表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
352/794

340.劇団の撮影4

ようやっと、劇団編のラストです。冒頭は舞台の主役さん、まんなかルイさん、ラストは澪視点でお送りします。

 私の名前は吉祥寺 梓。劇団で今回は主役を射止めることができた、

 さて。今日は練習の間にちょこちょことカメラを持った小娘がうろついていた。


 話はたしかに聞いていた。

 練習の風景や、ポスター用の素材を撮りに来るのがいる、と。

 煩わしいとは思うけれど、格安で受けてくれるならしょうがない、というのはわかってる。

 でも、それがまさか、珠理奈さんお気に入りのカメラマンだ、というのは知らなかった。


 え。珠理奈さんは年下だけれど演技派の先輩だ。

 正直、自分がこの業界にいるのも、美少女コンテストにでて優勝している彼女の輝いている姿を見たからだ。

 あんな風になりたい。その一つの方法が演劇という道だった。

 だって、私は彼女ほど可愛くもないし、両親だって普通の会社員だ。

 中学の途中から演劇を初めて。そして思い切りその世界にはまった。

 

 彼女が出るドラマは全部チェックしたし、舞台も出来るだけ見に行った。

 日に日に育っていく彼女を見ながら、それになんとか追いすがろうと頑張ってきた。

 ついて行けたか、と言われたら、イエスというのはおこがましいだろう。


 崎山珠理奈は天才だ。

 神に愛されていると言ってもいいだろう。可愛いだけの人なら、いくらでもいる。

 最近はメイク技術だってそうとう高まっているし、美容整形っていう手段もある。

 でも、可愛い上に演技もしっかりしていて、見る人を引き込んでしまうのは、才能としかいえなかった。

 もちろん、努力はしてるのだろう。でも、同じ努力を自分がしたとして、同じになれる未来がまったく見えない。


 そんな彼女のお気に入り。

 それがどんなものなのか、というのは気になった。

 彼女の写真集は出るたびに購入しているけれど、それぞれの年齢で最大のポテンシャルがでていると思う。

 スタイルも良いし、表情だってたまらない。

 でももちろん、ルイがそれを撮っているわけではない。

 なら、その実力は、というのは気になってしまってもしかたないことだろう。親友だとか、友達という側面ばかりが表にでているけれど、カメラマンと女優だ。そっちで意気投合してというのは嫌でも想像する。


 さて。それで先ほどまでの撮影風景を見つつ、出来た写真を見たわけだけど。

 

 ちょっと拍子抜けをした。まあ綺麗な写真は撮ると思う。

 そりゃ、プロっていわれてもわかるなっていう写真だ。

 カメラがいいってのももちろんあるんだろうけど、練習風景がしっかり切り取られていた。

 でも……うん。これくらいなら、撮れる人はいっぱいいると思う。

 あとは、選別眼がすごいのかも、というのもある。

 最近のカメラマンは、デジタルになっているので枚数をひたすら撮ってそこから選ぶという話を聞いたことがある。

 そこらへんを加味しても。

 

