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019.高校二年四月~ 春、桜色

 春の景色はピンク色に染まるのが定番だ。

 四月。桜の並木の写真を撮りながら、春の風を感じる。

 ライトピンクのワンピにGジャンといういでたちで桜の景色を撮影していると、もう季節が一回りしてきたんだと実感する。


 新学期が始まるのはあと数日。

 それまで桜が残っているかどうかは気候次第といったところ。


 今年はかなりいっぱい桜の写真を撮った。

 三月の末。少しずつ開いていく桜のつぼみから、満開まで。

 四月になって地面にたっぷりと桜の花びらがまい散っている今の景色も、世界の全部がピンクに満ちていて華々しい。


「いやね、華々しいのはあんたの格好もだと思うんだよね」

 遠峰さんが、はぅんと脱力気味に言う。

 そうはいっても今は春だ。明るいコーデにしたって別段おかしくない。


「ピンクって正直、けっこー勇気がいる色だと思うんだよねぇ。ああ、ちっちゃい頃は別かもだけど」

 周りのピンク色の景色を背景にしてくるりと回って見せる。

 ピンク色の花柄ワンピの裾がふわりと踊った。


「でも、春ならこの世界のピンクにまぎれちゃうっていう、そんな感じで買ってみたのですよ」

「なにげにルイってば服の種類多いよね」

 毎週違う服、ということはないのだけれど、そのシーズンで数着着まわせる服を用意するようにしているから、毎週は一緒にいない遠峰さんにとっては、いつも違う風に見えるのだろう。


「それは週末だけだからだよ」

「そうはいってもさ! それあたしたちだって平日は制服なんだってば」

「そりゃそうなんだろうけど……なんていうんだろう。そのシーズンで必要なアイテムをまずはばっと揃えちゃう的な感じで」

 夏からはもちろん買い足していくことになるのだけれど、ある程度まとまった量をごそっと買う関係で使いまわしのバリエーションまで考慮にいれられるのである。


「でも、それだけあるってことは、部屋の中すごいことになってるんじゃない?」

「いちおー衣替えってことで秋冬ものとか押し入れにしまってるけど……正直いまじゃ、八割くらい女物という大惨事に」

「うぶ。確かにあっちの姿で出かける機会は、まあないのか」

「頻度としてはほとんどないかなぁ。時々エレナと遊びに行くことはあるけどね」

「それ、二人でどこにいくの?」

「そこらへんのファンシーショップ回ったり、お茶したり」

「って、それ全然男の子らしくないじゃん!」

 くわっと、そういわれたものの、エレンと木戸のセットで町中にいった場合、どうしたって普通の男子っぽい遊び方というのはできなかったのである。


「そもそも普通の男子がなにをして遊んでるか、あたしは知らないんだし。それを求められても無理っていうか」

 身近なサンプルといえば青木と八瀬だけれど、青木はカラオケバカだし、八瀬は二次元に生きる人間だ。


「ううぅ。君はちょっと世の男性のことをもうちょっと知ったほうがいいと思う」

「だってさぁ。男子高校生とかって学校でしか触れ合わないし、あとは……ああ。ナンパとか? いやぁ、ないない」

 自分とエレンが町中で女の子をひっかける図を想像すると、もう新手のコントなのかと思うほどに滑稽だ。むしろルイとエレナがナンパされてるほうがしっくりくる。


「あとは、お金がかかる遊びはあいつはいいだろうけど、こっちが無理だし。それにそういうおでかけなら、レディースデーが豊富って意味ではこっちのかっこのほうがお得なんだよ?」

「それはまあ否定できないかな」

 たしかになぁと遠峰さんがうなずく。

 それと、買い物のことでもう一つ補足をする。 


「男の子は目的のものを買ったらそれでおしまい、っていう思考回路をしているんだとか。だから必然的に、買うのが目的になっちゃって、お金使わないで町中にいるのは無理ってわけ」

 それに見て回るなら、圧倒的にかわいいもののほうが好きな二人なのだ。

 エレナの趣味的にホビーショップやらオタクショップなんかにも行くけれど、多少遠慮してくれているのかそこまで頻度は多くない。


「スポーツ全般はお互いに苦手だから。青春の汗を流すーなんてのもないし」

「どんどん、可能性が消えていく……恐ろしい」

「あはっ。でも、結局は週末こっちは撮影で、あっちも撮影なんだから、あんまり一緒に遊びに行く機会もないし、休みの日にお互いやりたいことをやっているからいいんじゃないの?」

 やりたいことがあるのは、きっといいことなのだ。普通の遊びっていうのがどういうものなのかよくわからないけれど、別にそれにとらわれる必要もない。


「そうね。それじゃルイ。一枚撮ったげるから、笑って笑って」

 そういう彼女の前で軽くはにかんで手を後ろでに結ぶ。胸元にカメラをつりながらピピリと一枚写真が撮られた。

 あとで見せてもらった写真は、桜舞う中、今年もふんわり漂うカメラ少女の姿だった。

 学年が進級しても、ルイは週末、写真を撮ってまいります。

 やっっと桜のシーンまできました! 二年生になったルイたんは今年も元気にやってまいります。修学旅行とかプールとかイベント盛りだくさんですので、作者が時系列把握をどれだけできるのか……整理してアップいたします。。勢いで書いてきたもので。

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