644.プライベートビーチに行こう13
なんか長くなりました!
「では、お部屋でゲーム! どきっ、男の娘だらけのガチバトルをやっていこーかと思います!」
エレナがそう宣言すると、地下のルームのスピーカーから、いえーい、という音声とともにパフパフと音声が鳴った。
いわゆる、カラオケなんかにある効果音というやつである。
「エレナさん……みんながはやし立てないだろうっていう予想はあってるけど、その仕込みはどうなんでしょう……」
「なかなかに装置の無駄遣いというか……」
うーむ、と呆れた顔をしているのは、ルイとクロの二人だ。
「いちおーここ、カラオケもできるようになってるから、それをつかっての演出だと思うけど」
まあ、うちのが悪乗りしてすんません、とよーじ君がぺこりと頭を下げる。
そ、そうか。おうちにカラオケがあるのか……
そういう意味もあって、地下にできてるのかもしれない。音が外に漏れにくいだろうし。
「カラオケ! あっ、それはちょっと俺も気になる!」
「俺じゃなくて、わ・た・し。さっきも言ったのに、クロったらもう」
ほら、気を付けようとルイがいうと、はいはい、わたし、これでいい? とクロは言った。
「カラオケはちょっとしてからにしようね。っていうか、女子達にカラオケの話したら、ここにいたかもしれないけど……まぁ、それはそれ。というか。ルイちゃんに是非とも後で歌って欲しいです!」
「ええー。あたし声はまあいける方だと思うけど、歌は厳しいよ?」
青木みたいに、きゃるんとか歌えないよ? というと、ああー、そんなこともあったねー! とエレナはにぱりと笑顔を浮かべた。
うん。高校の頃のイベントの話である。
青木に連れられて、男友達として普通に男三人でカラオケに行ったことがあったのである。
そして、そこでは……うん。青木の女声の歌声と、それに触発されてエレナさんったら可愛らしい曲をうたいやがったのである。
ほとんど声変わりしてないエレナさんは、普通に女声での歌を歌えるのである。
「んー、そこに関しては、別に男声の曲歌ってもいいけど……無理して女声を出すのは見てみたいかな。っていうか、別にボクくらい声高くない人でも両声類はいるわけだし」
「両声類ねぇ。動画とかだと結構いるけど……歌の方が出しやすいっていう人のほうが結構いるのかなぁ」
あたしとしては日常会話の方が女声は出しやすいんだけど……というと、うんうんとクロにもうなずかれた。
「歌だとどうしても伸びとビブラートがねぇ……裏声使うと声自体が弱いというか、力強い歌っていうのが歌えない……」
「ああっ! わかる! 普通にしゃべってる分には、伸ばす声とか使わないしね。人を呼ぶときに、おーい、とか言うのはあっても、ビブラートつかって呼んだりしないし」
「それだと日常がまるで歌劇になってしまうね」
それは疲れるなぁと、クロとルイは苦笑しながらそれは勘弁と答えた。
「それで? ゲームっていわれるとテレビでやるのを思い浮かべるけど、そっちの隅っこ見ると、アナログなのもありそうだね」
「お? カメラ一筋なルイちゃんがそこに目をつけるとは珍しいね」
これは珍しいこともあるものだと、エレナは隠してあったゲーム類を取り出した。
「ボードゲームに、立体パズルのジェンガとかもあるよ? ああ、でもツイスターは禁止だからね?」
もう、よーじとルイちゃんが組んずほぐれつというのは、心臓に悪いとエレナが青ざめる。
ツイスターというのは、四色の丸がかかれたシートの上で、手足をその色のところに移動させるゲームである。
結構むちゃな体勢をしたり、ドキドキっ、二人が急接近っ、なアイテムなのである。
「ツイスターを完備しているのは、どういう意図があるのかちょっと気になります」
「あー、そこはねぇ。中田さんにゲーム適当によろしく! ってアナログなのはおまかせしたので、そこに入っていた! という感じなんだけどね。よくよく考えると、こういうのって若くないとできないよなぁと、しみじみ思ったところで」
お父様とかがツイスターゲームやっていたら、さすがに、大丈夫? と思ってしまうかなとエレナが言った。
「大人がやるとしたらヨガクラブとかそういう感じのやわらかーい人の表現としてなのかもね」
「あー、そういうのなら美しいツイスターとか、動画でありそう」
「あとは、ゲームだからいいんや、密着してもええんやでー、みたいな感じのアイテムというか……」
「女の子同士でやって、それを見るっていうのも、大人の需要はある……かなぁ」