 珠理奈さんに認められるほどのなにか(、、、)があるとも思えなかった。

 友人というだけというなら納得もするけれど。珠理奈さんに限って、友達だから不十分な人に仕事を斡旋すると言うこともないだろう。


「はーい、では着替えも終わりましたし、そろそろパンフレットの素材を撮らせてもらいます。全部で12人でしたっけ?」

 石毛団長にルイさんがちらりと問いかける。

 そういう仕草も可愛らしくて、そういうところもちょっといらっとくる。

 あの珠理奈さんが、見た目で友達を作るとは思えないけれど、撮影者側とは思えない容姿もこちらとしては反感の一つである。


「一人ずつ撮ってもらうとして、誰からいくかな……」

 いちおーメインキャスト五人は、長めに時間とるからな、という宣言に、私は手を上げなかった。

 ルイに撮られるにしても、まずはどんな風に撮るのか様子見をしたかったからだ。


「じゃあ、俺! 今絶好調の俺ってことで!」

「あー、じゃあー、背景は合成するんで、ブルーシートはった前でな」

 一番最初に手を上げたのは去年入った名輿くんだった。いちおう成長株といって良いだろうか。準主役を一年で射程圏にいれているのはさすがといえる。

 私はそこまで一年半かかった。


「それじゃ、名輿さん。ばんばん話しかけますから、いっぱい答えて写ってくださいね」

 うきうき、というのだろうか。先ほどまでもにまにましながら撮影してはいたけれど、ここまで彼女のテンションは高くなかったような気がする。


「大正ロマン、ということですが、舞台はいつ頃なのでしょうか?」

「ああ、大正三年から七年あたりが舞台なんだ。西洋と和が邂逅するというような感じで」

「では、その中で、きよしさんの立ち位置を教えてください」

 カシャリと、質問をしながら、自然体で話している姿を写していく。

 特別ポーズを要求したりというのはないらしい。


「俺の役は、主人公の夫の兄だな。主人公であるかずみに密かに恋心を抱いていて、でも強引に行くのも良くないって考えているわけだ。洋風な考えというのに憧れを抱いているからね」

 そこはシナリオに書かれている事柄だった。

 今回は新しいシナリオ見習いもいるということで、いろいろと意見を出し合って作り上げた芝居である。

 きちんと台本を読み込んでいる証拠に、彼はあっさりと答えたのだった。


「きよしさんって、ご飯派ですか? それとも外国っぽくパン派ですか?」

 朝ご飯何食べてきました? と聞かれたところで、名輿の表情が固まっていた。

 そんなんしらんがな、という感じだ。


「シナリオは読ませていただきました。なので、ちょっと疑問に思ってたことを聞いてみただけなんで、まあ、わからなければ、スルーしてしまってもいいですよ」

 答えられることだけ、答えてくれれば、と言われても、もちろんそれで済むはずがない。

 一個気になりだせば、どういう解釈にするのか。ここにいる連中なら突き詰めてしまう。


「ご、ご飯派だ。そりゃ西洋に憧れはある。あるんだが、まだその時代はパンはそんなに食べられてないからな」

 危なっかしいものの、なんとか答えをたぐり寄せることができたらしい。私もその回答で正解だと思う。

 パンが主に全国的に食べられ始めたのは戦後になってからだ。もちろんパン作りが盛んな町というのはあったそうだが、この舞台になっている町にその設定はない。


 ほっと一息入れてるところをカシャリと何枚か撮影。いったいどんな風な顔になっているのだろうか。

 というか、こんな写真撮って、実際ポスターになるのだろうか。


「いい顔ですね。さぁきよしさん。じゃあ、お庭で飼ってる鶏さんについての質問です。卵かけご飯には七味派ですか? 一味派ですか? 味の素は……いちおう発売されてるのかな」

「どうして飯ばっかり!」

「ほら、いいからっ。役に入ってるのなら答えられるでしょう?」

 ほれほれ、と言われて、うぅと彼は弱いうめき声を漏らした。うん。わかる。わかるよ。

 そんな質問をされたら、私だって嫌だ。そりゃ、かずみの趣味嗜好とかは掘り下げてあるから、ある程度なら答えられる自信はあるけど、端役の子とかはなんか表情がとことん暗い。

 あんなん聞かれるのかよというつぶやきまで聞こえるほどだ。

 あー、あれがルイ先輩の本気かー、と一人のどかな声を上げてるのもいるが。

 

「きよしの実家が香辛料なんかを扱ってるんだ。で、きよしはそれを心よく思ってない」  

 だから、一味を入れて食う、と宣言をしたところを、にんまりしながらカシャリと撮影。

 ……あれ。何気なく質問してるかと思ったけど、これってもしかしてシナリオ読み込みまくって質問してる?

