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725.斉藤さんと志鶴先輩の場合5

さあーやっと、志鶴先輩と斉藤さんの因縁のお話も終盤となってまいりました。

まあ、なんだ。なんで、こうなった……

「撤去、撤去、撤去、これも撤去」

 たはぁと、ため息を漏らしながら、木戸は特撮研の部室においてある、カメラ周りを撤去していた。

 もともとそんなにおいてあるわけでもないそれらは、いわゆるこれからのイベントのために少しばかり数を増やしているのだった。

 そしてそれらの多くは録画モードになっているようで、電源をOFFしてから撤去の袋に入れておく。付けっぱなしだったらがさがさしたような乱れた映像ができたことだろう。


 どうして、そんなことになったのか。

 それはまあ。

「話し合いの場所で特撮研の部室をつかうから、こーなるんだよ。おとなしく場末のカラオケで話し合いをすれば良いのに」

 まったくと、ぶつくさ木戸は、つるつるコンビの前で文句を垂れていた。

 いや、呼ばれれば行くよと斉藤さんには言ったけど、じゃあお願いと呼ばれたのが緊急消臭!だった日の三日後。

 翌日でもなく、一週間後でもなく、三日後である。

 翌日なら周りも準備ができていない時期であり、ギャラリーなしで電光石火で話ができたことだろう。かといって一週間経っていればいくらか興味も緩和しているであろう時期と言えたかもしれない。いや、この二人の場合は関心度が高めだから数ヶ月経たないと落ち着かないかもしれない。

 さすかが美女とイケメンのカップルさんである。


「それは、ごめんって。これでもお互い都合って言うか、整理っていうか」

「へいへい、斉藤さんのアルバイトは外せないのは、わーってますよ。だれがハイエンシェントフェアリーか……」

 ぼそっと、そう斉藤さんにだけ聞こえるように最後だけつぶやいたら、あれはまじすまんとがち謝りされた。

「まあ、馨。そんなにつんつんしないでくれると嬉しいな。時間割いてもらって申し訳なく思ってるけど」

 こっちも部屋借りる話とかもあって、ちょっとこー今日になっちゃった、と志鶴先輩からもごめんと声がかかる。

 でも、見渡す限りに、カメラカメラ、ボイスレコーダーと、会話を聞きましょうという装置がいっぱいなのだ。

 こっそり話すための場所としては、はっきりいって不適切な場所である。


「っていっても、お互いの家でってのもあれだし、それに木戸くんちってのも話は違うでしょ?」

 言えば貸してくれるとは思うけど、そのあと、ナムーさんでカレーでもいただけと? と斉藤さんはむぅーという顔を浮かべている。

 そういう顔も可愛いので撮影した。

 いちおう、二人の話し合いに立ち会う条件として提示したのが、木戸のみの撮影フリー権である。

 これがなかったら、さすがに面倒くっさと思っていたところである。まあ、両方から絶対に同席を!! とラブコールは受けてしまった以上は断るという選択肢はないのだけど。

 これでは、仲人もかくやである。

「だから、カラオケを提案したのだけどねぇ」

 あ、またレコーダーあった、と電源を切って袋にいれつつ言った。

 

 これだけの量の盗聴・盗撮機材が多いのを見ると、さすがはサークル内で大人気の志鶴先輩の恋愛話だと感じさせられる。しかも女装をやめるにまで至った相手とのお話だ。その内容を直接知りたいと思う人が結構な数いるようなのだ。

 最初にダメだからね? ってみんなには伝えておいたのだけど、それでも万が一撮れたらラッキー! くらいな勢いでカメラないしICレコーダーを配置していったメンバーがたんまりいたのだった。

