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546.3回目の新入生歓迎会4

☆前話545は諸事情により改稿しております。改稿済みという記載があるものが正解ということでよろしくお願いします。


そしれ本話はちょいと短いですがきりがいいのでここまでで。

さー、最近小難しい話が多かったので、女装話は、たーのしーなー、という感じで行きましょう。

「レディースアンドジェントルメン。本日は我が校が誇る女装コンテストにようこそおいでくださいました!」

 会場にはすでに人が集まっていた。例年行われるこの企画も、去年一昨年とクオリティが高かったおかげなのか、大人気イベントへと成長していたのである。

 そして。


「本日の司会は、急遽やらされることになりました、特撮研、東雲しの、と」

「自治会のキャメロンちゃんがお届けしまーすぅー」

 はい。絶賛しのさんは舞台の上に立っております。

 どうしてこんなことになったのかと言えばまぁ……追々話すとして。


「キャメロンさん、女装で出てきたのはほめたげるけど、さすがにその女装はなくない? ミニスカートの下の足毛がぼーぼーなんですけれども」

 ほら、さっさと剃ってくる! と言うと会場はどっと沸いた。

 ちなみにこのムダ毛のネタの仕込みのために彼は足の毛をしばらくそらずにいたとのことだ。

 え、普通の男子は毛の処理は普通にしないって? そういうもんですか?


「さて、彼が処理をしている間に、このイベントの概要を説明……するまえに、まず私の事について話させてください! 本当はあそこのあいてる席に座る予定だったのに!」

 なんで、こんな大舞台に立たされることになっているのかをっ! というと、みんなから、なんでー? という声が聞こえた。見事な合いの手である。


「会場について、さー今日はいろんな人の女装姿を、超絶綺麗に撮ってやるぞー、あのローアングルからな! とか思っていたのですよ。さぁ喉仏が目立つあのアングルで、それでも輝ける物が撮れるのなら! とね!」

 さて。オブザーバーや審査員の席はステージ上ではなく、ステージ脇にある。

 つまりは、ほかのお客さんの最前列みたいなところが、その席なわけだけれども。

 もともとはそこで、解説役を頼まれていたので、舞台に上がる必要性などは皆無なはずだったのだ。

 しかも仕事自体も、こうやってばんばん仕切るのではなく、司会から促されて発言するというような、すみっコぐらしっぽい感じの参加のはずなのだった。


 ちなみに、審査員制度は今回から新たに追加されたもので、一般の人の投票ももちろん含まれるけれど、一人で十人分くらいの票をもつ、審査員というのが、四人ほどこの席に同席しているのだ。え、しのはどうだって? オブザーバーは議決権がないものでございます。


 ローアングルで撮るのは基本的に女装者に対してはNGなのだけれど、今回に関しては女装なのがわかっている相手を撮るので、そこは解禁してしまっている。

 女装の種類の問題だ。完全に女性の中に埋まることを目指すのか、男の娘を目指すのか、キャメロンちゃんみたいな盛り上げ要員のネタ女装なのかというのでもずいぶんと撮り方は変わってくるものだ。

 ネタ女装を、がっちりとって、「これが、僕……?」と言わせるのも楽しいけれどね。


「しかしっ。驚くことに今日の司会担当が、急病……ううぅ。どうして私はそういう現場に多く居合わせるのかっ。プロなら健康管理はしっかりしていただきたいっ」

 ぐすっ。と鳴き真似をしてあげると、会場から、がんばって、しのさーん! といった声が上がった。

 うう。ありがたいですけど、頑張るべきなのは、本来司会をやるはずだった子なのです。


「はい。みなさんの声援もいただいたことで、イベントの概要を説明しまーす! 例年行われてる女装コンテストですが、まず新入生向けに解説……ああ、カンペ読むのは勘弁ね!」

 割とぐだぐだな司会っぷりなのだけれど、それでも堂々と話をすればある程度なんとかなるもので。

 とりあえず進行やら台詞などを書いた紙を取り出しても、みなさんは特になにを言うこともなかった。

 というか、すぐ来て、すぐやれ、というのは無理なので、そこは妥協してもらった。


「諸君! 入学おめでとう! この女装コンテストはこの時期にある新入生歓迎会の目玉として例年行われるイベントです。かつては各サークルの男子生徒から一人ずつを選出して行われるものでした」

 うん。ここは知ってる。時宗先輩とかも参加していたというし、朝日たん爆誕だったわけで。

 でも、去年は希望参加になって、クオリティがぐっと上がった。

 志鶴先輩がいろいろやったおかげである。


「ですがっ! あそこに座っているしのさん……ああ、私のことですが、あんにゃろうにいろいろと引っかき回されたあげく、強制参加はなしになり、今では、参加したい子だけがでるという、強者の宴になったのです! ってひどいな……別に私、引っかき回してないよ-」

 しのさーん、嘘は良くないと思いまーす、と大きな声が漏れた。

 会場がちょっとだけざわざわする。


「ちなみに、あそこのしのさ……いえ、私ですが。殿堂入りということで参加はできない状態です。去年はさんざん言われたものです。「てめぇの女装は女装じゃねぇ!」とか」

 さて。一瞬だけ男声に切り替えると、さらに会場はざわめきをました。

 やっぱ、しのさんすげぇな、という在校生の声はもちろん、新入生から、なにあれ、両声類? という声までもが上がっている。


「私はただ単に、普通に可愛い服着て、会場に出ただけだというのに、本当にひどい話ですよね。ああ、いちおういっときますけど、私は普段はさえない眼鏡男子です。見かけてもそっとしておいてくださいねー!」

