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002.写真の展示会

「それで、最近彼女とはどうなんだ?」

 唐突にそんな言葉を言われたのは、昼飯の時間だった。

 ちょうど小さく握られた俵むすびのかけらを口の中にいれた時に、青木がぽそりと言ったのだ。

 たいてい3,4人くらいで昼食はしゃべりながら食べているのだが、今日はこいつと二人きり。だから出てきた話題なのだろう。


「彼女がいるという設定にいつなったんだ?」

「いや、だっておまえつきあい悪いし、土日誘っても全然だし。そりゃあ彼女といちゃいちゃだろうと思ってしかるべきだろ」

 健全な男子高校生ならばっ! と拳を握りしめながら語る姿には説得力のようなものは確かにあった。


 確かにすまないとは思っている。もう少しこいつとも遊んだりできたらとは思う。

 けれども、今はもうちょっとカメラにのめり込みたいのだ。


「逆に聞くが、おまえは土日はどうやって過ごしてるんだ?」

「カラオケに散歩に、あーいちおう日曜はバイトしてんよ。遊ぶにも金かかるしな」

「ほー。遊んでるだけかと思ったら、そういうところはしっかりしてるんだな」

 あむり。卵焼きを咀嚼しながらへーと、少し見直したような声を上げる。

「あたぼーですよ。ただ遊んでるだけじゃあモテないしな」

「それは死語ってやつじゃあ、ありませんかね」

 えらいえらいと言ってやると、青木は続けた。


「それと、いざ彼女ができたら出費も増えると思うわけよ。男の甲斐性っていうかその点、おまえはどうしてんだ?」

「だーかーらー。どうして彼女もち設定確定なんだよ」

 確かに金のかかる「彼女」を抱えてはいるのだが、それは恋人という意味合いでの彼女ではない。

 とはいえ、働いていないわけでもないので、それは伝えておく。


「でも、いちおーバイトはしてる。手持ちがないといろいろ困るしな」

「おぉ。なにしてんの? やっぱり郵便配達とか?」

「どうしてそっちに!? 定番はコンビニじゃないの!?」

 郵便配達が健全なアルバイトだった時代はたぶんもう一昔前のことなんじゃないだろうか。新聞配達のほうがまだありそうな気がする。


「いやぁ、そういう突っ込みがこうな。ぞくぞくぅと」

 青木が体をくねくねさせながら、しょうもないことを言い放った。

 ときおりこいつはこういうぼけ方をしてくるから突っ込みをするのも一苦労だ。


「それで、おまえはコンビニ店員というわけか。いらっしゃいませなのか」

「いらっしゃいませですよ。四月からだから半年は過ぎてるけど」

 続いちゃいる、と言いつつ、やっと慣れてきたなぁという思いにもなった。

 最初は声を出すのにも抵抗があったけれど、それも日に日に問題がなくなっていくのだから、両方ともしっかり先に進んでいるのだろう。


「それは結構なことだな。ちなみに俺のカラオケ通いも半年過ぎてる」

 カラオケはいいぞ、とまた誘いがかかった。

 まったくこいつときたら、どれだけカラオケが好きなんだ。


「みんなと行くとわいわい楽しいし、一人だと歌に熱中できるしな。声を出すっていうのは気持ちいい」

「おまいはシンガーにでもなりたいのか」

 ちょうど15歳だし、と古いネタを織り交ぜてやっても、まじめに青木は腕組みをするだけだ。


「バンドをやろーって感じではないんだ。聞いて欲しいっていうよりは、歌っていたい。そんだけだ」

 歌はいいもんだと、彼は言う。

 確かに、悪いものではないのは確かだ。何回かいったこともあるし、歌自体も嫌いじゃない。声帯を痛めないしゃべり方というもののためにも高音域の歌を歌い続けていた頃もある。

