表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
196/794

188.写真バカと憧れの人

 彼の家は駅三つ先にある一軒家だった。

 駅から十五分くらい歩かされたけれど、日頃のルイの歩きっぷりからいえば特別しんどいということもない。

 その道すがら、お父さんがどういう人なのかを聞かされた。

 曰く、写真漬けの毎日で小さな頃からいろいろとたたき込まれたらしい。デジタルになる前、それこそアナログの時代から、フィルムでの撮影、現像まで家の暗室でやらされたのだとか。

 本人も一流の写真家で、プロとして活動しているそうで、いままでもかなりの写真を撮って来たらしい。

 羨ましい生育環境っていうのはこれではないか?

 ルイの家は、両親が写真がまったく駄目な人達だ。叔父さんも上手いという話は聞いたことはない。そもそも写真の話題がでないし、幼少期の木戸の写真だって753とかのイベントは写真屋での撮影をしている。佐伯さんのところじゃない別の町のところだ。

「親父としてはもう写真のことしか考えられないから、子供である俺にもその道をすすめたんだろ。他の生活の仕方とかありえないというか、想像すらできないんじゃないかな」

「いや、それはちょっといくらなんでも、じゃないですか?」

 まあ、自分もそうとう写真馬鹿な自覚はある。でも、他にもいろんな仕事があるのは知っているし、そもそも撮影家は社会を写すものだ。その先を撮っていれば、いろんな仕事くらいあるのはわかるだろう。

「いいや。あの人は仕事と言ったら写真って感じだ。風景写真メインだしな」

「風景で食べてける人か……ちょっと憧れますね」

 どんな人だろう。正直、プロの写真家の名前に詳しいなんてことはまったくない。

 しかも五十前後の人となると、さっぱり。

 こちらとしては、優れた写真家さんがいればお近づきにはなりたいところだけれど、あいにく偶然とか、知人の知り合いとかそういう場面でしか写真家さんとは知り合っていないのである。

 まあ、知り合うより撮ってたいって思いが強いからだけど。

「そりゃ……君くらいの子からみれば、そういうもんかもしれないけど、実際仕事でってなるといろんな写真とらなきゃいけないし、あの親父だぞ。実際に会ったらあんただってどんびく」

 ていうか、覚悟しとけよと彼はなぜか、真剣な表情でこちらに忠告してきた。

「あんたも趣味でカメラをやってるんだろうけどな。見たところ全然初心者だろ。入門機使ってるくらいだし、大学デビューしましたみたいな。そんな相手でもあの人は容赦ないからな」

 写真のこととなるとほんともうひどいぞ、という彼の説明に逆にわくわくしながら、彼の家に到着した。

 まあ、至って普通の一軒家だ。他の家とそう変わらず、一代で建てましたという感じの二階建て。

「ちょっと待っててくれよな。あんたがいきなり隣にいたら、それはそれでなんか変なことになりそうだからな」

「いいですよ」

 確かにいきなり見知らぬ女子大生に見える子を家に連れ込んだら、どうなるかというのは想像がつく。

 木戸家にエレナが来た時ですら、割とひどい目にあったのである。事情を全く知らないお宅でルイが来たら、どういう関係なのかとか追求がすごくなりそうだ。

「へぇ、安田さんっていうのか……」

 表札の名字をみて、ふぅんと一枚写真を撮っておく。ここに来ましたという記念のようなものだ。

 実を言えば、先ほどの彼の名前すらまだ聞いてなかったことに気づいた。

 まあ名前よりは二度と馬鹿な真似をしないようにさせるのが大切なので、上手く行ったらあとで自己紹介などはしようかと思う。

「おまたせ。親父、今日は家にいたみたい」

 入ってと言われて、とりあえず靴を脱いで家におじゃまする。

 靴をきっちりとそろえるのは、女子らしさというよりは習慣だろうか。

 そして、居間に通された先にいた親父さんはというと。

「なんじゃ、タケが話があるとか言ってたが、佐伯のところの小娘じゃねぇか」

「あれ? 小梅田さん? 有名な写真家だってきいてましたけど」

 貴方だったんですか、とその再会に目を丸くしてしまった。あいなさんの個展の時に絡んできた相手だ。

 ううん。正確に言えば佐伯さんのところではなく、あいなさんの弟子みたいなものなのだけど、あいなさん自身が佐伯さんの写真館にいるからそうなるのだろう。

「これがうちの父、興明だ。君も知ってたみたいだけど今は主に小梅田興明名義で仕事してる」

「え……ちょ」

 あれ。今表札にかかってる名前がちらりと浮かんで、頭に痛みが走ったのだけど。

「安田興明……さん? あの四季の草花、の?」

 なんのひねりもないどこにでもありそうなタイトルの写真集。

 ルイの原点になっているアレを撮った人がこの人……なの?

