ガラスの靴で舞踏会行ったけど王子様がウザすぎて婚約破棄 #2
舞踏会の開催の日、シンデレラは継母と姉たちにいつも通りの雑用を任された。
仲の良かった動物たちが作ってくれたドレスも、姉たちに破られてしまった。
そして、3人は、馬車で、舞踏会まで行ってしまった……。
夜空を見上げて思う。
この部屋は狭いけれど、星が綺麗に見えるから、実は気に入っていて。
私には多分、ずっと、自由はない。
ずっと、継母に支配され続ける。
私は元々気にしやすくて、多分、継母が優しくなる日が来たとしても私は、多分変わらないだろう。
王子様と結婚すれば、全てがうまくいく。
そう、この国の女性は全員、信じきっている。
それは、私の継母も、姉たちも、そして……。
『そして、大きくなったら、素敵な王子様と、結婚して、そうすればレイチャミは、幸せで……』
今は亡き、私の父親も。
それにしても、今日は夜空が綺麗。
シンデレラは階段を降り、玄関を開けて外に出て、少し散歩をした。
そして、空を見上げる。
星が降っていた。一瞬のきらめきと共に儚く散る星たちを見て、何も為さずただ生き続ける私と比べてしまう。
夜空はとっても美しくて、吸い込まれそうで。
「……ちゃん、そこ綺麗なお嬢ちゃん!」
他人の声に気付き、急いで顔を向けた。夜空に夢中で気づかなかった。
そこには猫背の、フード付きの青色ローブを着た老婆が長い杖を持ち、立っていた。
「そこで何をしているんだい?」
「私、舞踏会に行けなくて、それで……」
これから私はずっと、この生活から解放されない。
そう思っただけで、涙がぶわっと溢れ出てしまった。
星たちが滲み、視界がぼやける。
「私が魔法をかけて、あなたを舞踏会に連れて行ってあげるよ」
そう言うと軽快な歌を歌い出し、杖を振りながら魔法を唱えると、星屑のような光を放ちながら、私の服がキラキラと輝く真っ白なドレスに変わった。
そして、もう一度魔法の言葉を放つとカボチャが馬車に、ネズミは白馬と騎手に変化した。
すごい、なんで、こんな事が……。
「さあ、早く馬車に乗りなさい。そうすれば、舞踏会に間に合うわ」
「う、うん! ありがとう、優しいおばあちゃん!」
すぐにカボチャの馬車に乗り、城へ向かう。
初めて訪れた、青白く輝くその城は、とっても大きくて。
階段を見つけた。多分あそこを降りた先が舞踏会の会場だ。そしてその奥、王子様が見える。
美しく整えられた黒髪に、大きくて切れ長の目、シュッとしたアゴにすらっと伸びた身長も、確かにこれは、国中の女性が魅了されるわけだ。
私が降り始めると、王子様がなにやら騒ぎ出し、そして、王子様の家来? たちが、私のために道を開けてくれた。
その道を進むと、王子様が私に手を差し伸べた。
「僕と、踊ってくれませんか」
王子様は、不敵な笑みを浮かべていた。
「はい、私もあなたと踊りたかったです」
幻想的な音楽の中、私たちは踊った。
息はぴったりで、ステップも軽やかに。
「僕はアラン。あなたの名前は?」
「私はレイ……シンデレラ」
「……シンデレラ。僕は貴方ほど美しい女性を見た事がない。出会えてとても嬉しいよ」
「……私も」
そう会話をして踊り続ける。
少し私がうまく踊れない事があると、手を取って、合わせてくれる。リードしてくれる。私の間違いを、自然に、指摘、してくる……。
その後、私はアラン王子に連れられるがままに、宮殿の奥へと進んだ。
「ここは王国の中でも限られた者しか入れない中庭だよ」
♢
今日は、ここまでかな。
疲れた。残業長すぎ……。
でも、今頑張りどきだから。
ここを乗り越えれば、って、思う。
実家にいた頃はこの気持ちでそのまま家に帰って、親に結婚をしろとか、言われてたんだよな、毎日……。
俺だってさ、頑張ってんじゃん。なのに、家に帰ってこんなにも、結婚してないってだけで評価されないと、つれえよ正直……。
お前らのために、こちとらアプリ代も払ってんだよ。
お前らのためにっていうか、自分のためにっていうか、お前らのためにっていうか……。
なんとなく、この後の展開が思いついた。スマホを取り出しとりあえず結末までのプロットを30秒でメモした。
いつからだろうか。こうして、自分の悩みをマンガにぶつけてSNSに放り投げる作業をするのは。
第一志望の美大に受かって4年生、デザイン系の企業に50社落ちて。学部とは全く関係ない業種を、受けろって、他の大学生もみんなそうしてるんだって、キャリアセンターの人に言われて。
それからだっけか。
毎日毎日こうやって。ストレスを全部マンガにぶつけてたのは。