でも、男の娘達が、ツイスターでアレな企画はどうなのかなぁ。OKなんだろうか……
「やるとしても、よーじとルイちゃんはダメだからね? 変な体勢になって、大切なところにあれがあーなって、とかダメだからね!」
「エレナさんや……変な想像はやめてもらえないだろうか」
人をヘンタイみたいにいわんでくれとよーじ君から苦情が漏れた。
うん。確かにそれは風評被害なのだろうと思う。別にルイとしては密着したところで特別なにも感じることはないけれども。
「はいはい、ごめんね。よーじの事信じてないわけじゃないんだけど、ルイちゃんの魔性に当てられる可能性はゼロではないからさ」
「魔性って……別に、あたし普通だよね?」
ね? とクロに問いかけたら、めちゃくちゃ視線をそらされた。解せぬ。
「それでまあ、アナログのゲームはあとで時間があったらやろうと思うんだけど、まずはみんなでテレビゲームでもやろー! と思った訳なのです」
「四人プレイできそうな感じのやつですか? パーティー的な」
「それもあるのはあるんだけど……」
「ということは、エレナ的におすすめがある、と?」
なんだろ? と首を傾げながらルイが問いかけると、エレナはふっふっふとドヤ顔をしながら言い放ったのだった。
「はい! 先日発売しました男の娘ゲーム! 乙女と恋とちゃぶ台返し! 実況していこうかと思いますっ!」
「ここでノベルゲーを持ってくるかぁ……」
「さすがは男の娘の体現者……こう、一本芯が通ってるというか、空気読めないというか」
「まあ、女の子達が一緒ならカラオケとか、パーティーゲームにしようかなと思ってたんだけど、きれいに別れたから、いいかなって思って」
っていうか、ボクもまだやってなくて初見なんだよねぇ、とパッケージをすりすりしているエレナさんは、まさにとろけそうな笑顔を浮かべている。本当に男の娘ものが大好きな子なのである。
「でも、なにげにノベルゲーって、共通ルートやるだけでも十時間くらいは最低かからない? 個別ルートとかも入れたら……」
「あー、多分ここでは導入くらいまでしかできないかな。町に帰ったらレンタルするからさ」
きっと、すぐに一周してフルコンプするので、そのあと是非! とエレナは言う。
まあ、興味があったらご購入もお勧めするけどねー! と宣伝つきである。
いわゆるフルサイズのゲームなので、お値段は五桁に届くか届かないかというくらいだろうか。本当に好きな人だけが買うアイテムのようなものだろう。ちょっと気軽に買える値段ではない。
「あの。ルイ姉? ルイ姉はこういうのっていうか、エロゲってやつに興味あるの?」
「んー、クロくん。これはエロゲではなく、男の娘ゲーだよ?」
なにを言ってるの? という感じでエレナさんが小首を傾げる。可愛いので一枚撮った。
「コスプレの原典は基本やるようにって言われててね。やるようにって厳命されてたから、基本プレイはやったよ」
「……えっと、その……そういうシーンも?」
「うん。肌色シーンは、なんかこー、体型もうちょっとなんとかして欲しいなって」
「……そういう反応ですか」
まぁ、そうだよね、とクロは何故か頭に手を当てた。
「クロくんはこういうの、興味あるんだ?」
「そりゃ、まあ……お……わたしも一応男ですから」
これでも高校時代は男友達とそういう本を見たりとかしてきましたし、とクロがちょっと恥ずかしそうに言う。
可愛いので一枚撮った。
「むぅ。男友達と男の娘ゲーを見たとはさすがに思えないんだけど?」
「くっ。さすがに男の娘ゲーは一人でやりましたってば! コスの参考に」
「じゃあ、他のは男性向けのそういうのなんだ?」
「って、ルイ姉。どういうのかわかってるの? 本当に?」
「わかってるよ? 男性向けエロ産業っていうものはどういうものなのかはいちおうは」
いくらなんでも、子供扱いしすぎだよーとルイはいうと、クロはすさまじく怪訝な顔をした。
「男性向けに撮られた写真も見たことはあるけど、みんな綺麗で美しく撮れてるよね。そりゃ、ポージングがちょっと独特というか、胸をアピールしたり、お尻をアピールしてるけど、写真集とかはとても美しいと思うよ?」
「……えーとな。ルイ姉。俺がいいたいのは、そういうのではなくもっと俗っぽいもので」
「あー、いままで、この撮り方はなってないってダメだししたやつか……」
なるほど、というと、もーいいです、とクロがぷぃとそっぽを向いて、だうーんと肩を落とした。
え? 友達と美術的に美しい写真を見ていた、ということではないの?
