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692.エレナさんちのキャンパス祭7

まずは、書き途中でアップしてしまってすみませんでした!

1月23日13時過ぎに気づきました……九時から四時間の間みちゃった人は……

是非とも、生暖かい視線で、罵って下さいませ! このあほんだらーとっ。(ぐすっ。)


それと、早めに修正したかったので、ここでENDにならなかったので、明日続き書きます。よろしくです。

「へぇ、ここが体育館かぁ」

 ほほー、とルイが声をあげていると、割と広いでしょ? とエレナさんがドヤ顔をしていた。

 実際、体育館は結構立派なサイズがあって、中学、高校などのところと比べると、一周りではなく、三周りくらい大きいような気がする。特徴的な建物なんかもあるようだけど、ここは割と普通の体育館という感じで。

 ただ、それが他にももう一つあるというのが特徴と言えるだろうか。


「まだ準備中だね。ルイちゃんが早く早くって急かすから来たけど、人もまだまばらって感じだよ」

「そこはほら、開始直前だと撮影のための情報収集ができないでしょ?」

 早く来るのはマストな選択ですというと、そのマストが折れないことを祈りますと凜ちゃんに言われた。

 ふむ。船のマストにでも例えられたのだろうか。


「もう一個のほうでも出し物があるから、そっちが終わったらこっちにばたばたってくるんじゃないかな?」

「ライブイベントだったっけ? かっこいい男の子はやっぱり人気あるって感じなのかな」

 被写体としては好きなんだけどねぇ、というと三人にふいっと視線をそらされた。

 いや。ほら、ライブ会場でいえーい! って盛り上がってる写真も楽しく撮らせてもらえたらとても楽しいだろうと思うのだけど。


「はいはい。ルイちゃんはこっちのイベントでベストコンディションで撮影しましょうね」

 ほら、そのための下調べだよね? とエレナに手を握られるとふにりと柔らかい感触がした。

 相変わらず、小さな華奢な手だなぁと思いつつ、はいはいと会場に視線を向ける。

 舞台はもうできあがっていて、いわゆる体育館の真ん中にはランウェイが作られていた。

 直接、体育館のステージ部分から階段で下れるように、それでいて一般の席からは少し高く作られている歩く道(ランウェイ)は、割としっかりした作りで男性が歩いても大丈夫そうな作りをしていた。

 この準備もあって、こちらの建物はスケジュールが空いていたのだろうけれども、それでもお客さんの入りはそれなりなんじゃないかと思う。

 椅子がずらりと並べられているけれども、すでにちらほらお客さんは入っていて、最前列にはイケメンを見にきた女の子達がきゃーきゃーとかしましい声を上げている。


「照明の具合がわかるととても助かるんだけど……うーん、これ、本番はもうちょっと暗くして、照明当ててって感じになるんだよねぇ」

 窓しめて暗幕までつけてるところをみると、というと、まあそうなんじゃないかなとエレナが言った。

「照明プランを教えてー! とかってのはさすがに難しいかなぁ。ルイ先生には出たとこ勝負を期待で」

 むしろ、こういう場所での撮影経験を積んでみるといいのでは? とエレナさんが提案してきた。

 確かに、初めての環境というのは経験しておいた方がいいのだろうけど。

 できれば、事前情報を入れておきたいところなのだ。


「スタッフさんに話を聞くとかは?」

「あと十五分で始まるところでそれをするのは、さすがに可哀想かな」

「うっ……ここまで本格的なところだったら、下調べしてばっちり撮りたかった……」

 くっ、とルイがうめき声を漏らしていると、楽屋代わりになっている体育館のステージそでの部分が少し騒がしくなっていた。

「なんだか、ざわざわしてますね。準備やっぱり忙しいんですね」

「……いや、こういうのは何かしらトラブルがあったときの騒ぎな気がする」

 経験上、とルイが言うと、ああ、トラブル体質ですもんね、と凜ちゃんに優しい眼を向けられてしまった。うう、解せぬ。

 

