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第48話「美少女達はアマゾネス」

レベル99の俺が超手加減して、超軽~く腹に一発入れると、

クラン大狼(ビッグウルフ)のリーダー、外道髭男ガエルはとんでもなく苦悶。

胃の中の内容物を「げええっ」と吐いて、気を失ってしまった。


まあ、本気でやると即死というか、塵も残らないだろうから、

敵に対する力加減の勉強にはなった。


今後の戦いに、活かして行こうと思う。


「ダ~リ~ンッ!」


レベッカが、Vサインを出しながら駆け寄って来る。

約束通り『仇』を討ってやったので、とっても嬉しそうだ。


「いぇ~い、やったね!」


ひしっ!と俺に抱きつくレベッカは、満面の笑みを浮かべていた。


彼女にとって、リスペクトする伴侶は優しさ、誠実さと共に、

自分をも、遥かに上回る強さを、兼ね備えているのが理想なのだろう。


結局、親分(リーダー)も倒れて、

クラン大狼(ビッグウルフ)計4名は、全員戦闘不能となった。

 

そんな俺の勝利を、見届けたガストンさんが正門を開いて、

我慢し切れないぜ! という感じで、一目散に飛び出して来た。


ダッシュで俺の(そば)へ駆けつけると、

愛娘のレベッカごと、俺を抱き締めてバンバン背中を叩く。


そして、ガストンさん、倒れている大狼(ビッグウルフ)をチラリ。


俺を見て、「にやにやっ」と笑う。


「ケン。こいつら、まさにざまあ!って感じだな」


「です! 念の為、とどめは刺していません、気絶しているだけで、生命に別条は無いです」


「おお、そうか」


「はい、髭のクランリーダーへは軽~くビンタ&腹へパンチを当てたのと、他の3人は脅かし、結果、全員を気絶させ、懲らしめただけですよ」


「そうかあ! 気絶させ、懲らしめただけか! 相当余裕だな! でもケンよ! お前、本当にやるなぁ、改めて惚れ直したぞ、我が息子よ」


ははっ、心がくすぐったい。

ガストンさんが俺を『我が息子』だって、さ。


まだ、俺はレベッカと結婚していないんだぜ。

ミシェル母娘といい、この父娘も気が早過ぎるんじゃあないの?


……でも俺は何故か、すっごく嬉しくなってしまった。


嬉しそうな俺を見て、ガストンさんは、またも「にやにやっ」と笑う。


「もし危なかったら、俺がすぐ助けてやろうと思っていたが……不要だったな」


ガストンさんの俺を見る目は「頼もしいぞ」って褒める気持ちと、

優しい慈愛に満ち溢れていた。


ガエル率いる悪の組織、クラン大狼(ビッグウルフ)の野望は、

ガラガラガラと脆くも崩れ去った。


こうして……ボヌール村の平和は、しっかりと守られたのだ。


まあ、大袈裟に言えばそういう事。


私見だし、本人へ言うと、絶対に殺されるから、あれだけど……

レベッカの尻を、軽く触るくらいの軽犯罪ならまだ可愛い。


半殺しくらいで許してやるが…… 

しかし、あのガエルと若い『ちゃら男』の会話には、

それを超える嫌らしい気配がプンプンしていた。


多分、村内へ入ったら、夜半にこっそりと宿屋を抜け出して、夜這い……

村の女の子達に悪さをしまくるつもりだったのだろう。


渋い表情のガストンさんが、先に失神した3人にざば!と、

容赦なく水をぶっかけると、奴等は意識を取り戻した。


俺を見ると「ひいっ」と悲鳴をあげて飛び上がる。


そして、まだ失神して倒れているガエルを抱えると、

あっという間、一目散に逃亡してしまった。


その様子を見た俺は、ちょっとだけ心配になった。


ついつい、クッカに尋ねてしまう。


『おいおい……あいつら、本当に大丈夫か? 忘却の魔法で記憶を消したんだよ、な』


『うふふ、大丈夫。奴らは単にケン様の発する波動に畏怖して怯えただけですから』


クッカは澄まし顔で言う。


むう、俺の波動に畏怖ねぇ……ホントかなぁ……


まあ、いいや。


何か凄い力を振るったわけでもないし、いざとなれば(とぼ)ければOK!


証拠は何もナッシングだし。


うん! そうしよう。


俺が自問自答して納得した、その時。


「あの……あんた、困った事をしてくれたな」


言葉通り、困りきった表情で俺に声かけて来たのは、

ジェトレ村の商隊のリーダーと思しき年かさの男であった。


他の3人の商人達も、腕組みをして俺を見つめていた。

皆、俺を非難するような表情である。


はあ!? と声が出そうになるくらい。


俺は一瞬、意味が理解出来なかった。


「え? 困った事ですか?」


「ああ、あんたが大狼(ビッグウルフ)を懲らしめ過ぎて、あいつらどっかへ逃げちまった。私達、商隊の護衛が居なくなってしまったじゃないか」


「はぁ……」


おいおいおい! 何だ、こいつ!


そもそも雇い主であるこのおっさんが、

クラン大狼の事をうまく管理出来ていないからこうなったんだぜ。


奴らが犯罪に走ったのを懲らしめ、更なる被害を防いだんだぜ。


それを言うに事欠いて、俺が困った事をしてくれただとぉ?


思わず俺の口から、怒りがほとばしる。


「おい! おっさん、てめえ! ふざけるなよ!」


「は!? え!?」 


俺の思わぬ反撃に、商人親爺は驚き顔だ。


でも、この流れはそうだろ。


いい年したおっさんが、常識も知らないのか?

