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366.イケメンモードといづもさん2

「そして、向かった先は、水族館とは……いづもさんも割と乙女ですね」

「仕方ないじゃないの。木戸くんのエスコートだと、公園とか山とか森とか、ちょっとときめかないんだもの」

 もーちょっと君は、乙女心というものを……っていうかただ貧乏性なだけか……と、いづもさんが遠い目をしていた。

 いや、まあ。確かにお金がかかる遊びというものをあまり知らない身なのは自覚している。


 いわゆる、若者が遊ぶ場所、というところにとことん縁がない。

 特にデートでくるような場所なんかは顕著だ。だって撮影禁止な場所多いんだもん。

 それもあって、青木と付き合うかどうかも、断ったくらいなわけだし。

 映画館、プラネタリウム、水族館、遊園地。そこらへんに行くよりは、町歩きとか山や海や森といった自然な所のほうに走ってしまいがちだ。


「いい? 女の子をエスコートするのなら、こういったデートスポットも覚えておかないとダメだからね?」

「……そういうお相手は今のところ居ませんってば。まー、女装の方でスキスキ言ってくる相手はいますが」

「ホントに? 今のかっこしてたらすぐにでも出来そうだけど」

 えぇ、と不思議そうな声を上げられてしまったものの、実際そんなに女子にもてた経験というのはない。

 姉様達がくっつけようとしてた真矢ちゃんだって、結局はルイさん好きになっただけだったし、結局は女同士の付き合いになってしまうのだ。


「珠理ちゃんなんかはどうなの? 月一くらいでうちに来てくれてるけど、日に日に大人の色香っていうか、すっごい美人さんになってるけど」

「あれは友達ですって。それに俺だって日に日に美人になるってよく言われますよ?」

 男としては一ミリも育ってないとも言われますがね、とぷぃとそっぽを向きながら言うと、イケメンモードは育ってる証拠だと思うけど、と返された。

 この姿をすれば確かに多少は、男っぽくも見られるのかもしれない。


「ま、まぁ、別にそう思ってるなら別にいいわ」

 誰かを応援するのもフェアじゃないし、とぽそりといづもさんは呟いた。

「それより、いづもさんこそどうなんです? その歳まで恋愛経験なし、とか言わないですよね」

 暁人さんとか? というと、アレはなぁと、遠い目をした。

「あいつは、戦友って感じだから、恋人じゃないわね。あとは……あ。ちょっと苦い思い出が」

 あう、といづもさんが少ししょんぼりしているようだったので、すいと、黒飴を差し出しておく。

 甘いものが入れば落ち込んだ気分も、すっきりさわやかなのである。

 うん。おばちゃんの知恵というやつでありますね。


「うぅ。自分で買うには甘すぎるけど、もらうと嬉しい味……」

「で? 苦い思い出って? 差し支えなければどうぞ」

 あんまりつっついて欲しくないなら無理してききだそうとは思わないけれど、話してくれるなら後学のために聞いておこうかと思う。千歳とかが直面するかもしれない問題もあるかもしれないしね。


