第4話「金、銀、銅の選択」
新連載です!
何卒宜しくお願い致します。
しばらく1日複数回の更新を行います。
どうぞ、お楽しみください。
「開き直った」否、人生のリスタートに向け、切り替えた俺は、
改めて管理神様に問いかける。
『じゃあ、管理神様。手違いで死んだ代わりに、何かケアして頂けるのですか?』
『うん、ケアする! フォローする! 今回はお詫びに、ばっちり大サービスするよ~ん!』
え? ばっちり大サービスするよ~ん?って……
何度聞いても、本当に、砕けた物言いをする管理神様だ。
だけど『大サービス』って?
一体、何だろう?
逆に、話がうますぎてヤバそうじゃないか?
せっかちそうな管理神様は、間を置かずに「さくっ」と言って来た。
『これから、君が行くのは良くあるパターンだけど剣と魔法の異世界だよ~ん。もし僕から、美人の先生と凄い力を得たら、君はこれからどうする、どうするぅ?』
美人の先生?
凄い力?
あの、抽象的過ぎて……ピンと来ないんですけど。
だが、一応『反応』しておかないとまずいだろう。
管理神様の機嫌を、損ねたくない。
『いやぁ……美人は大好きですし、俺って至極平凡な男でしたから……もしも凄い力なんて頂けたら、一応、嬉しいことは嬉しいと思います』
俺の反応に、満足したらしい管理神様は、本題を切り出す。
『そっか! よ~し! じゃあ君に好きな道を選ばせてあげるよ~ん』
『え? 好きな道?』
俺が呟いたと同時に「ボン」というベタな音が響き、
白煙の中からいきなり3人の女性が出現した。
おお、若い女子が3人!?
全員……凄い美人だ。
そして全員が日本人の俺から見たら、外人さん、だ。
外人さんの美人と言っても、それぞれタイプが違うけど……
おお! 良く見れば何と!!
見た目がもろ、人間族じゃないお方も、ひとり混ざっている。
人間族じゃないお方って、中二病の俺にはすぐ分かる。
ひとりは、エルフの女子なのだ。
びっくりする俺に、管理神様の声が響く。
面白そうに笑っている。
『ふふふ、この3名は全員、天界の女神だよ~ん!』
『え!? 天界の女神様!?』
『そうだよ~ん。君の名はケンというじゃないかあ。だから今回は剣をラッキーアイテムにしてみたよ~ん』
『剣? あ、ああ……』
俺が改めて見ると確かに女神様達は皆、手に剣を掲げていた。
3人が持つのは、それぞれ違う色の剣だ。
あの、確かこれは……
木こりが泉に鉄の斧を落としたイソップ寓話で、
正直者が最後には救われるとか、そんな話じゃなかったっけ。
それに俺のケンって名前と、剣を『しゃれ』で文字るなんて。
まるで、コーディネートはこうでねえと、なんて寒いギャグを飛ばし、
自分だけ、がはははと受けているオヤジと根本は一緒。
俺がそう思っても、管理神様は華麗にスルー。
『じゃ~ん! ひとりめのサポート女神は、金の剣を持つエルフの女神マトレーナだよ~ん』
管理神様が言うと、金色の剣を持つエルフの女神様マトレーナ様は、
優雅に一礼をした。
サラサラ金髪&長髪で、鼻筋の通った端麗な顔立ち。
切れ長の目、菫色の瞳で、見下すように俺を見ていた。
「ツン」として、プライドが超高そうな雰囲気である。
そして、独特なデザインのエルフの衣装に包まれているスレンダーな体型。
俺の持つ、エルフのイメージそのものだ。
でも、そんなエルフ美人より、俺が気になったのは?
『管理神様、サポート女神様って何ですか?』
『ああ、女神の彼女達が美人の先生だよ~ん』
『び、美人の先生?』
『うん! つまりぃ、これから君が行く異世界でね、生きて行く為にさ、いろいろ手解きしてくれる仙人……じゃない、専任。専任女神だよ~ん』
『へぇ! 専任ですか! 専任って言うと、俺だけについてくれる担当って事ですか?』
『うん! そうだよ~ん。君の専任になる女神の事だよ~ん』
『め、女神様が! い、いろいろと! て、手解き……ですかぁ……うふふ、何か、すっごく期待しちゃいますね!』
美しい女性が、いろいろと手解きしてくれると聞いたら、
あれやこれやと、つい邪な想像をするのは俺だけではないはずだ。
しかし!
俺の男子特有の? むらむらした気持ちは、
管理神様には、はっきりと見透かされていたらしい。
『残念! いろいろな手解きと言っても、エロエロな手解きじゃないよ~ん』
『うお!?』
『ケン君が期待するおっぱいの揉み方とか、エッチな事は教えないよ~ん。それに彼女達は本体を天界へ置くよ~ん。君には幻影で会う事になるよ~ん。だから君から女神のおっぱいへは、直接触れられないんだよ~ん』
うっわ!
俺のストレートな希望を『おっぱい』じゃなかった……
『いっぱい』考慮して頂き……詳しい説明……ありがとうございます。
お陰様で、女神様達から見て、
『俺のHなイメージ』がしっかり固まってしまいましたとさ……
それにしても、超スレンダーなエルフの『おっぱい』って……
俺がそう思った瞬間、マトレーナ様は青筋立てて凄い目で睨んで来た。
やっべ!
