第2話「故郷へ帰れなかった? 俺……」
新連載です!
何卒宜しくお願い致します。
しばらく1日複数回の更新を行います。
どうぞ、お楽しみください。
俺は、ケン・ユウキ。
と、ある大きな街で祖父母と暮らす男子。
彼女ナシ。
健康だけがとりえ。
平凡でさしたる才能もない。
スポーツもそんなに得意ではない。
ゲームとラノベが大好き、結構な中二病&雑学オタク。
そんな、どこにでも居る22歳。
住んでいるのは、この国で有数の大きな街。
だから、一応は『都会』と言って良いだろう。
卒業式直後、社会人デビュー前。
俺は同級生達と最後の飲み会に臨んだ。
場所は駅前にある、雑居ビル地下のやっすい居酒屋である。
そんな店の酒は、何故かすぐまわる。
悪酔いと言いつつ、貧乏な元学生にはありがたい。
すぐに酔えるから、飲み代が安くてすむ。
なんちゃってね。
まあ、安酒の二日酔いは身体には宜しくない。
だから、気を付けながら飲む。
酔うと、会話が弾む。
いつもの事だ。
でも、今夜は尚更だ。
学校を卒業すると皆、しばらくは会えないもんね。
先に卒業し、社会人となった先輩曰はく、社会人って仕事が優先……の生活。
学生ほど、自由がきかない。
酒が進むにつれて、酔っ払った仲間達と将来の話になった。
改めて聞けば、全員が地方出身者なのに、
俺以外はこの街、すなわち都会で就職が決まっている……
実は……
俺だけが、都会を離れ、生まれた故郷へ帰る。
いわゆる『ユーターン』だ。
このネタで散々……いじられた。
「ケン、何故、ユーターンするんだよ? お前の両親はすでに亡くなっているし、可愛がってくれるじいちゃん、ばあちゃんは、こっちに住んでる。もうあっちには親戚も友達も居ないんだろう」
「ド田舎より、都会の方が、お洒落で全然良いじゃん!」
「田舎なんて、何もないよ。どうせ仕事と家の往復だろ? 退屈だから面白くない!」
散々いじられた理由は、分かる。
俺だって、幼い頃に故郷を出て、都会暮らしが長い。
言われなくても、彼等の指摘はちゃんと認識している。
俺の故郷に比べれば、確かに都会は刺激的だ。
どんどん、新しいものが入って来る。
様々な店があり、物欲がそそられる。
食事だって今や、世界各国の料理が食べられる。
しかし一方的に言われるのは悔しいし、指摘全てに反論は出来る。
でも、敢えて反論はしなかった。
俺は人間関係に、自分から波風を立てたくないタイプだから。
本当はこう言いたかったが。
「身内なんか居なくても、別に寂しくない」
「都会? 人がやたら多いしごみごみして空気はすっげえ悪い」
「田舎が何もないだと? お前はどこを見てそう言っているんだ?」
だってさ、お前達は分かっていないぞ!
『ふるさと』には、ふるさとにしかない『良さ』ってモノがあるじゃないか。
一番違うのは……時間の流れだ。
都会って時間の流れが速くて殺伐としている。
その上、誰もが意味もなく「そわそわ」して、
ただでさえ短い人生をやけに生き急いでいる気がする。
日々、そんな思いがどんどん強くなり、遂に決意した。
俺は、こんな都会はもう嫌だ!
まっぴらだ。
のんびり生きたいのだ、と。
そんなわけで、ふるさとの役所に連絡して、
ユーターン申請をしたら、先方は大喜びだった。
今はどこでもそうらしいが……
行政は俺みたいな、若い奴の『移住』は特に大歓迎らしい。
移住にさしあたって、役所からは好条件も提示された。
住居費は、何と無料!
