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恋愛マンガ家の休息  作者: 佐和多 奏


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5/11

ガラスの靴で舞踏会行ったけど王子様がウザすぎて婚約破棄 #3

蒼く茂る芝生に白く輝くブランコ、ベンチ、それらが月の光に照らされて、とっても綺麗で、私たちはそこで、ロマンチックに会話をしている。


「僕は、貴方に恋をしたみたいだ。舞踏会にいる他の女性は全然いい人いなかった。今まで出会ってきた女性も酷い人ばっかりだったよ。でも、君のような美しい女性に出会えるなんて……」

「酷い人、って、どんなふうに?」

「あ、ああ、どんなふうにって聞かれると、困るけど……貴方みたいに、あんなに僕の指図する通りに踊ってくれたり、この中庭に来てって、言ったらきてくれたり。そんな人は、あんまりいないかも」

フフッ、と笑みがこぼれた。

「なにそれ」


「もし、もしだよ、シンデレラが俺と一緒になってくれたら、僕の家来に好きに命令してもいいよ。あいつらは僕の言うことを全部聞いてくれるから。君は、僕と結婚をすれば、全てを手に入れられるんだ。一緒に、幸せに暮らそう」


好きに命令……。

指図する通りに……。


一緒に、幸せに暮らす……。


12時の、鐘が鳴りはじめた。

やばい。

魔法が、切れる!


「ごめんなさい、私、行かなきゃ!」

「え! 待って、待ってくれよ!」


中庭を出て、スカートを両手で持ちながら大広間の階段を一気に駆け下り、外で待っていたカボチャの馬車に乗り込んだ。

「早く、できるだけ早く戻って、お願い!」

ドアを閉めると馬車は全速力で走り始めた。


後ろを見ると王子様の家来の馬車が追いかけてくる。

やばい。

でも、これは魔法の馬車。


とっても速く走り、そのまま、追っ手を撒いた。


そして魔法が切れ、カボチャと動物に戻ってしまい、服はみずぼらしいものになってしまった。



結局、また、この生活に逆戻りか。

はあ。



あれ。


片足に、ガラスの靴が残ってる。

これは……。



大学4年のその時、俺は、アニメの会社に魅了されたんだ。

デザインがダメなら、アニメをプロデュースしてやるって。

テレビ局だったり、出版社だって、ESを出した。

ことごとく落ちたけど、1社、面接に招いてくれたキー局があったんだよ。

どちらの就活も、3年生に混じってやっていた。卒業年度用の募集は終わっていたから。もし内定が決まったら、休学するなりして、一年持ち越そうかな、なんて思って。


そうしてアニメをたくさん調べていた時に、俺は、シンデレラに魅了された。


1960年代にして、幻想的な作画、グリム童話をオマージュしたその物語もとっても素敵で。


こんな話が、俺にも描けたら、なんて思ってたっけ。それで、絵本なんて書いてたっけ、コピック使って。懐かしいな。

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