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恋愛マンガ家の休息  作者: 佐和多 奏


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4/11

ガラスの靴で舞踏会行ったけど王子様がウザすぎて婚約破棄 #2

舞踏会の開催の日、シンデレラは継母と姉たちにいつも通りの雑用を任された。

仲の良かった動物たちが作ってくれたドレスも、姉たちに破られてしまった。


そして、3人は、馬車で、舞踏会まで行ってしまった……。




夜空を見上げて思う。

この部屋は狭いけれど、星が綺麗に見えるから、実は気に入っていて。

私には多分、ずっと、自由はない。

ずっと、継母に支配され続ける。

私は元々気にしやすくて、多分、継母が優しくなる日が来たとしても私は、多分変わらないだろう。

王子様と結婚すれば、全てがうまくいく。


そう、この国の女性は全員、信じきっている。

それは、私の継母も、姉たちも、そして……。


『そして、大きくなったら、素敵な王子様と、結婚して、そうすればレイチャミは、幸せで……』


今は亡き、私の父親も。



それにしても、今日は夜空が綺麗。

シンデレラは階段を降り、玄関を開けて外に出て、少し散歩をした。


そして、空を見上げる。


星が降っていた。一瞬のきらめきと共に儚く散る星たちを見て、何も為さずただ生き続ける私と比べてしまう。


夜空はとっても美しくて、吸い込まれそうで。


「……ちゃん、そこ綺麗なお嬢ちゃん!」


他人の声に気付き、急いで顔を向けた。夜空に夢中で気づかなかった。


そこには猫背の、フード付きの青色ローブを着た老婆が長い杖を持ち、立っていた。


「そこで何をしているんだい?」


「私、舞踏会に行けなくて、それで……」


これから私はずっと、この生活から解放されない。

そう思っただけで、涙がぶわっと溢れ出てしまった。

星たちが滲み、視界がぼやける。


「私が魔法をかけて、あなたを舞踏会に連れて行ってあげるよ」


そう言うと軽快な歌を歌い出し、杖を振りながら魔法を唱えると、星屑のような光を放ちながら、私の服がキラキラと輝く真っ白なドレスに変わった。


そして、もう一度魔法の言葉を放つとカボチャが馬車に、ネズミは白馬と騎手に変化した。


すごい、なんで、こんな事が……。


「さあ、早く馬車に乗りなさい。そうすれば、舞踏会に間に合うわ」


「う、うん! ありがとう、優しいおばあちゃん!」


すぐにカボチャの馬車に乗り、城へ向かう。


初めて訪れた、青白く輝くその城は、とっても大きくて。


階段を見つけた。多分あそこを降りた先が舞踏会の会場だ。そしてその奥、王子様が見える。

美しく整えられた黒髪に、大きくて切れ長の目、シュッとしたアゴにすらっと伸びた身長も、確かにこれは、国中の女性が魅了されるわけだ。


私が降り始めると、王子様がなにやら騒ぎ出し、そして、王子様の家来? たちが、私のために道を開けてくれた。


その道を進むと、王子様が私に手を差し伸べた。


「僕と、踊ってくれませんか」


王子様は、不敵な笑みを浮かべていた。


「はい、私もあなたと踊りたかったです」


幻想的な音楽の中、私たちは踊った。

息はぴったりで、ステップも軽やかに。

「僕はアラン。あなたの名前は?」

「私はレイ……シンデレラ」

「……シンデレラ。僕は貴方ほど美しい女性を見た事がない。出会えてとても嬉しいよ」

「……私も」

そう会話をして踊り続ける。

少し私がうまく踊れない事があると、手を取って、合わせてくれる。リードしてくれる。私の間違いを、自然に、指摘、してくる……。


その後、私はアラン王子に連れられるがままに、宮殿の奥へと進んだ。


「ここは王国の中でも限られた者しか入れない中庭だよ」



今日は、ここまでかな。

疲れた。残業長すぎ……。

でも、今頑張りどきだから。

ここを乗り越えれば、って、思う。

実家にいた頃はこの気持ちでそのまま家に帰って、親に結婚をしろとか、言われてたんだよな、毎日……。

俺だってさ、頑張ってんじゃん。なのに、家に帰ってこんなにも、結婚してないってだけで評価されないと、つれえよ正直……。

お前らのために、こちとらアプリ代も払ってんだよ。

お前らのためにっていうか、自分のためにっていうか、お前らのためにっていうか……。

なんとなく、この後の展開が思いついた。スマホを取り出しとりあえず結末までのプロットを30秒でメモした。


いつからだろうか。こうして、自分の悩みをマンガにぶつけてSNSに放り投げる作業をするのは。


第一志望の美大に受かって4年生、デザイン系の企業に50社落ちて。学部とは全く関係ない業種を、受けろって、他の大学生もみんなそうしてるんだって、キャリアセンターの人に言われて。


それからだっけか。

毎日毎日こうやって。ストレスを全部マンガにぶつけてたのは。



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