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 学園祭二日目5

おまちどーさまでございます。

さくらさんとサキちゃんの学園祭、最後です。

「今年もきちゃったかって感じね」

 んむーと、サキさんは腕を組みながらうめき声を上げていた。

 彼女は去年もここに来ているらしく、正直なところここまでは彼女に案内してもらった。

 前から、あたしもちょっと遊びに来たいなとは思っていたのだけど、さすがに大学に押しかけてというのはできそうになかったので半ば諦めていたところだ。

 素直に大学の撮影系サークルってどんなところなのか興味がある。


「私としては、来れて良かったなって感じですけどね」

「カメラを持つ身として共感がある?」

「それもですけど、ここってレイヤーさんもいるんですよ。そういうのも含めて、どういう活動してるんだろうって」

 どうにも撮影の方に突き進みすぎてて、こういう被写体とわいわいやる時間が最近もててないんです、というとなるほどねぇとサキさんはにやりと笑った。ちゃんと頑張ってるじゃないとでも言いたげだ。


 正直、ルイのやつはかなり羨ましいやつなのだ。

 エレナたんと懇意にしてコスROMはつくるわ、こういうサークルに参加するわ。それでいて写真も上手いとなると天才肌だよなぁと思ってしまう。

 それを支えているのはもちろんコミュ力と、あの積極性なのだろうけど。

 石倉さんも時々、ルイのことを、いかしたいかれたヤツという表現をしている。

 あの生活をしていて、才能もあるだなんて、なんとも羨ましい限りだ。


「そう? てっきりさくらはそういうのから卒業してるのかなと思っていたのだけど」

「卒業というか、高校を出てからそういう団体にいないってだけですよ」

 グループであつまってわいわいやるのには憧れます、というと、目の前の女優さまは、そういうものかしらと少し首を傾げた。

 ソロ活動をしてきた彼女としては、あまり部活動的なものというのがよくわからないのかもしれない。


 そんなことを思っていると彼女が口を開いた。

「ああ、一緒にドラマ作る仲間をグループって言って良いなら、あたしも楽しいとは思うけど」

「クランクインしてから、しばらくこもって撮影なんでしたっけ?」

「そう。そして完成させてから、番宣しにテレビにでたりとかね。テレビのドラマの場合は撮りながら他の宣伝をやったりってなるけど」

「そして、その合間にこういうところにくる、と」

 ふむ。と訳知り顔でいってやると、サキさんは、思い切り顔を赤くしながら、やっ、だってその……と顔を背けた。

 うんうん。良き顔ですよ。何枚もいただきます。


「別にお休みの日になにをしようといいじゃないのよ。それに大学って場所を実際に見てみるっていうのも、一つの経験なわけだし」

 これでも年齢的に女子大生役なんてのも入るんだから、というとぷぃとそっぽを向いてしまわれた。

 そういう一面も確かにあるのかもしれない。

 演技をするってことは、他人を演じることだ。そうであるなら、そのキャラクターの背景もしっかり抑えていかないといけない。

 ルイはその背景部分をしれっと本人に聞き出すのが上手い。そして目の前の相手だってそういうのを呼吸をするようにやってきているのだろう。


「はいはい、そういうことにしておきましょう。それより中入りますよ」

 気がつけば閉会の時間になって、みんなで拍手するはめになるんですから、と言うと、お祭りの時間はあっという間だものねと彼女は返してきた。

 拍手のくだりで首を傾げているのは、彼女に同人イベントへの参加歴がないからなのだろう。参加したらしたで騒ぎになりそうだし。

 

「ごめんくださーい、誰かいらっしゃいますかー?」

 そんなサキさんを横目に、サークルの部屋をノックする。

 研究室よりはこちらのほうがこじんまりとしているだろうか。

 写真を展示するホワイトボードやら、ディスプレイなんかも用意されているけれども、本日の展示は別の場所で展開されているらしい。


「おや。いらっしゃい。展示は別室でやってるんだけど……こちらになにかご用で?」 

「あー、なるるさん。ご無沙汰してますー!」

 さて。特撮研の部屋から現れたのは、奈留まどかさんだった。コスプレネームではなるる(、、、)なので、そちらでの呼びかけにしているのは、カメコとレイヤーさんの関係だからである。


