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第34話「男子が心躍るモノ」

リゼットとレベッカが帰宅。


村全体が寝静まってから……俺は転移魔法で村を抜け出した。

当然、幻影(ミラージュ)のクッカも伴って。

 

そして……俺とクッカは、夜の空を飛んでいる。

風を切って、物凄い速度で飛んでいる。


先日、初めて飛んだ夜と一緒だ。

昼間の快晴が持ち越され、上空には満天の星が輝く。


眼下には暗視のスキルによって、

森や草原、川などが綺麗な箱庭のように見えている。


今晩の目的地は東の森と、その手前の草原。


そして課題はふたつ。


レベッカを襲ったオーガの残党が居ては困る。

なのでその確認と掃討。

プラス俺が切望していた魔法の習得と訓練を行うのである。

 

傍らを飛ぶ幻影のクッカが俺に問う。

当然ながら会話は心と心の会話、念話だ。


先ほどのプライベートモードから一転。


クッカは、自身の仕事に徹するサポート女神の顔に戻っている。


『ケン様、どの魔法からやります?』


『当然、あれ』


俺のいう『あれ』という言葉だけで、

つ~と、か~、クッカはすぐに理解してくれる。


当然かもしれない。


その素晴らしい魔法が使えると聞いた時の、

俺の入れ込みようは半端ではなかったから。


しかし、クッカは首を傾げていた。

彼女にとっては、その魔法も、

数多の魔法、スキルの中の、単なるワンオブゼムなのである。


『ふうん、やっぱり、あれからですか? ケン様、そ~んなに憧れていたのですか?』


訝しげな表情で聞くクッカの問いかけに、俺は大きな声で断言した。


『当然!』


『はぁ……私にとっては数多ある魔法の中のひとつなのに、全く理解出来ません。男の子って皆、そうなんですか』


『そう! 中二病及びゲーム、ラノベ、マンガ大好き男子は、俺の気持ちが絶対に分かる筈!』


俺が目をキラキラさせながら熱く語ると、クッカは大きく息を吐く。


『ふ~う』


『おいおい! 何で溜息つくんだよ?』


『まあ、それならそれで構わないですよ。とりあえず魔法習得へ前向きなのは良い事です。じゃあ、森の手前の草原に降りて早速、実践に入りましょう』


『了解!』


その魔法の訓練場は昼間、レベッカと兎狩りをした東の森前の草原である。


俺は空中でクッカへ最敬礼をして、降下して行った。


――10分後。


俺とクッカは、着陸した草原で対峙している。

ここまで俺が(こだわ)って切望した魔法……それは『召喚魔法』である。


念の為、補足しよう。


召喚魔法とは、人知を超えるような存在を異界から現実世界へ呼び出し、

その力を借りて、願望を実現しようとする魔法である。


下は使い魔から、様々な妖精、魔物等々をはさみ、上は天使、精霊まで。

術者のレベルによって、召喚可能な存在は大きく異なる。


たまに、とんでもない術者が居て、神様を呼び出したりするけれど。


そしてゲームにおいてだが、

大抵の場合、術者の自分よりレベルの高い対象は召喚が不可能だ。


しかし、今の俺はレベル99!


神様とか、大天使とか、よほどの対象でない限り、さくっと呼び出せる……はず。


『まあ、私は管理神様のご指示で、常に幻影の状態ですから、いざという時でも、99%実体化出来ません』


『まあ、そうだろうなぁ』


『ですから! 現場でケン様の忠実なる従士として、誰か、この現世(うつしよ)に実体を有する者で、物理的に手助け出来る者が居れば凄く助かるのは確かです』


『うん! 全くの同意だ』


今の話の通り、クッカは召喚魔法の効用を認めている。


改めて言えば、クッカは自分が、物理的に対応不能な幻影。


だから、先日のリゼットや今日のレベッカのように、万が一何かあった時、

俺の部下として、この現世に実体を持ち、

実際にフォローしてくれる存在が絶対に必要だという事だ。


『リゼットや、レベッカの時みたいな場合だな』


『はい! リゼットちゃんは、ケン様が彼女の絶体絶命の危機に気付き、大急ぎで駆けつけ、何とか間に合いましたので、助かりました』


『だな!』


『今日は、レベッカちゃんのワンちゃん達が、無理をして、盾役をやりましたが、もし居なければ、即座に彼女は食べられていたでしょう』


確かに、クッカの言う通りだ。


もし俺が駆けつけなかったら、リゼットはもうこの世には居なかった。


そして犬のヴェガ達が身を挺し、牽制。

オーガに対する盾になって、時間を稼いでいなければ、

レベッカはすぐ喰われていた。

 

