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第36話「従士揃い踏み」

俺は、妖精猫(ケット・シー)のジャンを、まず最初の従士として呼び出した。

コイツが、偵察&通常業務をこなす者、って事だ。


ちなみに、召喚した術者を、召喚主と呼び、

召喚された対象とは、意思疎通した上で、

互いの魂の絆を結び、主従関係になるらしい。


ただ主従関係とは言っても、対象が臣下のように忠実に従う、から、

友人のようにフレンドリーとか、上から目線で教師然と振舞う事もあるらしい。


果たして、しょっぱなから反抗的だったジャンはどうであろうか?


さてさて!

続いてクッカの厳しい『監修』のもと、

戦う者、つまり『戦闘向き』の魔物を呼び出す。


召喚(サモン)!』


戦闘向きという指定ならば、実は俺好みの魔物が居る。


そいつを、俺は召喚しようと思う。


きっかけは昔プレイした、某ロールプレイングゲーム。


荒れ果てた異世界で、魔物化した元ペットの犬を連れ歩く主人公。

強くなり頼もしくなった、元ペットがそいつ!


実は俺、それ以来、どんなロールプレイングゲームでもそいつが居れば、

絶対に呼び出して『仲間』にしているのですよ。


先ほど、二度目の召喚前に、クッカからは下記の厳しい召喚規定が設けられた。


人間型(ヒューマノイド)の女性型の魔物は勿論、

動物も含め、全ての女子はクッカとキャラが被るから一切禁止!


悪魔、吸血鬼、夢魔、不死者(アンデッド)

幽霊などの召喚は不気味かつ、

クッカから見れば、俺のキャラには合わないから一切禁止。


蛇、ミミズ等、クッカにとって生理的に嫌いなものは一切禁止。


幸い、俺が好きな魔物はこれらの規定に引っかからない。

……筈、だったけれど。


ごおはあああああああっ!!!


召喚された魔物は実体化すると、びりびりと空気が振動するほど凄い咆哮をした。

 

あちゃぁ……これって、もしかして、ボヌール村へ聞こえたかな?


心配した俺が、しかめっ面をしていると……

 

『きゃ~~っ!!』

『ひいいいいっ!!』


召喚した魔物を見て、悲鳴がふたつ!


そう! クッカとジャンであった。


見れば、クッカは腰を抜かし、ジャンは「にゃごにゃご」言って混乱している。


『おいおい、ど~したの?』


『お、おいおいって! ケン様! だ、駄目です! この魔物は絶対にいけませんっ!』


『そそそ、そうだよっ!』


クッカとジャンが「駄目」と言っているにはそれぞれ理由が異なる。


ちなみに俺が召喚したのは……

巨大な犬の魔物、地獄の門番を務める、冥界の魔獣ケルベロスである。


某ゲームをやり込んでから俺の憧れだった、魔獣ケルベロス。


伝承によれば彼は父テュポン、母エキドナという怪物の間に生まれた……


申し訳ないが、両親がどんな怪物かは割愛。

 

ケルベロスの容姿はといえば、3つの怖ろしい頭を持ち、

逞しい胴体は剛毛に覆われている。


そして尾は巨大な蛇……


一説には尾が竜という話もあるが、

俺がこの異世界で召喚したケルベロスは、弟のオルトロス同様、尾が蛇であった。


『いやぁ! きら~い! 尾が蛇なんて! 無理無理無理無理~~!』


クッカは機関銃のように拒絶の言葉を吐き散らし、ひと息ついて……


『本当に蛇の尾なんて絶対に無理~っ!!! ケン様っ、早く異界へ帰還させて下さいっ!』


いやいや、しかしなぁ……


俺が戦闘用に従えたいって思うのは、こいつしか居ないし。


そう思っていたら……


『我が(あるじ)よ、心配は無用だ』


お、ケルベロス。


お前って、喋れるのね。


それもジャン同様、日本語を。


これ以上はもう、突っ込まない事にしよう・


『我が蛇たる尾を、嫌うのならば、形状を変えればよい。至極、簡単な事だ』


そう言いつつ、うぉん! とひと吠え。


ケルベロスが軽く吠えると、何と! 

彼の尻尾は怖ろしい蛇から、ふさふさのラブリーテイルになった。


俺がついモフモフしたくなるような可愛い真っ白な尾っぽに一変したのだ。


『え?』


べそをかいていたクッカが驚いて目を丸くしている。


俺は「してやったり」と笑う。


『なあ、クッカ。これでOKだろう? なあケルベロス……それ、いつでもモフモフして良いよな?』


『…………』


沈黙……そして、激しく(さげす)むような冷たい視線が、この俺へ。


ああ、高尚な趣味を理解して貰うって大変だ。


でも、ここで諦めてはいかん。


『駄目?』


『仕方がない、我が(あるじ)が、望むのなら……』


ああ、良かった!