「おおお、さくらちゃん。えっ、えっ、突然どうしたの? まさかこんなところで会えるとは思わなかったよ」

「ちょいとばかし、友人のお供をするように仰せつかりまして」

 こちらでございます、とサキさんを紹介すると、えっ、と彼女は驚いて瞳孔を広げた。

 あ、この反応はその正体に気づいているんじゃないだろうか。 


「……うわぁ、黒縁眼鏡って威力あるんだ……」

 この場合は防御力か、と奈留さんは目をぱちくりさせていた。

 サキさんの今の格好をみて、ということなのだろう。おとなしい感じの女子学生に仕上がっている一番の理由は黒縁の眼鏡にあるのだと思う。

 真面目そうに見えるというか、モブっぽいというか。

 もちろん黒縁眼鏡だって、アイデンティティになることはあるだろうけど、それでも今回は隠すために使っているというのもあるのだろうと思う。

 防御力というのもあながち間違いではない。


「お久しぶりです。今年も遊びにきました」

「ええと……事前連絡とか……してもらってもよかったんですけども」

「その件については申し訳ないとは思っています。仕事がらみでどうなるかわからなかったってのもありますけど」

 あんまり構えられちゃってもなぁというのもあって、とサキさんは少し申し訳なさそうな声を上げていた。

 あれ。事前連絡って、この二人はもう顔なじみということなのだろうか。


「事前連絡……って、なるるさん、サキさんと連絡できる感じなんですか?」

「それはさくらちゃんもじゃない? 一緒にいる理由はなんとなく想像はつくけど」

 まあ、そんな感じですとなるるさんが言うわけだけど、ああ、木戸くんがらみで去年に連絡先を交換しておいたとかそういう感じなのだろう。

 というか、サキさんってなにげに木戸くんの周辺の女子とは、連絡先交換しまくってるんじゃないだろうか。

 監視というか、牽制というか、そういうところがあるのだろうけど。

 ほんと、木戸くんの事が絡むととたんにポンコツになるのだから、可愛い女優様である。


「う。言っておくけど、そこまで監視するみたいに連絡を下さいって言う話はしてないわよ。最近どう? くらいな感じというか」

「私には割と高校の頃に、ちょいちょい連絡ありましたけど、あそこまでではないと?」

「そりゃね。なにかあったらくらい。それとこの前の件もあるから、こういう機会に会って話ができればいいなってくらいよ」

 そんなに束縛強いといろんな意味でヤバイわ、とサキさんが客観的に自分を見れていて驚いた。

 絶対、出口がないくらいまで周りに布陣を敷いて、絡め取る方向なんだと思っていたけど。


「ふふ。さくらちゃんがそんなに驚いた顔するのって、なんか珍しいかも。いっつもわーいって撮影してるイメージだけど」

「えええっ、私そんなですか? わーいっていうとルイのあんちくしょーな感じですけど」

 もうちょっと、キリッとしてますよ、というと、んー、そう言われるとルイちゃんよりはマシかなぁとなるるさんは言っていた。

 

「あの、今は、奈留さんだけですか? 他のメンバーは?」

「展示の当番で出てるのと、カメラ組の方は学園祭の撮影にでちゃってるよ。木戸くんももちろんそれに該当するんだけど」

「あー、あいつの事だから、わーいって言いながら撮ってるんだろうなぁ」

「あっちに比べると出力は低めだけどね。普段もっさりなのに、カメラ握るとまるで無邪気な幼子みたいなんだから、あのギャップはすごいなぁって」

 あっち、がどっちなのかは、サキさんも把握はしているらしい。というか奈留さんは木戸くんとルイの関係を知ってらっしゃるようだ。

 大学でも何人か知ってる人は居るといってたけど、この人もそうだということなのだろう。

 