「さて。毎度恒例、ルイちゃんのずれっぷりを堪能したところで、さぁープレイしていきましょー! さぁどんな可愛い子がでてくるのか、楽しみだね!」
この中に一人、男の娘がいる! ばばーん! とエレナはタイトルムービーを流し始めた。
まあ登場人物の一覧を見ただけで、誰が男の娘なのかわかってしまうのは、目が肥えている証拠なのだろう。
「オープニングムービーも綺麗に仕上がってるし、こー、特徴的な可愛い曲はテンション上がるよね」
「エロゲソングって特徴的ですよね。明るく可愛く、アップテンポなのが多いというか」
「むぅ。男の娘ゲーと言っているのに」
クロくんの認識が変わってくれなくてボクは悲しい、とエレナは愚痴をこぼした。
んー、これは一般的なくくりでの話をしているだけだとは思うのだけど。
「まあ、それはともかく、プロローグだね。よくある女装して学校に潜入する話だけどちゃぶ台返しがどうなるのか楽しみ」
「きっとそこまではプレイできないだろうけどね」
「そうなんだけどね。区切りがいいところまでやってみよー!」
せっかくだから実況みたいな感じでいっちゃうよ! とエレナはテンションを上げてプレイを始めた。
「では、いただきますっ!」
「ん~、やっぱり海辺で食べるものといったら、焼きそばだよね!」
ソースの香りがたまらないと鼻をひくひくさせているエレナは、まだ湯気を立ててる焼きそばを前に笑顔満点である。
海での食事といったら思い浮かべるのはBBQの方かもしれないけれども、焼きそばだって海辺の特産品として有名なのである。
「海鮮焼きそばはなんか贅沢な気がしなくもないですが」
「そこらへんは素材があったから、使いました。キッチンのモノは自由に使って良いから! って言われてたしね」
ちゃちゃっと作ってまいりました、とルイが言うと、やっぱりルイさんはおかん力高いよなぁとよーじ君が言った。
「そこは、男の娘力じゃない? ほらボク達は三人とも料理できるわけだし」
これぞ男の娘の姿というやつです! というと焼きそばに手を出して、うまいっと大喜びである。
「人それぞれだと思うけどね。必要にならなければ料理なんて覚えないものだし」
クロやんだって必要だったから覚えた勢だもんね、というと、まぁそりゃ女装しなくても炊事はできてただろうけど、とクロはちょっと
恥ずかしそうにいった。できると言い切ってしまうことにちょっと自信がないようすだ。
「そうだ。ルイ姉。それで珠理さんの様子はどうでした?」
体調悪いっていってたけど、どうだったかとクロから質問が出る。
というのも、焼きそばを作る上で、崎ちゃんの分もしっかりつくって差し入れをしてきたからである。
特別、気持ち悪いとかそういうわけではないので、普通の食事で問題ないだろうという判断なのだった。
「だいぶ元気にはなったとは思うけど……まだちょっと本調子ではなさそうだったね」
「あの子の場合は、身体的っていうよりは精神的なものだと思うし。ほら、月のモノが来たのでグロッキーとかそういう話でもないんだよね?」
「あー、そこはわかんないかな。女の子達そこらへんすっごく上手く隠すから」
さすがにずっと一緒にいるわけじゃないし、そこまで把握はしてないよ、というと、ぷるぷるとクロが体を震わせていた。
「あの。ルイ姉? それにエレナさんも、どうしてそんなにさらっと話をしているのです?」
「……その件は、俺もクロくんに同意だな」
そういうのはもっとこう、秘めておいて欲しいというか、とクロだけじゃなく、よーじ君までそのことに反応した。
「確かにそうなんだけどねぇ。でもそんなの体の反応に過ぎないじゃない? ボク達にはないけど、別にそれは過剰に反応すべきことでもないと思うんだよね。生理現象っていうんだから、恥ずかしがらなくてもいいじゃない」
昭和のアイドルじゃあるまいし、トイレに行かない人間はいないって話ですよ、というとエレナは焼きそばんまいっ、と笑顔を浮かべた。
「そうはいってもだな……なんつーか、そういうのは秘められたものっていうか。面と向かって言われると恥ずかしいというか……」