今や、俺の愛しい存在であるリゼットとレベッカ。

彼女達が無残に喰われるなんて、想像するだけで身震いする。


クッカだってそうだ。


強いであろう女神様だけど、万が一、彼女を害そうとする者が居れば、

俺は絶対に許さないし、必ず打ち倒す!


どんどんそんな気持ちが強くなるのを感じるのだ。


クッカは更に召喚対象の強みも教えてくれる。


『ご存じの通り、幻影化した私の姿は、基本的にケン様にしか見えません。ですが、ケン様が召喚した者に限っては私の姿が見えるのです。これはやりやすいと思います』


『成る程! それは好都合。では、クッカ先生。早速、召喚魔法の言霊(ことだま)の教授をお願いします』


クッカに対し、俺は神妙な態度で教えを請う。


召喚魔法は、絶対に習得したいからだ。

 

しかし、クッカから一旦、ストップが入る。


『分かりました。ですが、その前に条件があります』


え? 条件? 条件って何だろう?


ああ、クッカの奴ったらすっごいジト目だ。


『まず、若い女性の姿をしたキャラは一切、召喚禁止とします』


『は?』


え、えええ!? 何、それ?


『あのさ……意味が良く分からないんだけど』


怪訝な表情で問う俺に、クッカはきっぱりと言い放った。


『そんなの! 私とキャラ被りするから、絶対に禁止です! ちなみに、これ以上の質問及び、反論と要望は一切受け付けません。もし出されても即座に却下します』


『…………』


『というわけで、宜しいですか?』


にっこり笑うクッカ。

 

宜しくない! 意味わかんね~し!


『おいおいおい、一方的過ぎるぞ! だったら召喚NG対象の具体例を上げてくれよ』


『もう! ……質問と要望は受け付けないと言った筈ですが……仕方ありません、お答えします』


『うん、頼むよ』


『はい! シルフ、ウンディーネ、ニンフ、グウレイグなどの可愛い系の精霊及び妖精は禁止となります、中でもリリン、サキュバスなどの妖艶なお色気系は厳禁です』


成る程! 良く分かったよ、キャラ被り。


でも可愛い精霊・妖精系は尤もだけど、お色気系のサキュバスって?

美少女系のクッカとは、全然キャラ被りじゃないだろ!

 

……まあ、クッカの言いたい事は良く分かるので俺もそれ以上反論しなかった。


『話を教授に戻しますが、ちなみに召喚した相手とは基本的に心と心の会話、念話で話します。相手によっては肉声でも話す事が可能です』


『了解! 上手く使い分けるって事だな』


『その通りです。じゃあ言霊(ことだま)を言います。まずは魔力を込めないで心の中で詠唱して下さい。2回目以降は、無詠唱でOKですから』


今更だけど、言霊とは分かりやすく言えば、いわゆる呪文の事。


そもそも言霊とは、言葉に宿っていると信じられていた不思議な力。


発した言葉通りの結果を現す力があるから、

この中世西洋風世界においては、魔法を発動させる為の言葉とされているのだ。


という事で、俺は聞く態勢に入る。


『了解!』


俺が返事をするとクッカは微笑み、綺麗な声で言霊を唱え始めた。


現世(うつしよ)常世(とこよ)を繋ぐ異界の門よ、我の願いにて、その鍵を開錠し、見栄え良く堂々と開き給え! 我が呼ぶ者が遥かなる道を通り、我が下へ馳せ参じられるように! さあ開け、異界の門よ!』 


おお、なっげ~な!