「あ、スタッフさんぽい人でてきたね。慌ててる?」

「どうしようって顔してるね」

 女性のスタッフさんは、イケメンイケメンとぶつぶつつぶやきながら、考え込んでいるようだった。

 ううん、こういうのって前にも似たようなことあったなぁとルイは思う。

 そして、どうするのか視線を向けていると、彼女はこちらの視線に気づいたように、つかつかと近づいてきた。


「イケメン! いた!」

「え? 俺?」

 てっきりエレナさんのところに行くのかと思いきや、彼女が話しかけたのはよーじ君だった。

 たしかにこの中でイケメンと言える人は、よーじ君しか居ないのだけど。

 メンには見えないのばかりだし。


「あの、なにか困ったことでも?」

「あー、三枝さん。と、あ、春井くんだった! 実は出演するはずのモデルが、その……突然でれなくなってしまって」

「うわ、怪我かなにかしちゃったの?」

「……彼女と修羅場になって、別室でお話し合い中です」

 あーあ、と彼女は頭に手を当てる。


「修羅場って……このイベントに関してってこと?」

「そうなの。当日まで内緒にしておこうって本人は思っていたみたいで隠していたんだけど、彼女さんの方がこれはさすがにどういうことなのってキれてしまって」

「……女装くらいでそんなに怒らなくてもいいと思うんだけどねぇ」

 ねー、とエレナに言われて、そうだねぇ、とルイと凜が答える。

 まぁ、あんたらはそう答えるでしょうさ、とよーじ君が苦笑を浮べていた。


「それで、代役をって思ってたんだけど、さすがに急すぎるし、他の人が見つかるわけでもなく……」

「そこによーじが居た、と」

 まあ、イケメンだからねぇーとエレナさんがにっこり言うと、とてもイケメン! と彼女も満面の笑みだ。

 うん。ここは一枚撮らせてもらおう。

 お? 特に苦情がないからそのまま保管させていただくことにする。


「身長といい、体つきといい、足の長さといい、モデルの子とほとんど体格変わらないの! あとはお肌の状態とかだけど……もともと衣装が肌の露出があんまりないやつだから平気だと思う」

 モデルの子は、すね毛の処理とかお肌のケアとか頑張ってたんだけど、と彼女は残念そうに言った。

 女装の第一関門はムダ毛の処理にあるわけだけど、すね毛を剃るという行為に抵抗をもつ男性というのも一定数は居るらしい。ルイ達にはよくわからない感覚である。


「でも、タイミングとか歩き方とかそういうのはわからないんだが」

「そこらへんは自分のタイミングで歩いてくれれば、ライトとかはこっちで合せるから」

 ゆっくりランウェイを歩いて、あそこらへんでポーズ決めて戻ってくれればOKと彼女はあっさりと言う。

 ポーズ自体はもうすでに決まっているので、あとは出演の時間までにその練習と衣装の着付けをするだけだ。


「こういうとき、どうすればいいのかな? エレナサマ?」

「うーん、困ってるみたいだしねぇ。ええと、その出演する人っていうのはイベントで言えばどこら辺ででる予定だったのかな?」

 さすがにあと十五分で準備っていうのは、クオリティとかがどうなのだろう? とエレナさんは心配そうな顔を浮べていた。

 彼氏が女装させられることよりも、そのできばえを心配するのはさすがにエレナらしい反応というものである。


「イベント自体は15時から16時まで。前半6組と後半6組を予定しているんだけど、ただ歩くだけ、というよりは最初の6人が終わった時点で、衣服の制作者とモデルと舞台の上に立って製作にあたっての質問みたいなのを受け付けるのね。それに答えて前半で二十分、後半で二十分。まあ、実際はもうちょっとおしちゃうかなって感じで」

「質問の受付……それって、その場で手を上げて質問できたりとかするんです?」

 女装のコンセプトとか聞けるととても楽しそうとルイが言うと、あー、パンフレットに書いてある通り、前日までに質問は打ち切りになってます、と彼女は言った。

 どういうアングルで撮られたいですか? とか、ローアングルから狙ってもいいですか! とか聞きたかったところなのだけど、残念だ。


「あー、それで代役を頼みたいのは、後半の五番目、トリを務める人の前なんだけど、それくらいまでならなんとか今から準備すればいけるかなって思ってて」

 衣装の直しが必要ならさすがに厳しいけど、メイクとか打ち合わせならなんとかなると思う、と彼女に言われた。

「なるほどね。となると前半戦はあんまり見れなくなっちゃうけど……ルイちゃんどうする?」

「どうするって、あたしは別に。これは二人の問題だと思うし、ノーコメントです」

 まあ、やるというなら視線はこちらにも向けて欲しい! と欲望をダダ漏れにすると、まぁルイちゃんはそうだよね、とエレナにははは、と笑われた。


「それに、準備をするのはあくまでもそちらのスタッフさんなわけでしょう? あたしは別に口も手も挟むつもりはないし」

 ただ撮影するだけです、とルイがいうと、まーそうだよねぇ、とエレナは頷いた。

「よーじはどうしたい? 人前で女装するのは、嫌?」

「う……嫌っていうか……今まで自分でそういうことをするかどうかって考えたことも無かったから、戸惑ってるというか……」

「おぉ、春井くん! 迷ってるなら是非ともやって欲しいな! 正直、楽しそー! いえーい! って女装してくれるイケメン探すの、すっごく大変だったの。だから代理もかなり大変だろうなって思ってたんだけど……」

