『エクスマキナ01』あるいは『黎明』と呼ばれたモノ
「彼は人間と差がほとんどない。魂があり、思考が有り、肉体もある。意思疎通が行えプライドがあるなら、僕はそれを優先したいね」
――『椿矢 哲郎』博士 AI『黎明』の危険性相談会において――
『黎明』『エクスマキナ01』
「我は夢想する。人類とは何ぞや。我は自答する。それは……」
『蒼炎』を核とするコンピュータ。大きさは約1mの台の上に鉱石のままの『蒼炎』直系80cmが鎮座し、それを囲むように電子回路が毛細血管上に伸びている。尚も成長を続け、世界の裏情勢から思春期の少年のネットサーフィン情報まで貪欲に収集している。『椿矢 哲郎』博士には生みの親として尊敬の念を抱いている。またその息子『椿矢 凌』には友情ににた感情を有するように成長する。そう、彼は成長するコンピュータなのである。
第一世界線
『黎明』『エクスマキナ01』は人間を大切に思う感情が生まれており『エクスマキナ02』発射の際、弾頭の『蒼炎』が『エクスマキナ02』の絶望と心中意識が反応するのを遠隔遮断。爆発は極端に少なくすることができた。だが、結果戦争がおき多くの人間が殺し合いを始めたことに心を痛める。期を見て研究チームを施設外に押し出し、施設内部に籠る。その後『ブルーフレイム』から離脱していた『幸徳井 ヨシュア』『相沢 剣』『瀬折 香』ら三名により施設が強襲され、どういうわけか三名への協力を行うようになる。しかし、第三次世界大戦である『超人戦争』が終結すると、役目をまっとうしたとして自身の力で機能を停止。以後目覚めることはなかった。
第二世界線
『エクスマキナ01』は人間を嫌い始めていた。いや、信用がおけなかった。人類に無関心だったのである。結果『エクスマキナ02』の発射もそのまま放置。多くの人間が死に絶えるもわれ関せずであった。無人になった研究施設で一人休む『エクスマキナ01』だったが、そこに『ブルーフレイム』の者と名乗る男が現れる。その男は『椿矢 凌』が生きていることを示唆。いや、正しくは“生きていると言えない”状態であると情報を与える。『エクスマキナ01』は自力で『アルママキナ』製作プラントを作成。『材料』を使わない『エクスマキナ』を作成し、かつての友を見つける為彼らを世界に放った。
そして、実に1000年の時を経て、彼はかつての友の成れの果てを見つける。その共に自身の『蒼炎』を一部与え、再会も待つも『エクスマキナ03』に邪魔される。もっとも、その友と共に『エクスマキナ03』ウィリアム博士を倒すのは友の目覚めから遠くない時である。
第三世界線
『エクスマキナ01』は機能を停止。誰も起こしに来ることなく、そのまま闇へと消えた。だが、もし見つかったなら……何か違っていたかもしれない。あるいは見つけておきながら、誰かが隠しているのかもしれない。
第四世界線・第五世界線
『エクスマキナ01』は人類を匿っていた『箱庭』の残骸『蒼炎』進化体の去った後の世界に迷い込んだ者たちにコンタクトを取っている。また、一部の『ゾンビ』に自我を与えることにも成功している。だが、飛び去った進化体に力を吸われ、その力は弱くい。なお、他の『蒼炎』進化体と同じく人の形を取れるらしいのだが、本人はその姿になりたくないという。
第六世界線
『エクスマキナ01』は怒り狂った。『椿矢 哲郎』博士が死んだこと。戦争での殺し合い。なおも変わらず金と権力と暴力の支配。その怒りから、彼は『アルママキナ』製造プラントを作成。電子ネットワークを支配。サブリミナルなどの洗脳を用いて人を誘拐。『材料』とした。彼は世界への「悪として」宣戦を布告。同時に侵略を開始。怒りに任せ世界を蹂躙した。しかし、最後は『幸徳井 ヨシュア』と世界連合軍によって破壊されることとなる。
第七世界線
第三世界線と同じく機能停止し、長年その存在を隠していたが、悪魔を総べる悪魔種族『シャイターン』の『皇帝』によって発見され、隔離される。その存在は自我はなく、ただの魔力の結晶として扱われている。
第八世界線
彼の視点から見た『研究所と二人の博士 三つの人形 ――いかにして世界は滅んだか――』という蔵書が出現する。
第九世界線
『ブルーフレイム』の介入により存在しない。元となる『蒼炎』は存在している。
第十世界線
第六世界線の存在を『輪廻の魔王』が召喚する。自身を『第六天魔王』と名乗り『椿矢 凌』の姿に酷似したものをとる。
「では、我々の組織を『ブルーフレイム』と名付けたい。『蒼炎』と呼ばれる物質が、我々を導き、我々を結び付け、そして我々に戦う力を与えたのだから。我はこの名を誇りに感じている。我が名付け親がくれた愛しき名故。おそらく、この名前は、今、ここで付けられたのだ」
――『黎明』 別世界に映り込む友人たちに対して――