 しかも花実元会長が、盗聴器を隠すならカメラの中だー! とか変なことをいったので、とりあえず持ってるカメラ勢揃いなくらいになってしまっているのだ。

 まあ、木戸的にはカメラいっぱい並んで楽しいなー! とは思うけど。さすがに、これからの二人の会話をフルオープンにはできないとは思っている。


「さてと。このような個人情報ダダ漏れ場所で会談をするに当たって、二人にはルールを設定しておきます。ジャッジメントですの! って感じで仕切るのでお願いします」

「……馨さんよ……いきなり可愛い声でネタをぶっ込んでこんのやめてくれない?」

「あはは、あ、でも志鶴さん。私はそんなかおたんと高校生活過ごしてきているので、気にしないですよ」

 そうはいっても、恋愛関係の先輩さんな、はるかお姉様がやってたコスプレなのだから、ここはびしっと言ってやりたいところである。実はちょっと練習してきました。

 普段、演技をしない身として珍しいこともあるもんだ、くらいの空気で見守ってもらいたい。


「さて。いちおう撮影機材はチェックしたけど、ここの防音性能とかほんとざるなので、実際二人の話の機密性は保証しません。あと、これ、斉藤さんの持ち込みなんだけど、糸電話だって。絶対ナイショな話だけこれでやりたいってさ」

 小学校の工作ですかーと突っ込みを入れると、斉藤さんからは、その……必要になると思うので、と申し訳なさそうな声が漏れた。

 ちなみに、中に集音器を入れているので、木戸もその声はイヤホン経由で聞くことが可能である。聞くことだけ、だけど。

 まじ、そこまで用意するなら、カラオケボックスでやって欲しい木戸さんである。


「んじゃ、ここから俺は撮影役と、ちょこっと調停役になるから、あとは二人でよろ」

 開幕、一発で何枚か撮影をすると、二人はそれを気にしない様子で向かい合っていた。

 奇しくも、先日斉藤さんごっこをして、告白の練習をした席と同じ場所である。

 これ、カメラいっぱい置いてあったのって、その席に誘導するためだったりしたのかなぁと、木戸は思った。

 あまりにも出しっ放しのカメラが多すぎだったのである。

 花実元会長の誘導だったとしたら、なかなかの策である。


「ええっと、その……」

「これはこれでその……」

 面と向かうと、なんだか急に恥ずかしくなったのか、二人はお見合い状態でお互いの発言を譲り合うような状態になっていた。

 とはいえ、ここでせかすようなマネを木戸ができるわけもなく。


「まず、この前はごめん! あんなにその……いろいろ言ってくれたのに勇気がでなくて」

「あ、ううん。それはその。志鶴さんにとって重たい秘密だったのかなって。こっちも反省してて」

 ちょっと急ぎ過ぎちゃったかも、と斉藤さんはうつむいた。ふむふむそういう顔も魅力的かと思います。

「それでその……ちづちゃん。この前言えなかったことを伝えようかなって思って」

 重すぎたら、忘れてもらえると嬉しいという前置きをした上で、志鶴先輩は話し出した。

 予防線まで張っちゃってマジで、斉藤さんラブ過ぎである。


「ええと、女装コスの話はしたよね?」

「それは、はい。先々月に見せてもらったし。って……めちゃくちゃ多い」

 見せられた写真の数々を見て、斉藤さんはちらりと木戸に視線を向ける。これ、多くないですか? という感じだ。

「うちの場合は、衣装係がしっかりしてるから、個人勢よりは圧倒的にコスの衣装は多いと思うよ。っていうか俺だってやらされるくらいだし」

 こちとらしがない撮影担当だと言いますのに、というと、これが組織力というやつかと、驚いているようだった。

 おそらく比較対象は山田さんあたりなのだろう。

 彼女も彼女で人脈という名前の組織力を持っていたりするので、コスプレ衣装をかき集めるなんていう手段もとれてしまったりはするのだけど、うーん、そうなると、開発力の違いみたいな話といえば正しいのかもしれない。