と思ったけど、さすが俺は記憶力も超人レベルのレベル99……

この、長い言霊を覚えるのは楽勝であった。


俺が同じ言霊を数回、難なく唱えると、クッカは笑顔で頷いた。


『うふふ、さすがです。速攻で覚えたみたいですね』


『おう! 何とか、な』


『今の言霊へ魔力を込めながら、スムーズに詠唱可能となったら、最後に召喚! と決めの言霊を唱えます。上手く発動すれば召喚対象はこの現世に現れる筈です』


『了解! 最後に決めの言霊である召喚(サモン)と言うのだな』


『そうで~すっ! 2回目以降は、召喚!と念じるのみでOKでぇ~す!』


最後が軽っ! 明るいっ!


まあこれでこそ、クッカらしくて良いけれど。


そして……さすがレベル99!


俺は数回の練習でもう召喚魔法が発動出来るようになった。


ちなみに魔法が使えるようになるというのは感覚的なものである。


加えて、召喚した対象を異界へ帰す、

帰還(リターン)の魔法も教授して貰った。


念の為……普通の術者は、習得までにのべ数万回も詠唱の練習をするそうだ。


それでも俺のように完璧に習得出来るとは限らないという。


『で、ケン様』


『おう!』


『最初は何を召喚します?』


俺が記念すべき最初の魔物に、何を呼ぶかって?


当然、もう決まっているさ!

誰もが知っている有名な、あいつだぁ!


現世(うつしよ)常世(とこよ)を繋ぐ異界の門よ、我の願いにて、その鍵を開錠し、見栄え良く堂々と開き給え! 我が呼ぶ者が遥かなる道を通り、我が下へ馳せ参じられるように! さあ開け、異界の門よ!』 


おお、言霊が魔力を高めているのが分かる!


さあ、充分に高まったところで決めの言霊だ!


召喚(サモン)!』


いよいよ生まれて初めて、俺の召喚魔法が発動する。

目の前の地面が輝いている。


果たして俺の召喚デビューの魔物は……


『……あの、何ですか? これ』


クッカの醒めた声&ジト目……


『だって! だって! 絶対に絶対に可愛いと思ったんだもん! つぶらな瞳が、俺をじいっと見つめると思ったんだも~ん』


そう! 俺とクッカの前には召喚された魔物が1体、うごめいていた。


何か、透明なゼリー状……で、「にちゃにちゃ、ぐにゅぐにゅ」している。


はっきり言って、不気味で気持ち悪い……


超名作ゲームでは可愛い! 某有名アニメでは強くてカッコいい!


だけど結論!


現実のリアルな『ス〇イム』は可愛くない! カッコよくない! 以上!


俺は即座に帰還の魔法を発動。


すっごく有名な不定形魔物に即、異界へお帰り頂いた。


渋い表情の俺を見た、クッカも呆れ顔である。

俺に任せれば、先行きが不安になると思ったのであろう。


『やっぱり、ケン様が好き勝手に変な魔物を召喚されても困るので、再度、条件を付けさせて頂きます』


ああ、クッカが仕切る! 仕切る!


好き勝手に召喚すると困るって?

はいはい、分かった、分かりましたよ。


俺は不貞腐れかけてハッと気付く。

 

そうか……

管理神様に直訴した、クッカが俺と結ばれる為に出された約束がふたつ。


俺に本気で愛される事。

クッカが俺にとって、必要不可欠で大きな存在になる事。


この条件を、クリアしなくてはならないのだ。

 

俺が回り道しないよう厳しくなるのも当然かもしれない。

少し個人的なお願いは入っているが……まあ良いだろう。


思い直し、そんな事を考えていたら、クッカが条件とやらを出した。


『良いですか? バランスを考えましょう。偵察&通常業務をこなす者、戦う者、そして移動運搬に長けた者……これらを優先し、想定してから召喚して下さい』


成る程! バランスか! それは納得!


全くもって、的確な意見だと思う。


じゃあ偵察&通常業務をこなすのはこいつでどうだ!


俺は次の召喚をするべく、言霊の詠唱を始めたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


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