 けれど、目の前の男のようにずっと歌い続けるような真似はさすがにできはしなかった。


「ま、好きなものがあるってのはいいことだな」

 せっかくの高校生活なんだしさ、と言ってやると、ぱーっと彼の顔が明るくなる。

「それで、君のご趣味は」

「お見合いじゃあるまいし、なんという……」

「いいだろ。今の感じだとなんかしらハマってることがあるんだろうしな」

 そのとき、昼食が終わるチャイムが鳴った。


「ああ、そうか。彼女がそれってわけだな」

 このお猿さんめーというと、青木は勝手に得心がいったような顔をして、弁当箱を片付け始めた。

 まったく、勘弁して欲しいところだが。

 さすがに、趣味のことに関してはなにもいえないのだった。




「ここでいいのかな……」

 この前もらったメールのプリントアウトの地図を見ながらきょろきょろしていると、ビルから差し込む光が目にちらついた。


 久しぶりの都会だ。

 普段はたいてい田舎に潜んでいる身の上なので、このメールがきたときにはどうしようかと思ったものだったのだけれど、プロの写真家さんの展示会に呼んでもらえるのなら、これは見ておかないといけないのだ。


 べ、別に東京の洗練された女子の中に入ったら女装が見破られるんじゃないかとかそういうことは、思っていない。思っては……いや、少しは思っている。

 朝着替えをしてからどれくらい鏡を見たかわからないほどには緊張している。

 都会=人が多い=それだけ他人に見られる可能性がある。知人に会う可能性がめっきりないのはありがたいけれど、田舎の常識に縛られているおばちゃんと、東京の奇抜なセンスで磨かれた人たちの目にこの姿はどう映るのかと思ってしまう。


「似たようなビルが多くて都会はこれだから」

 四角い石にも個性があるというが、それでも路地ごとにみんな石の壁ではなかなかに迷子になろうというものだ。


「なにかお困りですか?」

「えっ、ああちょっとっ……」

 こらこら。どうして絶対あわないと思っていた相手とこうばったり出くわすのか。

「ごめん、驚かすつもりはぜんぜんなかったんだけど」

 ビルディングをきょろきょろ見比べながら、うろうろした先にいたのはなんとクラスメイトの青木なのだった。

 どうやら彼は、自分に会ったことでの驚きではなく、男の人に突然声をかけられて戸惑っていると思ってくれたらしい。


「す、すみません。ちょっと不慣れで」

 少し距離を開けてうつむき加減に目をそらす。

 ちゃんと化粧もしているし、ウィッグがあるだけで印象はだいぶ違うはずだ。普段かけている眼鏡がないのも大きい。なにより、声。普段よりも高めに出している声はそれだけで別人を作り出す。青木にだってわかりはしないだろう。

 けれどいちおう、少し距離をとることで、初対面という空気を強くする。


「あの、この場所を探しているんですけど」

 少し躊躇しながら、それでもプリントアウトした地図を彼に見せる。都内に詳しいかどうかなんて知らないけれど、少なくともこの遊び人風な青木のほうが多少はマシに違いない。


「ああ、やっぱりそっか」

 この場所なら案内できると彼はいった。

 こっちこっちと手招きする彼の後ろを少し離れてついて行く。

 ああ。距離感がよくわからない。どう接して良いのかさっぱりわからない。

 もちろん男同士の距離よりも離さなければならないのだろうけれど、どれくらいで異性と向き合えばいいのか。

 カメラをもちながら普通におじさん達とは話ができるのに、どうしてそれを離れてしまうとこの同い年相手にどぎまぎさせられるのか。それはきっと相手が知り合いで、かつ、見知らぬ人だからだ。


「カメラ持ってたから、もしかしたらねーちゃんの知り合いなのかなって思ってさ」

 急に声をかけてごめんねと彼はコンビニのビニール袋をくしゃりとならした。

 けれど、そんなことよりももっと気になることがある。


「おねーさん?」

 そう。こちらの単語だ。確かに青木に姉がいるのは知っている。

 けれど、それがどういう人で何をしているかなんて聞いたことはなかった。

「そ。俺の姉、相沢あいなの写真展へようこそってね」

 けれど、その先にあった看板を見てわかった。

 そう。世間は狭いとはこういうことで。


「迷子のお客さんを一人連れてきました」

 入り口のスタッフさんとは顔見知りなのか。彼は持っていたビニール袋を渡しながら紹介してくれる。

 あわあわしながら、あいなさんからきたメールの印刷を取り出すと受付の人に見せる。

 これを見せれば入れるヨ! とか書いてあったけど、半券とかそういうのはどうなるんだろう。知り合いからチケットをもらうということがあまりなかったもので、こういうのはよくわからない。

