フィーはカードが好きなのか?」
「好きっていうか、私はカード使いだから、ある程度ストックがないと困るのよ」
カード使い? そういえばさ、自己紹介してる時、カード使いだっていってたな。
ここまでの戦闘でも、基本的に、魔法カードで炎出したり、土ぶつけたりして攻撃してたきがする。
「カード使い……」
俺のつぶやきにフィーが反応して、説明をしてくれた。
「カード使いっていうのは、つまり魔法カードを使う人のことよ。MPを消費してカードの効果を発現するの。ショウジ達は、プレイヤーだから普通にMPを持っていて魔法カードを使えるみたいだけど、魔法カードを使える人って結構限られてるのよ。MPを持って生まれてくる人が少ないの」
うーん、MPとかいきなり英語が混ざると、話が途端に難しくなるな。
そういえば、俺も魔法カード使う時は、MPってやつを使ってる。
ていうかなんでMPって、わざわざ英語なんだよ。日本語にすればいいのに。
『魔法使うときに必要な奴』、とかにすればいいのに。
「へー、ていうことは、フィーさんはMPを持っているから、魔法カードを使うことができるんですね」
俺がMPに関するナイスなアイデアを思いついている間に、弟も会話に混ざってきた。
弟よ、今後はMPをMPと呼ぶのはやめよう。魔法使うときに必要な奴、つまり魔奴、うん、それにしよう。
「そうよ、妖精族はMPを持っている人が多いの。私は、その中でも結構持っている方よ。エステルも人族にしては珍しくMPを持っているわ。ほんの少しだけどね」
「私みたいな獣人で、魔法カードを使えるようなのはなかなかいない。だから、ショウジが、魔法カードを使うところを見た時は驚いた」
エスメラルダは面白そうに笑って、俺を見てそう言った。なんか驚かせていたみたいだ。
それにしても、へー、なるほど。
まあ、あれだな。つまり、カードも落ちやすくて、魔法も使えて
プレイヤーって便利ってことだな。
「なんか、難しい話聞いてたら、眠くなっちまった。今日は明日に備えてもう寝る! 」
俺は、そう言ってモフホワイトの毛皮をかぶって横になるとすぐに意識が遠くなった。
思ったよりも限界だったみたいだ。MPとか横文字が出てくる会話は疲れる。
エスメラルダ達が、いや、別に難しい話はしてないが… …というようなことを言ってる気がしたけど、もう眠いし、よくわからん。
俺はそのまま意識を手放して眠りについた。