「本名で出してる写真集を見たことがあるなんて、珍しいじゃねぇか。ああ、でもあれが出たの三十年前だしお嬢さんの学校に置いてあったって不思議じゃねぇが……で、うちの不出来な愚息と一緒っていうのはどういうことだい?」

 まさかつきあってますーとかそういう展開……なわきゃねぇかと、深いため息が漏れていた。

 こんなべっぴんをうちの子が引っかけられるわきゃねーやと、息子である、タケ? さんの肩をばしばし叩いていた。

「この人が、銀杏(ぎんか)のご神木で首をくくろうとしてたんです。そこを止めて話を聞いたら、趣味で写真やれてて学生はうらやましいとか、自分は本当はアニメーターになりたかったとか、才能がなくても努力もできなかったとか泣き言をいうのでむかついたから連れてきました」

「あれ。むかついてたんだ……割とフレンドリーに話をしてたと思ったんだけど」

「内心の話です。まあ将来的な自分の姿にかぶらなくもないっていうか参考にしようとしただけです。写真を仕事にする若手の知り合いなんて、佐伯写真館の人たちくらいしかいないし、あの人達はちょっとこう……写真見てるといつもへこまされるし」

 自分でもだいぶんに上手くなったと思う。思うのだけどそれでもいつのまにかまたあいなさん達の写真はより良くなっていくのだ。

 そこらへんは、うちらも進化しないとやってけないし当たり前と言われてしまったけれど、いつまでも追いつけないのはやはり悔しいのである。

「ああ、銀香か……そういやお嬢ちゃんの通り名も銀香のルイだったっけな」

「あれ? 小梅田さん、あのとき自己紹介してないのに、なんで私の名前を?」

「まあな。あいなの嬢ちゃんが庇うくれぇだ。名前聞かせなってコロに詰め寄ったんだ。そしたら銀香を中心に撮影しまくってる女子高生、ああ、いまじゃ、女子大生か。しかも二つ名も持ってるっていうじゃねぇか」

 にやにやと彼はこちらを興味深げに見つめてくる。男の人の視線にはずいぶん慣れてきてはいるけれど、この人の場合は品定めというような感じにも思える。

「うえ。ルイちゃんってあの銀香のルイなの?」

「そですよ? さすがに名乗ってなきゃわからないですかね」

 自己紹介もまだだったので、彼はまったく気づく様子はなかった。いちおう銀香に行き続けてるのはそういないけど、あの大きな銀杏の木は撮影しにきている人も時々いるのだし。でも女子大生でカメラもってて手慣れた感じにしてるなら、銀香のルイという発想にいってもいいように思わなくも無い。

 いちおうこっちの二つ名の方は知ってるようだし。

「おまえは、そういう洞察力にかけるんだよなぁ。それで? 首をくくろうとしたってのは?」

「証拠写真は押さえてありますよ?」

 カメラから抜いたデータをタブレットに移し替える。下りないと撮るといいつつ、写真はしっかり押さえてあるのである。

「ほー、ミカン箱たぁ、時代がかってるじゃねぇか。いい現場を撮ったな嬢ちゃん。こりゃタブロイド紙で本誌カメラマン自殺体験っとかいうタイトルで記事にできるレベルだぜ」

