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447.未先さんの大学訪問3

遅くなりましたがなんとか本日中アップ完了です。

そして後半ではちょいと、今後の展開に絡むネタが入ってます。

「さて、お次はどこに連れて行って貰えるんでしょうか」

 お昼ご飯を終えて、中庭を歩きながら冬の景色を撮影していると、先輩っと未先に服の裾を引っ張られた。

 あ、うん。ごめん。普通に撮影に集中しておりました。


 本日は未先ちゃんのご案内が仕事なので、いくら中庭のちょっとくすんだ景色に心を奪われたとしても、そちらにばかり集中するわけにもいかないのだった。


「特撮研、食堂ときたら、次は……あれかなぁ」

 ふむ、と施設を思い浮かべて彼女にあまり縁のなさそうなところを案内することにする。

 いちおう、この大学はかなりの人数を収容している関係もあって、それなりに施設も充実しているのだ。

 食堂ひとつとってもそうだし、購買だってかなりの広さがある。スーパーとまでいうと大げさだけれど、コンビニよりも十分広いというくらいだろうか。


 そして、木戸もあまり行かない施設の一つが、これから行こうとしている、健康増進センターなのだった。


「けっこう端の方にあるんですね」

「まー普段行くようなところじゃないから」

 ここが賑わうのはそれこそ、春先の健康診断の時くらいなものだ。


「で? なんでそんなところに案内を?」

「んー、珍しいかなぁってね。専門学校だと救護室みたいなのはあるだろうけど、建物一戸がってのはないっしょ?」

「まあ、そうですけど……」

 とはいえ、用事も無いようなと、未先ちゃんは首をかしげているようだった。


「さて、じゃーとりあえずぱっぱか行こう。ほれほれ」

 施設の中に入ると、アルコール消毒の独特な匂いがそこには広がっていた。

 そして、ばったりと廊下を歩いている、彼女と出会ってしまった。

 

「おぉ、木戸くんじゃないの。こんな時期に来るなんて、ついに口の粘膜をわけてくれる気になったのね」

「足立先生……さすがにそのネタはヤダよ」

 なんで出会いばなにそんな話をしますか、この人はと苦笑を浮かべると、彼女はまぁ中にお入りと先導してくれた。

 まあ両手にコーヒーカップを持っていたので、扉は木戸が開けたわけなのだけど。


「あれ。珍しいね。木戸君がここにくるなんて」

「あら。清水君だ。休み中にこんなところで会うなんて珍しい」

 談話室のようなところに通されると、そこにはすでに先客がいた。

 先生が二杯コーヒーを入れてたから誰かいるだろうとは思っていたけれど、まさか彼とは思わなかった。


「俺は、ちょいと昔の後輩を大学見学させてる最中。ここも設備は面白いから見せようって思ってさ」

 おまけに足立先生という変人のことも見せておきたいなと思ってね、と言ってあげると、そういう悪いことを言う子にはコーヒー入れてあげないんだからね、と来客のためにコーヒーを再び淹れに行った足立先生が戻ってきた。

 

 手には先ほどと同じく二つのカップだ。これで人数分のコーヒーがテーブルに並んだ。

 

「んで? 清水君はどうしてここに?」

「ちょっと足立先生と相談というか……そろそろ真剣にオペの話をね」

 ああ、とそれだけで木戸はピンときたけれど、未先ちゃんはハテナ顔だ。


「あの……体、どこかお悪いんです?」

 いまいちわからないと言う彼女に、こちらからはフォローは入れずに置く。

 好き勝手話してしまっていいものでもないしね。


「ええと……その、僕はその……心と体の性別が一致しないっていうやつで」

 改めて、どう説明しようかとなると少し戸惑うようで、清水君はたどたどしい説明をしてくれた。

 未先ちゃんは、ふむふむと肯きながら、おぅっと手を打ち鳴らした。


「つまり、木戸先輩のお仲間さんということですか」

「ちがうしっ!」

 自信満々に言い切る未先ちゃんに思わず突っ込みを入れた。


「えー、先輩だって、いろんな性別がぐちゃぐちゃじゃないですかー」

「そこは否定しないけど、俺は別に性転換とかするつもりはないの。別にこのままでいいの」

 つーか、女装は趣味だし、といいきるとみなさんから、呆れたような目を向けられた。

 ええと。なんですかこのアウェーな感じは。


「ってことは、先輩はその……性転換手術? をやろうってことなんですか?」

 さっきのオペって話はそれかーと、未先ちゃんはあっけらかんと言った。

 

