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318.キャラクター博覧会2

仕事してると、執筆ペースが…… 二話目こうかいです!

「うわぁ。どこかでみたキャラがたんまりー」

「かわいいですわねぇ」

 イベント会場に入ると、一気にまわりの景色は一変した。

 普段ルイが行っているイベントは大型のものが多いわけなのだけど、今回のは中規模くらい、と言えばいいだろうか。


 それぞれのコンセプトで会場を作っているわけだけれど、わかりやすい区分けで面白かった。

 最近よく見るキャラクター達がメインでででーんと飾られてるコーナーから、ちょっと昔、そしてさらにレトロな感じなキャラクターという感じでわけられてる。


 さらには、なでると良い感じ! とか、撮影を是非一緒にみたいなコーナーもご用意されていて。

 もうここにきて、ぱぁとテンションがあがらないとか、なくないですか? って感じ。

 実際冬子さんとは、わーい、ねこさんだよーとかちょっとテンションアップして、手を繋ぎ合ったりしてしまった。

 あ、冬子さんやっぱおてて綺麗です。いいね。恋する女の子って感じ。お手入ればっちりです。

 

 個人的には家事をしててちょっと荒れてる方が好きだけどね!


 さて。そんな感じで、二人で盛り上がっていたのだけど、ちらりと後ろを見ると、海斗がすんげぇつまらなさそうについてくる。

 ……知ってるよ? そりゃ、こういうイベントって「好きか嫌いか」で温度差すごいしね。

 男子と一緒にきたらさ、そうなると思う。

 あ、エレナとかは除外ね。木村は……うん。ふむ、この縫い目がとか言い出しそう。

 まずい。数少ない男友達が、普通の男子っぽくなかった。

 

「……俺のことはあまり気にしないでくれ」

 ちらっと後ろを振り返ったら海斗と目があった。彼は、むすっとしながらそれでも「部外者」のルイには最低限の対応はしてくれるつもりはあるらしい。


「気にはなりますが……お言葉に甘えるしかないですかね」

 ふふっと、満面の笑顔を向けてみても、彼は反応なし。

 そりゃ、男好きを自称しているのだし、反応されても……って。 

 ルイさんは、確かに今の状態は男っぽさはでないようにしてるけど。

 海斗から思いっきり、女子扱いっていうのは、なんかもやもやする。

 漏れ出る気配がないのは、自信の一つではあるけどさ……こうさ……

 