「はい、いらっしゃい」

 端の方にあるチケットとその下の番号を確認して、受付の人は登録手続きをしてくれる。それが終わるとメールそのものは返してくれた。


「ゆっくりしていってね」

「はい。写真展なんて初めてなんで、楽しみです」

 パンフレットまではいかないにしても、小さな冊子を渡された。

 それを受け取りつつ、会場のほうへと向かう。


「じゃ、俺は仕事もあるんで、これにて。身内びいきかもしんないけど、ねーさん写真上手いから、じっくりみてって」

「ありがとうございます」

 ほっとしたのが顔にでてるかもしれない。けれどそれは気にせずにお礼を言った。

 なるほど。写真展のスタッフとして今日は働いていて買い出しにでたところで偶然会った、というところだったのだろう。

 そんな彼を見送りながらも、会場のほうに目を向ける。


「うわっ、これが展示会ってやつなんだ……」

 正直、写真を見るのは好きだけれど、個展といわれるものを見たことはなかった。

 それが目の前にあるかと思うとゾクゾクする。人の写真をみるのは面白い。

 だいたい学校の教室二個分程度の広さだろうか。そこにテーマごとに写真が並べられていた。


「空の写真……青が濃いなぁ。どこの空なんだろう……」

「それ、四国で撮ったやつよ」

 独り言のつもりだったのに、返事がきたので思わず体をびくりとさせてしまった。


「ごめんごめん。驚かすつもりはなかったんだけど」

 振り向くとそこにいたのは、相沢さんだ。薄闇で見た彼女よりも今日は数倍大人っぽさが増しているような気がする。着飾ってるというとあれだけれど、気合いの入り方がすごかった。

「ほほう。ルイちゃんの若さは反則というやつでありますねぇ」

 指でフォトフレームを作りつつ、彼女はいろいろな角度からこちらを見回した。

 うぅ。明るいところでやられると結構恥ずかしい。


「もぅ、やめてくださいよー。わたしのこと撮ってもそんなに面白くないですってば」

 いや、この前のアレはその……アリですけども、とおどおどしながら、銀杏の木の時のことを伝える。

 あれは確かにいい表情をしていたと思う。撮り方が絶妙だったのもあったけれど、そこに居たのは自分では気づけない表情をしている自分自身だ。それが普通に女の子に見えるものだから、写真というものはすごい。


「ん。そうだったね。あたしはあんまり人物撮らないんだけれど、あれは次の個展に是非出したいくらい」

「飾るにしても隅っこにしてくださいよ。恥ずかしいんだから」

 飾るなといえないところがちょっと悔しい。良い作品は確かにみんなに見られるほうがいいのであって、日の目を見た方がいいのはわかるし、自分でも人物を撮っているから、それが展示できないとなるのは悔しいものだとも思う。

「あはっ。他の写真次第ですねー」

 真ん中にすえちゃうかもしれないぞー、と彼女は笑った。


「でも、相沢さんは風景、多いですよね」

「いちおー、そういう写真を撮る人だからね。今回の個展のテーマは日本のきれい、だし」

 みんな海外ばかりに目を向けるけど、こんなに日本には良いところがあるんだよっていうのを出してみました、と彼女は胸を張る。確かにこんなに身近にこんな風景が広がっている所はそうそうないだろう。


「あ、これ、あの銀杏ですか?」

「そ。ちょっと昔のだけど、これはこれで立派っしょ」

 そこにあるのは、生で見たあの存在感をそのまま再現したかのような写真だった。

 今にも揺れ出しそうな木の葉のざわめき。写真そのものもよいのだけれど、プリントされている写真という意味合いでもいい。A4程度のサイズだけれど、かすかに背景も入っていて、その奥の広がりを想像させてくれるような作りだった。


 経験値の差というのはあるにしても、これがプロの写真家さんかと思うと、その遠さにめまいがしそうになる。

 感動させられる写真というものは、実はそう多くないものだとルイは思っている。少なくもまたないのだけれど、普通に簡単に撮っただけではなかなかに、その形にならない。

 写真の使われ方は「思い出」が大半だ。それは感動というよりも、郷愁だったり、過去に対しての思いを新たにするためのものだろう。そういう役割が確かに写真にはあるのだし、その方面でのプロというのもいるという。結婚式の撮影スタッフや、大きな大会みたいなものの撮影といった人たちはしっかりした技術で思い出をしっかりと写し込む。


