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716.巫女さん達とお買い物3

遅くなりました。

なにげに人数が多いと書くのが辛い……

「ほぉー、ここがみなさんの言うところの百貨店だね!」

 デパート。百貨店。

 さて、みなさまはそれをどういうものだと思っているだろうか。

「なんでもそろう、大きな遊び場ですよ」

 映画館なんかも入っているし、その……お付き合いしてる人達が楽しめる場所でもあるんです、と巫女さんがちょっともじもじしながら言った。

「うちのにーちゃんも、デート場所はここっていってたっけなぁ」

 社くんがそんな声を上げる。

「ほほぉー、社くん達もここでおデートですか?」

 にまにま、とルイがカメラを構えながら言うと、ああ、それはと、彼女であるあやちゃんは、肩をすくめながら言った。

「お金がかかるし、学校で一緒に居れば楽しいので、大人デートはまだまだ先でいいので」

 放課後のクラブができてからは、もー学校で一緒にいる時間も延びて万歳なのです、と言った。

 ちょっと照れた顔でも撮れるかなぁと思ったのだけど、今回は失敗である。

 幼なじみ系でのお付き合いだと、なんというか、どっしりした関係だなぁなどと思ってしまった。

 

「買い物とかでくることは結構ありますよ。いろんなお店入ってるから、一日楽しめるし」

「うんうん。時々クレーンゲームやったりとかで、この前はこれくらいのサイズのぬいぐるみゲットしましたし!」

 女子二人組の方は、割と友達同士で遊びに来るようで、これくらいと手を広げてぬいぐるみのサイズのアピールをしていた。

 ちなみに、ここ以外のゲームセンターというのはろくにないとのことだ。


「うぅ……」

 さて、こんなにきらきらした目にさらされて、ここはいわゆる百貨店、デパートではないですよー! ということを言って良いのだろうかと、ルイは思ってしまったのだった。

 目の前にあるのは、複合型ショッピングモール。

 そして、その主体は、「ネットスーパー」とかも運営しているスーパーである。


 多くの物を扱っている、よそでは手に入らない物を扱っているという意味合いでは、当然「百貨」でありえるとは思うし。

 間違いではないのだけど。

 公式がスーパーでーすと言っているところを、デパートというのは、なんだかちょっとと思うのだ。


「あのね、ルイさん。そういうのはね。感覚の勝負なので、みんなに合せて下さい」

 くいくいと、巫女さんに言われて、ああ、はいと素直に頷くことにした。

 結果的に楽しく買い物ができれば、そこが「どういう施設なのか」はこの際どうでもいい話だ。 

 巡り巡って秘境の最奥で撮った写真と、入り口で偶然撮った写真で……同じ花が撮れたのなら、たぶんそれはそれでいいのだろうと思う。どこか、ではなく、なにができるかが大切である。

「ま、名前とかはどうでもいっか。みんなが楽しめればそれで良し、かな」

 うんうん。ささいなことは内緒にしておくことにしよう。

 とりあえず、葛藤に終止符を打って、みんなのあとについてショッピングモールの中にはいる。


「それで、最初にどこいくのかな?」

 ウィンドウショッピングなのかな? と問いかけると、まずはそんなところですねと、巫女さんが言う。

 とはいっても、さすがに広いモールではあるので、館内図を見ながらどこに行こうかという相談をするようだ。

 今回、ルイさんはあくまでも付き添いの立場なので、特別行きたいところがあるわけでもないわけで。みんなの後に、よっこらせとついていくだけの予定である。


「ルイさんだったらこういうモールとかだと、どういうところ行きます?」

 ああ、高校生の頃って話でと、社くんが質問してくる。

「んー、正直服とか必要なものを買うって感じだったからね。お金も無かったし撮影の方にばっかり集中してたから、実はあんまり友達とお買い物! みたいなことはしたことが無くてね」

 むしろ、一般的な高校生の放課後遊びを教えておくれー、というと、そういうことでしたらー! とみなさんちょっと優しい目をルイさんに向けてくれました。

 はぁーさすがはプロになる人は、若いうちから極振りかー、なんて声が漏れ聞こえたけれども、やりたいことが決まっているなら、割とそんなタイプも多いのではないだろうか。


「ふふ。そういうことなら、書店とかどうですか? それぞれ趣味も違いますし、楽しめるかと思うのです」

 巫女さんがこっそり懸想している蓮見さんが、控えめに手を上げてそう言った。

「あー、それはさんせー! お年玉も入ったしこれはもう行くしかなかろう!」

 あやちゃんが諸手を挙げて賛成をしている。社くんも、まー、見て回るにはちょうどいいかなと了承していた。

 もちろん、ルイさんも否やはないので頷いておく。


「ルイさんはお年玉とかって、どうでした?」

 巫女さんからそんな質問が来たけれど、これは使い道なのか、それともいつまでですか? ということだろうか。

「んー、高校生になってバイトするようになってからはもう、大人だからいいよねって感じでお年玉は無しになったかな。そもそも親戚付き合いがあんまりなくてね。うちの父はしばらく実家から勘当されてたし」