それに、他人の気持ちを察し、上手く仕事をするのが商人だろうよ。


「何を考えているんだ、てめえ! てめぇらが雇ったアホなゴロツキ共がな、村の決まりを守らず、挙句の果てに俺の可愛い嫁の尻を触ったんだぞ!」


「あ、ううう……だ、だが……」


「だが、じゃねえ! 更には、この俺にも襲い掛かって来ようとしたんだ! これは完全に暴行未遂だし、俺の反撃は正当防衛! 全てが、てめえらの監督責任だろうが! こっちが賠償金を貰いたいくらいだぞ!」


マシンガントーク的な俺の言葉を聞き、(もっと)もだ!

というように、ガストンさんもレベッカも、「うんうん」と頷いている。


「そもそも、おっさん! あいつらの雇い主として責任を感じないのか? いまだに謝罪さえしていないじゃないか!」


「あ!? あ、ああ……わ、悪かった! 申し訳ない。ゆ、許してくれ……」


ここまで俺からガンガン言われ、青ざめ、平身低頭で詫びたおっさんは、

さすがに馬鹿な事を言ったと気付いたらしい。


「だ、だが……これでは……こうなっては、私達はエモシオンの町へ行くどころか、ジェトレ村へ帰る事も出来ない……」


はあ? 何だ、それ?


お前は、一体何を言っているんだ? と言ってやりたい。


こんな時には、はっきりこう言うに限る。


「はぁ? そんなの知った事か、自業自得だろ? それ」


「そんなぁ……」


泣きそうになる商人の親爺。


う~む。

美少女の泣き顔はそそるが、こんなむさいおっさんの泣き顔など全く要らない。


丸めて、ゴミ箱に「ぽいっ」と捨ててしまえ。


「ケン! いえ、ケン様。ちょっと相談があるんだけど……」


気配でこっちに来たのは分かっていたが、

ここで声を掛けて来たのがミシェルであった。


ケンと呼び捨てだった、俺への呼び方が、いきなり『ケン様』へ変わったのは、

彼女の心の中に、大きな変化が生じたらしい。


多分、理由はレベッカと同じだろう。


「ガストンおじさんとレベッカも一緒に……ちょっとあっちで話さない?」


こうして俺は、ミシェル達と少し離れた場所へ行き、密談って奴をしたのである。


「ねぇ……こういうふうにしない?」


ミシェルの提案とは……


俺達が、クラン大狼(ビッグウルフ)の代わりに護衛役として、

エモシオンまで商隊を守る事。


当然ながら商隊から護衛の報酬は貰うし、どちらにしろ、

ミシェルもエモシオンの町へ『仕入れ』に行く必要があるから一石二鳥だという。

 

そんなミシェルの提案を聞いたレベッカは、目を輝かせた。


「わお! それ名案じゃない! 私は構わないわ、面白そうだし一緒に行くよ」


しかし、苦々しい表情のガストンさんは心配らしく手を左右に振った。


「う~ん、俺は反対だな。お前達だけでは心配だし、無理に仕入れに行かなくても村で自給出来る品で生活は可能だから」


だが、意外!


ミシェルが猛犬のように……

いや、魔獣ケルベロスのように喰いついたのだ。


「もう! ガストンおじさんったら! 分かってる? この前、エモシオンの町へ行ったのって、半年も前。だからもう、色々なものが不足して凄く難儀していたのよ! それともおじさんが一緒に町まで行ってくれるの?」


おお、ミシェルも俺と同じくマシンガントーク!


「あ、ああ……俺は行けないしな、わ、分かったよ……」


どうやらガストンさんは村の守り役なので、

自分はエモシオンの町まで同行出来ないらしい。


そんな事情もあり、先日のレベッカだけでなく、

今度はミシェルにまで押し切られてしまった。

 

レベッカもミシェルも、そしてミシェル母のイザベルさんなんかも典型だが……

ああ、リゼット母のフロランスさんもそうか!


やっぱり、この村の女性は強い! 逞しい!


凄く、そう思う。


「でも本当にお前達だけで大丈夫か? 危なくはないのか?」


納得させられたものの、ガストンさんはまだまだ心配らしい。

 

そりゃ、そうだ。


街道沿いには、ヤバそうな魔物&強盗がぞろぞろお出ましになるのだから。

 

しかし、ミシェルは事も無げに言う。


「全然平気だよ、ケン様はご覧の通りの強さだし、レベッカの弓は達人級。そして私は……」


ミシェルはそう言うと、真下に転がっていた大き目の石ころを拾う。


え、ええっと……何をするおつもりですか、ミシェル様。


「はあっ!」


ミシェルが息を吐いて、左手を使い、アンダートスで真上に軽く放った石は……


「たおおおっ!」


ばしゅっ!!


裂帛の気合と共に、繰り出された彼女の右拳で、

粉々に打ち砕かれていたのである。


呆然!!


今度は俺が目を丸くして、阿呆のように口を開けその場に突っ立っていた。


「うふふ、これは死んだ父さん直伝の拳法さ。私だって、自分と家族の身を守るくらいは出来るよ」


俺に向かって、にっこり笑うミシェル。


そうか……こうやって、俺の家の扉をあっさりと破壊したんだね、キミは。


レベッカと言い、ミシェルと言い、まるでアマゾネスみたいだなあ……


ようやく納得した俺は、ぎこちない笑顔を浮かべて、黙って頷いたのである。

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