第47話「復讐の炎に身を焦がせ」
あれれ? 何だ?
何で、こいつら驚いているの?
クラン大狼の奴らのリアクションを見て、
俺は、ついポカンとしてしまう。
だが、クランメンバーの男達は「がくがく」「ぶるぶる」震え、
いわゆるガクブル状態。
ひどく怖ろしそうに俺を指さしている。
「ガ、ガキ!! お、お前、平気なのか!? ぜ、全然熱くないのかぁ?」
「よよ、良く平気だなあ! ぜぜ、全身から、ほほ、炎が! ごうごう噴き出しているじゃないかあっ!」
「なな、何者? もも、もしかして!? にに、人間じゃあねぇのかあ! まま、まさか! 炎の魔人かよぉ!」
は? 俺がイフリートじゃないかって何?
まあ、中二病の俺は知っている、イフリートは炎の魔人だよね。
でも何故に、俺がイフリート? 一体どうして?
指摘された俺が、改めて自分の手や身体を見やれば……
げええっ!! た、確かに! か、身体が燃え上ってるう!!
俺の全身が!! ま、真っ赤な……ほ、炎に!! 包まれているぞぉ!!
これって間違いない!
また、あの子の仕業だ。
『ククク、クッカァ!』
『ごおおおおおおおお!! うっふふふ。今度は正義のヒーローには、これまたお約束! 怒りに燃える演出として、劇画風の立ち上る炎を演出してみましたぁ!』
『…………』
『結構、炎の魔人っぽくて、迫力あるんですよ、コレ』
『…………』
『だいじょ~ぶ! ノープロブレム!』
『…………』
『ケン様と奴等の心へ、つまり魂にのみ、見せている幻覚ですからあ。現に熱くないでしょ?』
え!? げ、幻覚!? これ、実は幻って事かあ!
……ええっと……まあ、確かに熱くはない。
しかし、こんなヤバい姿を見た奴等が、あちこちで言いふらさないか?
なので、こういう場合はいつも確認。
『で、でもさ、クッカ……こんなん出して、後で変な噂が広まらない? 俺が炎の魔人とかさ』
『うっふふふ。奴らにほいっと、忘却の魔法を掛けておけばオッケーでぇ~す』
え!? 忘却の魔法?
へえ、そんな超便利な魔法があるんだ。
ご都合主義って言われそうだけど……なら、構わないか。
『さあ! こいつらに、さっさと、とどめを刺しときましょ』
『え? とどめ? 本当に? ま、まさか、こいつら、俺の火属性魔法で、ゴブみたいに燃やしちゃうの?』
『いいえ、違いま~っす! さあ、ケン様、いかつく腕組みして下さい。表情も、ですね、思いっきりニヒルに、見た目は炎の魔人ですが、冷たい顔付きであいつ等を見つめて下さいね』
俺が、クッカの言う通りにすると、更に俺の全身から凄まじい炎が噴き出した。
いわゆる、業火って奴だ。
ごおおおおおおおおおおおおっっっ!!!!
絶対に人間とは思えない、業火に包まれた俺のビジュアルを見て、
クラン大狼の男達は完全に戦意を喪失してしまった。
「あ、あわわっ!! ば、化け物おお!! 、こ、こっちへ……く、来るな~っ!!」
「ひ、ひ、ひぃぃぃっ!! た、た、助けてくれぇ~~!!」
「ままま、炎の魔人様ぁ!! こここ、殺さないでぇ~!!」
『うっふふふ、さあ一歩、二歩と、力強く足を踏み出して下さい、奴等の居る方へ』
『了解!』
俺は腕組みしたまま、ゆっくりと奴等に近付く。
地面を、力強く踏みしめて一歩、二歩と。
きゅううううう……
3人の男達は、炎に包まれた俺が近付くのを見ると、大きく目を見開いた。
更に速攻で、白目に変わってしまう。
そう! 3人全員、ばたん! ばたん! ばたん! と失神!
