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到着と入学:3

こんばんは、PAKUPAKUです。



○●○●○●○



「おっす!お前が兄貴に頼んでた人材かぁ。宜しくな!」


「は、はぁ……」


 ガハハと豪快に笑い、雹耶の肩をバンバンと叩く。


 その度に、思わず力が抜けて輪廻が落ちそうになってしまう。


 金色に染め上げた髪を、ワックスでツンツンに立たせている。日本での、繁華街の若者のようなイメージを持つ、学院長等という役職が全くもって似合わなさそうな風貌。体格もガッチリとしていて、傀儡師というよりは人形役のようだ。


「おっ、その背中にいるのがお前の魔術人形か。うひょー、美形じゃねぇか! ちょっと今度話させてくれよ!」


 口調も軽く、態度もフランクで厳ついイメージのある兄とは百八十度方向性が違うという感じだ。どう贔屓目に見ても、兄弟には見えない。


「苦労しますよ? 冗談抜きで」


「バッチコイ!」


 思わず、笑みが零れた。照れくさそうに頭を掻きながら、気を取り直したように、机の引き出しから書類を差し出す。


「そんじゃ、ここにちょちょいとサインしてくれ。そしたら、入学完了! お前も晴れて、この超名門校の仲間入りだ!」


「あはは……」


 雹耶は渡された書類にサインを入れる。この学院長、兄とは違って大分人付き合いの良さそうな人らしい。


 といっても、若干性格が自由すぎるというのもあるが。


「――はい、これでいいですか?」


 書類を学院長に渡す。一通り、目を通した後顔を上げると、ニカッと爽やかな笑みを浮かべた。


「っしゃぁ! オッケーオッケー。んじゃまぁ、いっちょ入学祝いに飲むか!」


「えぇっ!?」


 ノリノリな学院長。


 しかし、それは駄目だという風に、――いつの間にか現れたパイドが制した。全く、何の気配も感じられなかったので、雹耶は思わず目を見張ってしまった。先程もそうだったのだが、どうしてここまで気付けないのだろう。


「お言葉ですが、ユキチ様。それは困ります。今日はこれから、六学院会議の予定が入っておりますので、今お酒が入ってしまうとユキチ様は何時踊りだすかわかったものではありません」


「居たのかパイド。相変わらず影が薄いぞ、もっと俺みたいにパンクしようぜ。ほらほら、そんな堅いこと言ってねぇでさ」


「堅いこととおっしゃいますが、それではご欠席なされるのですか? ユーフさんが黙ってはいないと思いますが」

「ユーフっちの小言は長いからなぁ……」


 明らかに不満そうな顔を見せるユキチ。


「それが嫌なら、真面目に出席して下さい。ヒョウヤさんも、ユキチ様の無茶振りに困っておりますし、これから学院の事を説明したりしなければならないので、今連れて行かれると後々面倒です」


「はいはい、んじゃまそういう事だ。雹耶っち、また今度な」


 そういうと、ヒラヒラと手を振るユキチ。よく分からないノリに流され、挙句の果てには何故か、親しい友人のように呼ばれてしまった雹耶は何とも微妙な表情でお辞儀をすると、部屋を出て行こうとする。


 しかし、パイドが思い出したように雹耶を止めた。


「そうそう、生徒会長が貴方と話がしたいと言っていましたので、後で言って見てください。今は授業中ですが、貴方は今日一日は自由行動ですので、学院の中を周りがてら、生徒会室へと立ち寄ってみてください。恐らくは、そこでこの学院の事も聞けるでしょうから」


「わかりました」


 もう一度、礼をして雹耶は輪廻を抱え部屋を出た。


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