 ま、見つけられれば、ですが、とウインクをしてあげると、あんな可愛い子、うちの大学にいないよな……とか、見かけたことないわ、とか、さらには一部から、そりゃわかんねぇって、という納得の声が上がった。

 ふむ。シルバーフレームと黒縁さんの違いというのはすさまじい威力である。

 新入生からは、え、あれ女装なの? とざわざわが強まっているようだった。

 本当のことでしたのね……と、冬子さんの声もちらっと聞こえました。


「っと、キャメロンちゃんおっそいなぁ。じゃあ、注意事項もう一個言っちゃおうかな。私は特撮研のカメラマンもやってまして、今回このお仕事を引き受ける上で一つの約束を取り付けています」

 じゃん、と木戸仕様のカメラを見せつつ、みんなに改めて宣言する。


「本来司会などというものは、私のようなものには荷が重いのです! それでも受けたのは、この超特等席から、参加者さんたちを舐めるように撮影ができるからなのです! なのでちょっと司会をしながらカメラの音がうざいかもしれませんが、ご容赦ください!」

 会場からは、ひくわー! って声と、それでこそしのさんだーー! という声が上がった。

 いや、まあ。普通は引くだろうけどさ。

 司会さんの役目は撮影じゃないんだしさ。でも、オブザーバーの話が来たときは、撮ったるでーって気持ちいっぱいだったから、この話が来たときは、撮影してもいいですね? とにこやかにお願いしておいたのだった。

 ええ、自治会の人達は快く引き受けてくださいましたよ? ええ、ほら、カメラに写ったこの顔が証拠です。


 撮るぞっていって脅したわけじゃないよ? ほんとだよ?

 ちなみにそのとき撮った写真を元に、投票のボードを作るという話にもなったので、いいのを撮ってあげたいな、という感じだ。


「おまたせしましたー! キャメロンちゃんふっかーつ」

「おぉ、ぼーぼーだった、すね毛が綺麗に……」

 さて、そんな話をしていたら相方のキャメロンちゃんが戻ってきた。

 その足は、つるりとしていて、本人もどやぁという顔をしているところだ。


「ちょっと先生のひげそりを借りてすぱーっとやってきました! どうですか、しのさんこれなら問題はないはずですぅ」

 比較的高めに出そうとしつつ、男声の範疇に収まっているキャメロンちゃんの声を聞きつつ、じぃ、としのはその太ももを見た。

 電動ひげそりで剃られたそれは、とりあえず毛はありませんという仕上がりにはなってはいた。


「ちゃんと剃った後、化粧水とか塗りました?」

 つんつんと太ももをつつきながら、ちょっとざらついているそこにダメ出しをしておく。

 ちなみに台本とは違う流れである。

 本来なら、まぁー綺麗になりましたねぇで終わるのだけど。

 気になる物は気になるのだからしょうがない。


「う、え……あ。剃っただけ、です」

「脱毛は女装の命とすら言えます! キャメロンちゃん。立派な女装っこへの道はこれからまだまだ長いですね!」

 一緒に頑張りましょう! というと、キャメロンちゃんはなんとか持ち直して言った。


「はい、しのお姉さま」

 お姉さまかぁ、と思いつつ、会場からは、おぉ、百合百合しい、なんていう声が上がって割と好評だった。

 司会を任されるだけあって、アドリブにもついてこれる子らしい。


「じゃー、あとできちんとした脱毛の仕方は教えるとして。キャメロンちゃん。今日の参加者の人数を教えてください」

「ふぁ? あーはいはい、今日の参加者はー! 各種サークルから集められた二十五人の猛者でーす! 去年は単騎精鋭という感じでしたが、今年は果たしてどうなるのかー!」

「うわ、去年そんなに人数いなかったのに……強制じゃなくてこんなに集まるだなんて、まさか……みんな実は女装、大好きだったり?」

 ん? と小首を傾げてはてな顔をすると、キャメロンちゃんはこそっと、あんたがそういうことをするからだよ……とつぶやいた。


「はーい! じゃー、そんな女装大好きなみなさんですが、そろそろ準備も整ってまいりました。早速、みんなの女装力を見せてもらおうではないですか!」

 ふっ、おまえの女装力は5か、とかいわれないように、見事なものを見せてくださいねー! とカンペを読み切ると、女装力て……と苦笑いが会場に広がった。


「では、エントリーナンバー1、テニスサークルの方から行きましょう! テーマはスポーツ少女ですっ」

 そして、急遽作ったカーテンで目隠しをされたところから、一人目の参加者が登場した。

 イベントの始まりである。

さあただの解説者でしのさんが終わるわけがないな! ということで、こうなりました。

いきなり壇上に立たされてなんとかできちゃうのは、もう撮影者じゃなくて写る側に回っても十分やってけそうな気はするのですが、本人としては、「いえ、自分、撮る側なんで」というのでありましょう。


代理ネタが多いのはわかってますが、急きょ振られるからこその、ドタバタもあるので。

さぁ、今年の女装コンテストは、どうなってしまうのかー!

木戸くんも、志鶴先輩も関与しない女装コンテスト……さぁ、どうなるのやら。


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