 けれど、大半は作品づくりという範疇ではなく記録としての撮影にとどまるものなのだ。自分の作品がそれでない保証はないし、作品づくりができているかといわれると、少し自信がない。

 撮りたいものを撮る。撮ってみたいと思ったものを撮る。それは写真を始めたときに決めたことだけれど、撮ってみたい、の幅がまだまだ遠く相沢さんにはかなわない。


「現場を知らない方が、想像力をかき立てられる感じですね」

「あら。ねらい通りの答えでちょっとうれしい」

 やっぱりねらい通りだったか。

 思い出の写真というのは、共通の記憶のかけらを持っている人たちが見たときに花開くものだ。けれどこれはそうじゃない。

 その景色を知っていない方が、その奥を想像させられるのだ。

 まるで夢を見せられてるかのように。A4の紙がまるで窓になってるように。

 ちょっとのぞき込んで周りを見渡したくなる。

 こちらの反応に満足したのか、彼女はにんまりと笑うと、他の写真の状況を見回しながら言った。


「さて、ゆっくりしてってちょーだいな。他の方にもご挨拶しないとなので、これにてどろんでございますが」

「どろんしちゃってください。じっくりいろいろ見て回りたいので」

 あまりの死語っぷりに吹き出しながら、軽く手を振る。確かにこの個展は彼女がメインになるものだ。お客さんも自分一人ではないし、大人の人も多い。


 こういう所は、仕事の幅を広げるためにやるっていう話を聞いたこともあるし、大人のビジネスライクな話もあるに違いない。

 彼女の後ろ姿を見送りながら、他の場所にも視線を移す。

 写真はそれぞれテーマに別れて撮影されているようだった。

 たとえば、空。先ほどの四国で撮ったといっていたのと並ぶようにして、色が変わる空がある。

 一瞬で、日本各地の空を見ているような錯覚にさらされる。

 山だったり、川だったり、やっぱり自然の景色がとても多くて。

 その中でひょっこり都会の景色なんかも入っていたりして。

 一枚ごともそうだけど、プリントして並べ方を考えたりするのも楽しそうだなとちらりと思ったものだった。




「えー。そんなわけで展覧会の成功を祝して」

「かんぱーい」

 かちちん、とグラスがいくつか重なりあって、その中に注がれたオレンジジュースが軽く波をうった。


 展覧会は午後の五時まで。それが終わってから軽く撤収準備を終わらせてしまい、そして今日の打ち上げと反省会が行われているのだった。

「私も参加しちゃってよかったんですか?」

「いいのいいの。お友達なのだからー!」

 きゃっほーいと彼女は肩に腕をまわしつつ、ビールをあおる。


 スタッフさんはそんなに多くはない。

 相沢さんと、同じ年代くらいの男性の方、受付で座ってた人と、相沢さんの弟である青木と。写真そのものの搬入とか搬出に関しては何人かお手伝いがいたけれど、メインなのはこれくらいなものだ。

 広い会場でおこなうものでもないし、写真の数も限られているからごく少数でやるような感じらしい。


「そうそう。あいなの友だちなら俺たちの友だちでもあるってことで」

 受付のにーちゃんは日焼けした肌をゆがめて笑顔を作る。相沢さんより少し年上だろうか。大人の年齢はざっくりしかわからないので、どれくらいの年かさなのかはわからない。

「正直、姉弟の間で一人というのには恐怖を覚えていたところだったんで、来てくれてとてもうれしいよ」

 本当はスタジオのおやっさんもくるはずだったのに、と彼はここにはいない人影に思いを馳せた。

 確かに彼の言うとおり。仲はいいにしても姉弟という関係の中に入っていくのはそれなりに困難なのだろう。下手するとぐだぐだになってしまう。


 その弟の方に視線を送ると、そちらは食事のメニューのほうに集中していた。おごってもらえるから、いくらでも食べてやるぜっ! という姿勢らしい。日曜日働いているといっていたけど、まさか展覧会が毎月あるわけでもないだろうから、今日みたいなのは珍しいのだろう。