「で、その……実は、馨。伝えてたものは持ってきてくれた?」

「はいはい、ご了解です。SDカードにいれてあるから、テレビで見ましょうか」

 よいせと、カードを部室のテレビに挿入する。最近のテレビはこういうデータも見放題なのでありがたい。

 リモコンを操作して、ちょっともっさり動作ながらも画面に写真が映し出された。

「ええと……これ、は?」

 コスプレ会場じゃなくで、学校ですよね? と斉藤さんがコテンと首を傾げた。

 たしかにそれは学内での普通の風景にほかならない。


「これ、学校の日常のスナップってやつだね。馨がさんっざん撮ってきたやつからピックアップして持ってきてもらったヤツ」

 特に新入生歓迎会とかではなく、普通の日常風景のものが厳選されている。特撮研だけではなく他の学生の姿もチラチラ写っている。

「うわっ、美人さんだ……美しい」

 あのお姉さんキャラを見た時に、身長あって可愛いより美人さんだ! って思ってたけどこれはまた、と斉藤さんが唸り声を上げる。


「ええと、志鶴さんの秘密っていうのが、これってこと?」

「いちおう、一つ目はこれ。日常的に女装して学校行っていたよって話」

「ちなみに俺が入学した頃すでに先輩の女装は完成されていました」

 俺はんにん、ちがうっ、と、じぃーっと視線を向けてくる斉藤さんに片言で答えておく。

 澪の女装の師匠であることを知っている斉藤さんなら、おまえもか! となるパターンでもあるのだ。


「海外留学の話はしたと思うけど、帰ってきてから日常的に女装姿だったって感じ。あっ、いちおう女子大生やってましたー、やーんとか、そういうのじゃないからね? いちおうトイレも男子トイレ使ってるし、体育は……男女別じゃないゆっるいやつだから、周りがどう思っていたかはわからないけどさ」

 馨ほど世間を騒がせてはいません、ときっぱりいうと、斉藤さんはうんうん、あれほどとなるとちょっと私も厳しいものが、とひどい事を言い始めた。

 うんうん。木戸さんそんなにお騒がせな大学生活を送ってはいませんけれども。ルイさんの方がよっぽどお騒がせしてると思います。


「俺のことはともかく、これが一つ目。これについては斉藤さんどう思う?」

「どうもなにも、千歳ちゃんに澪にって、前例はあるからなぁ。あ、でも二人とは微妙に違うのか」

 かたやトランスさんで日常がすでに女装ではない人だし、もう一人は普段から女装してるってわけではない、役者である。

 とはいえ、である。だからダメかといわれるとそうでもなく、まったくのはじめてさんよりは圧倒的にハードルは低い状態と言っても良いだろう。

「って、一つ目?」

 秘密が一つだと誰が言った? なんていうのは舞台の台詞にありそうではあるのだが。

 とりあえず、一つ目の答えよりも、二つ目があるならそちらを教えてもらえないかと斉藤さんが言った。


「……二つ目は。それがその……さ」

「さー、先輩がんばれー」

 ほら、言ってやるのですっ、と気持ちアニメヴォイス気味で木戸が応援してあげると、志鶴先輩がぱたんと椅子に体重をかけるように脱力した。

「かーおーるー、口出さないっていってたのに、そういう脱力する声はあげないでくれー」

「言いよどむようなら、好き勝手するっていってたでしょうよ」

 さっさとゲロって、川辺の町下呂温泉にでもいきましょうぜ、というと、斉藤さんからも、はぁ、木戸くん相変わらずこういう人かーと、額に手を当てているようだった。

 

「二つ目に入る前におさらいだけど、親父の話覚えてる?」

「えっと、自称女の子で戸籍も変更して今度男の人と結婚して、式を六月に挙げる予定の?」

「そう。それ。で、それに反抗するような感じで、日常で女装して過ごすようになったっていうのが、一つ目の方の理由にもなってくるんだけども……」

 スタートは父親とのいさかい。そして実際やってみたら自分の方が似合うじゃないかとのめり込んでいった過去。

 それらはもう、すでに起こっている事実。

 本当に内緒にしていることは、別にある。


「ちづちゃん。僕が一番怖いのはね……いつか自分もあの親父みたいになってしまうんじゃないかって。いつか結婚相手も子供も捨てて女の子になりたいと言い出さないかが怖くて仕方が無い」