「十年以上前の話なんだけどね。出会いがないから、出会い系にいったら同性愛者扱いされてさ。あたし別にノーマルなつもりなんだけど……」

 ま、あたしが若かった頃なんて、性別を変えるって概念自体がろくに浸透してなかったからなぁ、と彼女は苦笑ぎみに飴を口の中で転がした。

 ふむ。でもそれはあくまでも昔の話でしかない。今のいづもさんを見ている限りなら、これで男扱いする人はそうはいないだろう。


「なら、普通に町中で出会うとか、街コンとか行っちゃえばいいじゃないですか」

 今なら大丈夫じゃないですか? と言ってやると、ううむといづもさんは眉根にしわを寄せた。

「……まあねぇ。仕事中はほっとんど女の子しかこないわけだし、そういうところ行かなきゃよね……」

「乗り気じゃなさそうですね」

 ほら、結婚したいなら婚活しないとですよ、と言うと、うぅんと煮え切らない返事がきた。

 三十過ぎると婚活というのが世間的に話題になっていたりする。

 いづもさんはもう性別変更が済んでいるのだし、別に構えずに普通に出会って、普通に話して、気があう相手を見つければいいのではないだろうか。


「だって、男の人としてはさ、若くてちゃんとやれる相手がいいんでしょ? みんなエロゲ脳全開なんでしょ? もー、はあはあちゅっちゅしたいんでしょ?」

「いづもさん……さすがにそれはうがった考えじゃあないですか? 紳士的な人いっぱいいますよ?」

 いきなりいづもさんからはっちゃけた話がでたのでつい驚いてしまった。ま、それだけ遠慮がない相手と思われてるってことなんだろうけど。


「……うぅ。それはる、かおたんの周りに集まってくる男たちがいろいろ自制できるいい子たちばっかりだからじゃないの?」

 って、どうしてイケメン相手に、こういう話題をしているのか……と、呟かれてしまったものの、それもしかたあるまい。そういう話題の流れなのだもの。


「実は我慢してるだけで本心としてはいろいろ思ってる、とかいいたいんですか?」

「そりゃそーでしょ。二十歳前後の男子なんてもう、やりたくて仕方ないんだから。入浴シーンとか、エプロン姿とかいろいろ想像して、はぁはぁしてるわよ、絶対」

 絶対、というところがなぜか力が入っていたのだが。うぅん、いまいち彼らがそんなことを思ってるとは想像できないなぁ。青木とかならまだわからないでは無いんだけど。


「木戸くんこそ、女の子見て、はあはあしたりしないの? まーあたしを見てそうなれとは、口が裂けても言えないけど」

 自分の事くらいわかってますよーだ、と拗ねたような声が漏れたのでカシャリと一枚。


「いづもさんは表情暗くならなければ十分魅力的だと思いますヨ。ただ、いわゆる女子を見て興奮ってのはわかんないかな。萌えはするけど被写体としていいね! って感じ」

「……なかなか重傷ね……ま、そんな木戸くん相手だから、リラックスして遊べるってところもあるわけだけど」

 だから、女の子集まって来ちゃうんだろうなぁなんていういづもさんの台詞に苦笑を漏らしながら、とりあえずエレベーターに乗った。


 本日向かう水族館は、なんと地上40mにあるところ。都会のど真ん中に現れたその水族館はデートスポットとしてもそこそこ人気があるところだ。

 数秒でエレベーターが止まると、少しだけ耳の調子が悪くなった。

 こくんとつばを飲み込むと違和感もとれる。エレベーターでよくあることである。


「いづもさんは水族館、良く来るんですか?」

「そうねぇ。実はけっこう久しぶりよ。前に来たのが六年前くらいかな。そのときは暁人さんと太平洋の方に遊びにいってね。彼が設計した家が評判いいっていうんで、お祝いに旅行でもいこっかってなってさ」