「さすが木戸君の縁者だね……こうもあっさりと飲み込んでしまうとは」

「まー、そういう人がいるって言うのは知ってますし、それに……ほら。別に本人達がそれでいいなら私としては何も言うことないですし」

 わざわざ反発するなんて、面倒臭いですと未先ちゃんは肩を竦めた。

 まあ、そりゃ家族がそうなったとか、近くの人がそうだというなら別だけど、ほぼ初対面の人がどうであろうとどうでも良いという考え方も確かに正しいようにも思う。


「んで。胸のオペはもう去年やってたよね?」

「まあね。これで堂々とプールにいけるーとか思ってたんだけど、木戸君ったら全然誘ってくれないし」

 来年こそは是非、と言われてあー、と申し訳ない気分になってしまった。

 正直、いろいろバタバタが続いてしまって、彼との約束が反故になってしまったのだ。


「それは……普通にごめん」

「ふふっ。別にいいよ。来年もまたあるしね。それにほらこの前の夏は大変だったみたいじゃない?」

 呼び出し食らったりとかさ、と言われて、うぅと情けない声が漏れてしまった。

 あのHAOTOの元女マネージャーに呼び出された時の放送を彼も聞いていたのだ。


「むぅ。なんなら来年はビキニでプールいったろーか?」

 デート風味で注目を浴びるが良いっ! と言ってやると、それはそれで面白そうかも、と清水君は苦笑気味に笑ってくれた。


「いづも達には聞かせられない会話よね。絶対あの子、羨ましすぎるーってぶち切れるわよ」

「まー、若い頃に苦労したーって話は散々聞きましたからねぇ。遊ぶ余裕も余力もなかった的なね」

 それを思えば、好きなことに熱心になれるというのは、きっと彼女には羨ましく映るのかも知れない。


「今は今、昔は昔。ぎりアラサーで店の経営やってる子が、何をうらやむのかって感じだけどね」

 あの子もあの子で好きなことやってるんだからそれでいいのに、なんて足立先生は軽くため息をこぼしながらコーヒーに口をつけた。

 ずっとカウンセリングをしてきている身として、いろいろと思うところもあるのだろう。


「あ、いづもさんこの前35になったからアラサーじゃなくて、アラフォーじゃ?」

 ぽそっと突っ込みをいれたら、なぜか足立先生は肩をぽんぽんと叩いてきた。

 アラサーとアラフォーの間を舐めてはいけない、とでもいいたいようだ。

 気をつけよう。


「ま、そんなわけで、オペの話を聞いてたんだよ。かかる費用とかリスクとかね。国内でやるか海外でやるか。どこまでやるか、とかね」

「なんか、全部やろうとすると大変なんだっけ?」

「立ちションとかはちょっと憧れるけど、まー戸籍だけ変えられればいいかなって」

 手術うまくいかないと、壊死したり漏れたり大変な上に、高くて無理……と、清水君はへんにゃりした。

 まー、ぽんとあの金額を捻出できる人はあんまりいないか……


「ちなみに木戸先輩は立ちションとかするんです?」

 どうなんです? なんて、未先ちゃんはぐいぐいと突っ込んだ質問をしてきた。

 もちろん、路上で立ちションはするわけないのだけど。


「うちは昔から座ってする教育を受けているからなぁ。そもそも外で立ちションするとか、ありえるんですか?」

 昭和の時代のおとぎ話じゃないのって思ってるんですが、と年長者にお伺いを立てる。

 正直、カメラを持ってうろうろしているけれど、いままでそういう人を見たことはない。


「……まあ、昭和の時代にはあったわ。おっちゃんとかが路上でおしっこしてるの。いやーほらー、田舎に住んでたし? はいっ、これでいい? 平成っこの諸君」

 くそう、世代差ってぇやつは……こりゃいづもが拗ねるのもわかるわ、となぜか遠い目をされてしまった。

 いや、でも見たことないのは確かだし、昔のことを知っているのは良いことだと思う。

 

