第5話「ど新人女神」
新連載です!
何卒宜しくお願い致します。
しばらく1日複数回の更新を行います。
どうぞ、お楽しみください。
俺の真っすぐな視線を受け止めて、3人目の女神様は、「はきはき」と挨拶する。
『はい! 初めまして! 天界神様連合後方支援課所属、D級女神クッカと申しまぁす』
『て、天界? 神様連合? こ、こうほう……何? でしょうか?』
ああ、肩書きが長い……長すぎるよ。
それに凄い早口だし……
俺が覚えきれず、首を傾げたので、クッカ様は再び名乗る。
今度は、若干ゆっくり目だ。
『……復唱致します! 天界神様連合、後方、支援課所属、D級女神、クッカです!』
『え? どっきゅん女神?』
『違います! D級女神ですっ! もう! ……管理神様、私から説明してさしあげても宜しいですか?』
『ああ、いいよ~ん』
クッカ様は俺にいじられて、ちょっとだけ頬を膨らませた。
だけど、直接俺と話す許可を管理神様から与えられたので、
嬉しそうに話し始めた。
『はいっ! じゃあ、改めてご説明致しましょう。えっと、天界は我々神が住まう場所です。そして神様連合とはですね、創世神様をトップにして、様々な神様の所属する組合みたいなものです』
『ふむふむ』
『そしてマトレーナ様、ヴァルヴァラ様を含めて、私達の所属する後方支援課というのは創世神様の教えに基づき、天界の声を地上の人々へ授けて加護を与える、すなわちサポートするのが主な業務のセクションです』
『で、クッカ様は、その部署の新人さんなのですか?』
『はい! 私、女神になりたての、ど新人なのですが、この世界の管理神様から、いきなり、ご推薦を頂き、ケン様の担当候補として選ばれました。光栄の極みです!』
ど新人女神?のクッカ様かあ……
どれどれ?
俺は、改めてクッカ様を観察した。
先の先輩女神様ふたりより、遥かに人間っぽい。
見た目、俺とは違い、完全な白人系の外人さんって、感じだけど……
うん……身長は、そこそこ高い。
大体……170㎝少し切るくらいだろうか?
そんな、極端に高くはないか。
でも、モデルみたいに顔が小さいなぁ……
抜けるような白い肌が美しいけど、年齢は、雰囲気的に18歳くらい?
長い、さらさらの金髪が揺れてて、切れ長の涼しげな碧眼が綺麗だ。
鼻筋が通ってるし、整った可愛い顔立ちをしてる。
でも冷たいって感じじゃなく、何か親しみやすく、温かい雰囲気だ。
可愛い桜色の唇が美味しそう。
すらりとした抜群のスタイルは、素晴らしいぞぉ。
そして、白い薄絹のような古めかしいドレスを身に纏っている。
確か神話に出て来る女神様が着ている、キトンって服だよ、これ。
おお!
滅茶苦茶大きくはないが、形の良い胸はそそるなぁ。
あれれ?
ええっと……胸が透けてないかぁぁぁ!?
そんな俺の、舐め回すような邪な視線を感じたのだろうか?
クッカ様は「ぱっ」と手で胸を隠してしまった。
あ、やっべ!
クッカ様ったら、真っ赤になって俯いている。
さっきの話を聞いた上、俺のエッチな視線を感じたから、
「こいつ、凄くスケベな奴!」なんて思ったろうなぁ……
でも、おっぱいが好きなのは、男の本能なんだ、あくまでも個人的な意見だけど。
だから、許して欲しい……
真っ赤になったクッカ様が黙り込んでしまったので、
管理神様の声がまたも聞こえて来た。
『ふむ、クッカを選んだ場合はさ、ケン君は人間族のままだよ~ん。そして! 君のふるさととは若干、趣きは違うけど、いかにも、っていう感じの小さな農村へ送るよ~ん。多分そこでなら、君が前世で希望したものに近い暮らしが出来るはず。いわゆるスローライフだよ~ん』
え? 小さな農村? スローライフ?
もしかして、俺が帰ろうとした故郷の田舎に似てるのかな。
そう思ったら、望郷の念が湧き上がって来た。
ああ、帰りたい、俺の心にある風景の故郷へ……
あくせく暮らしたくない! 故郷でスローライフしたい!
それがもう、現実では無理なのが分かっていても、
暮らすのなら、のんびりした異世界の村が絶対良い。
女神様ふたりを怒らせたから、もう俺に選択肢は残っていないだろうし。
こんな俺には、新人で可愛いタイプのクッカ様が一番合いそうだ。
よし! 決めた!
俺はどう、人生をリスタートするのか決めたぞ!