 きよしの実家の設定は知ってたけど、シナリオじゃ一行しかでてきてないのに。


「家への反発と、海外への憧れっていうのは、連動してると思います?」

「もちろん。あんな旧態依然としたところなんて願い下げだっ」

「はいっ。いい顔いただきました」

 よしっ、と可愛い唇が動いたのが見えた。

 きっと、きよしとしての顔がしっかり写せたのだろう。

 

 悔しいけれど認識を改めなければならないのかもしれない。

 かわいいだけの普通のカメラマン、なだけじゃ、珠理奈さんに気にされるはずがない。

 そのあとも、きよしとして撮られていく名輿くんは、撮影が終わったあとぺたりと床に座りこんでいた。

 ちょっと、知恵熱でも出てるのかも知れない。

  

「じゃー、次の方! 立候補はいませんかー?」

 澪っち来てもいいよー? とあまり手が上がらないところで彼女は後輩に声をかけている。

 みんな、二の足を踏んでしまうとは情けない。


「みんながやらないなら、私お願いするわ。主役のかずみを演じます」

 さぁ勝負だ。私は洋服に身を包んだその身を、彼女の前に差し出したのだった。




「ああ、楽しい。ほんっと、プロの劇団員さんってすごいですね! 崎ちゃんとか蚕くんとか撮ってても思ったけど、打てば響く感じでたまりません」

「いやぁ、結構みんな死屍累々って感じだけどね」

 ルイちゃんの相手をしただけにねー、と冗談をいう団長は、もうちょっと真面目に稽古しよと顔を背けた。

 今回の彼は演者としてではなく、監督に近いような立場だ。

 

 いちおう、ちょっとは……自重を……いえ。すみません。全然。これっぽっちもしませんでした。

 好きにやりました、はい。

 だって、みなさんプロなのだもの。レイヤーさんと同じかそれ以上の熱量でその役を好きで、知り尽くしてないとじゃない?

 だったら、レイヤーさんに触れあう以上にいろいろと質問をぶつけたくもなるじゃない?


 シナリオを読ませていただいたときは、大正ロマン風の悲恋だ、というのでその舞台背景の方に正直ときめいた。

 悲恋、に関してはまぁ、ふーんってなってしまったけどね。

 なので、衣装の出来だとかに関しても、それぞれにきいてみたりもした。

 いちおう、主役級の人達と他の人達では質問も変えたよ? 澪は本人が笑顔で何でも聞いてくださいね♪ というからしんそこべったり粘着したけれどね。


 最初の人はちょっとしどろもどろになったけど、まあいい顔は撮れたと思う。

 そしてお次の主役の女性の方。

 この人は、真面目な人なんだなぁというのがとてもよくわかった。

 シナリオ上にある設定の把握はもちろん、かずみの癖とか、性格までよく作り込んでいた。

   

「なんか、けっこう公開前なのに無茶な質問ばかりしちゃったかなぁと少し反省です」

「いや、いいよいいよ。答えられなかったときのフォローはさすがだなって思ったし」

 石毛さんはぶつぶつ呟いている劇団員を見ながら満足そうに頷いていた。


 うん。いちおう、いつものレイヤーさん撮影の時と同じく、役を掴みきってない人に対しては、そのキャラの好きなところを聞かせていただいた。そしてそれでもダメなら……めっちゃ褒めた。

 ここが悩ましいところだった。レイヤーさんの場合は好きでやってるけれど、ここの場合は必ずしも自分が好きな役をやってるわけではないからだ。


 たとえば主役を目指していたのにおばさんBだった、なんて場合。

 舞台のバランスとか、フラグを立てるためとか、必要なキャラには違いないけれど、その大切さを役者が実感しているかはわからない。

 ちょい役だから、楽勝って思ってる場合は、認識を改めていただかないといけないのである。


「さて。じゃあ、そろそろ選別作業に入りましょうか。最終決定はそちらでやってもらうとして、没写真、おすすめの☆の数ランクわけ、くらいはしますよ」

「お。それは助かる。いつもそこまでやってるの?」

「お仕事の依頼で来た時はそうですね。師匠の方達だと、写真集の構成とかまでやるので、もうちょっとぐいぐいいくところなんでしょうけど……」

 こういうところの場合は、みなさんで作っていただいた方がいいかなって思うので、と言うと、うんうんと頷いてくれた。


 パンフレットも、ポスターも、まだまだ印刷に入るまでには時間があるそうだ。

 その間に、素材からしっくりくるものをつくって欲しい。

 