「それに最近は小学校とかの男子トイレも個室しかないなんてのもあるっていいますし。座ってするようなしつけをしている家も多いんじゃないかな」

「確かに個室ばっかりのほうが、僕としてはありがたいかな。今の所は多目的使ってるけど」

「ああ、多目的いいよねぇ。どっちの格好してても入れるし」

 安心感が違います、と言ってやると、先輩……と未先ちゃんからなんか呆れ声が聞こえた。

 

「どうせ先輩のことだから、いーっつも女性用にこっそり入ってるんじゃないんですか?」

「んや? 基本多目的があればそこ。無い場合は外見に合わせてるよ」

 さすがにこっちの格好の時に女子トイレには入りません、と断言すると、ホントですかぁ~? とじぃーと不審そうな目を向けてきた。

 うん。とりあえず可愛いので、その姿も撮っておく。


「ホントだっての。犯罪行為で捕まるのは避けたいし」

「でも、女子トイレ使うと?」

「しのさん状態で男子トイレを使う勇気はアリマセン」

 想像してくれたまえ、というと、まぁそうだよなぁとみなさん納得顔になってくださった。


「ふっふっふ。ならば女子トイレに入っていく。Mの写真でも合成しますかね」

「合成しても違和感がなかったらへこむからやめて」

 それやったら素材もうあげないから、と言ったら、冗談ですよーと急に静かになった。


「なんだか二人とも仲良しでいいなぁ。もしかして木戸君の彼女だったりして?」

 こちらのやりとりをほっこりと見ていた清水君は、コーヒーをすすりながらとんでもないことを言い始めた。

 えっと、突然何をいいだすのでしょうかね。


「やだなぁ。木戸先輩と付き合うなんて、無理ですって。うちらはギブアンドテイクの仲なんです。色恋なんていいもんはまったくないですよ」

 そんなこたぁないっすと、こちらが否定するまえに未先ちゃんが答えてくれた。

 まあ、それが正しい回答なのだし。


「ふむ。しかし実際のところどうなの? 木戸君の色恋沙汰というものが聞ければ、私の学会報告資料も厚みを増すのだけど」

「……どうして俺の色恋沙汰が学会報告のネタになるんですか……」

 足立先生の言い分に、こちらも呆れた声を漏らした。

 別に、普通……とは思ってないけど、ただ恋愛の優先順位が低いだけの話だと思う。 


「LGBTってのは結構浸透してきたと思うけど、他にもいろいろセクシャルマイノリティはいるからねぇ。たとえば人を好きにならない人、なんてのもいるのだし。それを体系化して発表するー的なね」

「人を好きにならない……かぁ。うーん、どうなんでしょう? 俺としてはなんというか、ピンとこないだけというか、他にやりたいこといっぱいあるというだけというか」

 実際、現状として、崎ちゃんの件は思いっきり保留状態になってしまっている。

 次に会うときに返事を、と言われているけれど、その時までに答えを用意しておかないといけない。


 正直、土産物屋の時の彼女は、ちょっと驚くくらい可愛かった。

 あれを撮れなかったなんて、本当に残念にすぎるというものだ。


「でも、実際、木戸先輩って高校の頃、男子から告白されたりとかあったわけですよね? その時なにか思うところはなかったんですか?」

「んー、正直、真剣な思いをぶつけられるのって、慣れてないっていうかさ。中学の頃のはほとんどノリっていうか心が乗ってなかったんだけど、アレくらいちょっと真剣になられちゃうと、こっちもちゃんと考えないとってなっちゃったわけなんだ」

 まあ、その結論が、写真優先恋愛は二の次というものに落ち着いたわけだけれど。

 