「とりあえず、今はこのまま楽しみませんか? 気になるのはわかるのですが」

 少しだけしょぼんとした冬子さんの視線で、それ以上をさとりつつ、

「まあ、気にしないようにしましょう。男の人ってこういうところだと付き添いになってしまいがちですから」

 ほら、と他の所に視線をむけさせる。


 カメラを向けて一枚ぱしゃり。

 そこに写し出されていたのは、わぁとぬいぐるみに夢中な少年と、それを隣で見ている母親。

 そして少し離れたところでそんな二人を見ている父親という光景。

 まあ、こういうのが一般的風景なのだろうね。ジェンダー的なね。

 ああ、これはそのご家族に了承はえました。っていうか、そのお母様から、やだっ、それ待ち受けにしたいっ、とかちょーハイテンションな反応をされてしまいました。


「……ほら、でいきなり目の前で展開されたことに、驚きをかくせませんわ」

「私にとっては日常なので。それと、いちおう本日は撮影係としても呼ばれていますからね。いいの、撮りたいなぁ」

 ふふ、と微笑みかけると、ずぅーんと冬子さんは沈んでしまった。


「やといはしましたけど、撮影に関しては、特別こちらとしては注文はないんですのよ? そもそもそれは一緒にきてくれればーというくらいで」

 そもそも、ほめたろうさん仲間をここにお誘いしたい、という思いだけだったのですから。と彼女は少しだけ視線をそらして言った。

 ううむ。依頼をした以上は、しっかりと結果を期待して欲しいんだけどな。


「それはいけませんっ! 私、これでカメラマン! カメラも新しくしてから、じみーにルイ(、、)として初めてのお仕事ですっ。それをついでみたいに言われるのは嫌です」

 いちおう、ゼフィ所の卒業式もお仕事っちゃそうなんだけど。

 ここのところ、ルイとしての活動があまりできてないというのもあって、それを、適当な感じに言われるのは抵抗があった。


 カメラのお仕事。ちゃんとやりたい。


「……あの。もしかして、あの、ルイさんではないですか?」

 そんなやりとりをしてたところ、ビデオカメラを担いだ一団に声をかけられてしまった。

 今回のイベントはそこそこ有名なキャラクター会社のもの。

 しかも本日はマスコミ、関係者デーだ。

 報道のカメラも入っていても別段なんの不思議もない。

 ったく。おとなしくぬいぐるみとか、それを愛でる幼女とか撮っててくださいよ。


「あの、かどうかはわかりませんが、ルイとはいいます。あの、本日は仕事中なので」

 あまり積極的にされると、困りますというと、ごくりと誰かが息をのんだようだった。

「ええと、HAOTOの翅と懇意にしてるっていう、ルイさんだよね? 取材とかいいかな?」

「駄目デス。仕事中です」

 カメラをかちゃりと向けると、おぉと、カメラマンさんたちから声が上がった。

 メインでマイクを握ってる人とかはわからないだろうけど、いちおールイさんのカメラはいいものだからね。

 わかる人にはわかるというやつだ。それ以上はごろごろしてるけど、初心者よりは一歩出てるものだと思う。


「そうはいわないでさ。ほらっ。結局ルイさんなかなかつかまらないしさ。いろいろ聞かせて欲しいんだよ」

 実際はどうなってるのかなーと、下卑た声を向けられるとげんなりする。

 ほんと、翅とは友達なだけなんだけどね。あいつがどう思ってるかは知らないけどね。

 男でもいいといわれたときは、ほんと。ぞくっとした。


「公式会見通りです。私はたしかにHAOTOの方々とは知り合いですけど、それだけです。逆にどうしたいんですか? 実はみだらな関係だったーとかいいたいんですか?」

「……いや。みだらって。そりゃ、まあ、そういうのだとうちらはおいしいけどさ」

 あっさりそういうの言っちゃう子なのかーと、なぜか話しかけてきた彼は、うわーとうめいていた。

 ええと。ルイさんにどういう幻想抱いていたんでしょうか。


「今回は同行者もいるんです。お仕事にならなかったらこまるんです。もうコレで取材はやめてもらえませんか?」

「いや、滅多に出会えないわけだしねぇ。ここで逃したら、上から怒られちゃうよ」

 君もカメラやるならわかるだろうと、勝手な想像で撮影クルーは、旬が少し過ぎた特ダネに目の色が変わっているようだった。

 あの。もう落ち着いてますよね? そりゃルイさんのことに関しては謎なままで終わってただろうけどさ。


「えっ。あのルイさんなんですか!? 翅さんと付き合ってたとかっていう!」

「あ、カメラつってる。おまけにメルヘンかわいー」

「くっ。こそこそ見守るつもりでござったが、表面化したなら拙者もっ。ラブリーでござるー、ルイどのー!」

 なんか最後に混ざっていたぞ、と思う隙もなく、軽い人だかりができてしまった。

 イベントとは全く関係ないところでの騒ぎなので、とても申し訳なく思う。


「んわわ」

 なんでこんな騒ぎになってしまったのか。

 係員さんとかも白い目でこちらを見ていますよ。


「やめてっ。おちついて! 今回はキャラクターメインなんです! かわいいあの子達を見てやって下さい!」

「いや、生のルイさんだってレアですぞ」

「きゃー! 翅さんとの仲をきいてみたいです-」

 う。最初にいた報道陣たちも、うわという顔をしているくらいな騒ぎになってしまった。

 ええと。さすがにあの騒ぎから少し経ってるのにこれはどうなんでしょうか。


「そんなことってあんた……私と翅のことなんかより、ぬいぐるみのほうが大事です、大切デス。貴方の目は節穴です!」

 きりっといってやっても、えぇーなにいってんのさーと、聞く耳を持たないらしい。


 客観的にみてさ。目の前にこんだけ魅惑的にかわいい世界があるんだよ?

 それをなんで、どろどろのスキャンダル未満をもってこようとしてんのさ!

 小さい子とか、ねーママーあの人なんかの有名人なのーとか、指さしてるんですけど。


「ともかく! 公式発表がすべてだし、今日はもうこれで解散してください!」

 はいはい、ばらけてーといっても、周りの勢いはおさまってはくれなかった。

 まじHAOTO人気はんぱねぇな。ノエルさんが、やばい。あれ敵にするのはだめっていうのわかるきがする。


 そんなある種あきらめを胸にひめたときだった。

「こっちこい」

 聞き覚えのある声とともに思い切りぐいっとひっぱられた。


「うわわっ。ちょ、えっ? ゴメン。冬子さんあとでまた連絡するね!」

 無理矢理引かれたけれど、依頼者にはちゃんとどうなったかは伝えておかなければならない。

 声を張り上げると、人々が群れを作る中でずりずりと、引きずられるままにその場を退場したのだった。

 


「さすがに、そろそろ手を話してくれてもいいかも」

 くぃと手をひっぱられて。

 それでもついてきたのは、その引っ張る後ろ姿に見覚えがあるからだった。

 