「それと、パンフレットの写真、足りないようならまた今度撮りにきてもいいですよ? 実際舞台稽古を衣装きてやるところとかも抑えた方がいいでしょうし」

 より完成度が高いヤツをね、と言ってあげると団長さんは、おぉ、と表情を明るくしながら、それでもしょぼーんと肩を落とした。


「さすがにそこまでやってもらうほどの報酬が出せないけど……」

「んー、そこはお友達料金というやつで。それにしっかりした仕事しないと、崎ちゃんにぶち殺されてしまいます」

 ここ、彼女の古巣だって話ですよね? というと、ああ、と返事がきた。

 彼女を育てたこの舞台。ならば友達としてはそこに協力することはやぶさかではない。

 崎ちゃんはどこにいったのかさっきから姿が見えないのだけど、本人がいても、がっつりやんなさいよ、と言ってくるだろう。


「あはは。あの子なら確かに、きっちりしたものを、って感じになるからね。わかった。そこまで言ってくれるなら、また今度足りなかったら頼むよ」

「じゃ、まずは選別作業ですね。ぺしぺしとやってしまいますよ」

 パソコンお借りしても? と尋ねると、ああ、どうぞどうぞと作業用のノートパソコンが置いてある部屋に案内してもらった。


「あのっ、私も見せてもらってもいいですか!」

「あー、ならあたしも是非!」

 写真の選別に興味があるのか、脚本組が二人手をあげてきた。ちらりと石毛さんをみると、任せるというような反応が返ってきた。


「それじゃ、お二人さん。見てても退屈かもだけど、ご一緒にどうぞ」

 満タンになったメモリーカードを取り出しつつ、ノートパソコンに展開して、整理していく。

 練習風景を撮ったものは、あからさまな没写真は没フォルダへ。他は選んでもらおう。

 そして他はキャラ別にランク別にフォルダに分別していく。

 やっている最中に、どんなところを見ながら判断してるんですか? なんていう質問が来たので、バランスとか顔が暗いとか、表情とか加味していますというと、できるかなぁ……と、二人に困惑した顔をされてしまった。

 うーん、ここらへんは個人の好みもあるし、目的に合わせていけばできるようになると思うのだけどね。


「ま、慣れってところもあるから、なんでこの写真がおすすめなのかーってのを見てみるといいのかも」

 私も割と、先輩のおすすめーってのとダメ写真を比較させてもらったりしてます、というと。

 おぉーと二人から感嘆したような吐息が聞こえてきたのだった。

 ポスターを作るのがこの二人ということであるならば、これで熱中して作ってくれることだろう。

 舞台の完成を、ルイさんは心よりお祈りしております。




「珠理奈さんっ。どうしたんですか? 撮影みながらため息なんてついちゃって」

 がちゃりと屋上の扉を開きながら、フェンスに寄りかかっている珠理奈さんに声をかけた。

 今はもう、撮影もあらかた終わったので衣装も着替えている。

 着替えているけれど、澪の今の服装は女子のそれである。

 