「それにほら、あれって相手が俺のことを完全に女子だって思った上での告白だったからさ。そういうのも含めてちょっとデリケートな対応をというか」

「って、ちょっと木戸君……話がいろいろややこしくない? どういう生活を今まで送ってきたのさ」

 話を聞きながら、自然にスルーされていたと思ったら、清水君はしっかりとなんかおかしいぞ、というのを感じ取ったらしい。


「どうって、普通に女装して町中ぶらつく生活だよ? んで、そっちで知り合った相手に好意を持たれたといったところかな」

 実際はそれがクラスメイトで友人だったということはさすがに言わないでおいた。

 

「じゃあ、女子からのアプローチは? 木戸君、割とまめだし、眼鏡かけてると地味だけど実はもてそうだと思ってたんだけど」

「う……身長ないし、どっちかというと友達って扱いになっちゃうんだよね。まぁ年末にちょっと女の子から告白されるーという件があって、絶賛悩み中なんだけども」


「まじっすか……その人、木戸先輩の女装癖のこととか全部知った上で告白してきたんですか?」

 まじ、信じられない、と未先ちゃんは目を丸くしてきっぱり言い切った。

 いや、そりゃ自分でも信じられやしませんよ。


「ん。全部知ってる。っていうか、長い付き合いだからね。その上であんなことを言われてしまったら……どうすんべーってな状態かな」

「そういいつつ、他の女子と和気藹々としているあたり、結構な鬼畜ですね、先輩ったら」

 結論先延ばしとか可哀相に、となぜか同情的な声を未先ちゃんに上げられてしまった。

 あれですか、これが女子同士のシンパシーというやつなのでしょうか。


「しゃーないじゃん! 合作の話は前から詰めていたんだし、ユニコーンと聖女は早く見たいもんっ」

「もんっ、じゃないです。どうしてそこで女声に自然となるのかな、この人は……」

 まあ、私もユニコーンの加工はやっててちょー楽しいですけど、と頬を軽くかく。

 なんだかんだで、未先ちゃんもこっち側じゃないのさ。


「ま、あっちも忙しいし、次会うときがいつになるのやらってとこですかね」

「ほー。じゃー彼女と上手く行ったら是非報告をちょーだいね」

 学者として、とっても興味あるので、と白衣姿の足立先生に熱心にそういわれてしまうと、はぁと深いため息をつくことしか、木戸にはできなかった。







 とある夜、彼女は出先でアルコールを大量に飲んでいた。

 地方での若手芸能人の売り込みをして、新幹線で事務所に帰る途中に、新幹線でブシュっといったのである。


 今回の仕事は特に疲れた。

 どうやって売れば上手く定着するのか、いまいちわからない若手達。

 それの手を引いてやらないといけないのだ。


 そして驚くほど先方の印象も悪い。HAOTOのマネージャーをやっていた時はオファーが次から次へとやってくるというような状態だったというのに、今では平身低頭、とにかくねじ込むのが大変な毎日なのだった。

 

「これもそれも、全部あいつが悪い」

 そのまま直帰しても良かったのだけど、ふと事務所に足が向いた。

 社長が残っていたらぶつくさ文句を言ってやるつもりだったし、誰もいないのならヤツの弱みでも見つけられないかと思ったのだ。

 

 今、再びHAOTOのマネージャーをやっているあいつのデスクに悪戯するだけでも気持ちは少し晴れるかも知れない。

 とにかく、今、こんな気持ちのまま家に帰っても、ゆっくり休めるわけはないと思ったのだ。


 入り口にいる警備員に社員証を見せると事務所がある階へエレベーターを使う。多少酔っ払っていても気にせずに入れて貰えるのは、仕事先で接待などもあったりするからだが、ここまで酔った状態で彼女が会社に来たのは初めてだ。

 他の会社だったら、酔っ払って仕事なんてしたら首だろうな、なんてこともちらりと思いつつ、事務所のある階についた。


 明かりは、ついていない。

 正直、時間が不規則な業界なので、この時間でも残っているのがいることもザラにあるのだけど、今日は誰もいないようだった。


「ほんと、ひどい。ひどいひどい。どうしてこんなことになったのか」

 もう限界だった。一度上の方の味を知ってしまっている今、売れない新人の相手をするのがとてつもなくおっくうだ。

 

