02 地球
まだ男のターン
男がたどり着いたその場所。
地球。
男は人気のない山の崖の端にいた。
遠くには四角くて高い家が、沢山建っている。
見たこともない光景。
“間違いない”
男は震えた。
恐怖ではない。
歓喜にだ。
ここは自分を認めない、愚かな世界では無い。
「ふふふふ」
自分は魔法使いのいない世界を選んだ。
つまりここでは己が頂点に立つことができる。
そんな夢想をしながら、ふと目を下せば、そこには箱があった。
男には見覚えのないものだ。
長方形で細長く、しかも引っ張る者もないのに走っている。
見れば、中には人が乗っているようだ。
“馬はいないが・・・・馬車か何かだろう”
そう推測をたてた男は
にやりと邪悪な笑みを浮かべ
馬車らしきものに
掌を向け
魔力を
練り上げた
「【炎の矢】」
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この異なる世界でも魔法を使えるようだ。
コントロールが甘かったのか、狙いが外れて地面に当たったが、爆発に巻き込まれた馬車らしきものは粉々だ。
「おかしいな?炎の矢は爆発はしないはずだが・・・何か埋めてるのか?」
まぁいい、ここで私は王になる!
「はははは」
ここの戦い方は知らないが、物理防御の魔法を自分に掛けておけば大丈夫だろう。なにせ魔法を使えないのだから解除も出来まい
「はーはっはっはっ!!!!」
正しく、この世界で男に勝てる者はいない。
誰も魔法を理解できない地球では、現存する武器では男に届かないのだ。
今この世界において、この男は頂点に立っており。
世界最強であり。
あまたの生き物を蹂躙する強者であり。
異物だった。
「ははハハハハハ――ブツン
消えた。
男の存在など初めからなかったかのように、消えてなくなった。
世界は。
男の存在を。
受け入れなかったのだ。
後に残るのは
ボロボロに壊れた
バスだけ
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-----------道路で12時10分ごろガス爆発がありました。地面には大穴があいており、当時、当所の上を走っていたバスが巻き込まれました。死亡者はおりません。しかし、運転手を含めた10名が全員、重症者であり予断を許さない状況です。」
男のターン終了。会話にはともかく、本人はもう出てきません。
しかし、主人公もまだ出てこないな・・・・
炎の矢
正しくは掌を空に向け空中に何本かの炎の矢を浮かべ、手の動きとともに放つ技。
爆発はしない
男は掌から直接炎の矢を1本だけ出したが、下手くそな人向けの方法