「うわっ、そんなノリでいいんですか……実の息子の生死がかかってるのに」

「あんたが精子かけられたいっていうなら、俺としては息子の嫁ができて嬉しいんだが」

「ちょ、親父、ここで下ネタはさすがにっ!」

 あれ? なんか発音がちょっと違った? ぽかんとしていると慌ててタケさんが話に割って入ってくる。

「とまぁ、場が賑わったところで、タケ。てめぇ何時間くらいここで粘ってたんだ? みかんの箱のつぶれ具合からみて二時間はここにいたんじゃねぇのか?」

「はい?」

 あれ。今なんかひどいことをおやっさんは言ったよね。

 首つり自殺って普通足場を蹴飛ばしてえいやってダイブするものだと思っていたのだけれど。

「踏ん切りがつかなかったのか、それとも足場が自然に壊れるのを待っていたのか。ったく死ぬ死ぬサギじゃねーかこんなん」

「えっ、ちょ。うわぁ、ホントだいい感じに陥没してる……」

 その写真を見ると、確かに足下のミカン箱が良い感じに陥没している。

 視線が上にばかりいってしまって、足下を見ていなかったということだ。

「どうせこいつにゃ死ぬ勇気も覚悟もねぇよ。でも、話を聞いてわざわざうちに連れてきてくれるとは、面倒かけちまったな」

 すまねぇと、前に写真展に居たときよりは幾分しおらしく彼は頭を下げた。

 あいなさんが、悪い人ではないと言っていたのをこういうのを見ると実感する。

「でだ。せっかくだから他の写真も見せてくれねぇかな? どうせ撮ってるんだろ?」

「なっ。親父っ、いくらなんでもぶしつけすぎだろ……っていうか、俺の要件のほうは!?」

 タケさんがにまにましている安田さんの前で顔を青ざめさせながら割り込んでくる。

 これはあれかな。写真のことになるとひどいとか言っていたから庇ってくれたんだろうか。でも小梅田さんは腕が良い写真家だとあいなさんも言っていたし、さらにあの安田興明さんなのだ。

 正直、こちらから写真は見ていただきたいと思っていたくらいである。

「アニメーターだったか? やめとけやめとけ。表現者になりたいならカメラでいいじゃねぇかよ」

「だーもう、そういうところがダメなんだろうよ。なんでもかんでもカメラがあれば大丈夫なんていう人間そんなにいねぇよ」

 あ。なんか今ちょっとその台詞が胸にずきんと来た。

 自分もそういう傾向が少なからずあるよなぁと少し遠い目になる。

「嬢ちゃんはどう思う? アニメーターとかどうなんだ?」

「頑張ればできなくないかもね? くらいなことしか言えないです。イベントに来てる人達ですらみんな必死ですからね。その年から始めてものにするとなると、かなり無茶をしないといけないと思います」

 いちおう聞きますが、と前置きをして話を続ける。

「今まで絵の練習とか、パソコンで絵を描く練習とかしてます?」

 模写をするくらいなら、学校に行かなくてもできますよね? と聞くと、うぐと彼はばつの悪い顔をして視線をそらした。まったくやってないらしい。

「こいつは昔っから、形から入るやつでな。そういうのを含めて無理だろうと思ってたんだよ。カメラなら逆に俺が形にはめちまえばいけるかなって」

「好きは仕事には繋がらない、ことのほうが多い、かぁ」

 好きなことを仕事にするということは、幸せという声を多く聞く。

 まあ好きなことをやってそれが認められて収入が得られるのはすごい快感だ。エレナのコスROMのときにそう思った。

 ルイとてそうなるといいと思うし、そうするためにもどんどん腕を上げていきたいと思っている。

 けれども、それが叶うのはそう多くないとも言うし。

 別の意見としては、趣味だからこそ楽しいというものもある。

 仕事として好きなことに触れると、嫌な面にもたくさん付き合わないといけなくなる。曰く「好きにやれない」。その仕事を求める相手に寄り添わなければならないから、それが出来る人でないとしんどいというのだ。