 そして相沢さんはというと、そんな弟をちらりとみつつも、ルイに笑顔でいったのだった。

「それと、例のアレ、ここで見せてもらおうかと思ってね」

 う。

 そんな笑顔で言われると割と緊張してしまう。

 彼女のいう、アレはしわにならないように厚紙に挟んで鞄の中だ。


「あれって?」

「我らの出会いの瞬間になった例のあれでありますよ」

 弟からの声に彼女は上機嫌で応えた。

「すごく期待されても困るのですが……」

 相手はプロのカメラマンで、個展をやった後にこちらの写真をというのもなんというか、だいぶ勇気がいる。


「ノープロブレム。見たいのはあの笑顔の先にあったものなのだから、心配なんてするだけ損よ」

 さあさあ、おねーさんにすべてを見せるのですと彼女は腕を開いた。

 じゃあ、と取り出したのは、あのとき撮った写真を印刷したものだった。


 デジタルでやっているのは、印刷にあまりお金をかけられないからという理由が大きいのもある。けれど今回ばかりは紙選びからなにからがんばった。

 プリンターこそ家族共用のものだけれど、あの黒を。あの影を。

 あの狭間を。なんとか写真にもっていけた。


「……くっ。デジタルで見たときとはまたこう、インパクトが違うわ」

「おー、ねーちゃんの銀杏と同じところ?」

「そ。あっちは昼間に撮ったヤツだけど、これは狭間の写真ね。なんかはじまりそうでわくわくする感じ」

 この後どうなっちゃうの。そういった感じの写真だと自分でも思っている。その感想が聞けたならこちらとしては上々だ。


「夜がはじまり、そしてこの森では、って感じかな。なにか動物でもなんでもいいんだけど、そういうのがこれから森の中で集会とか始めそうな感じ」

 幻想的で、物語性がある。

 それは確かにねらってやったから、そういうのが感じてもらえるのはとてもうれしい。


「ほほう。これが噂の。光の使い方がおもしろいね。光源はほんとに太陽だけか……」

「あそこ田舎だから。外灯っていっても少し離れたところにあるだけで」

 有名なスポットっていうわりにはライトアップもなにもないけど、むしろそれで正解、というようなおどけた口調で彼女はいった。


 ライトアップ自体は、悪いことでもないとルイは思っている。光の入り方で表情もかわるものだし、木を撮るという意味合いではそちらのほうがたぶんいいのだろう。でも周りも併せてとなるとついていない方がいいと思える。

 それがこの場に立つこの木のそのときの表情なのだから。


「私のもだいたいは無灯火で撮ってるのが多いしねぇ。にしてもはじまり、かぁ。テーマとしては悪くないよね」

 今度まともにやってみようかと彼女は腕組みする。

「え、あ。ちょっと恐縮してしまいます」

 あんまりみんなの評価がいいので、逆に怖くなってしまう。

 でも、そんなときに肉を焼いていた青木が言った。


「技術的にはねーちゃんとかのほうが上手いけど、被写体を選ぶ感性みたいなのは、性格がでるから」

 俺はこういうの好きだよ、となんの飾りもなく言う姿は教室のアホみたいな姿とはまるで違う。男の子の顔。

 ときんとはしないのだけれど、どこか置いて行かれた感はある。

 でもそんなこちらの心境はお構いなしに、あいなさんがルイの肩をきゅっと掴んで力説した。


「ルイちゃんのは発見するよろこびみたいなのに溢れてて、胸がきゅってする」

「じゃあ、発見する喜びということで、牛たんとカルビ2人前ということで」

 はしを動かしながら、青木が口を挟む。

 むぅとあいなさんはうめくと、お店の人を呼んで注文を伝えた。

 どうやらこれから、お肉との出会いが待っているようだ。

 思いついたエピソードをただただ書いてるだけなので、あとから見返すとスケジュールがーとか、日程がきつすぎるーとかで悩みます。濃密な高校生活って憧れますけど、ちょっと無理矢理すぎるのが一年の三月までなのですよね……くっ。銀杏の紅葉時期を見誤ったばかりに……

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