 そんな彼が連れてきてくれたのは、他の人がまず入って来れない部屋。

 スタッフオンリーの看板がかかっているところだ。


「ああいうのに付き合う必要はないだろうによ……」

 その部屋に入って、ちらりとそとを伺いながらも、彼ははぁと安堵の息をはきながらこちらにそんな忠告をしてきたのだった。


「木村……くん」

 その相手というのは、お馴染みクマの人こと、木村くんだった。

 高校を出てからあんまり連絡とかはとっていなかったのだけと、こんなところで会うとは驚きである。


「よっ、久しぶりだな。おめー、いつまでも友達だよーとかいって結局、年賀状くらいしかくれないとかっ。俺なんてその程度の相手だったのねーー」

 こちらの緊張をほぐすためなのか、彼はちょっとくねくねしながら冗談っぽくそんなことを言ってくれた。


「……なんかごめん」

 いや。なんていうかほら、卒業したあと、男友達と連絡を取ってあそびにいこーっていう感覚がイマイチ無かったんだよ。実際、青木とだってちーちゃん経由でしか話は聞いてない。

 八瀬も、ちょっと音信不通気味だ。どこでもたくましくやってるだろうけど。


「おめぇはそういうやつだよ……とは思うけど、同級生関連の扱いひどすぎじゃね?」

「……目の前のことで目一杯で、めんもくない」

「なら、頼れって。お前を知ってる奴らは、おおくはないけどいないわけじゃない。お前が一言助けてって言えば、、みんな手を貸してくれるぞ」

 この前の騒ぎで彼は少しこちらを心配してくれているのだろう。

 いたく真摯な視線をこちらに向けてくれている。


「やだ。弱み見られるのやだもん……迷惑かけたくないし」

「うぐお……」

「ん?」


 木村の表情がフリーズしたので小首をかしげておく。

「はんぱねぇな、ルイモード」

 ほんと、学校で歩き回った日々が幻想に思えるぜと、彼はなにかよくわからないことをいった。

 はて。高校時代とそう変わったところはないはずなんだけれどね。

 学園祭の時とかサービスしてあげたんだけどな。


「それで? 木村くんはどうしてここにいるの?」

 今日は関係者だけの日だよね? というのがひっかかる。

 たしかに彼はぬいぐるみフェチなわけだけれど、こことは関係ないはずだ。

 なのに躊躇無くスタッフオンリーの部屋に入れるのは疑問だ。


「ああ、まだ見てないか。俺のクマさ。好評をいただいて、ちょーっと今回の主催のメーカーとつながりができたんだよ。もっと販路を広げないかーってな」

「おぉっ。メジャーデビュー的な?」

「クマーの販売もだけど、企画としてのアレだな。まあ。つばつけとこうくらいだろうけどな」

 一発屋って世間には一杯いるから、といいつつも彼は認められて嬉しそうだった。

 あのクマさんが飾られてるなら、是非それは見てみたいと思う。


「で。おまえまたあっちに戻るのか?」

「あったりまえでしょ? 今日はお仕事で来てるんだもん。ちゃんと同行して撮影しなきゃだよ」

 はて。心配してくれるのはわかるんだけれど、そこでもどらない選択肢はあるだろうか。

 マスコミだってこのイベントの方を中心に撮りに来てるのだし、もどって騒ぎになったらさすがに自粛するつもりでいる。そのまえに撮影スタッフの所属を聞いてその親会社に電話するけどね。だってこっちも仕事だもん。


「あ。雇われたって話だけど、ミス木村。いろいろ大丈夫だったのかな?」

 そこでふと、あのクマさんの作者が、女の子っていうのを作って流布したことを思い出した。

 それを前提に交渉にきた相手企業さんはめんをくらっただろう。


「うっせっ。それもふくめて問題なしだよっ。戻るならさっさともどれっ」

 ほれほれ、仕事中なんだろという木村の言葉はどこか、こちらから距離をとるようなものだった。


「つーか、初恋の相手が男で、美少女って俺どうすればいいよ」

 ルイが居なくなった部屋の中で。

 いっそ、おっさんとかになってれば、といいつつ、ないわ-、と木村はため息をつきながら首を振ったのだった。


ルイさんが乙女過ぎて、おぶぅって作者もなりがちです。いやでも、お手々繋ぐは、ある……はず!(あうとろーだった、おいらには……ふっ)

まあ、ぬいぐるみイベントは書いてて楽しいです。もちっと撮影入ると思ってましたが、次話でってかんじですね。


そしてぬいぐるみと言えば彼! ルイモードをちゃんとみる機会がすくない(前は女装させてもらったとき)彼としては、あのテンションの高さは、何ナノ女子なの!? ってなりそう。


てか。ファンシーイベントの男女の温度差ったら、すごいと思うのです。まあ男子は好きでもクールにしないと!ってストッパーがあるのかもですけど、好きなら一緒にめでるといいですよ。

そんなわけで、次話は、冬子さんと海斗さんなんですが、書き下ろしですorz

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