それが……クッカの言う『とどめ』であった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺はすぐ、気絶した3人に対し、クッカから教授された忘却の魔法を掛けた。
よし! これで安心、変な噂が『ひとり歩き』する事もないだろう。
しかし、俺にはまだやる事が残っている。
愛するレベッカの可愛い尻を触った、
不埒な外道髭男ガエル・カンポをこらしめる事だ。
3人の部下を片付けた俺を、ガエルは不可解&驚愕の表情で見つめていた。
対して、俺は「ふんっ!」と鼻を強く鳴らし、
ガエルに向かってゆっくりと歩き出す。
すかさずクッカが、俺をフォローしてくれる。
俺がクッカへ頼み、噴き出た炎は既に消えていた。
『ざっざっざっ! ざっざっざっ! ざっざっざっ!』
いきなり聞かされて戸惑った『足音の効果音』も、
今の俺には心地良い、最高のサウンドだ。
そして、俺はとうとう、ガエルから約10mの位置に立つ。
改めて見やれば、ガエルの奴はもう開き直ったらしい。
不可解な事、見えないものは一切信じない。
無理やり作った、そんな表情が浮かんでいた。
「い、いきなり、た、倒れちまった、あ、あいつらへ、な、何をやったか知らねぇが、お、俺には通用しねぇぞぉ……」
あはは、ガエルめ、このくそ髭男……さすがに声が震え、かすれている。
3人もの部下が、俺みたいなガキを見ただけで、全員あっさり倒された。
わけが分からず、理由不明だから、めちゃくちゃ怖いんだろう。
完全に、ぶるっているらしいガエルに対して、俺は「にやっ」と笑う。
「さあ、何の事かな?」
「ととと、惚けるな! ガキ! お前、何か魔法でも使いやがったか!」
おお、鋭い! ピンポーン! ピンポーン!
大当たりだよ、俺がまとったこの炎はな、幻覚の魔法って奴さ。
忘却の魔法と一緒に、クッカから教えて貰ったので、次回から俺も使えるのさ。
だが、敢えてこいつには使わない。
俺は、奴の問いには答えず、はっきりと言い放つ。
こいつには、クッカの力を借りる必要もない。
「おい、くそ髭! よくも俺の可愛い嫁の尻を、嫌らしく触りやがったな! 絶対に許さないぞ!」
ガエルはだんだん、落ち着きを取り戻して来たらしい。
再び、威嚇して来る。
「な、なんであのマブい女が、てめぇみたいなくそガキの嫁だなんてよ、半人前の癖に! 俺を舐めやがってえ!」
「はぁ? お前のような小悪党の、小汚い髭面を? ははは、俺が舐めるって?」
首を傾げ、俺はせせら笑う。
「ははははは! 冗談ポイだぜ! 汚ねぇ反吐が出らぁ! すっげえ気持ち悪いし、真っ平御免だ! ホントは触りたくもないけど仕方無いな!」
ああ、さっきのクッカの口調が移っている?
でもこんな最低最悪な奴、きつ~く罵倒するくらい構わないだろう。
「く、糞おおお!!」
「クソでも、何でも良いからさ、汚ねえおっさん! さっさと掛かって来い。俺も剣を使わず、素手だけで相手をしてやるからよ」
俺に散々挑発されたガエルは「もう勘弁ならない」という表情で突っ込んで来た。
大きな拳を振り上げて、殴り掛かるガエル。
しかし!
俺は歩きながら、身体強化のスキルも発動していた。
加えて、超チートな動体視力の前では、奴の動きも超スローモーだ。
ガエルの動きを簡単に見切った俺は、身を躱し、
あっさりと相手の拳を避ける。
と、同時に、左手で奴の胸倉をがしっ!と掴んでしまう。
更にぐいっ!と片手で持ち上げる。
首が締まる形となり、ガエルは苦しそうだ。
「ぐえええ!! くくく、苦しいっ!! は、は、離せええっっ!!」
「へぇ? 離せだと? 不埒な悪党の遠吠えは聞こえんな」
俺はその瞬間、容赦なく、奴の頬を平手で何度も何度も張った。
ぱん!ぱん!ぱん!ぱん!ぱん!ぱん! ぱぱぱん~んっ!
肉を打つ小気味良い音が、辺りに連続で鳴り響く。
……まあ、一応手加減はしている。
思い切りやったら、オーガを瞬殺した俺のパワーだ。
こいつは、すぐあの世行きになってしまう。
「ぎゃ~~っっ!!! あ、あががががが!!! あ、あ、あごがあああっっ!!!」
必死に、痛みを訴えるガエルではあるが、俺は冷たく笑う。
「ほう! てめえのあごが、そんなに気持ち良くなったのか? それじゃあ、次は、てめえの腹にも大サービスだぜ!」
どっごおん!!
俺は続いて、憎きガエルの腹へ、
手加減付きたる怒りの拳を突き入れていたのである。
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