「びびった」俺が顔を伏せると、管理神様の声が響いて来る。
『話を戻すよ~ん、金の剣を持つマトレーナを選べば、君はエルフの国……エルフは蔑称で、正式にはアールヴって言うんだけどねっ』
『は、はあ、アールヴっすか』
『うん! 後でしっかり憶えておいてよ~ん。ややこしいから、今はエルフにしておくよ~ん。マトレーナを選んだケン君は、エルフの勇者に転生するよ~ん。あらゆる魔法に長けたエルフ族の超魔法剣士ってとこだよ~ん』
え? 俺が?
この俺が、エルフ族の超魔法剣士になるの!?
具体的なイメージ……湧かねぇ!
あの超有名ファンタジー映画の、某イケメン外人俳優が恰好良すぎたからねぇ。
今、無理矢理考えても……俺の東洋人顔が全然似合わねぇ!
『あはは、転生すれば顔なんて何とかなるよ~ん。それとマトレーナが「ちっぱい」なのは仕方がな~い。まあ、我慢するしかないよ~ん』
管理神様は、俺の心を読んだらしい。
でも……マトレーナ様が『ちっぱい』って……
それ、すっげぇ『余計なひと言』ですよ。
だって……
『はぁ!? 私が、一体何ですって! いくら管理神様でも失礼ですよ!』
ほらぁ!
マトレーナ様が輪をかけて怒り、金の剣を「ぶんぶん」振り回しているよ。
ああ、そんな酷い事、俺が直接、口に出して言ったんじゃないのに!
目を吊り上げて、俺を「ギロリ」と睨んでいるし……
『はぁぁ……』
俺は、大きなため息をついて、マトレーナ様から視線を外した。
しかし、管理神様は『おかまいなし』である。
『じゃあ、次の女神行ってみよ~ん! 銀の剣を持つ戦いの女神ヴァルヴァラだよ~ん』
管理神様から紹介された戦いの女神は、銀の剣を数回素振りした。
「びゅんびゅん」風を切る、凄まじい音が響き渡る。
『宜しく、人間! この美しく強い私を選べばビシバシ鍛えてやるぞ』
ヴァルヴァラ様は、赤毛の短髪。
一見、人間族風だが、少し違う。
ダークブラウンの瞳を持つ、野性的な凛々しい男性顔の美人である。
そして、革鎧をまとった身体も異様に逞しい。
ボン、キュッ、ボンは勿論だが、全身を分厚い筋肉の鎧で覆っていた。
はっきり言って、超体育会系姉御だ。
『ケン君、銀の剣を持つヴァルヴァラを選べば、君は人間族の強き勇者に転生するよ~ん。剣と格闘に長けた、体力抜群な人間族の超戦士ってとこだよ~ん』
管理神様の説明を補足するように、ヴァルヴァラ様は言い放つ。
『人間! 私を選べば間違いなく無敵な勇者にするぞ。王都に赴いたお前を誰もが尊敬し、見合う実力も付ける事が出来る! そこらの魔王など楽勝で倒せるほどにな』
成る程!
誉れ高き、強靭な勇者になって魔王を倒す!
よくあるパターンだ。
実のところヴァルヴァラ様、銀の剣を持たされて悔しかったようなのだ。
金の剣を持たされたマトレーナお姉様を、
『ライバル視』している波動が伝わって来る。
でもさ!
んなの、答えはもう決まっている。
『いや……折角ですが、ご遠慮します』
『はぁ!? え、遠慮するだと? 強き勇者になってにぎやかな王都で可愛い女の子一杯引き連れてハーレムうはうは! とかしたくないのか? 昔、流行った言葉で言えば、いわゆる俺TUEEE状態だぞ!』
驚いて、必死に口説いてくるヴァルヴァラ様ではあったが、
俺の気持ちは変わらない。
逆に、きっぱりと言ってしまう。
『いえ、申しわけありませんが、断固お断りします! ごみごみして、空気の悪い都会のわずらわしさが嫌で、故郷に帰ろうと思っていたのに……また逆戻りなんて真っ平です。勇者? 冗談ポイです』
『な、何! この無礼者めっ! ならば私の方からきっぱりお断りだっ!』
あ~あ……思わず本音を言って、また女神様の機嫌を損ねてしまった。
ヴァルヴァラ様、「ぷいっ」とそっぽを向いてしまったよ。
『勇者が冗談ポイ? あはははは! ケン君は、はっきり言うねぇ、中々大物だよ~ん』
俺の本音を聞いて、何と管理神様は笑い出した。
え? おかしい……かな?
思わず口を尖らせた俺は、管理神様に対して理解して貰う為、理由を述べる。
『だって、そうじゃないですか。何かあるごとに、王様からいちいち呼び出されて雑用を命じられ、挙句の果てにおっそろしい魔王と戦う……なんて真っ平です』
『成る程! 勇者は雑用係かい? 面白い事言うよ~ん、君はぁ』
『だって……何でもかんでもやらされて、もろ、便利屋じゃないですか』
『あはは、勇者がもろ便利屋って、言えてるかも~ん。でも魔王退治って恰好良いよ~ん』
『いや、本当にご遠慮します』
やっぱり!
俺の判断は、間違い無いじゃないか。
魔王退治とか真っ平だ。
まあ、ハーレムは少し興味あるけど……
でも、怖いのや~だ。
『うん、了解だよ~ん! じゃあ最後、銅の剣を持つのは新米女神のクッカだよ~ん』
は?
新米……女神?
新米の女神様だという、銅の剣を持つ3人目の『彼女』を、
俺は「じいっ」と見つめたのであった。
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