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異世界カードコレクターズ! アホだけど運チートで突き進む  作者: 唐澤和希/鳥好きのピスタチオ


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17 惰眠のグレンデル

俺とエステルは、息を荒く吐き出して、地面に座り込んだ。

 地面にはたくさんのカードが落ちてる。これ、拾うの、大変そうなんだが……。


「うわー! すっごい! いっぱいカードがある!」

 唯一元気なコウジが、そう言って俺の肩から元気に飛び降りると、せっせとカードを拾い始めた。

 アイツ……すっげぇ元気だな……。我が弟は基本的に俺の肩でびっくりしてしがみ付いてただけだからな。


「あ、そういえば、ショウ兄ちゃん! HPはどうなってる? 少なくなってたら薬草使いなよ!」

 そう言って、弟は一瞬だけ俺のほうを見たけど、また地面に視線を戻してカード拾いを始めた。


 アイツ……。


 けど、HPは確かに気になるので、大人しくステータス画面をみると、半分ぐらいになってた。あと、『状態異常:疲労』が追加されてる。怪我もしてて疲労って、俺、結構散々な感じなんじゃなかろうか。


とりあえず薬草を使って、回復させると疲労感も消えた。改めてステータスをみると、状態異常の疲労が消えている。薬草で治るのか。怪我はしたまんまらしいけど、まあ、もう問題なさそうだ。


エステルのほうを見ると、まだ息が上がってた。


「エステル、大丈夫か? 薬草のカード持ってるか?」

「薬草のカードはもって、ハァ、なくて。あの、この辺りのモンスターに手こずることが、ハァ、なかったものですから」

「あー、じゃあ、俺達の持ってる薬草カード使うか?」


「あ、い、いえ! 大丈夫です。少し、休めば、ハァ、治りますから」

 と言いながら、すんごく疲れてるように見えるんだけど。


「エステルに“薬草”を使用する」

俺がそう唱えると、カードが消えて、変わりにエステルが少し光った。


「あ……! あれ、カード、使ってくれたんですか……!? あの、ご、ごめんなさい!」


「別に、謝ることじゃないだろ」

 そう言って、俺は立ち上がると、エステルのところまできて手を差し出した。

 父ちゃんが言ってた。女の人は大切にしなくちゃいけないんだって。れでぃーふぁーすとできる男が父ちゃんみたいなジェントルマンになれる。そして、もうすでに大人になった俺も、ジェントルマンなんだ。


「あ、あのショウジさん、あんまり近づかない方が、いいですよ。私、また、暴走して、ショウジさんのこと……傷つけてしまうかも」


「大丈夫だろ、ハンマーは地面に置いたままだし。なんかやってきたら、避ければいいし」

 んって言って、改めて手を突き出すと、恐る恐るな感じで、エステルは俺の手を掴んだ。 ほんとうにすんげぇゆっくり。



恐々と俺の手を掴んできたんだけど、そうやって自らを落ち着かせながらじゃないと、暴走とやらをして、ハンマー振り回したり、突き出したりしちゃうんだろうか。ジェントルマンになるっていうのは命がけなのかもしれない。


 エステルは、俺の手を掴んで、そしてゆっくりと起き上がった。


「あの、ありがとうございます。こうやって、誰かに手を差し伸べられるなんて、久しぶりで……なんだか、私、普通の女の子になったような、そんな気がして、すっごくうれしいです」

「何いってんだよ。エステルは、女の子……だろ?」

 え? ちがうの? 違うとしたら、俺のレデイーファーストがレディーファーストじゃなくなるんだけど! いや、でもエステルは女の人だろ? 髪長いし、顔だって可愛い顔してるし、胸もあるし……え、まさか胸筋?


「ショウジさんには、私が女の子に見えるんですか? こんな大きなハンマーを片手で持ち上げて、大体のモンスターは一発で終わって、勢い余って男の人を突き飛ばして怪我させて……。そんな私でも、女の人に見えます?」

女の人だよな? え、男の人なのか? え!?


「見えるって言うか、女の子、だろ!」

 女だと言ってくれ! と思いながら、必死でエステルが女の子であることを強調すると、エステルは、穏やかに笑った。


「ふふっ! うん、へへ、そうでした。忘れそうになっていたんですけど、私、女の子、なんですよね。あの、ショウジさん……ありがとうございます」


 そう言って、すっげぇ可愛い顔で笑ってる。やっぱりエステルは女の人だ。胸は胸筋なんかじゃない、ちゃんとおっぱいだ。

 でも、自分の性別忘れそうになるとか……すっげぇ抜けてんなぁ。それは流石にやばいだろ。


「ショウ兄ちゃん、見て! このカード! レアカード! さっきのダルマみたいな奴のカードなんだけど、かなりレアだよ!」


 自分の性別を忘れそうになってるエステルやべぇなって思っていたら、弟のショウジがものすごく興奮した様子で、こっちにやってきた。


「僕のカード辞典にはもう登録したから、ショウ兄ちゃんも辞典に入れて登録しといて」

 そう言って、弟から何枚もカードを受け取る。多分さっき退治したモンスターのカードとかだ。


---------------

<沈黙の森の王 惰眠のグレンデル>

種類:魔法カード

クラス:銀

効果:対象者(INT100以下)を少しの間眠らせることができる。対象者は複数選択可能。

使用回数は5回。必要MP:20


怠惰の邪神グエンホワーズの眷属の1人であるグレンデルは、惰眠を司る悪魔であり、人族の国コンゴウにある沈黙の森を寝床に生息している。

姿形は緑の毛を生やした大きな顔だけの魔物だと言われているが、ほとんど寝ているためあまり姿を見た者はいない。もとから顔だけの姿というわけではなく、首から下の胴体も存在したが、首から下は惰眠に不要と判断し自ら切り捨て顔だけの姿になったといわれている。

また、切り捨てた己の肉体をそのまま食し、その肉片を元にして、沈黙の森に住まうモンスターを精製している。それ故グエンデルがあくびをすると、その口から大量のモンスターが世に放たれ、大災害が起こるとされる。それを防ぐためには、沈黙の森の名の由来どおり森の中では沈黙することが得策である。たくさんの人数で大きく騒いだりしてはいけない。合わせて300ATK以上の攻撃を同時に森の地自体に行なうと、グレンデルは目覚めてしまう。

★怠惰の邪神の4眷属、不動のオクトール、無知のアルガンシア、惰眠のグレンデル、不衛生のシュウのカードを集めると、怠惰の邪神グエンホワーズのイベントが発生する。


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 げえ、この森のモンスターってアイツの首から下が元になってんのかよ。なんかきったね。

 


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