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異世界カードコレクターズ! アホだけど運チートで突き進む  作者: 唐澤和希/鳥好きのピスタチオ


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18/29

18 白鳥走獣変身セット

 ダルマを倒すと、めっきりモンスターが現れなくなって、ものすっごくスムーズに森の中を歩けるようになった。


「うわー、すごい、この森に住んでるモンスターのカードは全部手に入れられたんじゃないかな? わ、このカードすごい便利そう。これも、これと組み合わせたら、結構いい感じなんじゃないかな。それに……」


 俺の肩の上の弟が、ワニ顔をニマニマさせて、さっきからずっとカード辞典をみてぶつぶついってる。

 確かに、所持しているカードの種類や枚数はかなり増えた。

『大いなる蟻 ジャイアントアント』、『病みつきスパイス』、『炎を纏いし狼 ウルフレイム』、『一匹狼の衣』、『溶解仙人 ヌメリヒョン』、『動かざるもの ナマケモーニャ』、『熟成肉』、『肉球サンダル』、『フォックモフスの頭飾り』、『モフモフ安眠枕』、『白鳥走獣変身セット 嘴』、『白鳥走獣変身セット 翼』、『白鳥走獣変身セット タイツ』、『分銅の奮闘手袋』 


 それに惰眠のグレンデルのカードを含めて15種類のカードが集まった。

 しかもグレンデルのカード以外は全部5枚以上ある。


 弟がぶつぶつ言うのをやめて、俺に3枚のカードを渡してきた。


「見て! ショウ兄ちゃん! この『白鳥走獣変身セット』の一式。この3枚のカードを装備すると、姿が白鳥走獣に変わって、早く走れるようになるみたい。しかもプレイヤーを乗せられるんだって! 白鳥走獣って分かる? グレンデル戦の時にでてきた白いダチョウみたいなモンスター。しばらくあれになれるみたい。これ使って、そのまま次の町まで突っ走れるんじゃないかな?」


俺がカードを見て見ると白いダチョウみたいな絵が乗っていた。あー、あの時は、ただこん棒振り回してるだけだったから、よく覚えてないけど、確かにこんな奴いたな。


 カードを見てると、弟がそのままカード辞典の内容を読み上げてきた。



-------------------------

<白鳥走獣変身セット 翼>

種類:装備カード

クラス:銀

効果:単体では何も出来ないが、白鳥走獣変身セット嘴、白鳥走獣変身セットタイツのカードをそろえて同時に装備をすると、白鳥走獣に変身し、対象者のATKを0にする代わりにその分をAGIに振ることができる。また、白鳥走獣の背に別のプレイヤーを乗せることも可能。乗せられる人数はATKをプラスされたAGIの数値に依存する。AGI200ごとに一人(1プレイヤー)乗れる人数が増える。

装備カードではあるが、消耗が激しく1度や2度の使用ですぐに壊れる。


-------------------------


「ATKをAGIに振るって、なんだ?」


「ATKは攻撃力みたいなもので、AGIは素早さだから、攻撃が出来ない変わりに早く走れるってことだと思う。ATKの数値をプラス……かー」

 弟はそこまで言うと、エステルのほうをチラチラと見てきた。

 エステルは弟の視線を受けてはっとしたような顔をする。

「あ! 私が、白鳥走獣に変身します! ATKの数字は、多分私の方が高いですし、だから私が変身したほうが速く……」

何言ってんだ!


「女の子にモンスターの姿にさせて運んでもらうなんて、そんなのダメに決まってるだろ、弟よ、それはジェントルマンのすることじゃないぞ! こういうのは兄ちゃんがやるよ」

「でも……そうするとこのカード使ってもAGI400以上にならないと思う。AGI200ごとに乗れる人数が変わるって書いてあるし、僕とエステルさんを乗せるってなると400は必要になるよ。兄ちゃんレベル上がったと思うけど、今ステータスどんな感じになったの?」



-----------------------

レベル:23

種族:獣人(猿)

職業:無職

HP:492

MP:89 

STR:129

VIT:129

DEX:172

AGI:177

INT:10

LUC:special

特殊スキル:神々に愛されし者

-----------------------------


「なんか、レベルが23になってる。ステータスは上から、492、89、129、129、172、177、16……ゲフン! みたいな感じだ」

「ゲフン? どうしたのいきなり咳なんかして。まあ今回LUCは関係ないからいいけど……ATKとAGIの数値を足しても306。“美の妖精の痩身おやつ”のカードを使って、AGIを上げても届かないな……。やっぱりショウにいちゃんだと人を2人乗せられないよ。それにしてももうレベル23なの? 僕はまだ18だよ。経験値の振り方がちがうのかな」

「コウジは、トカゲワニなんだし、乗る人数にはいらねぇだろ。エステルと一緒に乗れるじゃないか?」

「いや、わざわざプレイヤーと表現してるから、多分僕も人数に入ると思う。ゲームの世界だし、そういうのはきっちりしてるんじゃないかな。ちなみに僕のステータスだと合わせても80だよ。僕致命的にATKとAGIが低いんだよね」

 弟がそこまでいうと、顔を真っ赤にしてるエステルが話しに割って入ってきた。

「あ、あの! 私、ぜんっぜんっ! 大丈夫ですから! 人は乗せたことないですけど、急ぎのときとかそのカードを装備したことありますし! 慣れてます! 私、大丈夫です!」

「いや、だめだろ、エステルは女の子なんだから」

 と、俺がいうと、エステルの顔がさらに真っ赤になって、手で顔を隠した。ど、どうしたんだ。

「あの! あんまり私、優しくされるとっ! 女の子扱いとかされるとっ! ほんと、ほんと、ほんとやばいんですー!」

 そう言って顔をフリフリしている。

 何? 何がヤバイんだ? エステルどうしたんだ? と思って、近寄ろうとした時、肩の上の俺の弟が大きな声を出してきた。


「ショウ兄ちゃん! だからむやみに近づいちゃダメだってば!」


 え?

 近づいたらダメってどういうことだ? と思って右肩の弟の方を見た瞬間、左頬にすごい衝撃が走った。

 ―――俺は宙を舞った。


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