リフォーム済みの、庭&車庫付きの2LDK空き家を無償で貸与してくれるそうだ。
嬉しい事に、生活費の補助もある程度付いて、仕事までも世話してくれるという。
とりあえず、ふるさとで、の~んびりしたい俺には、渡りに船の話だった。
役所の話で、仲間達にささやかな『逆襲』をした。
でもどこかのゲームの魔法のように、攻撃は無効化されてしまった。
俺の意見、故郷の方が都会より良いという意見は皆無だった。
そんなこんなで、飲み会が終わり……
店を出て、仲間達と別れ……
電車に乗って、最寄駅で降りた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
……歩いて、祖父母の待つ家へ帰る途中のはずなのに、
気が付いたら俺は知らない場所に居た。
不思議な事に、飲み会の帰りで夜も結構ふけたはずなのにまだ明るい昼間。
周囲はと見やれば……まったく見知らぬ街だった。
そして不思議な事に街には誰も居ない。
居るのは俺たったひとりだけ。
猫の子一匹いない。
違和感を覚えたが、このままこうしているわけにもいかなかった。
仕方なく……
俺は、あてもないまま歩き始める
改めて見ても、街は、決して田舎ではない。
住んでいる都会ほどではないが、ビルは結構ある。
しかし、何か際立った特徴があるわけではない。
同じようなデザインの無機質で平凡なビル。
看板が出ているのは、どこにでもあるチェーン店。
少し寂しかったが……
今や、日本は全てそうだ。
各地で再開発が進み、同じような建物が並ぶ『没個性の街』ばかり。
おそらく、使い勝手とコスト、そして効率を第一にしか考えていない。
でも俺は部外者で分からないし、いろいろな経緯と事情があるのだろう。
それを第三者の俺が否定する権利は無いし、仕方が無いとは思う。
そして、なぜか俺には分かる。
この街は……『現在の故郷』なのだ。
そういえば、電話をかけた役所の人が言っていた。
「子供の頃、そちらへ住んでいた」 と伝えたら、
担当の方から残念そうに言われたのだ。
「大きな開発があり、貴方が住んでいた昔とは、だいぶ景色が変わってしまったよ」と。
多分…… 俺が子供の頃に見た風景は、現実には存在しない。
一旦立ち止まって……改めてこの街並みを見て確信した。
役所の人には、はっきりと言われたが……
もしかしたら『想い出の風景』が残っているかもと、淡く期待していたのだ。
でも、夢は完全に潰えたと思う。
年齢を重ね、どんどん薄れ行く記憶の中にある懐かしい故郷は……
全てが失われ、今や心の中だけにある『幻』と化しているに違いない。
それでも俺は、ふるさとへ帰ると決めた。
想い出の景色は完全に無くなり、子供の頃の友人は没交渉。
誰が待っているわけでもないが……
少しくらいは、心が癒されるに違いないからと。
だが、こうやって、『現在の故郷』を見て、後悔の念も少しある……
この街は全く心に響かない、思い出も甦らない、ただただ虚しく思うだけ。
正直、友人達にひどく、いじられ、意地になっていた部分もあった。
今更だよな、ふらふら心が揺れる、そんな自分が情けない。
結局……自分は、今こうやって歩いているように、
思い出の欠片も無い変貌したこの街で、たったひとりぼっち……
これが……現実……
そう思うと凄く、むなしくなり……
大きくため息を吐いた俺は、再び歩き始めたのである。
いつもご愛読頂きありがとうございます。
※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。
宜しければ、下方にあるブックマーク及び、
☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。
東導号の各作品を宜しくお願い致します。
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
◎小説書籍版既刊第1巻~8巻大好評発売中!
《紙版、電子版、ご注意!第8巻のみ電子書籍専売です》
(ホビージャパン様HJノベルス)
※第1巻から8巻の一気読みはいかがでしょうか。
◎コミカライズ版コミックス
(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)
既刊第1巻~5巻大好評発売中!
《紙版、電子版》
何卒宜しくお願い致します。
コミックスの第1巻、第3巻、第4巻は重版しました!
皆様のおかげです。ありがとうございます。
今後とも宜しくお願い致します。
また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。
コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。
WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。
マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が購読可能です。
お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。
最後に、
⛤『外れスキルの屑と言われ追放された最底辺の俺が大逆襲のリスタート! 最強賢者への道を歩み出す!「頼む、戻ってくれ」と言われても、もう遅い!』《連載中》
⛤『冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!』《完結済み》
⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのあ
る王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』《完結》
⛤『異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!』《完結》
も何卒宜しくお願い致します。