 それを思えば、カメラをさわってさえいれば幸せと思っている自分(ルイ)や小梅田さんみたいなのなら、好きを仕事にできるのだろうか。

「まあなんだ。それで、写真だよ写真」

 ほれ、俺が見てやるからさっさと見せろと催促してくるのに、少しだけ緊張を走らせる。

 今日もってきているのは、今日の撮影分と前回のイベント分だ。自然物と人間と見事に日にちでわかれている。

 彼は渡したタブレットをスライドさせながらにまにま写し出されるものを見ていく。あいなさんにやられるのと同じ感じだ。

「なんつーか、こう……初心を思い出す感じだな。お嬢ちゃんが楽しそうに撮ってるのがわかる」

 楽しいじゃねぇかとにこやかに画像をスライドさせていく小梅田さんはいまのところは穏やかだ。

 その光景をみて、タケさんはぷるぷるしながら、これからだぞ、これからだぞ、と一人ぶつぶつ呟いていた。

「まっ、二十歳(はたち)前の小娘にしちゃいいんじゃねーかな。他のやつらよりはそそる写真を撮る」

 前に被写体として見て悪かったと彼は楽しそうにしているようだった。でも、タケさんはこれからこれからといっている。そうとう育ちがトラウマらしい。

「だがな、まだまだ視界が狭いな。見たいところだけ見る。若い者の特権っちゃ特権だが……そうじゃねぇところに視線を向ける必要も大人になるとでてくるってこった」

 うぐ。たしかに誉められるだけじゃないとは覚悟していたけれどなかなかにずばっとくる。

 さぁ、もっとっ。もっと言ってちょうだいよ。こちらはもうメモをとる勢いなのですよ。

「それとカメラを替えろ。おめーいっくらアマチュアだっていっても入門機を使い続けるのはさすがにな。コロならなんか言ってるかと思ったんだが」

「うぐっ。佐伯さんとはそこまで接点がないんです。あくまでも私はあいなさんの友人なのですから」

 言いたいことはとてもよくわかる。ルイとてカメラのグレードアップはしたいところだ。けれどルイと木戸とでカメラは使い分けると決めた以上、もう少しお金がたまるまではカメラの買い換えはできない。

「なら、あいなのじょーちゃんだな。囲ってるとかいいながら弱点を指摘しねーなんてもったいねぇ」

 楽しく撮るのはもちろんいいことだがな、それだけじゃダメだと彼はいう。

「お前さん、どうせならもっといろんな写真を見るようにしたほうがいい。というか、いままでそんなに見てきてないんじゃないか? いくらでも個展とかやってるやついるんだし、そりゃ金はかかるけど勉強料ってことで、ちゃんと見とけよ」

 俺が若い頃なんて写真やるやつなんて……と、と遠い目をされてしまった。

 言いたいことは痛いほどわかる。これがあの安田興明さんのアドバイスなのだ。

 ルイに一番欠けているところ。それは機動力と資金力だ。たしかにいろんなところを撮って、試してということを繰り返して質はよくなっているけれど、外からの影響がすごく少ないので、広がりがどうしても薄くなる。

 実際コンテストとかに出したりもないし、そういうところでの比較を経験していないというのもある。でもそれをするためには移動手段とお金と、かかるものはかかるのである。

 ああ。この人はここまであっさりほぼ初対面の相手に言ってくれるのか。

「あの……ルイちゃん? 大丈夫?」

 体をぷるぷるさせていると、タケさんが心配そうな声をかけてくれた。もしかしたらこの人はいままでずっと興明さんに悪い点を指摘され続けたのかもしれない。なんとも、羨ましい。

「大丈夫もなにもっ! 憧れの写真家さんのアドバイスですよ! これが震えずにいられますかっ!」

 ああもう、実の親から手解きを受けられるなんて、もう本当に羨ましいったらありゃしない。

 ぱぁと笑顔とともにそんなことを言うと、ひくぅと彼は二、三歩後ずさった。

「うあ……」

 そのテンションに驚いたのか、彼は、こいつもかよと言わんばかりの呻き声をあげる。

 そんなことを言われたって、仕方ないじゃない。

 好きなものは好きなのだからしょうがないのだ。

「よっし、じょーちゃん話せるじゃねーか。一枚一枚ダメだししてやるからよぅ。酌してくれや。タケじゃ嫌な顔しかしねーけど、おじょーちゃんはちげぇからな。いい酒の肴になりそうだ」

 さぁ、やるなら日本酒かねぇと、なぜか興明さんは上機嫌だ。

「お酌自体はいいですけどあんまり酔っぱらって、講評てきとーにしないでくださいね」

「おう、だいじょーぶ。じょーちゃんが持ってるの今のって200くらいだろ。酔いがまわる前にみてやんよ」

 おぉ、たくましい台詞がきて、ちょっと関心の声をあげてしまった。そりゃあいなさんたちだって、写真の選別は早いけれど、講評までそんなに早くできるとは、さすがはあの、安田さんだ。

