224.
今回は女装の練度といったものについて実感していただければな、と。
「やぁーしのさん。学園祭ちょー盛り上がったじゃない? あのあと、HAOTOのメンバーとなんだか親しそうにしてたっていってたけど、その実どうなの?」
学園祭が終わって日常が返ってきたところで、どうなのどうなのと田辺さんににやにや身を乗り出されると、しぶい顔にもなるもので。
学園祭の最中はちょっと話が上がるくらいで、お祭りの熱気というものにむしろ助けられていたわけだけれど、それが終わってしまえば残ったのは話題性のあるお話だけ、という感じで、こういうやりとりはいろんなところでさせられた。もっさい男子でしかないはずの木戸状態でも、アイドルのつてがあればこれだけ声をかけられるとは恐ろしいことである。
HAOTOとの会話内容はさすがに聞こえてなかっただろうけど、一緒にいるところを目撃されたり、翅さんにぎゅってされるだなんてーと騒いでるのもいた。おおむね女子。腐ってる女子もそうじゃない女子も、あのハグを羨ましいとかなんとか言っていた。勘弁して欲しい。
「そもそもしのさん呼ばわりはさすがにどうかと思う。俺この前は女装とかしてないはずなんですがね」
「いーじゃん。しのさんと男性アイドルグループのロマンスみたいな」
「それ、なんていう乙女ゲーですか。しかもヒロイン男とか、ないわー」
想像してみて、それなんて需要があるのと思ってしまった。
美少女に見える男がヒロインの乙女ゲーとかだいぶ無理だろう。せいぜいエロゲのヒロインとして男の娘がいる、くらいが妥協点ではないだろうか。いくらなんでもニッチすぎる。
「えー。しのさんならヒロインはれるでしょー。あんなにかわいいんだもの」
う。
一瞬、ルイとしてアイドルグループと一緒にいるところを想像して、その絵面が普通にありで顔がこわばった。というか、あのときの絡みの映像がまだ家に保管されていたりするのだけれど、幸せそうにとろんとしたルイの表情は、ほんとこれが自分かと驚くくらいだ。自分でした演技なんだけれど。
「ヒロインっていうと、HAOTOのホームページ見てたら、こんなの発見しちゃったんだった」
じゃんと、田辺さんはかつてのブログ記事をほじくり返して、少し大きいスマートフォンの画面に映し出した。
「うっ」
そう。崎ちゃんとルイとそして翅でつくった映像だ。もう二年近く前の話になるだろうか。いくらなんでも過去の話を引っ張りすぎである。
「まさかあのルイさんがHAOTOと知り合いだったなんてっ。さすがはルイさん」
ぽわんと、熱病におかされたように田辺さんの目尻が緩む。
いちおういいお友達でいましょうという関係にはなったものの、地味にこの子はまだルイのことが大好きなのである。本人にちょっかいをかけるのは遠慮はしてくれているけれど、それ以外のところでは時々こうやって、ルイさーんとふにゃっとした表情を見せるのだ。これだから絶対に木戸=ルイの話は教えられないのだった。
「なに見てんの? ってそれ、翅さん女装事件のときのじゃない」
そんなやりとりをしていると磯辺さんが割り込んでくる。
今日の彼女はもちろん私服で、眼鏡もばっちり装着されている。学園祭で立派にメイドさんをつとめ上げた彼女は、知り合いからそのネタでからかわれたりもしつつ、まんざらでもなさそうなご様子だ。あとで遠くから撮影したあのカフェの写真は進呈させていただこう。
「まーた、ルイネタ? もーさすがにやめようよ。現実に帰ってこよう?」
そんな彼女は、ね? とがっしり田辺さんの両肩をつかむ。事情を知ってくれている上でのフォローなのかそうじゃないのかはとても悩ましい。あんがい田辺さんに普通の道に戻って欲しいだけなのかもしれない。
「えー。ルイさんは現実だよ? ちゃんとデートもできるし。それよりほら一年半まえのルイさんもすっごいかわいい。今の方がちょっと女っぽさが増したような気はするけど」