「えぇー、よーじはもっと恥ずかしいこと、普通にしてるのに、そういうの気になっちゃうの?」
ねぇ? とエレナはよーじ君に視線を向ける。
うぐ……とばつが悪そうな顔をしているけど、エレナさんたちはいったいなにをどこまでやっているのだろうか。
「でも、小学生の頃は実際男子は外で自由時間で女子だけ集められるし。やっぱりその……おおっぴらに男の前で話して良いことではないような」
「それは、その年頃の男子がそういうことに対して、からかいのネタにするからじゃないかな?」
もういい大人なんだから、クロやんならからかったりしないでしょ? むしろ知った上で心配してあげた方がいいんじゃない? とルイが言うと、うわー、そこまで割り切れないーと、クロやんは頭を抱えた。
うちの妹もその手の話はしてこないんだよー! とお兄ちゃんとしても頭を抱えている。
「ちなみに、十歳くらいだったかな? そのときうちも男子は外にって話だったんだけど、外に行こうとしたら隣のクラスの先生に、君も来なさいって言われて、うちの先生にいやっ、あいつはっ、とかいろいろ言われてたみたい」
「おー、さすがルイちゃんだねぇ。言われないと女の子にしか見えない男の娘なんて、ほぼ奇跡なんだからね」
「それは……まあ、客観的には、納得ではあるけど。でも、そこでどういう話を聞いたのかってのはちょっと興味はあるかな」
どうやって子供にそういう教育をしているのか、ちょっと気になるところではある、というとふむ、とエレナが首を傾げた。
「ルイちゃんなら、聞けば教えてくれるんじゃないかな? さくらちゃんあたりなら、さくっと答えてくれそうな」
「んー、さくらには生理用品貸してとか言われたことあるしなぁ。きっと聞けば教えてくれるだろうけど」
今更聞いてもなー、とルイは焼きそばを頬張った。少しオイスターソースを利かせてるので、良い感じに海鮮焼きそばである。
「あの、ルイ姉? 自分で使わないモノを用意しておくとか、なんか紳士なの?」
ねえ、どうなのとクロに詰め寄られたのだけど。
「紳士に生理用品を斡旋されて、まともで居られる女の子はそうは居ないと思うよ? 一応、あたしの場合は偽装工作もそこまでやっておいた方がいいのかぁっていうので、最初に聞かれて持ってなかった時から、持ち歩くようにしただけで」
「……持ち歩いてるのか」
「設定の問題かな。エレナの場合は男の娘を貫いてるから、持ち歩かないでいいんだろうけど、あたしの場合は持ってたほうがうさんくさくないかなってね」
少しでも男だと思われる要素は消したいのです、というと、今のままで十分だろうにと、三人から可哀想な子を見るような視線を向けられた。
「なんといいましょうか。それこそさっきの男の娘ゲームと似たような感じというか」
「女の子になりきるのが大切みたいな感じ? それにしたって、ちょっと過度というかなんというか」
「そりゃ、撮影のためですから。昔ならともかく今はさらにばれちゃマズイしね。ゼフィロスの件があるからさ」
イベントでだけ中に入ってたのならともかく、今は普通に顧問みたいな感じになってるから、いろんな意味で危ないし、理事長先生達の責任問題にまで行ってしまうかもしれないし、と遠い目をする。
すでに、撮影係としてイベント参加をしている時点で十分にアウトなのだが、そこらへんはルイの認識としてはそんなに気にしていない。
というか、一週間女子高潜入イベントを奏としてやってきた身としては、短期間ならいいんじゃないの? という感じで、要塞と言われるゼフィロスの男性禁忌な風習もルイの中では形無しなのだ。
「ま、まぁそれでも、HAOTOの件ではもー、あたしは女の子じゃないんで、交際関係なんてあるわけないですっ、て言っちゃおうかなとは思ったんだけどね」
ほんと、あの人達しつこかったし、あのときはかなり追い詰められたんだよね、というと、そんなこともあったねぇーとみなさん嫌そうな顔をする。
エレナに関しては、マスコミ嫌い、まじ嫌いと、いった不機嫌さである。