 本当は、男の服装に切り替えてしまってもいいのだけど、崎山さんをけしかけた手前、その後のフォローもしないとなぁという思いが勝ってこうなった。

 どうせ団長は遅くまで残っているという話だったし、着替えや鍵の心配はしなくていいだろう。


「あら。澪はまだ女子の格好なんだ?」

「男の格好だと、珠理奈さんが上手いこと話せないかなって思って」

「別に男と話すのに躊躇はないわよ」

「それでも、こっちの方がいいかなって思ったんです」

 俺、普通に普段は男なんで、とぼそっと男声に戻していうと、それが普通ねぇ、と呆れまじりの視線を向けられてしまった。

 おかしいなぁ。ルイ先輩ほど男としてダメじゃない自信はあるのだけど。


「それで? 先輩とのことはどうなっちゃったんですか?」

 告白上手くいきました? とちょっと興味深そうに演じつつ尋ねる。

 澪としては、別に二人の恋愛に対してミーハーな思いはそんなにない。なるようになればいいと思っている。

 でも、目の前の女優様を話したい気にさせるには、そうした方がいいと判断したのだ。


「最悪よ……ほんともう……」

「ふられましたか」

 がっくしという雰囲気が最初から出ていたので、そうなんだろうなぁとは思っていたけれど、ちょっと可哀相だなと思ってしまう部分もあった。

 ルイ先輩と珠理奈さんがカップルってことになったら、それはそれでとても愉快だと思ってしまうのだ。

 百合の世界全開で、ほっぺたにクリームがついてらしてよ、とかやって欲しい。

 そして二人の子供……ああ、どんな可愛い子ができるんだろう。……うっかりルイ先輩が産むのか? と思ってしまったのはご愛嬌である。


「振られてないわよ! まだ……っていうか、他に人が来てできなかったのよ」

「なっ、あそこの部屋って滅多に入らない開かずの間だっていう話だったじゃないですか」

「そうよ。あたしだってそんなに入ったことないし、埃っぽさはすごかったわ。我ながらあんなところで告白なんて、ムードもへったくれもないって改めて思ったわ」

 まあ、ムードがどうのって言ってられない状況ではあるんだけど、と珠理奈さんはしょんぼりフェンスに預ける体重を多くしたらしい。


「ほんと。ルイったら、どうすれば攻略できるのかしら……」

 ヌード写真とか撮らせても、あいつ、綺麗だよ崎ちゃんって、笑顔で言うだけなんだろうなぁという言葉の響きに哀愁がこもっていた。

 うん。あの先輩なら、欲情とかまったくせずにさらっと、撮るだろうね。すっごい綺麗なのを。


「男の快楽ってやつをまず認識させないといけないのかもしれませんよ?」

「……澪はそれ、知ってるの?」

「う。この姿の時にそれを聞かれるのはちょっと、恥ずかしいですけど……私は人並みにはありますよ。こういう格好してるから勘違いされますけど、私はあくまで女優をやりたいだけなんで」

「馨も、カメラのためにーって言ってたけど、あんなんよ?」

「あんなんと一緒にしないでくださいね? それにカメラのためってのは正解なんでしょうけど、あの人はいろいろ欠落してしまっているので」

 だからこそのぶっ壊れ性能なのですが、という澪の姿は苦笑混じりだった。


「まあ、私もエレナ先輩も、珠理奈さんの事は応援してるので、協力は惜しみませんよ」

「エレナは、どーせ、ルイが翅さんとくっつけば面白いのにとか思ってそうだけど」

「あはは。あの人の場合は、ルイ先輩の可愛い顔が見れれば満足みたいだから、恋愛してるところみたいだけだと思います」

「あたしは、かっこいい顔みたいのにな……ほんと。昔みたいに、ね」

 珠理奈さんの最後の一言はあまりにも小声で、聞き取れなかった。

 でも、ルイ先輩に男としてのかっこよさを求めてしまったら、それはなんかないものねだりな気がしてならない。

 女子としてならかっこいいところは一杯有るんだけどなぁ……


「さて。じゃあこの後はどうします? 残念会でもしますか?」

 甘いものでも食べつつと、誘いの声をかける。こちらとしては冒険の台詞だ。

 彼女と出歩くとなると、当然女子として外にでなければならなくなる。スキャンダルだなんだと言われてしまうから。

 そして、自分は街中を女子の格好で歩くほど、そっちに足をつっこんでいるわけではないのである。


「いいわ。舞台関連で今日は他の団員と話をしたりとかあるだろうし、そっちを優先しなさい」

 半端な舞台を作ったら怒るから、と少しすねたように言う珠理奈さんの姿はとても愛らしくて、思わずそのままだきしめてしまいたくなるほどだった。

 これと一緒にいて、ルイ先輩はシャッターを切るだけなのだという。

 そんな朴念仁をどう落とすのか。


 まだまだ彼女の苦難は続くようだった。 

撮影回! というわけで。周りの人の感想もいれたいなーとなり、こうなりました。

ルイさんの評価って一般的にどうなんだろうねーというわけで。レイヤーさんには大絶賛なわけですが、プロに撮られ慣れてる人からすると、こんなんだろうなぁ。って感じです。

そして粘着は、みなさんたじたじです。


作り込む作業をする場合、私は割と「雑」な方ですが、衣装の作り一つまでこまかくこだわりを持つのがクリエイターなんだよ! ということを昔感じたことがあります。挿絵で色指定ここまで細かくやるのか……ありがとうございます。みたいな。

良い舞台になるといいですね!


さて。次話なんですが……大撮影会の打ち合わせにいくか、水着回いくか……悩ましいところです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