 こんな自分じゃ、ちづちゃんのそばにいる資格はあるんだろうか、と志鶴先輩が言った。

「……ふむ」

 背中を丸めて身体を震わせるようにしている志鶴先輩を前にして、斉藤さんは木戸の方にちらりと視線を向けてきた。

 いや、いつもならこの光景は撮っておきたいところだけれど、さすがに可哀想なので今回はスルーさせてもらっている。

 そして、木戸からは特になにも言わずに、こくりと一回だけ頷くに留めることにした。

 好きにやっちゃいな、的なジェスチャーである。


「そういうことだったら、私から言うことは一つですね」

 斉藤さんは、立ち上がると背伸びをして、志鶴先輩の頭に手を置いた。ポンポンと軽くなでてやってる感じである。

「女装を前提で結婚をしませんか?」

 うおっ! さすがにこのプロポーズっぽいところについては木戸も予想外だったので、反射的にシャッターを切ってしまっていた。

 自粛さんご退場の時間である。


「そして。六月にあの会場で結婚式やって、親父殿をぼこぼこにしてやりましょう」

 式のお金はみんなからカンパを募ります、とちらりと貧乏性の木戸のほうに視線が向いた。

 うーん、そういう話だとしたら、斉藤さんのコスプレ写真集とかを販売して一攫千金するしかないと思います。

 もしくは、チャペルのそばにあるお家をかりて、ガーデンウェディングにしちゃうとかはありなのかもしれない。

 つてをたどればもしかしたら、なんとかなってしまうかもしれないし、場合によっては道路使用の警察の許可を取ってやらかしてしまえばいけるのではないだろうか。フラッシュモブで結婚式やりたいんで! とか言えば通らないものだろうか。もちろん交通安全第一ではあるけれども。 


「ちょ、ちづちゃんそれ……」

「んー、志鶴さん、私じゃ嫌です? 結婚相手」

 今後、独身税とかもかかってくるし、結婚するなら今じゃないかなぁと思いますけどね、と斉藤さんがちょぴっとほほを染めながらいった。

 演技半分といった感じではあるけど、可愛いから撮るよ。

 もう二人の世界に入っちゃえばシャッターの音は気にならないだろうし。


「……嫌じゃない。っていうか、本来僕から言うべきことだったのに」

「ふふ。志鶴さんが抱えているものがよっぽど変なものじゃなければ言おうと思っていたんです」

 それに……と、斉藤さんは糸電話の紙コップを用意して、志鶴先輩にも耳に当てるように指示を出した。

『その悩みなら、きっと木戸君が……いいえ、ルイさんがぶっ飛ばしてくれますよ。最強の私の女友達、がね』

 そして、しれっとそんなことを言ったのである。確かに周りに声は漏れてはいないし、集音器で聞けるのは木戸のみで、あとは純粋に糸電話で声を聞いている志鶴先輩のみである。

 

 おかしい。おかしいおかしい。耳元で愛をささやくとかに使うのかなと思ってた紙コップだというのに、きっちりはっきり内緒話してくれちゃってるじゃあないですか! 駄目だよ、それは斉藤さんだめ! そういうこと言っちゃダメだからっ! ぺってしなさい、ぺって。

「ちょっ、斉藤さん!? それっ、駄目だから! アウティングあかんから!」

 やめっ! と言ったら、志鶴先輩は、は? とこちらを見て、カメラを見て、もう一度顔をみて、木戸が「言ってしまった」言葉を反芻するように飲み込んで、フリーズした。

 そこからは百面相である。


 ルイさんがその悩みを解決してくれる。いいや、その悩みを吹っ飛ばしてくれる、というのは木っ端みじんにしてくれるということだろう。

 なんでそういいきれるのか。

 きっと誰の説得であれ志鶴先輩の悩みや恐怖を薄めることはできないだろう、それは木戸であってもである。

 というか、悩みも恐怖もない人間の説得ほど、空虚なものなどない。

 けれども。それがルイだったらどうなのか。 

 斉藤さんのロジックはおそらくそういうことなのだろう。

 そして、その一言の効果は、ことのほか激しいものだったようで。 


「あははは! ははははははっ! なんだよ! それ! ばかくせー! ざまぁーー! なんつー怪物生み出してんだ、あの馬鹿親めー!! あははっ、たまらん。くははっ! ごめん、ちづちゃんの、告白より、こっちの方が断然、軽くなった! やばいじゃん! あいつがあんなにこだわってきたもの、全部一瞬で消し飛ばしちゃうヤツいるじゃん! しかもそれで趣味が撮影ですって? ふふふっ。はははっ。たまらん。ううぅうー、ちづちゃん。僕、今あたまぐっちゃぐちゃだ。わけわからん」