そこもいいのー、と一人盛り上がる相手を、どよーんとしながら見つめる。
一年半で女っぽさが増したっていっても、ルイはびた一文女子として成長なんてしていないのだけど。
一瞬、自分の胸をぺたぺたと触ってしまって、まったいらな胸を確認してしまう。
「木戸くんもなにやってんのよ。今はルイに持ってかれるより、HAOTOの話で振り向かせないと駄目じゃないの」
まったくもうと磯辺さんが腕組みをしてこちらをにらむと携帯が振動した。メールが入ったらしい。
どうにも磯辺さんは木戸を田辺さんがまっとうになるためのきっかけにしたいようだ。事実を知った後もその姿勢は変わらないのだから、ずいぶんと恐ろしい子である。
「……う。蠢のやつどうしてこうほいほい別のヤツに……」
戦々恐々としながらも、ケータイを開くと、さらにそこにはお前かよ、という相手の名前が書かれていた。
表示されてるアドレスは蠢のものだ。けれどそこに表示された画像と内容は別の人間のものだった。
「おっ? まさかプライベートなアドレス教わったの? 誰だれ」
磯辺さんがぐわっと顔をのめりこませて携帯の画面を食い入るようにみつめる。
そこに写っていたのは、蚕さんだ。
「おぉぉ。蚕さんじゃん。すごっ。イベントとかで仕事一緒にしてもこういうのって滅多にもらえないもんでしょ?」
「いんや。これは蚕のアドじゃなくて、蠢のだ。あのMCが気に入ってくれたみたいで、是非友達にという流れになってな」
「おおぉ。マジで。蠢ってほっとんど個人情報を表にださないって有名なのに」
そこがクールで素敵なんだけどと磯辺さんはぽわんとほおを緩める。ほほう。しーぽんさんは少年フェチですか。
あいつが木戸の幼なじみだとしったらどういう反応をするのだろう。もちろんいわないけれど。
「で? なんて書いてあるの?」
「うーん。どうやらデートにお誘いのようですよ? ゆっくり話をしたいから、今度ひっそりとあいましょーって」
どうしてこんなお誘いがくるかなーと、表面上はいいつつも、きっと蠢がらみのことだろうなと思う。
蚕はあれで仲間思いだし、蠢のことを知っている相手がいるのなら、もっとしっかり見極めたいとなるに決まっている。祭の最中は熱気とやりきった感で早めに切り上げた彼だけれど、いざ冷静に考えたら木戸馨という人間がどういう相手なのかを見極めたいとでも思ったのだろう。
「で? しのさんでいくの? どうなの?」
「男同士です。あっちは変装してくるだろうけど」
町中であのイケメンオーラ出されたら周りも黙ってないだろうし、と付け加える。
崎ちゃんにほどこすような感じで、眼鏡やサングラスをつけたり、場合によっては男性用の髪型のウィッグをつけるとかでもいいだろうか。とにかくもさっとした感じにしてオーラを消してやればいいのである。
「とりあえず、どんな風になったか教えてよね! 特に蠢のことを詳しく!」
ふんすーと鼻息を荒くしながら、磯辺さんがいいきった。ああ、絶対こいつ今、頭の中にショタコスをした蠢の姿を想像しているに違いない。
「ま、守秘義務にひっかからない程度にはお教えしますよ」
言えないことは言えませんがな、とけだるげにいうと、むしろビデオとか撮ってきて欲しーなんていう話まで出てしまった。
もちろん却下ですと言い放ったところで昼休みを終える鐘が鳴った。
「んー。確かに最高の隠れ方だとは思うけれど……」
「やっ。二週間ぶりっ」
メールのやりとりをして数週後。オフの時に三人で会おうなんていう話になったものの。
「蠢はそれでいいん?」
じとーっとその姿を見て、ホントにやっていいんかいと頭を抱えそうになった。
「て、蚕がこうした方がばれないっていうから仕方なく……」
はわはわと、高めの声をつくってしゃべる蠢の姿はどこからどうみても女子のそれで。普段の王子然としたオーラは消し飛んでいる。秋口から冬を意識してコーディネートしたであろうグリーンを基調としたスカートからは普段まったくだされることのない足が出ている。逆にいつも隠しているから驚くほど白い。
