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第3話「不思議な空間」

新連載です!

何卒宜しくお願い致します。


しばらく1日複数回の更新を行います。

どうぞ、お楽しみください。

ひとりぼっちで、見知らぬ街……

『現在の故郷?』の中をあてもなく「とぼとぼ」歩く俺にまた異変が起こった。


「ええっ!? な、何だ?」


どこか違う場所に飛ばされたのか、再び気が付けば、

またも全然景色が変わっている。


何と何と! 周囲は現実離れした世界、何もない真っ白な空間だった。

俺自身は、これまた何と!? ……身体が無くなっている。

 

意識は、ちゃんとあるのに?


絶対に何か起こっている。

……俺の身に。


その時だった。


『お~い! ケン君! こんちは~』


いきなり、俺の心に声が響いたのである。

声からしたら、30歳くらいの男性?

 

このパターンは、もしかして、もしかして、

大好きなラノベのテンプレパターン?

まあ、だいぶ前に流行ったものだけどさ。


そして周囲には、相変わらず誰も居ない。

 

俺は……嫌な予感がした。

架空の小説で、面白がるのは良いけれど、

そんな事件がリアルに自分の身に直接起こるのは真っ平御免だから。

 

何も無い空間へ向かって、俺は恐る恐る問い掛ける。


『あのう……ここって一体……どこですか? そして間違っていたら、申し訳ありませんが、貴方はもしや……神様ですか?』


俺の質問に対して、「いや、違うよ」という答えが欲しかったのに。

即座に戻って来たのは、やはり、お約束な返事である。


『うん! 君と話しているのは魂と魂、つまり心と心の会話で念話。そして僕は神様、これから君が行く世界の管理神だよ~ん』


ええっと、管理神様!?

そして、だよ~ん?って……

 

いやいやいや、何だそれ? 軽いよ!


いや訂正、すっごくフレンドリーな管理神様だ。

でも、これなら、緊張せずざっくばらんに話せるし、聞ける。


未だに声だけで姿を見せない神様へ、俺は再度呼び掛ける。


『え、ええと神様、いえ管理神様……これって? もしかして転生って奴ですか?』


『そうだよ~ん、これはよくあるテンプレ的異世界転生って奴さ、今ね、君が居るのは異世界へ行く前に一旦来る異界のどっかかなぁ』


ここで、俺に疑問が湧く。


『で、でもですよ! 俺は、死んだ覚えが全然ありません。今日だって、普通に自宅へ帰る途中だったんです。なのに、いきなり死んで転生し、異世界へ放り込むなんて酷くないですか?』


『い、い、いやぁ~、実はさ、ちょ、ちょっとわけありでね~。アクシデントがあって、本当に君は死んじゃったんだよ~ん』


ええっ?

やっぱり俺ってマジで死んだの!?

アクシデントって、何だ?それ。


衝撃の事実を聞いた俺だったけど、あっさり言われて逆にショックは少なかった。


一方、少し慌てた管理神様は、妙に歯切れが悪い。


それに『わけありで』って酷い……まるでどこかのバーゲン品じゃないんだから!

凄く噛んでるし、ちゃんと理由を言わないのは超怪しい!

 

管理神様は、まるで俺の冷たいジト目を、見てバツが悪いかのよう。


『う~ん。だからさあ、せめてものお詫びに帰るはずだった故郷へ、一旦、君の心だけを戻してあげたんだよ~ん』


『俺の心だけを戻した……故郷に』


やはり……あの見知らぬ街は俺の故郷、だったのだ。

一応は納得する俺。


そんな俺へ管理神様は話を続ける。


『まぁ、人間は所詮いつかは死ぬんだけどねぇ。今回はケン君がさぁ、いきなり死んじゃって超焦ったよ~ん』


超焦った?

じゃあ、俺が死んだのは、完璧にイレギュラーって事じゃないか!

 

さっきのフレンドリー発言取り消し!

ノーカウント!


あんたさ、本当に超いいかげんな管理神様だよ!

ここはしっかり抗議しよう。


『何ですか、それ! 管理神様の手違いなら、そちらの過失ですよね? ならば、すぐ生き返らせてくれるんですか?』


『ノン! ノン! ノ~ン! 君を生き返らせるのは絶対に無理だよ~ん! 良くさ、覆水盆(ふくすいぼん)に返らずって言うじゃな~い』


ああ、きっぱりと拒否された。


でも諦められない。


俺は更に食い下がる。


『管理神様! どうしてもダメなんですか? 俺が生き返るのは? 事故割合で言えば、俺の過失はゼロで、そちらは100%ですよね?』


すると管理神様は高笑い。


『ははははは、天界の神様にそんな人間界の理屈なんか通らないんだよ~ん!』


やっぱりダメか……

一生懸命抗議しても、管理神様は全然、臆したところがない。


まあ、俺の抗議に対し、ひるむなんて、わけがないか……


仕方なく俺は、もう少しだけ突っ込む事にした。


『管理神様、これって何か自分のミスを隠して、無理やり押し切ろうとする気配が、ぷんぷんなんですが……』


『まあ、仕方が無いよ~ん、誰にだってミスはあるじゃな~いさ』


おお、ミスを認めつつも、遂に開き直ったか!


むむむ、これじゃあ、駄目だ。

全然、動揺してしないし、ミスと言い切って、平然としているよ。

 

そうか! ……思い出した!

このような場合、神様は絶対に自分の非を認めないんだ。

 

何となくの直感ではあるが、

管理神様と、このままいろいろ話していても、

ず~っと、ず~っと平行線のような気がした。


いかん! これでは不毛な会話が続くだけ。


考え直した俺は、これ以上抵抗はせず『前向きな話』をしようと決めた。


そう! 改めて実感した。

今の、この状態って……100%俺は死んでいるから。

 

前の世界へ生き返って戻る事は、

管理神様がおっしゃる通り、絶対に不可能なのだろう。


それゆえ、俺は完全に諦めた。


「すぱっ」と切り替え……

転生し、リスタートする為の『実』を取る事にしたのである。

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