その恋は星空のように #5
2月1日
星が少し出てきている。浜松駅のカフェの窓の外は、雪が降っていた。
「私、映画好きなんですよね。後で、DVDショップに行きませんか……?」
「……ああ、いいね」
「やったー!」
少し歩いたところのDVDレンタルショップに一緒に入った。DVDレンタルショップなんて、久々に来た……。あ、この作品、めっちゃ好き……。この作品も、この作品も、この作品も!
「愛衣ちゃん、この作品めっちゃいいよ! あ! この作品も! この作品はね、めっちゃ綺麗でね、あ! この作品! 俺めっちゃ好き!」
愛衣ちゃんは横で微笑みながら、俺の話を静かに聞いていた。
俺は、気がついたら30分くらい作品の話をしていた。
「あ! ご、ごめん、話しすぎてた……」
「いえいえ、先輩が、どれだけ映像作品を愛しているかが、わかりました」
俺たちは、そのまま一緒に駅に向かって歩いて行った。
雪が電灯に照らされて綺麗。
「なあ、愛衣ちゃん」
「何ですか?」
「おれ、テレビ局とか、出版社とか、目指すところが高すぎたのかな。実は、それで悩んでてさ。書類とか、一次面接で落とされてばっかりで。とてもじゃないけど、おれが受けるような会社じゃなくて」
「……先輩。先輩が、出版社とかテレビ局を目指したくなるのは、すごくわかります。だって、さっき、DVDショップでずーっと好きな作品について話していたじゃないですか! 先輩、アニメとか映画とかドラマとかが本当に大好きなんだな、って伝わってきましたし、だから、映像化の事業がやりたくなるのだって必然です! だから、先輩は四年生になっても頑張って大学に行って、最後の最後まで就活したんじゃないですか?」
「……確かに、そっか。おれは、やりたいことを追いかけていたのか」
「そうですよ。先輩は、気づかないうちに、やりたいことを追いかけられていたんですよ! それって、素晴らしいことだと、私は思いますよ! だって、私はやりたいことを追いかけた経験、ないですから。先輩のことが、羨ましいです」
「そっか……おれは、やりたいことが追いかけられていて、幸せだったのかもな」
「はい! そうですよ! 自信持ってください! あ! 流れ星ですよ! 先輩」
「本当だ!」
愛衣ちゃんはおれの腕を掴んでぴょんぴょんする。
「綺麗ですねー」
「綺麗だねー」
「あ、先輩、こういうのはどうですか? マンガを書いてみるとか! もしかしたら、アニメ化されるかもしれませんよ!」
「……マンガ、か」
イラストの表現で、自分の好きなように物語を構築して、それを誰かに、伝える。あの時、テレビ番組を企画したみたいに、想像力を全てそのコマぶつけて、そこに世界を作って、今まで俺が就活で得た物語についての知識も経験も全て詰め込んで、最高の作品を、作る……。
「私、マンガめっちゃ好きで、一回マンガの賞にも応募しようとしたことあるんですよー! 星空マンガ新人賞っていう新人賞でですねー、あ、確かあれ3月31日が〆切でした! 今からなら、ちょうど間に合うんじゃないですか?」
何、そのシンクロナイズドな話。
……めっちゃ、いいじゃん!
「……くよ」
フフッ、と愛衣ちゃんは俺の顔を見つめる。
「……何ですか?」
声が、少しだけ、震える。
「俺、描くよ。マンガ、描くよ!」
また、流れ星が流れる。
「先輩! 完成したら、見せてください!」
「えー、どうしよっかなー」
「えー、見せてくださいよー」
満天の星空が、俺たちを包み込む。
満喫を出るとやっぱり満点の星空だった。この辺が田舎なだけなんか。
結局、どれだけキラキラした恋愛したって、最後に何も残ってなかったら……って考えてると悲しくなるから考えない考えない! 今日も疲れたな……。なんか、次書くやつはもっと簡単な童話とかにしてやろうかな。めんどくさい。うう。はあ。
LINEは……チッ、オール既読無視未読無視かよ。まあそんなもんよな。大学の頃色々言ってきた奴らうぜー、今も言ってくる奴らもうぜー。めんどくせーな、人と関わるのも、仕事も金も、恋愛も、めんどくさすぎ。いっそのこと全てなくなればいいのに。あー、今日は諦めてハニワでも聞いて青ブタでも見て、青春時代に現実逃避しますか。