「でしょう? 私たちは段階踏んでるから、まだそうでもないけど、急に聞かされたらこーなるよねー」

 ショック療法というやつです、としれっという斉藤さんに木戸はとりあえず恨みがましい視線を向けておく。

 そんな視線は志鶴先輩を見た時に苦笑に変わった。

 普通にめちゃくちゃ涙こぼして泣き笑いをしているのである。この姿はぜひとも撮っておいて後々いろいろ活用させてもらおう。ルイさんをダシにつかったツケである。


「はぁ。半分背負うつもりが、これで消し飛んだってことでいいかな?」

「ぐぬっ、斉藤さん人を爆発物扱いするのやめてもらえませんかね?」

「そこはーまーその、温泉の時の貸しの精算ってことで、許して?」

 他に思いつかなかったんです、と手のひらをたててお願いされてしまったのなら、許さないわけにはいかない。ぐぬっといいながらその姿を撮影するだけである。

「ぶっ、ひどい、ちづちゃん。ごれまでどんだけ……苦しかったのに、なんだよもう! ちづちゃんなら受け入れてくれるとは思ってたけど、ごんなのないよ……」

 づびっと、鼻水をすすっている先輩に、ボックスティッシュを渡すと、ちらりと視線が合ってきょとんとした顔を浮かべられた。

 マジで? という顔なんだろうか。

 一時停止したので、撮りましたけれども。

「いやいやいや、ないないないっ! この眼鏡……が……」

「以前、イベントでお会いしたことはあったと思いますが」

 こそっと耳元で先輩にだけ聞こえるようにルイとしての声を出した。

 女性での使い分けはそこまでできるわけはないので、気分の問題である。


「あのさぁー木戸くん? 人の恋人に変な誘惑やめてもらえますかねぇ」

 ふぅん? なにいってくれてますか? と斉藤さんが言うので、じゃあ、コスプレ会場で君と握手

! とか言ったほうがよかったです? というと二人にはいまいち伝わらないようできょとんとされてしまった。戦隊も好きでござると、長谷川先生が教えてくれた定番ゼリフ関連だったのだけど。思いっきり滑った木戸であった。


 それはそうとじきに志鶴先輩もショックから立ち直ってきたようで、すがすがしい顔を涙目ながら浮かべるようになっていた。これならばジャッジメントとして宣言してしまってもいいだろう。

「というわけで、しづVSちづ対決は、ちづちゃんの勝利でおわりましたー! いえーい!」

 そういいつつ、終わったら押してネのブザーを押すと、試合終了のゴングがなった。

 これでサークルメンバーには話が終わったことが伝わるはずだ。


 ちなみに、みんなが集まったあとも志鶴先輩は「すずねばーか、あんちくしょー、ざまぁ、うぷぷ」とか綺麗な女声でつぶやいていたんだけど、さて、なぜこうなってしまったのか、誰も理解はしなかったのだけど。

 まあ結果的に重りが取れたのだったら何よりなことだ。あと残すは数ヶ月だけど、女装解禁をしてほしいところである。卒業式の袴一式がないよってことなら今でもなんとかなるつてをルイさんはもっているのでそこも頼っていただいてもかまわない所存である。


 後日斉藤さんに呼び出されてシフォレでお茶をしたのだけど、これほどショック療法が恐ろしいと思ったことはない、と志鶴先輩に頭をなでなでされたとのろけられた。和解ができてめでたしめでたしなのだけど、アウティングはまじ勘弁な! と斉藤さんに言って、チョコレートケーキ六分の一カット一つで手を打つことになった。

 ほんのり苦くてあまいケーキは、さすがいづもさんの作だけあって、普通にやわらかでおいしかった。

 6月のウェディング強襲作戦は、また別のお話である。

はい。こんな風になりました!

意識したわけじゃねぇーんですよ。今回のお話はちゃんとみなさん好き勝手にしゃべりおって。

私は指示していません! 勝手に彼らがやったんですっ!(茶番)


いやー、価値観をぶち壊すのって地味に大変な作業よなと思った次第。

でも二人はこれで百合カップルしたり、美女とイケメンカップルやったり、とっても被写体としていいものになりそうです! よかったね、ルイさんや。。。

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