「あー、それで珠理さん、あそこであんなことやったんだ」
「口封じってやつだな。あいつにしては頑張ったというかなんというか」
その結果、レズビアン疑惑を掛けられる二人というのも、どうなのかと思うのだが……とよーじ君は腕組みをしながらうむむとうなっている。
「でも、その浅慮をやらかしたらきっと、マスコミには、HAOTOが好きな可愛い女装の男の子って書かれたりしたんだろうねぇ。ふふふ。きっと、男の娘って単語つかわないで、一般の人にもわかりやすいように、文字列をつくったんだろうねぇ」
ふふふ。あいつらほんと……と、エレナさんがダークサイドに落ちたような声を上げた。普段と温度差があるから、ゾクッときてしまう。
「エレナさん的にはHAOTOが男の娘ラブっていうのならOKだったんですか?」
「んー、阻止する側だったから、NOといいたいところなんだけどね。例えば二人がちゃんと熱愛っていうなら、HAOTOの翅と男の娘のルイちゃんが熱々! とかいわれるのは、OKかな。
てゆーか、最近ならばんばん手術して、ばんばん戸籍変えられるんだから、残るのは自分から男の娘でいたい! っていう子とか……まぁ、ルイちゃんみたいなのは、希少種なんだけども、そっちの人達は普通に女の子でいいじゃない?」
あー、まー、希に、麻酔が体質的に無理とかで手術できない人とかはいるんだろうし、まだまだ日本国内の手術資源はほぼないし、外国だよりにするのもっていうご時世ではあるんだろうけど……とエレナは言う。
「そろそろ千歳が手術するよって話してたけど、あの子も海外なのだろうか……」
「どっちかはわからないけど、保険はきかないからお金かせがないとって言ってたよ」
混合診療問題ってほんと大変だよね、と言うと、みんなは頭にクエスチョンマークを浮かべた。
「まあ、自分で必要なお金貯めて未来を切り開くだけって考えればそれでいいんじゃない? いつかは怪我とか病気と同列に……は世界的にはならなくて、個性だぜっていう面倒くさい感じにはなっちゃってるけど。体の治療を必要とする人が、どうして病気じゃないのかわかんないんだよね」
まー、あたしみたいなのが病気っていわれたら、全力で違いますというんだけど! というと、周りのみなさんは、「そいつはビョーキだ!」となぜかカタカナで言ってくれた。
うう。ちょっと熱中しやすいタイプなだけなのに。
「せめて、男の娘がヒロイン枠に入れるようになる世の中になるといいなとボクは思っています!」
はい、とエレナは少しさみしそうにそういった。
その反動なのか。その後のカラオケ大会は、アニソンをはじめ、可愛い曲が並んで。それをルイとクロも歌わされることになるのだが。
ルイに関しては、旋律をかろうじて覚えているかどうかだったので、めためただったのはいうまでも、ない。
「乙女と恋とちゃぶ台返し」については、あんまり設定していないのですが、ちゃぶ台返しやろ? なら、奇抜なことやらなあかんやろ? ってことは……と考えて思ったのが「実は女装潜入している子が、女の子」で、「学院にすでに男の娘がいて、その子とのENDだと、♀顔になるみたいな」のを想定してみました。
ああ、エレナさんげきおこですよ。いつも新しいモノをつくらなきゃいけないのわかるけど、あんまりだよー! って、よーじ君に抱きついたりします。
一般的感性なら、きっとそのENDは……どういうジャッジになるんでしょうか?
カラオケはなつかし、青木さんネタです。エレナたんはほぼ声変わりしてないですが、声変わり組は、日常会話の方を優先しているので、あまり歌については、興味がありません。
そこで始まるカラオケ大会とか、ほんと、むりーってなりそうですが、仲良しな相手達が集まっているので、というのもあるんでしょうね。あー、ここだめやー、とか、声の出し方むずーとか、わいわいやれたようです。
写真優先のルイさんの持ち歌とか、ほっとんどないんですけどね!
さて、次話は、三日目っす! そろそろ結論出して欲しいんだけど、かけるのかね、作者はみたいな前振り。