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ラブコメ作家は恋をしない  作者: 佐和多 奏


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初恋は夕焼け色に染めてやった #3

「私、好きな人ができたの」


綾音の言葉が朝起きて浮かぶ。

今日は文化祭。

綾音は、今日、透に告白するらしい。


多分、成功する。そんなこと、なんとなくもう、雰囲気でわかる。


私は透を好きなのはそう。幼馴染で、ずっと透のことを思ってて。思ってて……。


行きたくないなあ、学校。誰にも会いたくない。絶対、つまんないし。もう、わかるから。


「今日文化祭でしょー? 早く行かないと……」


母親の声が聞こえてくる。


いつも通り朝ごはんを食べて、玄関を開けた。


ぼーっと、駅まで歩いていく。

駅前のドーナツ屋さんを見つめる。


気づいたら私は、そこに逃げ込んでいた。


ぼーっとゲームをして、動画を見て。


ドーナツ屋さんを出た頃には、空は夕焼け色に染まっていた。



スマホが鳴った。どうせ綾音からだ。

嫌だなあ。







結局、私が何したって、意味ない。何しても、意味ない。何も、達成できやしない。この先も、未来も。こんなクソつまんない世界が私は嫌いだ。








綾音と透に悪口を10通くらい送りつけてそのままブロックしてスマホを川に投げつけた。








文化祭が近づくにつれ綾音と透がいい感じになってきて、いつもの4人で夜、たむろってるところ、星空の下、綾音が告白、透がオッケーして、2人が付き合うところを見て、帰り道、陽キャの日向が紗凪に優しくして紗凪が泣いてしまう、そんなストーリーを描こうとしていた。


でも、俺が今描きたいのは多分それじゃない。

紗凪が悲しくて、そもそも現実も見たくなくて学校もサボって、綾音の告白の結果だって見たか見てないかもよくわからず、全てが嫌になって終わる、そんなストーリー。


だって、俺、クソつまんないもん。この世界。


恋愛なんて一ミリも上手く行かねえし。

こういうストーリーの方が俺はやっぱ好き。傷つかないし。自分を守れるし。面白いし。なんか、あと。

紗凪が、俺の味方してくれてるみたいに、少し感じられる。


元々描こうとしてた、日向が紗凪に優しくして終わるストーリーは、なんか逆に紗凪に裏切られた感じがして俺はとても嫌い。まあ世間はそれを求めてるんだろうけど。



まあどうせ、こんなストーリー、誰にもウケないから。



視聴者の期待は、裏切っちゃダメ。恋愛マンガ家なんだから、ちゃんと、恋愛マンガのセオリーにそわなきゃ。



そわな、きゃ……。



もし俺が、このストーリーで投稿したら、みんな、どんな反応するのかな。




でも、もしこれを投稿して、共感してくれるなんてことがあったら。……俺は、なんでかわかんないけど、とっても嬉しい気がするんだよ。




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