「みてやんよじゃないです」

 けれどその空気の中に、一つの高い声がなった。

 その瞬間、小梅田さんがびくりと身体を震わせる。それこそタケさんもだ。

 びしっと正座を決めたと思うと、自分に飛び火すんなよと、彼はこそこそ部屋の隅のほうに待避した。

「ええと、小梅田さんの奥さまですか?」

 お邪魔しています、銀香のルイと申しますと丁寧な挨拶をすると、彼女はぱっと顔を明るくした。

 小梅田さんの年齢が五十すぎくらいなので、それとあまり変わらない感じではあるものの、

「奥さまだなんて言われたことなくって恥ずかしいわね。でも、はい。興明の妻です」

 ああんもう、女の子ってこうだから、いいわぁと彼女は喜びを隠そうともしない。

 普通なら、なんで見知らぬ女子がここにいるのかって話になるのだろうけど、写真絡みのかかわりで若い子がくることもあるのかもしれない。

「うちの主人が絡んでごめんなさいね。この人写真のことになると見境がなくて」

「いえ、そんなことないですよ。私の方こそ、憧れの大先輩にあえてすんごい嬉しいです」

 にこにことそんな会話をしていると少しだけ、興明さんが、お、おうと照れたような声を上げていた。

「うちの人に憧れちゃうだなんて、ルイちゃんもほんと見る目があるなぁ。見た目だけじゃなくて良い感じ!」

「だって、興明さんは、私のその……原点ですからっ」

 おばさまになら、普通にそのことを告白できる。ちょっと頬を押さえながら、ようやっと出会えたのですというと、あらあらと彼女は嬉しそうに微笑んだ。旦那のおっかけ、というかファンを見つけて喜んでいるのかもしれない。

「ったく、嬢ちゃんはなんだかんだで、人を引きつけるのうめーのな。そんなならむしろ映る側でいいと思うんだが……」

「や。撮る側ですよ。それは譲れません」

 うん。間違いない。ルイはモテるために。見られるために。可愛い女子でいるわけではないのだ。

「まあ、いいやな。酒はなしにして、じょーちゃんの写真みてやる。それくらいならいいだろ?」

 ちろりと奥さんの方に視線を向ける興明さんはどうやら、奥さんの尻にしかれてるらしいのがよーくわかった。

 うちも父さんはあんな感じだし、奥さんが強い家というのは割と多いのだろうか。

「はぁ。いいでしょう。貴方が気に入るなら、それは止めるべきじゃ無いのはわかってるし」

 さ、ルイさん。さっきの続きをどうぞ、と彼女は台所に入っていった。

 このままでは本当に夕飯を作ってくれそうな勢いである。

「んじゃ、力一杯ダメだししてやっからな。どんだけ耐えられるか見物だ」

 ふふと、不敵に笑う興明さんを前に、よろしくお願いシマスとメモ用紙をとりだしたら、なぜか。

「これだから写真馬鹿は……」

 タケさんから本当に深いため息をもらされてしまったのだけど、何言ってんのこいつという視線が二つ彼に向いたのは、いうまでもないことだった。

首つりネタからはいってーというのは前から構想しておりましたが、家での会話が実はあんまりできてない上に仕事という、あれで遅くなりまして。


ついにルイさんの原点。その写真家さんとご対面です。

ふふふ、さすがに超展開とはいわないけど、良い感じにえぇーって思っていただけたのではないかと。

写真馬鹿二人のトークとそれ以外の温度差ったら、ほんともうひどいですね。

っていっても、ルイさんはあいなさんに囲われてるので、遊びに来たかったらおいでねくらいな感じデス。


ちなみにタケのアニメーターの話はとりあえず「かってにしろ」で終わりだったみたいです。25過ぎても夢に迎えるのは素敵か、泥沼化のなんかこう……あれですねorz わ、私だってエロゲの製作とかなんだとか…ごにょごにょ。


はい。で、次回は明日の朝はむりっぺぇですが、春先ラストエピソードです。

また新キャラかよって言われそうですが、クラスメイトの男の子と木戸くん身代わりデートする予定です。うん。大学編はLGBT多めにいきますとも。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