「カメラ組は、その……割と仲良かったり?」

「あー、花ちゃんも、ほのかっちも、木戸くんとは仲良しですかねぇ。仲良しの意味合いは、カメラ仲間ってだけですけど」

 ときどき、ほのかっちの前で、お姉さまっぽい表情を木戸くんが出したりするのだけど、あれも興が乗ってるだけだろうとなるるさんは言った。

 お姉さまっぽいというのはちょっと意外だけど、きっと女装潜入系の話とかの話題でも出ていたのだろう。

 あいつなら、お姉さまなんてあっさり演じられるだろうし。


「やっぱりカメラでつながるのが一番手っ取り早いのか……」

 うむぅーと、サキさんがうめき声を上げている。前にも検討したことがあったのか、どうしようという感じだ。

「そういう邪な思いで始めるのはどうかとも思いますが……始めるなら手ほどきくらいはしますよ?」

 女優さんの趣味として、カメラっていうのは充分魅力的だと思いますし、というと、そう? とサキさんはすがるような視線を向けてくる。

 ふむ。かわいいなぁ。ここも撮っておこうか。


「それに、木戸くんなら、初心者さん向けにも優しく教えてくれるだろうし。というか、あいつ、自分の写真にはストイックだけど、他の人のはすっごく褒めるのよね。いいねーって、緩んだ顔で言われるからなんか、自分できるコみたいに思えるというか」

 そういうところは、教育者としてもプラスポイントかもしれないというと、奈留さんからも、なるほどーと納得の声をいただいた。

 悔しいけれども、後輩教育という面ではルイのほうがすごいと素直に思ってしまうのだ。


「どういうやりとりがあるのか目に浮かぶようで嫌だけど……でも、やっぱりカメラ使えるようになるのは、良いことなのよね、きっと」

 っていうか、他の面々も始めるかもだし、とサキさんは盛大なため息をついた。

 他のというのは、HAOTOの人達のことなのだろう。ほんと、ルイのやつ、愛されすぎである。


「じゃ、今度カメラ見に行きましょうか。握った感じとかもあるので、実際に実機を触った方がいいですし」

 それに、下調べは大切でしょう? というと、サキさんはうぅ、とちょっと恨みがましいような目を向けてきた。

 なんというか、これだけ感情を出してくれると、撮影してる側からしてもとても楽しい。

 もちろん一枚いただきました。


「さくらちゃん、今日は自由に撮影しちゃって大丈夫なんだ?」

「はい。そこは了承をいただいての同行なので。もちろん配布は不可なので、こっそりお宝にするつもりです」

「そっかぁ。さくらちゃんもカメラマンとしてしっかり育ってるんだねぇ」

 次回のイベント参加するようなら是非お願いします! と奈留さんは言ってきた。

 確か、今年で大学を卒業のはずだから、就職準備とかは大丈夫なのかなと思うものの、社会人になってもレイヤーを続ける人はたくさんいるものだ。


「じゃ、次にイベントで会えたら是非」

 お写真撮らせていただきますね、といったところで、外の扉が開く音がした。


「あれ。奈留氏、来客中?」

「へぇ、カメラ持ってる子がいる-」

 さて、そこから入ってきたのは、男性二人の姿だった。

 見た目の年齢としては、子供っぽさがあまりないから、上の方の学年なのだろう。

 それよりも、である。

 その中の一人が……こう。なんというか、とても美形さんなのだ。

 男っぽい感じが薄めというか、中性美人というやつなのだった。


「おおぉ、これまた長身イケメンが」

「ああ、志鶴先輩、それと朝日たんも、おつかれさまー」

「たんづけはやめてくれ……」

 さて。部屋を訪れた二人は、どうやら特撮研の関係者らしい。

 一人は志鶴さん。中性イケメンさんの方だ。そしてもう一人の方は朝日たんと呼ばれて、やめろーというような情けない声を上げている。

 うん。確かに男性で、たん付けされて大丈夫なのは、そんなにいないかもしれない。ちなみに時宗というのが名字なのだそうだ。


「ええと、こちらの二人は?」

「有名人に来ていただきましたよ? 去年もこちらに来ていただいた、あの方と、そして、レイヤー界では知る人ぞ知る、錯乱さんです」

「わー、なるるさん、錯乱はやめて下さいよ。それだと頭おかしいみたいじゃないですか」

「狂乱と錯乱ってことで、レイヤーさんに片っ端から声をかけて、にっこにこしてるカメコさんの呼び名としては適してると思うけど?」

 最近は、ちょっとルイさんの方が有名になりすぎちゃってるところあるけど、今でもさくらさんのこと大好きなレイヤーさんはいっぱいなのです、となるるさんは真正面から言ってきた。ちょっと照れる発言である。