そして今日はいつもはぺたんこにしている胸があるのだ。けして大きくはないのだが、服を盛り上げる程度の隆起は見て取れる。本人からしたらそうとう嫌なのではないだろうか。
「つーか、昔っからスカートなんてはいたこと無いんじゃなかったっけ?」
「……演技だと思えば女装も耐えきるよ。これっきりにしたいけど」
「だな。正直そんなに似合わないし」
中性美人という感じの蠢は女子をするとしてもスカートよりパンツスタイルの方が似合うような気がする。
今日は秘密裏に会いたいということで、最大限努力をしたということなのだろう。
いくらなんでもそんな涙目で見られるとこちらが申し訳ない気分になるわけですが。
だって、女子の姿をするのが嫌だーっていって中学で不登校になっちゃう子が多発するのですよ? 男が女装するのはそんなに大変じゃないけど、FTMだからこそ強固に女装は嫌なのではないかと思う。
……うん。木戸自体がどっちもリバーシブルでいいじゃないという考え方をしているのだけど、彼ら性別を変えようとする人達はそんな気楽な無茶を言わないで! となるのである。
「で、なんで蚕くんまでそんな?」
そして努力して変装してきた人を頭のてっぺんから下までじぃっと見つめる。
十一月に入って気温も下がってきたので、薄手のコートを羽織っている。そしてその裾からは思い切り生足がでていた。多少は恥じらいがあるらしく、スカート丈はそこまで短くはない。賢明な判断である。
「やるなら一緒の方がいいでしょー? 翅があんまりにも楽しいっていいきるから、一回やってみたいとは思ってたし」
蚕の方はあまい少年ボイスだ。声変わりしているものの、そんなに低いという感じではない。
聞く人が聞けば男とわかるだろうけど、先に外見を見てからなら女子で通りそうな気がする。HAOTOはそれぞれタイプ別はあっても男くさい感じの人がいない。この子も、蠢よりは男っぽいけれど美人さんの部類だ。
とはいえ、その女装が満点かと言われたらNOだ。木戸達の仲間だとあっさりばれるだろうし、まだまだいじろうと思えば良くなるポイントはいくつもある。
けれど、こちらでそれを指摘してやるつもりもない。別に女装の男だと往来の人達にばれたところで被害はないからだ。
「それと、馨くんもこんなにかわいい子達とデートできるなんて滅多にないでしょ?」
「へいへい。美少女二人のお供ができて光栄ですよ」
げっそり言ってやると、えへへーと蚕がきゅっと腕をつかんでくる。そこそこは研究しているらしく、あざといくらいにかわいい女の子がやりそうな仕草をしてくる。のだが、なんだろうな。もともとこういう仕草が好きではないのに加えて女子がやるのに比べて劣化版だというのもあって、まったくときめかない。撮りたい絵ではない。
「……なんか、前も思ったけど、馨のそっちの顔、なんか違和感あるな……」
「そりゃそうだろ。何回もあってねーんだもん。小学生の頃はほわほわしてたしな」
「小学生のころの同級生、なんだったっけ?」
「そ。一年だけだけどな。小二のときにこいつ引っ越ししてったし」
送別会とか、男子に思いっきり囲まれて、いっちゃやだ、兄貴みたいな感じだったよというと、確かに頭に浮かぶねと蚕くんは笑った。あ、笑い声はやっぱり男性ボイスだ。
「で? どうして俺はこんな町中に呼び出されたんで?」
他の話に入る前にまずは確認。
どこまで話すのかとか、そういうのの線引きのために情報は必要だ。それに蚕くんが興味本位で引っ掻き回している可能性もあるので、あまりにひどいようなら途中で帰らせていただこうかと思う。
「蠢のやつが、学園祭が終わってからスマホを見ながらため息をついてたんだよ。それこそ、恋でもしてるんじゃね? ってくらいにさ。んで、画面をのぞき込んだらあんた宛のメールを送るかどうしようかってので悩んでたってわけ」
