ガラスの靴で舞踏会行ったけど王子様がウザすぎて婚約破棄 #3
蒼く茂る芝生に白く輝くブランコ、ベンチ、それらが月の光に照らされて、とっても綺麗で、私たちはそこで、ロマンチックに会話をしている。
「僕は、貴方に恋をしたみたいだ。舞踏会にいる他の女性は全然いい人いなかった。今まで出会ってきた女性も酷い人ばっかりだったよ。でも、君のような美しい女性に出会えるなんて……」
「酷い人、って、どんなふうに?」
「あ、ああ、どんなふうにって聞かれると、困るけど……貴方みたいに、あんなに僕の指図する通りに踊ってくれたり、この中庭に来てって、言ったらきてくれたり。そんな人は、あんまりいないかも」
フフッ、と笑みがこぼれた。
「なにそれ」
「もし、もしだよ、シンデレラが俺と一緒になってくれたら、僕の家来に好きに命令してもいいよ。あいつらは僕の言うことを全部聞いてくれるから。君は、僕と結婚をすれば、全てを手に入れられるんだ。一緒に、幸せに暮らそう」
好きに命令……。
指図する通りに……。
一緒に、幸せに暮らす……。
12時の、鐘が鳴りはじめた。
やばい。
魔法が、切れる!
「ごめんなさい、私、行かなきゃ!」
「え! 待って、待ってくれよ!」
中庭を出て、スカートを両手で持ちながら大広間の階段を一気に駆け下り、外で待っていたカボチャの馬車に乗り込んだ。
「早く、できるだけ早く戻って、お願い!」
ドアを閉めると馬車は全速力で走り始めた。
後ろを見ると王子様の家来の馬車が追いかけてくる。
やばい。
でも、これは魔法の馬車。
とっても速く走り、そのまま、追っ手を撒いた。
そして魔法が切れ、カボチャと動物に戻ってしまい、服はみずぼらしいものになってしまった。
結局、また、この生活に逆戻りか。
はあ。
あれ。
片足に、ガラスの靴が残ってる。
これは……。
♢
大学4年のその時、俺は、アニメの会社に魅了されたんだ。
デザインがダメなら、アニメをプロデュースしてやるって。
テレビ局だったり、出版社だって、ESを出した。
ことごとく落ちたけど、1社、面接に招いてくれたキー局があったんだよ。
どちらの就活も、3年生に混じってやっていた。卒業年度用の募集は終わっていたから。もし内定が決まったら、休学するなりして、一年持ち越そうかな、なんて思って。
そうしてアニメをたくさん調べていた時に、俺は、シンデレラに魅了された。
1960年代にして、幻想的な作画、グリム童話をオマージュしたその物語もとっても素敵で。
こんな話が、俺にも描けたら、なんて思ってたっけ。それで、絵本なんて書いてたっけ、コピック使って。懐かしいな。