 なんとかここ最近で関係は修復されたけれども、いまさらな感じである。

 付き合いのある親戚といえば、父の兄弟である黒木家くらいなものだけど、そちらに関してもおじさんが傷心中で外国に行っていた兼ね合いで、そのタイミングで会うことはまったくなかった。

 今にして思えば、おじさんが元気で交流があったら、お年玉もらい放題だったような気もするけれども、その分きわどいお願いを断れなくなっていたかもしれない。

 お年玉でパパ活はよろしくないことである。


 母方の実家については、そういえば聞いたことすらない気がする。

 正直、ルイとしては撮影優先でそちら関係への興味というのはあまりなくて、教えて欲しいと言ったこともなかったのだ。

 たぶん、結婚関係のごたごたで、気まずかったりするのだろう。


「うわ、高校から無しって厳しいご両親なんですねー」

「まあ、自立しなさいってところは強かったかな。カメラ機材とかも自分でガンバレって感じだったし」

 家事もちゃんとやれるようになれー、とかねー、というと、えっ、とみんなが声を上げた。

「ルイさん、家事とかできるんですか!? なんか仕事ばりばりしてるイメージが……」

「お料理とか、高級食材とかあつめてすごくこだわってそうにも思える……」

「ちょ、みんなの中でのあたしの印象ってどんな感じなのさ」

 初対面のみなさんにとって、ルイさんとは一体どういう人なのだろうか、と思ってしまう。

 見た目とかそこらへんが大きいのだろうか。


「かっこいいお姉さん?」

「仕事の方に人生振ってる感じ?」

 まあ、そういうイメージであれば、まあまあいいのだろう。

「両方頑張るのは、なかなか大変ではあるけど、一人暮らしとかするようになるなら、必要になることではあるからねぇ」

 それと、料理は特別素材にそこまでこだわりませんというと、えぇーという声が漏れた。

 そのお店の範囲内で食材選びはするのがルイさんである。わざわざオーガニックでハイソなお店にまで足を運ぶ余裕はない。

 近くにあるのなら、行ってみても良いかなとは思うけどその程度の熱量である。


 さて、そんな話をしながらみんなで、書店に移動することにした。

 エスカレーターで2つ上がった先にあるそこは、都内ではあまり見られないほどのスペースがとられた大きな書店がででんと存在していた。


「じゃー、とりあえずそれぞれで好きなもの、見る感じでいいかな?」

 あやちゃんが仕切る感じで書店の前で言った。

 まあ、みんなでぞろぞろ本を物色するには、ちょっと多い人数である。

 それぞれで見たいものも違うだろうし、ある程度ばらけることにした。

 ルイはというと、興味がある書籍というのはあるにはあるし、カメラ系の雑誌だってあったりはする。そもそもが図書館にあった写真集にひかれてこの道に入ったのである。

 ただ、今回は巫女さんのサポートというのがご一緒した目的ではあるので、彼が気になってるという蓮見さんの様子でも見てみようかなと思っている。


 社くん達は仲良く二人で雑誌類を見に行っているようだった。

 電子書籍もいいけど、やっぱり現物もいいなぁなんていう声を上げている。

 スマホだとサイズとしてもやや物足りないというのもあるのかもしれない。

 写真を表示するにしても、やはりタブレットくらいのサイズは欲しいものである。


 巫女さんと沢村くんはファッション誌のコーナーを物色しているようだった。

 なかなかに本来の業務というような感じである。さすが女装クラブの会員である。


 そして蓮見さん達はというと。

 ライトノベルのコーナーにいらっしゃるようだった。

 ちょっと意外と思うところはあったけれど、どうにも友達の子の方の発案らしい。

 新作の発売日だったのすっかり忘れてた! なんて話をしている。

 あー書店にいこうと蓮見さんが言い出したのは友達のためっていうのもあったのかな。

 奥ゆかしいところがよい子の気配である。


 そうとなると、近づくべきなのはこちらの二人組だろう。

 どんな子なのかをチェックする必要もあるし、もうちょっと親密になっておきたいのだ。

「やっほー、お二人さんはどんな本に興味があるのかなー?」

「わわっ、ルイさんっ!? ちょ、このコーナーにくるのは、ちょっとこう……」

「んー、そんなに慌てないでもいいのにー。ルイさんこういうのに偏見もつような人じゃないと思うし」

 ですよね? と蓮見さんがちらりとそのコーナーに視線を向けて言った。

 お友達の子は、あわあわと手を振っているけれど、それで遠慮をするルイさんではない。


「BLコーナーだねぇ。教師と高校生だけでも禁断だけど、そこに性別のあれやこれやとー」

 じぃと視線を向けていると、蓮見さんのご友人は、わたわたと言い訳のようなことを言い出した。

 なにかしら、思うところでもあるんだろうか。


「いやぁ、ライトノベルとか、こっち関連も履修済みだよ? あたしほら、コスプレイベントのカメコもやってるわけでして」

 まー、全部はさらえないから、知らないコスの子は、本人に語ってもらう感じになります! というと。

 えっ、ルイさんって、オタク文化にも精通なんですか!? なんて言われた。

 