それで、もう一回会って話をしちゃえよってことで、あんなメールを送ったんだ、と、蚕は良い仕事をしたと詰め物をした胸をはった。
「うぅ、できれば二人で会いたかったのに……」
蠢から非難の声が上がる。うん。蠢が考えていたのは、二人で会ってどうしようかというところだったのかもしれない。彼としては木戸のもう一面、ルイとしてやったやりとりの数々はいったいなんなの? というところだろうから。
でも、ここで第三者がいるとなると、話せる内容もかなり限定されてしまう。
そしてさすがに蠢も、メンバーにいろいろ知られた場合に起こる最悪のケースは想定できるようにはなったのだろう。
そう。あの映像の流出という最大の切り札がこちらにはある。
あっちのマネージャーさんがそこまでしつこくしてこないのも、全部あれのおかげだ。
「ま、今日は木戸馨という人がどういう人物なのか、あたし達がしっかり見定めてあげるっ」
つきあいなさいよね、とびしっと人差し指をこちらに向けてくるわけなのだけど、なんていうんだろうか。
やっぱり全体的に付け焼き刃なのだ。さっきのあざとい演技もなんとか仕上げましたというような感じである。
とはいえ、及第点くらいではあるのだろうか。
まったく女子に免疫のない相手がやられたらころっと騙されるかもしれない。
「へぇ。お二人ともずいぶんと女の子のしぐさがお得意なようで」
「へへん。これでもいろんな役者をみてますからねー。笑顔の特訓もしてきたし」
にこにこと愛想笑いをふりまかれると、悪くはないよなぁと思わせられる。
変装という意味合いでは十分に問題はないだろう。
「で。見定めるっていってもどーすんだよ。あんまり疲れることはしたくないんだが」
できればさっさと終わりにして欲しいというのが木戸の感想である。終わったら町中の撮影をさせて欲しい。
二人が居ても撮るのがお前だろと言われそうだけど、今はルイではないしそこまでアクティブではないのです。それに全力でカメラを握ってはあはあしてしまったら、それはそれでルイさんとの関係性に繋がってしまって危ない。
「二人ってどういう関係なんだろうっていうのを、一日一緒にいて見させてもらおうかなってね。もちろん話をしてもらうのもおっけ」
でも、立ち話もなんだから茶店にはいろうといわれて、手近にある落ち着いた雰囲気の店に入った。
人はそう多くなく、音楽も流れているので内緒話をするのにそう悪くはなさそうだった。
飲み物だけオーダーをしてそれが配膳されてから、話の続きをはじめる。
「前にもいった通り、幼馴染みってだけ。しばらく連絡もしてなかったし、こいつからは連絡なんてくるはずないしな」
ホットコーヒーに砂糖をいれながら、苦笑まみれに蠢に視線を向ける。
責めるつもりはまったくないのだが、こいつが過去を断ち切った人間であるのは確かなのだ。事実確認としてまず言っておかなければならない。
「まっ、それはもちろんそうだねぇ。でもメアド交換いつのまにしたのかって感じだよ」
「それは内緒、だよなぁ。まーこの前のイベントよりも前ではあるんだけど」
それじゃ納得しない? と問うと、うぅと小さくなってしまっている蠢が気の毒になったのかそこで蚕くんは引き下がってくれた。
どうにも蠢の様子だと、木戸のことにつっこんでくる気はないらしい。
確かにひどいことをしてきたのもこいつだけれど、一年半たっていくらかは反省したのかもしれない。あれだけ身体をはったのだから自重を覚えていただかないとわりにあわないのだけどね。
「そういや、蠢。この前小学校の写真撮ってきたんだけどみるか?」
一人小さくなっている蠢がかわいそうになってきて、荷物からタブレットを取り出した。
そして、小学校の写真が入っているフォルダを開く。もともと蠢と会うという話が決まったときに入れておいたのだ。
「見覚えが……かすかにあるようなないような」