「あたしよりさくらの方が、ご丁寧な紹介ってすごいわね」

「あー、業界的な問題だと思いますよ。レイヤーさんには身近なのは私のほうなので」

「ま、スルーしてくれるほうが、あたしとしても助かる、か」

 こういうのも悪くないと、サキさんは少し満足げだ。人から注目されないほうが新鮮という人も珍しいのかもしれないけれども。


「さくらさん、お久しぶり。かなり前にイベントで撮ってもらったことがあるんだけど」

「ええと、志鶴さん……あいにくあまり……」

「これ見れば思い出してくれるかな」

 えっと、と中性美人さんは、スマホのアルバムアプリを立ち上げて、画面を表示させた。

 っていうか。

 スマホの背景画面……あれ? え? そっちの方が気になるんですが。


「あ……え、これって……以前、私が撮ったものですよね? あのときの方?」

 あれ? いやでも、あのとき普通に女性だと思ってたのですが、というと、志鶴さんはふふふと苦笑を浮べた。

「この人の女装は、まじで木戸のに匹敵するからな。声音もばっちり変えられるし、おまけに身長とスタイルの良さも相まって、美人系のコスはし放題という、けしからん感じで」

「匹敵って、時宗それはちょっと言い過ぎでしょ。木戸くんの女装力が53万だとしたら僕のなんてせいぜい3万くらいだし」

「たしか一般女性の女装力が1000からって言ってましたよね……」

 それにくらべて3万なら、普通の女子よりも可愛いですって宣言してるようなものの気がしますが、と朝日さんが言った。

 

「はい、せんせー! 木戸くんの女装力は変身するとあがったりしますか!?」

「おっ、さすがはさくらさん。そこは上がる……んじゃないかな。そちらのかたが眼鏡を外すとすごいように」

「ちなみに、朝日さん? も眼鏡を外すと可愛くなったりしますか!?」

 木戸くんの眼鏡話を上手くそらすように、男性の方に話をふっていく。

 というか、このサークル、女装なれしてる人が多すぎな気がする。さすがは木戸くんの感染力だ。


「うっ、そこで俺に振るか……いえ、俺の女装力なんて、5ですよ。そんじょそこらにいる女装の方の足下にも及びません」

 もちろん、志鶴先輩や、しのさんとは比べものにもなりません、と彼は自嘲気味に言った。

「そうかなぁ。時宗ならちゃんと可愛くしてあげられるんだけど」

 前の時は、そこまで本気出せなかったからなぁと、志鶴さんが言った。

 うわ、この人他人にもやらせる側なんだ。


「あー、新入生歓迎のイベントで、女装した先輩からのドッキリ企画ってのがあってね。あの年以降……やってないというか、その翌年は、木戸くんのトラブル関連であの子が女装して過ごしてたので、ドッキリもなにもあったものではなく、そしてそのせいでやばいからやめましょうということになったのですが」