 まさかこんなところに、女装に理解があってしかも抵抗もない人がいるだなんて! とイベント関係者の子が言った。


「そりゃ、俺が女装を否定してしまったら、もうこの場には居られなくなるだろうし……そんなことをするつもりはないんだが……でも、実際イメージが違うとかそういうのはないの?」

 俺で大丈夫なの? とよーじ君は不安そうに言うと、謙遜する必要なっしんぐですよ! とびしぃっとサムアップを向けられて、びくっとなっていた。なんかよーじ君がかわいい反応なので、数枚撮りました。

「さて、そういうことならボク達はそちらのスタッフさんと合流でいいかな? ルイちゃん達は……そだね、イベントを凜ちゃんと一緒に楽しんでいてもらえると嬉しいかな」

 ボクは舞台袖からイベントを楽しませてもらいます、とウィンクをして、彼女はよーじ君の二の腕を抱え込んだ。


「あれ? 三枝さんも来るつもり? 修羅場になってもちょっとあれなんだけども……」

「修羅場って、ボクに女装関係で修羅場が起きるとでも?」

「……あー、なんというか、マジモンの三枝さんと、うちらのイケメン女装はコンセプトが違うというか」

 女装の否定とかそういうので修羅場にはならないだろうけど、その……こんなの女装じゃないって怒られないかはちょっと心配、と彼女は恐る恐る言った。

 エレナさんは最初の頃はともかくとして、最近はかなり乙女らしい服装をしていることが多いそうだ。本日も姉御とか女将とかな感じだったし、客観的に見ればかなり「ガチ勢」に見られてしまうだろうと思う。


「んー、そこはどうなのかな。ボクは男の娘が大好きで、この企画に参加してる人達は女装映えするかっこいい衣装とかを作りたい、アーティスト気質ってことでしょ? だったら別にそこで揉める必要はどこにもないじゃない?」

 男の娘についての論争を展開するなら、三日三晩でも付き合うけれどね、とエレナがにやりと言うと、可愛いのにその中にちょっとしたビターな感じがあるのが……あぁ……尊いと彼女は吐息を漏らしていた。

 まあ、男の娘キャラにはそういったギャップ萌えも要素の一つなのだから、エレナの演技は満点である。

 ルイ自身はろくにギャップもないただの写真馬鹿なので、男の娘キャラという感じにはならないのかもしれないなぁなんて思った。


「ま、でも、その化粧の仕方は違うのではー! とかいちゃもんは付けそうだけどな」

「ちょっ、よーじっ。それは……まぁ、否定はしない、けど」

 っていうか、よーじの初めてはボクのものなのにっ、とエレナさんはぷんすかよーじ君にまとわりついていた。

 はいはい、撮って欲しいんですね、とルイはそんな二人を激写し続ける。


「……はっ。そんな二人のじゃれ合いを見てる場合じゃなかった。ええとお客さん、申し訳ないのですが二人お借りしますね。なにか埋め合わせはしますので」

 そんな感じでぷち撮影会をしていると、会場にあらかじめ集まっていた人達から視線と、ざわざわとした声が集まっていた。それに気づいたスタッフさんはやべっ、と思って準備に入るようだった。


「埋め合わせ、ということなら是非ともイベント終了後に、撮影を」

「先輩? 一人十枚までですからね。いちおう私達お祭りを見にきてるんですからね」

 せっかくの提案があったのでそう切り出したのだけど、後夜祭とかまでハナサナイとか、ダメですよ? と凜ちゃんにたしなめられてしまった。うう。


「それじゃ、舞台楽しみにしてるからね」

 いってらっしゃい、と手をふると、よーじ君達は舞台脇のスタッフオンリーな部屋に入っていった。

 なんか変なことになってしまったけれども。これはこれで楽しいハプニングである。


 予約投稿しつつ自分を追い込んで書いてる最近なのですが……はじめてやらかしました。すみません。

 とはいえ、よーじくん達が、きゃっきゃやってくれるので、割とスムーズに続きが書けたような気がします。

 ほんと仲いいよなぁ、おまえさんがた……。


 さて、明日分で学園祭編が終わるはず……

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― 新着の感想 ―
[一言] 生物化学的には男性が四人いるはずなのに、女装(?)が出来るのが一人しかいないのがウケますね。 現実に男の娘はいないし、イケメンをかっこかわいく女装させようってやってたら、ひぇ本物が来ちゃっ…
[良い点] マジモンの三枝さん……。 いよいよよーじくんも女装ですか……この二人(ルイちゃんとエレナちゃん)に関わった男は女装することになる運命なのでしょうか……。
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