『スローライフ! それです、それっ! 俺、そんな村で静かで安全に暮らす方が全然良いですもん』
俺は、確信した。
やはり都会なんか真っ平だという事を。
だが、管理神様は聞いて来る。
しかも驚く事に、口調がいつの間にか、凄く真面目になってるし。
『その決意は絶対?』
絶対なんて、いきなり言われても困る。
だけど、初志貫徹だ。
俺は、しっかり返事をする。
『はい! 絶対です!』
でも、管理神様の追及は、なおも続く。
『クッカを選ぶと約束したら、もう取り消し不可だ。僕に誓える?』
『僕に誓えって……ああ、管理神様にって事ですね。全然OKです、誓いますよ!』
俺は再びOK! と返す。
もう絶対に、間違いありませんよって、感じで。
でも、これって……
俺の考え方の裏付けや、言質を取られたという事になるのだろうか?
少し……不安が過ぎった。
『よし、分かった! これで君への加護の内容が決まったよ!』
『え? 俺への加護の内容が決まったのですか? 管理神様へ返す答えって、単にクッカ様を選んでどこへ行くか? だけじゃないのですか?』
『違うさ。もしエルフの国や王都へ出て勇者になりたいって言ったら、スキルは少しプレゼントしたけれどレベル1からのスタートだった』
『レベル1? まあ、良くありがちですね』
良くありがち……
最初は弱い敵と少しづつ、こまめに戦いながら様々な経験を積んで、
徐々にレベルを上げ、攻防支援他のスキルを覚え強くなって行く。
至極まっとうだ。
普通はねぇ、そうでしょう?
俺は、田舎の村でコツコツとレベル上げをして行く、
ロールプレイングゲームの主人公をイメージした。
体力が少なくなったら、宿屋へ泊まるとか、ね。
しかし神様からの提案は、全く意外なものであった。
『ふふふ、確かによくありがちだね。だけど今の答えのお陰で君は真逆の力を得る事になった』
『え!? ま、真逆!? 真逆って、何でしょう?』
『うん! 今の問いは君を試したのさ。元々、君の死が手違いな上に、故郷に帰り、静かに人間らしく暮らす事に対しては、他の神様も評価していたからね』
他の神様も、故郷へ帰る俺を評価?
それはありがたいけど、今いち意味が分からない。
まあ、何か少しは良い事があるかもしれない。
『へぇ! それはどうも、ありがとうございます。……でも真逆って?』
『つまり、レベル1の反対は、この世界のレベル上限であるレベル99……君はレベル99とオールスキル(仮)を与えられるって事だよ』
管理神様は、もの凄い事を……あっさりと言ってのけた。
『は、はい~!? い、今、何と?』
『もう一度言おう。我々神様にも匹敵するレベル99の数値とオールスキル(仮)の能力を授けようって言ったのさ』
レベル99!!! 神様に匹敵する!?
な、何!? その圧倒的な最終形態バージョン……
ただ(仮)ってついているのが気になるけれど。
俺は絶句してしまう。
『いやいやいや! 小さな村の平凡な暮らしでレベル99!? ……要らないでしょう、そんな凄い力!』
『いやいやいや、って返してあげるよ。ほら、無欲な人は報われるって、よく神話にも例えがあるだろう? それにこれ神様連合の最終決定事項だから君は断れない』
『…………』
『あ、そうだ! あとひとつだけ忠告しておくよ、これから行く村には領主が居る』
『領主が?』
『うん! 領主の耳へ、ケン君が持つ凄い能力の話が入ったら』
『入ったら?』
『絶対に王都へ報告が行く』
『報告が!? 絶対に?』
『そう! どこの国でも、勇者が現れたら自国へ取り込もうとしている。だから、各地の領主にも、王様から勇者発見料として莫大な報奨金が出るんだ』
『は!? 勇者発見料!?』
……それって、莫大な懸賞金を懸けられた、『危ない犯罪者』みたいじゃないか!
それを聞き、俺は、急に脱力した。
そんな俺に管理神様の話は続く。
『もし、そうなれば、君は間違いなく王様に呼び出され、勇者認定となる! 君の言う厄介ごとに散々使われた挙句、確実に魔王退治の任務を仰せつかる。まあ、気を付けてねっ!』
『そんな! じゃあ俺は目立たないよう、隠れてこそこそ暮らすんですか?』
『そういう事。どうせケン君は、故郷で静かにひっそり暮らすのが望みだろう? じゃあ、クッカ。ケン君をしっかりサポートしてね~』
『はいっ! かしこまりました!』
『というわけで、せいぜい頑張って。まったね~、ばはは~いっ』
管理神様が別れを告げた、その瞬間!
俺の目の前は真っ暗になり、意識は手放されたのである。
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