「へぇ。海に一緒とか、リア充ですねぇ」

「貴女たちだって、前に海に行ってたじゃない? プライベートビーチとか羨ましすぎよね」

 うん。あのときの海は確かに楽しかった。

 今度はエレナパパもあわせてあそこで遊べるといいかなぁとは思うし、ほんとすごく良いところなのだった。

 父様同士もけっこう息が合うようだったしね。


「水族館って撮影オッケーなんでしたっけ?」

「ああ、それはそうね。光に弱いのとかもいるだろうから、フラッシュは禁止って書いてあるところもあるみたいだけど」

 なるほど。撮影自体は水族館の写真をアップしてる人もいるからオッケーなのは薄々わかっていたけれど。

 水槽の方にフラッシュというのは控えるべし、ということはまあ、そうだよねって感じだった。動物を撮る時は基本的に刺激を与えるのはダメなのである。


「よっし。じゃーチケットはおねーさんが買ってあげよう」

「えええ、それくらい出しますって。今日はデートなんでしょ?」

 いくらなんでも、女性に全部はらわせるっていくらなんでも、というと、おぉ、あの木戸くんがあああ、となぜか思い切りおおげさな反応をされてしまった。

 いや、だって、そりゃ素直に奢られるときは奢られるけど、こういうとき、くらいはさ。

 お財布を出しつつ、まばらで人があまりいないチケット売り場に向かう。


「デート……ふふふ。デートかぁ。なんかいつの間にか世間話とかしちゃったけど、イケメンとデートっていうシチュなのは間違いないのよね」

 ふふ、といづもさんはちょっとだけ嬉しそうにはにかんだ笑みを見せた。

 うんうん。やればできるじゃないですか。


「でも、二人分をってのは厳しいので、各自でよろしく」

「……本気で彼女を初デートに誘うときはその貧乏性撤廃でよろしく」

 ポーズだけでも嬉しいものだからね、と言われるものの、そういう未来がくるのかといえば悩ましいところだ。

 とりあえず高校生以上は大人扱いということなので、大人用チケットを二枚購入する。

 受付のおねーさんがこちらの二人を、なぜか微笑ましそうに見ていたのだけど。

 その歳で親子で来てるの? とか思われたんだろうか。


「いづもさん、あんまり恋愛経験がないっていうわりに、いろいろな作法を知ってますよね」

「どーせ耳年増ですよーだ」

 ふふふ、と笑ってあげると、いづもさんはぷぃとそっぽを向いてしまった。

 年齢にそぐわない仕草が新鮮で、ついシャッターを切ってしまった。


「ま、ジェンダーバイアスだってのは、わかってんのよ。男女平等の昨今で、男が奢らなきゃいけないってのは、古い価値観だって思うんだけど……頼るとか、そういう感覚が大切っていうか」

「面倒臭いもんですよね、そういうの」

 まあ、木戸くんにはあんまり期待してないけどねー、と言われてしまったものの、その、おごり奢られっていうカップルのアレは、正直面倒くさいな、と思ってしまうのは事実だ。


 もちろん、そう言ってくれる相手には、お願いしますと言うけれど、かといってこっちで大盤振る舞いをしようとするのは、あまりできるとは思えない。

 いままでそんなシチュエーションなんてほとんどなかったわけだけれどね。

 そもそも私生活で男子として外に居ることがないし、これからもそういうのはないような気がする。

 せいぜい、ルイとして後輩にちょっと大盤振る舞いをするくらいが限界である。


「男の子が、そうしたいなら、任せる。それでいいのかなって、あたし(、、、)は思いますけどね?」

 にひりと、そんな台詞を女声で言うと、もー、といづもさんに膨れられてしまった。

「もぅ、今日はイケメンモードでって話だったのに、どうしてそこでその声だしちゃうかな」

「実感としてその問題に対応できそうなのが、あっちだっただけですって。俺、男として女子になにか奢った経験ないですし」

 さくらにコロッケをプレゼントしたのは、ルイでだった。

 それを考えると本当に、そういうイベントとは男としては無縁なのだった。


「んじゃまー、水族館入りましょ。あんまり遅くなるとしまっちゃうし」

 ちらりと時計を見ると、そろそろ四時半になろうか、というところだった。

 この水族館が六時までだから、滞在時間はかなり制限されてしまう。

 うぅん。これでナイト料金とかじゃないのはちょっともったいない気もするけれど、残り時間で十分楽しませていただこう。


「そうねぇ。じゃ、室内を先にするか屋外を先にするかはエスコートお願い」

 さぁどうくるかなぁ、といづもさんはにやにやしながらこちらの動向を見守っていた。

 この水族館は一番最初の道を右に行くか左に行くかで、屋内と屋外が分岐する。

 まわる順番はもちろんどちらでもよく、お客次第ではあるものの。


 さぁ、この二択はどうしようか。ううむと悩んでから、答えをだした。


「じゃあ左、屋外を先にまわりましょっか」

「えっ、木戸くんったらどうしちゃったの? てっきり中が先だと思ってたのに」

「明るいうちに普通に撮影して、あとは閉館間近に空が明らんだ頃を狙って、夕陽で少し赤みがかったのも撮りたいかなって」

 それくらいの意味です、というと、ああ、あなたはそういう子よね、といづもさんががっかりと肩を落とした。

 はて。デートという名目ではあるものの、せっかくの水族館だ。

 海の生き物をしっかり撮って置きたいと考えて特におかしいことはないはずである。


「いちおう、言って置いてあげるけど、カメラに夢中で彼女ほっぽらかしになると、デートとしては最悪だからね。残念イケメンって言われるから」

「残念美人とはよく言われますけどね。かといって撮らないっていう選択肢もないわけだし」

 折衷案としては彼女も一緒にフレームに収まってもらう、これでしょうか? というといづもさんは少しだけ、うぅっ、と体をびくりとさせた。

 