もふもふしちゃおう、そうしよう。


クッカはちょっと不満そうだが、黙っている。


尾の、本当の形状を知っているからだろう。


だがケルベロスなら、戦う従士として何の問題もないから、

渋々認めてくれたようだ。


『おいおい! 良くねぇ! 女神様は良くても、この俺は良くねぇんだよぉ!』


一方、まだ首をぶんぶん横に振っているのはジャンである。

 

こいつが拒否する理由はクッカ同様単純。


妖精猫(ケット・シー)は犬が大の苦手なのだ。

 

そもそも、妖精犬(クー・シー)という宿命のライバルが居るし。


例外は居るが、まあ現実でも、犬が好きな猫の方が稀少だと思う。


ただ、あまりにもジャンが大騒ぎするので、ケルベロスも頭に来たらしい。


『おい! うるさいぞ! 騒ぐな、駄猫!』


『はあ!? お、俺が! だだだ、駄猫だとぉ!? て、てめぇっ!!』


『うむ、その通りであろう。所詮、饒舌と変身能力でしか、主人に貢献出来ない駄猫は、一切黙れ! 大人しく、静かにしていろ!』


『くう! 俺がケンにとって、全く役に立たないと言うのか!』


『そうだ! お前は文字通り、泥棒のように、忍び込むだけだろう? 泥棒猫よ』


『おおお、俺がぁ! どどど、泥棒猫だとぉ! もう許さん!』


ジャンはいきなり二本足で立ち上がると、手の先から鋭い爪をぴゅっと伸ばす。


ああ、妖精猫(ケット・シー)の武器のひとつは、

この何をも切り裂く爪なんだ。


ここでクッカが鋭い声で叱る。


『もう! いい加減にしなさい! ふたりともっ』

 

おお、そうだ。

俺も、召喚主として、黙って見ている場合ではなかった。


妖精、妖精猫(ケット・シー)と、魔獣、ケルベロスの喧嘩なんて、

滅多に見れないから、つい見とれてしまったのだ。


『おいおい、ふたりともやめろ! これから俺の従士として適材適所で働いて貰うんだ、お互いを尊重しろ』


うん! 適材適所……俺が好きな言葉である。

 

決め付けは良くないが、仕事には向き不向きというものがある。


あくまで理想だろうが、俺にとって仕事は適性重視!

出来る限り、楽しんでやって欲しいもの。


ケルベロスは、俺に対してとても忠実のようだ。


すっぱり、矛を収めてくれる。


『うむ、我が主が、そう言うのであれば、我は従おう』


『うぐうう、分かりましたよ! とりあえず休戦だ! 見てろよ、糞犬っころめ! 俺は絶対に駄猫じゃねぇ! 必ず役に立ってみせるぜ!』


俺の執り成しで、ジャンも渋々引き下がってくれた。


喧嘩が収まると、俺は最後の召喚魔法を発動する。


召喚(サモン)!』


最後に俺が召喚したのは、移動運搬に長けた者といえる魔物である。


俺には飛翔と転移の魔法があるが、クッカの言う通り、

やはり素早く移動出来る従士が必要なのだ。


俺の召喚魔法により、生み出された白光の輝き。


その中から(いなな)き、現れたのは一頭の巨大な鹿毛馬。

 

巨馬の馬体は、全身がバネのよう、特に後肢は異常な程発達しており、

他の馬とは全く違っていた。


かといって禍々しいという雰囲気は全く無く、

額に白星を持ち、後足は白が入った神々しく美しい馬なのだ。


確かに、天翔けるペガサスや八本脚の某馬よりも名前は知られていない。


しかし、この馬の能力は決して彼等に劣ってはいないのだ。

 

俺が読んだ本によれば、遙かなる天空を一気に駆け抜ける速度とスタミナ、

地においては、同じ能力を発揮しつつ……


巨岩をも粉砕して走りながらも、傷ひとつ負わない、

超が付く頑健さを誇るのだという。


激レアな魔物馬なのだが、中二病の人なら、知っている人、多分居るよね?


ほら、クッカは、さすがにびっくりしているもの。


『ケン様! こ、この馬は!?』


『ああ、かつて、ある大悪魔が騎乗していた妖馬だな』


『そうですよ! 彼は間違い無くベイヤールです! ケン様がこの妖馬を召喚されるとは!』


『ああ、何度も言うけれど、かつての悪魔の騎乗馬だが……俺の従士になっても、問題無いよな』


『はい! 管理神様からは今の所、お(とが)めのメッセージは届いておりません。……たぶん問題は無いですね』


『と、いうわけでベイヤール、今後とも宜しくな』


ぶひひひ~んん!!


俺の呼びかけに応え、ベイヤールは、元気良く(いなな)いた。


ジャンはベイヤールの発する迫力に気圧されたように黙っており、

ケルベロスも僚友を、頼もしそうに見詰めている。


これで俺、クッカのコンビに、頼もしい3人の助っ人従士が加わった。


うん! 態勢は万全だ。


目の前には、深い東の森が広がっている。

魔物が跋扈する危険な森。

 

またゴブリンやオーガみたいな人喰いの魔物が出たら、

誰かがリゼットやレベッカみたいに襲われてしまう……


それを防ぐのが、ボヌール村の守護者『ふるさと勇者』たる俺の役目。


強い使命感に満ちた俺は、ゆっくりと歩き出したのである。

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