「六年の時の同級生だしな。一年の時のっていうと五人くらいしかいないんじゃないかな」
でも校舎とかは懐かしいだろ、というと。うんと素直な反応がくる。
「うお、これってモデルの羽屋美鈴じゃん、同じ学校なんだ?」
「うーん、わずかな見覚えがあるけど、だれだっけ?」
おぉと蚕くんが声を上げる反面、蠢の反応は芳しくない。
というか、美鈴のやつ、HAOTOの面々に意識されるくらいに大きなお仕事なさってるのですか、そうですか。ファッション誌ばかりだと思ってたんだけどな。
「ああ、はやとも同じクラスだったよな。おまえあんとき片っ端から男子誘いまくってサッカーとかやってたけど、あいつも最後までなびかなかったよな」
いちおう、はやからは性別の件は止められてないので、苦笑交じりに昔話を披露することにする。
「はやとって、へ? あの美少年の? ってことはこれって……」
「おいおい、まじか……っていってもボクたちだってこんなだしなぁ」
うーん。世の中奥が深いとうなずいてらっしゃる蚕くんなのだけれど、実際会ってみて比較をすればきっと、どれくらいの差があるのかがわかると思う。蚕くんの女装は見てくれは悪くないのだが、オーラがだめだめなのである。女子っぽくない。所詮足し算だけの女装といった感じだろうか。もともと中性的だからあんまり引くところがなくて助かってる部分が大きい気がする。
「はやは普通に女子やってたよ。ほら。普通に他の友達と映ってるし」
そのために骨はおりましたがね、とげんなり言ってもきっと彼らにはどの程度の苦労なのかわからないだろう。
「ほほぅ。どっかの誰かさんとちがってですか」
「俺は女子として生きようとは思ってねーの。でもはやのヤツは本気だしいちおう内緒にしといてくれ。学校にきたりってのもあったし、そこまで完全に隠そうって思ったりはしてなさそーだけどな」
実際、あの同窓会で口止めしてまわってたのは、言うまでもなくルイのほうである。
はやとは特別、周りに何かを言ったりはしてなかった。そこらへんは雑誌の偉い人との話なんかもあるのだろうし、他にもそういうモデルはいるみたいだから問題ないのかもしれない。
「あ。でも馨、前に「隠すヤツは徹底的に隠す」とかなんとかいってなかったっけ?」
おまえはうかつすぎるとかさんざん言ってくれたよね、と蠢が反論してくる。
「まあな。知り合いで全力で隠しているのが三人いる。一人は今も女子高生してんよ」
千歳のあの完全なまでの身バレ隠しは見事といっていいだろう。青木との関係はまだ続いているみたいだし、特殊な授業や身体検査なんかもなんとかパスしているのだとか。ばれるとしたら異性装をマスターした人間くらいなものだ。
「学校に普通にいるって、すごい、かも」
「なぁ、馨。そのお嬢さんの写真とか、ないのか?」
蚕くんが、女装を極めた人がどんなだろうと興味津々なようすだ。
とはいえ、さすがに写真を見せるわけにはいかない。
「女装してる子です、といって見せられる写真はないよ。どっちかわからないですがなにか、っていう子の写真なら持ってるけど」
でも、この流れだと絶対女装してるって思われるから、見せないといいきると、えぇーそんなぁと蚕くんはがっくりとうなだれたのだった。
染みついた物はなかなかとれはしないっ。というわけで、蚕と蠢の女装話です。すっごく悩んだんです。絶対FTMさんスカート嫌がるからさ。
なら、年下の子に強引に引っ張られて、しかも重要なことをするというのであれば、ありかなーと。実際友人は「自分がどっちか確認するために一回派手に女装してみた」りもしてたし。
けれど、こうやって書いていても、全然女子会っぽさが出ない。驚くほど出ない。木戸くんもまるで引きずられたりもなく、男子モードのままという感じが、女装の練度って大切なのなぁという感じの仕上げです。
さて、この疑似デートもどきはまだ続きます。馨の人柄をじっくりと見極めないといけませんのでね!