「ま、木戸くんの相手になろうっていう子なら、写真に写れる子って条件がつく、か」

 それなら問題なし、なのかな、といづもさんはなぜか意味深につぶやいた。


「んじゃま、行きましょっかね」

 綺麗に撮ってあげますから、ほら、ペリカンとかペンギンとかに癒やされてくださいな、と声をかけつつ。

 木戸達は左の屋外の展示の方に歩を進めたのだった。



「……おおぉ。ファンシーですねぇ」

 水族館をとりあえずぐるっと回って、さ、サメがーとか、海月がふわふわしとるーとか、マンボウいるね! ひらたいーとかいいつつ撮影を続け、堪能したあと。

 最後になって、木戸ははわぁーとついふわふわした声を上げていた。


 だって、目の前にお土産売り場があるのだから、そりゃあ変なテンションにもなるというもので。

 水族館にあるこのスペースに置かれてあるものといえば。


「イルカに、タコに、サメにカメかー。まーかわいいけど、ファンシー大好きな男子って、デート中はちょっと引かれるから注意ね」

「えー、いいじゃないですか。かわいいは正義なんですから」

 さわさわとイルカのぬいぐるみを撫でていると、えぇーといづもさんに微妙な顔をされた。

 でも、このさわり心地といい、ちょうどだっこするとぎゅむっとできそうなサイズといい、これを抱っこしている時点で表情が緩むのはしかたないと思う。


「キーホルダーの方に走った方が女子評価は高いと思うけど」

「そして家には、お菓子類、ですか?」

 はわーと、イルカさんをだっこしながら、並んでいる商品を頭に思い浮かべた。

 基本的には水の生き物の関連商品なのだけど、キーホルダーだったり、ご当地のイメージでつくったクッキーなんていうのも並んでいる。

 確かにキーホルダーとかのほうが、スタイリッシュなのかもしれないけれど、ぬいぐるみをデートのお土産でやりとりするのもありかと思う。


「ところで、木戸くんの家にはぬいぐるみわんさか、なんてことはないわよね?」

 ちょっとその緩んだ表情を見てしまうと、部屋がどんだけファンシーなのか心配になってしまうわ、と彼女はため息をもらした。

 えええ、可愛いは正義なのに。


「いちおう、一羽だけですね。うちの部屋、ファンシーなんてことはなくて、かなり殺風景ですよ。デスクとパソコンと、本棚と。あとはベッドがあるってくらいで、ほめたろうさんは棚の上にちょこんと鎮座しておいでです」

「そっか……なんかちょっと意外かも」

「きほん、写真自体はパソコンの中とブルーレイの中ですしね。あ、でも昔に撮った銀杏の写真は額にいれてかざってありますけど」

「うん。正直、さっきの表情みてて、部屋が思いっきりメルヘンな感じで、天蓋付きのベッドとかで、ふあぁってあくびして目を覚ますルイの姿が浮かんだわよ……枕元にはぬいぐるみいっぱいで、朝でかけるときには、全部の子の頭をなでてくみたいな」

 部屋は当然ピンクベースね! と言い切られてしまったけど、残念。木戸の部屋はそんなに明るい色はしていない。


「でも、そう見られちゃうってことは、やっぱこのイケメンモードもダメじゃないですか? ちょっと表情緩むとそう思われるって」

「そこは緩ませない、で行けばいいじゃないの。っていっても無理だろうけど」

 いまだ、イルカのぬいぐるみをわしゃわしゃやっているのを見て、いづもさんは再び盛大にため息をついた。


「ま、次、町中歩くときは普段の黒縁眼鏡か、女装を希望です」

「そうね。もーなんの気兼ねもせずに、可愛い格好してくればいいじゃない」

 それならぬいぐるみもふもふしても全然違和感ないだろうから、と、いづもさんは周りにちらりと視線を向けた。

 それにつられるように視線を周りに向けると、なぜか二十代であろうお姉さんたちと視線があって、そのままふいと視線をそらされつつ、蜘蛛の子をちらすようにわたわた別のものを見に行ってしまった。


