第12話「勇者じゃなくて魔王風?」
それまで全く平和に暮らしていたのに……
何も痛みを感じない、訳も分からない内に、俺は命を失い……
何と何と! 現れた管理神様に導かれ、異世界転生。
そして! 流れ着いたここは、昔の地球に酷似した、
全く未知の中世西洋風異世界。
中世西洋風異世界……
俺は一応、雑学、中二病的知識、読みに読み込んだラノベ、漫画の知識、
やり込んだゲームの知識、世界中のあらゆる魔物に関して、他の等々も、
ある程度の知識だけはある。
助けたリゼット、彼女のご両親の話も聞き、想像はつくが、
これからは、住むであろうボヌール村を脅かし襲う、
魔物、肉食獣、そして人間の賊ども等々……
想定以上の強敵がたくさん出て来るに違いない。
幸い女神クッカの絶妙なサポートがあり、勝利したとはいえ、
昼間のゴブリン戦のように、『手探り』で戦いたくない。
リゼットのように、『守るべき対象』が居れば尚更であり、
いざという時は、戸惑う事無く自分の能力を存分に100%発揮したいものだ。
その為には、自分が持てる力を知り、トライアルし、実践する必要がある。
そう! 俺は、まず自分の戦闘能力をちゃんと知っておきたい。
更には知るだけではなく、いざという時はちゃんと使えるよう、
実際に試しておきたい。
何となく、昼間の火炎魔法行使で、魔法発動のコツは掴んだと思うけれど……
管理神様が授けてくれたのが、
レベル99&オールスキル:仮というからには、
火の攻撃魔法以外、習得済みかつ習得可能な魔法、スキルの種類は、
鬼のようにあるのだろう。
火以外の水、風、地の4大属性魔法、
それ以外の体力、負傷、疾病、精神、その他を治癒する状態回復魔法、
魔物を呼び出す召喚魔法、不死者に効果的な葬送魔法、
索敵、偵察、探索などの情報収集、
モチベーションアップ、攪乱、挑発など支援の魔法。
スキルも剣術、殴打術、格闘術、弓術、体術、防御術、シーフ術、サバイバル術、
それ以外にも、数多ありそうだ。
とりあえず、色々とやってみなければ。
万全に戦える目途がついたら、次は日常生活、そして仕事の面でも、
様々なスキルを習得し、それを磨き、バージョンアップして行きたいと思う。
という事で、まずは……
『クッカ、ちょっち良いか? 索敵の手本&レクチャーを頼む! 昼間リゼットを拾った場所だ』
『了解! ……ケン様がお問い合わせの場所はボヌール村から見て、北西へ距離約8km、西の森の前の草原! 今の所、当該地中心半径3km以内に敵の姿無し、但し当該地より5Km先の西の森奥にゴブリンの反応が多数あり!』
おお、凄いぞ、立て板に水。
さすが、サポート女神クッカ様の真骨頂!
相変わらず、良い仕事しますねぇ!
『レベル99のケン様も、容易に索敵行使が可能です。魔法同様に詠唱、予備動作は不要。ただひたすら、周囲へ魔力を放ち、索敵と念じてください』
そうか! じゃあ、俺も真似してやってみよう。
魔力をアップさせて、周囲へ放ち、索敵と念じると……
おお、敵の気配を感じるぞ!
1回戦ったから、分かる。
こいつらは、……ゴブリンだ。
うむ、最初のトライアルで上手く行った!
これが……索敵なんだ。
と、その時。
ハッとした俺はひとつ思い出したんだ、大事な事。
俺は念話でクッカへ呼び掛ける。
『ええっと、クッカ。ちょっと聞いても構わないかな?』
『はいっ! どうぞっ!』
という返事と共に、クッカが現れた。
部屋の片隅上で、浮いている。
やっぱ、可愛い! 俺にとって、クッカは目の保養。
『ええと……リゼットの事なんだけど、さ。彼女が採集出来なかった薬草の種類と、生えている場所って……クッカには分かるかな?』
すると、速攻で返事が。
『はいはい! 分かりますよぉ! このクッカに任せてくださ~い!』
『そ、そうか! さすがクッカだ!』
『うふ! やっぱりケン様って優しいから大好き! リゼットちゃんの為に、これから森へ薬草を取りに行ってあげるのでしょう?』
おお、鋭い! 女子の勘って奴?