「大好きで、人生のすべてですって感じではないけど、面白い作品もあるし、好きな作品がある人達はキラキラしてるからね。被写体としてぐっとなのです!」

 あたしが深く強く大好き! って作品はそれほどでもないけど、目をキラキラしながら大好きっていう人の写真を撮りたいのです、というと、特に声はあがらなかった。

 ぽーっと、なんだかルイさんの方を見るばかりである。


「ちなみに、蓮見っちはこういうのは、どう思うのかな?」

 一緒にここにいるってことは、こういうのおっけってことかな? というと、あー、はいと言った。

「学校の国語の授業より楽しいし!」

「あはは。確かにね。でも国語の授業にでてくるやつの原書をちゃんと読めば楽しいっていう人もいるかな」

 あれはお勉強用の切り抜きだから、そういう意味ではそこまで楽しいものではないのかも、というと、そういうものですかーと言われた。

 ルイとしては、学力落ちたら女装禁止! と酸っぱく言われてきたので、国語の授業だって身を入れてきちんとやってきたつもりだ。

 とはいえ、楽しかったかといえば、どういう景色でどうやって撮ればいいだろうかーなんて想像するくらいなものだった。


「それに、ときどき女装物とかもあったりして、緋榊くんのこととかもあるから気になるというか」

「あら。やっぱり気になっちゃうんだ?」

 今回の集まりに参加してくれているということで、多少期待はしていたものの、本人の口からそういう言葉を聞けるのは嬉しい限りだ。

「そりゃそうですよー! あれだけの美人さんで、ときどきかっこよかったりもして。でも、家のしきたりでっていうことですし。なんというか頭がパニックになるというか」

 どう接していいのかいまいちわからないので、と蓮見さんは少しだけ困ったような顔を浮べた。

 あらま。どうにも巫女さんの事が恋愛的に気になるってわけじゃなくて、いいんちょ気質的な感じで、気になってるようだった。

「これで、今騒がれてるLGBTだーってことなら、参考例がいっぱいあるんですけど、そういうのじゃないっていう話ですし」

 となると、参考になるのがこういうところにもなるというか、と蓮見さんは割と真面目な顔で言った。

 もともとBL大好き! っていうわけではないらしい。


「って、はっすん! もともとこう言うの大好きじゃん! 別に緋榊くんの事を持ち出さなくても、大好きじゃん!」

 大切な事だから、二度言いましたという感じで友達の子が突っ込みを入れていた。

 あ。好きなの隠したかったというやつだろうか。

「くぅっ。親友が人の趣味をアウティングしてくるー」

 ひぃ、助けてルイさん、と言ってくるので、はいはいと仲裁に入ることにした。

「でも、めぐくんの事が気になるということだったら、BLものよりは純粋に女装ものを読んだほうが参考にならないかな?」

 こういうやつ、って言いながら一冊の本を差し出すと、ん? と二人の表情が変わる。

 どちらかというと少女漫画風なタッチで描かれているそれは、特別女装もののようには見えない。


「BLだと相手が男性になりがちだからね。めぐくんの場合は、跡取りっていう意味合いもあって、恋愛対象は女の子だって話だから。まー、最悪親戚から養子を迎えるっていうのも手段としてはあるんだろうけど……めぐくん地元だとアイドルもかくやという勢いで人気あるからねぇ。じーちゃんたちに」

 まじ巫女さん大人気というと、確かに美人さんですしねーと蓮見さん達はうんうん頷いていた。

「で、でもっ! BLの女装さんも素敵だと思うんです。友達だと思っていたのに、可愛い格好してたのを見たら恋におちちゃって。ばれてるのかばれてないのか、隠してるけど知ってるのかとか、そういうのがたまりません」

 好きっ、とご友人が自分の体を抱きしめながら言った。


「ま、好きなものがあるのは、良いことだね。でも、めぐくんの事を知りたいなら、実物ともっと同じ時間を過ごすといいのではないかな、なんて思います」

 同じ属性だから、同じ感性だなんてことはないわけだしね、というと、蓮見さんはちょっとだけなにかを考えるような顔をして、体をむずむずさせているようだった。

 うん。可愛い。何枚かいただきます。


「個人的には、緋榊くんと沢村くんの可愛い掛け合いとかがいつか見たいと思っています!」

 さて、そんな蓮見さんをよそに、BL大好きっこは斜め上な欲望を全開にしているようだった。

 なんか……うん。大好きなことがあるっていうのは、とても良いことかとルイさんも思います。

さて、人数多くてどうしよー!

って感じで、もぶ子さんには今回名前ついていないのですが。

なんか、書いていったら一番テンション高くて書きやすい子になってしまいましたなり。

くぅ。

蓮見さんは、前に巫女さんから写真見せてもらった時に名前確定しているので。はすみんでも、はっさんでもすみさんでもいいかなぁと思っていますよ!

二人の恋路の話は……まぁ、なるようになーれ!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] モール内で写真って撮っていいのですかね?特に書店はダメなのでは。 [一言] 続き、楽しみにしています。
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