 えっと、いままでの見られてたってことか。

 別に最近は、乙女系男子もいるのだから、ぬいぐるみさわさわしてたくらいで、そんなにじぃっと凝視しなくてもいいと思うんだけど。


「さて。それでどうする? なんこかお持ち帰りする?」

「んー、残念ながら、うちにはでっぷりした鳥さんがいるので、追加はなしですね」

 集め始めると部屋がほんとファンシーになって親に怒られるのです、と肩を落としていると、んー、といづもさんは何かを考えているようだった。


「んじゃ、わたしはちょこっと買い物してくね。従業員にいろいろ買っていって上げないと」

「おぉ、さすが経営者。従業員の士気をあげるために大変ですね」

 そういうのじゃないっての、といいつついづもさんは買い物に向かっているようだった。

 こちらはこちらでぬいぐるみを堪能するだけだ。

 ほんっと、どうすればこれだけデフォルメできるのかというくらい、動物のぬいぐるみって本物と違うのにそれらしい特徴はあって、おまけにもこふわで可愛いのがたまらない。


 ほんと、撮影OKなら、ばしばしとっていくというのに。さすがにお土産コーナーは禁止なのだった。


「おまちどー。とりあえず水族館のおみやはこれでおっけー。あと、これ、木戸くんに」

 まだ夜まで付き合ってもらうけど、今わたしちゃおうと言われて差し出されたのは、小さい白い紙に入ったものだった。

 そんなに大きくは無いけど、ちょっともこっとしているものだ。

「開けてもいいですか?」

「どうぞどうぞ」

 とりあえず店の外にでてからね、と言われるころにはもう、ショップの外である。

 かさりと袋をあけると、中からは、白いなにかが姿を現した。


「うわぁ、これ……イルカさん?」

「うん。おっきいのはダメって言ってたから、携帯ストラップサイズならいいのかなって思って」

 そこに現れたのはつぶらなおめめをしている、小さなイルカさんのぬいぐるみだった。ちゃんとひっかけるようのチェーンとか、わっかがくっついているので、キーホルダーやストラップという扱いになるのだろう。

 でも、小さいけれど十分にあいらしい顔つきをしていて、ひたいのあたりを撫でると心地よい感触がかえってきた。

 木村のクマさんのさわり心地も好きだけど、こちらも極上である。

 しかも、クマさんはルイオリジナルなので、男状態だとあまりつけてられないけど、こっちだったらあるいは……とちょっとごくりとしてしまった。


「ま、まあ、そろそろ閉館時間だから、夕ご飯食べに行きましょうか。なにかリクエストがあれば探すけど」

 こちらがよっぽど嬉しそうにしていたからなのか、いづもさんはちょっと照れたように視線をそらしながら別の話題を持ってきた。

 たしかにそろそろ水族館にいれる時間は終わってしまうので、正しい話題ではあるのだけど。


「そこは、リードするのが男の子ってものだって言わないんですか?」

「もう、いいわよ。さっきみたいな表情みせられちゃったら、リードがどうのってより、一緒に楽しむ方向でいいやって気になっちゃったわ」

 あの子がこの境地にたどり着ければあるいはワンチャンあるのだろうけどねぇ、と呟くいづもさんにこちらは不思議そうに小首をかしげた。


「んじゃ、そうですね。たまにはイタリアンでもいかがですか?」

 ピザ食べたいかも、というと、じゃーそれで探しましょうといづもさんはスマートフォンをいじり始めた。

 まだまだ解放はされなさそうだなぁと思いつつ、携帯にイルカさんをつけると、つんつんと口のあたりをつついてほっこりした笑顔を浮かべる木戸なのだった。

 ショタイケメンは二十代女子にとっての垂涎だと思います。私も大好きです。でも交際するなら男らしい人の方がいいってみんな言うの! 


 そして水族館! 作者さん水族館はあんまり行った経験がありませんが、海月とか見てるとほわーってなります。ちょっと涼しかったりとかもするし、ドルフィンショーとかもよいです。

 え。一人では行ったことないですよ? デートですよ、デート。ふっふっふ。リア充ですよ?

 そして街コンの話は、聞きかじりです! さすがに彼氏持ちでそういうの行くの良くないですしネ。

 でも、実際子供できないって話はマイナス査定されるんじゃないか? という風に思ったりはしますよね。結婚斡旋所とかって実際どーなってるんでしょうか。


 さて。それはともかく次話は、番外編をやるか、木戸さん大学で体育の授業を受けるか、悩み中です。なるべく今日書きためをしないと……

 

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