「全部、ヤツのせいだ……あぁ……社長の席の一番そばなのもむかつくっ。なんであいつばっかり」

 酔った勢いというやつだろうか。

 思い切り机をぐーで上から殴った。拳をたたきつけたと言った方がいいだろうか。

 ガゴンと音がなるとともに、いたぁと、拳の方にも痛みが来た。

 お酒がはいってるせいもあるのだろうか、じんじんとした痛みが拳に広がる。


「くぅ、ほんと踏んだり蹴ったりよ……」

 それは自業自得というのだが、彼女の辞書にそんな単語は載っていない。

 無造作にデスクの引き出しを開けると、何か面白そうなものがないかチェックしていく。

 残念ながらパソコンはデスクには置かれていない。彼は外に持ち歩く派だ。

 それに、指紋認証なんかもかけて保護をしているらしい。

 

 出来るやつアピールなのか知らないけれど、異常に大切な情報は保護するやつなのだ。


「なんだこれ、飴?」

 引き出しに入っていたのは、飴や、携帯用食料などだ。

 普通、紙の資料とかをいれとくもんだろと思うものの、そんなことは無いらしい。

 食べ物に、あとは週刊誌か。すっぱ抜かれたりということもあるから、チェックをしているらしい。

 ここにあるのは、最近のもの数冊と、HAOTOがスキャンダルを起こした時のもの。


「電卓やペン……当たり前なものしか無い」

 もっとこう、いかがわしいものでも入っていれば、嫌がらせの一つも出来たのだろうが……

 どこまでいっても出来る男というような整理されたデスクに、逆にむかむかしてきた。

 別に呑みすぎて吐き気がでてるわけではない、きっと。


「ああぁ、もう! なにかないかしら」

 思い切り今度は、パーでばんばんっ、とデスクを叩く。

 当たり前なことなのだが、掌がじんとしびれて痛くなった。

 けれど、その行為は彼女に一つの転機をもたらすことになる。


「SDカード?」

 ん? と、テープがはられたそれが引き出しに現れたのに気付いて、彼女はすぐに手に取った。

 まるで隠すかのように、デスクの引き出しの上側にテープで貼られたカード。

 ラベルには、極秘とだけ赤く書かれてあるだけのそれを見て、衝撃が走った。

 こんな風に隠すデータとはなんだろうか。

 もしかしたら、なにかとてつもないものが入っているのではないだろうか。


 すぐに自分のデスクに向かってパソコンを起動。

 カードを入れてたった一つだけ入っているフォルダを開こうとした、その時だ。

「パスワード……」

 そこまで厳重に保管しているのだ。物理的に隠す以外にもこういった対策をしていないはずもない。


「あいつのパスワード……HAOTO、違う、じゃあ、メンバーの名前、これも違う」

 それからいろいろなのを試した。仕事関係の今までのことなども含めてだ。

 それでもひたすら、パスワードを入れてくださいの画面が出続ける。

 キャッシング関係みたいに三回間違えたらダメ、ということではないのだけは助かる。


「あああ、もう。なんなのよ……あいつが好きな食べ物……とか? ええと、なんだったかな、ぼっかけ牛丼……と、通った……」

 さすがにこれは無いだろうと思って入れたら、なんか通ってしまった。

 最悪、プロの手を借りてロックを外すことも考えたものの、それでも自力でなんとかできたのは純粋に嬉しい。


「ムービーファイル?」

 そして、現れたそれを再生してみて、彼女はにまりと、これだ……とつぶやいたのだった。


今回は書くのホント時間かかりました。なんか集中できなかったというか。

足立先生久しぶりだなーとか、清水くん胸オペおわってんのに、地味にあんまりからんでないよなぁーとか。体育の授業では実はいろいろやりとりあるんですけどね。


あとは、立ちションネタを持ってきてみました。確かに最近立ちションしてるおじいちゃんとか、存在しないよなぁとしみじみ思ったものです。


そして、最後のおまけ分は失脚した彼女の現状というやつでした。いちおう未先ちゃんもかかわるから、ここで公開というところで。

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