「あれですか。実際にやってみたら後輩にも女装癖がうつったーとかそういうやつですか?」

「そうそう。さすがにショックが強すぎるのでは、みたいな」

「彼の、女装(あれ)はうつされてどうこうではなく、もう染みついたあれじゃないの」

「はは、まあ話を聞くとそうみたいですね」

 でも、やっぱりドッキリはまずいし、それにやるとしたら木戸くんが主体になるって思ったら、やばいって思ったわけですよ、と奈留さんが言った。

 それには、みなさん苦笑気味に一緒に頷く感じになった。


「女装っていうと、志鶴先輩の男装が続いているのが俺としては驚きです」

 一ヶ月もやれば、元に戻るかもって思っていたのですが、と時宗さんが言った。

 あれ。


「男装が続いてるってことは、前に木戸くんが言ってた、ずっと女装してる先輩って、志鶴さんの事だったんですか?」

「今はもうやめたけどね。親とのいさかいで、意地になって女装してたけど、いまはもうその必要もなくて」

 ほほう。これはあれですかね……恋の力が彼の心の隙間を癒やしたとかそういう話なのだろうか。


「さきほどスマホの背景画面見えてしまったんですが、そこに写ってるコにでも助けられたんですか?」

 恋バナウエルカムです、というと、うえーと志鶴さんが嫌そうな顔をした。

「あ、すみません。というか、写っていたのが友人だったもので」

「あー、そうか。馨と知り合いなら、そっちの線もあるのか」

 しかたない、と志鶴さんはスマホの写真アプリを起動して、写真を表示した。


「えっ、志鶴先輩の彼女の写真ですか!?」

「おぉ、なんとレアな! 是非紹介してくださいよ」

 そして、彼女の友人達と合コンとか……という時宗さんに、志鶴さんは、女子枠での参加なら許可しますと苦笑気味に言った。

 それはいやだぁと時宗さんはがっくりときているようだった。


「ああ、斉藤さんじゃない。うわ、大人っぽくなったわね」

「ええと、知ってるんですか?」

 なんと呼びかけていいのやら、と思案しながら結局、奈留さんはサキさんの名前は呼ばないことにしたらしい。


「ええ。昔舞台を見させてもらったことがあって。それと、あたしが所属してた劇団に彼女の後輩が入ってきたりもあったから」

 うわぁ、懐かしいとサキさんは懐かしそうに顔をほころばせている。

 可愛いので一枚撮らせてもらった。

 周りの会員のみなさんから、写真バカはおまえもかという顔をされたけど、気にしてはいけない。


「覚えていてもらえたって知ったら本人大喜びしそうですね。今度伝えておきますから」

「えー、別にいいわよ。それより澪の舞台見に行ってあげてと伝えて」

「りょーかいです」

 いえす、まむ、と答えると、なにそれと彼女はくつくつと笑った。


「にしても、ちづちゃんの知り合いか……えと、実は彼女には、女装の話とかできてなくてさ」

 その、と志鶴さんは少し言いにくそうに、それでも軽く頭をさげて言った。

「自分の口から言いたいので、ちょっとだけ内緒にしていてもらえないかな?」

 お願いします、といわれて、あたしはすぐにOKを出した。

 こういうのは当事者間での問題というやつだろう。余計な口は出さない方がいいと思う。


「あたしも了解。でも、なんというか……斉藤さんがちょっと羨ましい」

 いいなぁ、これだけ思われるだなんてと、サキさんが羨ましそうな声を上げた。

 そう思ってしまうのは仕方ないのだろうけど、残念ながら木戸くんにそういうのを求めても無駄なような気がする。

 本当に不憫である。


「うぉお。イケメンの隣に立っていても遜色のない美人さんだぁ。これはコスプレ映えしそう」

「いいっすね。癒やし系コスとかすっごく! もう志鶴先輩もナースキャラコスとかで合わせるといいですよ」

 ナース系の魔法少女で、敵味方合わせとかすごく映えそう、と時宗さんは言った。

 確かに、ちづは癒やし系ではあるんだろうけど、コスプレはどうなんだろうか。高校の卒業パーティーのときは楽しそうにやっていたけど。


「それをやらせるなら、時宗も女装で女子キャラだからね」

「ひぃ。女装力5の俺なんてひっぱりださなくても」

「潜在能力を引き出せば1200くらいまでいけるから!」

 ほら、怖くないよー、と志鶴さんに這い寄られて、時宗さんは、ひぃと情けない声を上げた。

 

 そんなやりとりを聞いて、サキさんはぽそっとつぶやいた。

「あれね。ルイは友を呼ぶっていうけど、ほんと、見事に女装耐性が強い人ばっかり集まって驚きよ」

 これなら、たしかに、自分は普通だって思い込むかもなぁと、サキさんはため息交じりにそう言ったのだった。


さぁ、最後は特撮研にやってまいりました。

読み返していて、最初の頃特撮部になってましたが、研究会が正式でございます。

(修正は後日ね!)

いやぁ、誰に会わせようかとか、悩んだ結果、上級生たちとという感じになりました。

しかし、志鶴先輩ったら、まだ女装のこと言えてないのなぁと、ちょっと驚いています。

大学出るまでには、なんとかして欲しいところですね。


さて。次話は……なにをやろう。検討中でございますー。

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― 新着の感想 ―
[一言] 特撮研に関しては「ルイ」は呼ばれた(釣られた)方なのに、中心と思われてしまうのは普段の言動のせいなんだろうなぁ
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