そして、優しいから大好き! ……か。
可愛い女子から大好きって言われると、何か、くすぐったいな。
社交辞令のような気もするけど、実際クッカは俺の事、どう思っているのかな?
まあ……良いや。
『ありがとう! じゃあ早速、行こうか!』
俺が出発を促すとクッカが「待った」を掛ける。
『ストップ! ちょっと待って下さい。鎧や武器一式、今装備しているものとは変えておきましょう』
え? いちいち装備変えるの?
ちょっち、面倒くさいかな。
『何故?』
俺は、思わず聞いてしまう。
『はい! 夜とはいえ、ケン様のお姿をどこの誰に見られるか分かりません。ケン様の正体を看破されそうな要素やリスクは、なるべく排除しましょうね。必要なものは引き寄せの魔法でほぼ手に入れられます』
『へえ、引き寄せの魔法?』
『はい! 我が手に! と、詠唱すれば、天界判断で無理なモノと見られた以外は入手出来ます』
何それ! 何でも手に入る、すっごい超便利な万能魔法じゃない?
一生働かなくても良いとか? ニート垂涎の魔法?
でもさ、こう言うのって……
絶対裏があるような気がする。
ほら、上手い話には裏があるって言うし。
『少し聞いても良い?』
『はい!』
『これ……引き寄せの魔法って、使い過ぎるとどうなるの?』
『はい! 使い過ぎたり、目的が邪だとバチが当たります』
『え? バチ?』
『例えば……』
『例えば?』
俺はごくりと唾を飲み込み、クッカの言葉を待った。
『口が勝手に動いて、Hでお下品な事を口走り、女の子に最低だと嫌われたり。やたら全裸になりたがったり……更に更にっ』
『…………』
『ぬめぬめしているとかぁ、節くれだったりとかぁ……そんなゲテモノを大好きだぁと言って、がつがつむしゃむしゃ食べまくりぃ……超のつく変人扱いされて……誰からも屑のレッテルを貼られまっす』
成る程! 納得!
それ……アタオカの変態まっしぐら。
全部、嫌だ。
『ちなみにお金も引き出せません。それに引き出したものをこっそり売却しようとすれば、同様にバチが当たります』
『りょ、了解』
『でも、気を付ければ、超が付くぐらいに便利ですよ』
『そ、そうだね……』
『ちなみに! 顔や体格は変身の魔法で自在に変えられます!』
『そ、そう?』
自在に変えられる?
顔や体格を?
変身の魔法って、すげぇ面白そう。
どこかの怪盗何とかみたい!
俺は調子に乗ってクッカに聞く。
ほんの冗談のつもりだった。
これホント。
『じゃあ、折角変身するならさ。髪型は勿論だけど、年齢、性別も変えちゃう?』
『OK! 了解です!』
『…………』
おいおい! 出来るのかよ!!!
俺は思わず、無言でクッカに突っ込んでいた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
そんなこんなで、俺が発動した引寄せの魔法、
そして変身の魔法を駆使、変装の準備が完了した。
ここまで、新たな魔法の初回行使は、いきなりまぐれで上手く行く場合もあれば、
失敗する時もあった。
だがクッカの言う通り、2回目以降ならほぼ完璧に発動する。
よっし、魔法やスキル発動のコツだけは、ばっちり把握した。
ちなみに俺が変身したのは、夜用の仕様って事で漆黒の鎧、漆黒の兜。
更に漆黒の刀身の魔法剣。
全身、闇に溶け込むような雰囲気の俺。
いやあ、この恰好って……
闇の瘴気を纏った不気味な暗黒戦士か、
情け容赦ない無慈悲な闇のニンジャって感じ。
はっきり言おう!
これ、全然正義な勇者系じゃなくて……
絶対に! ……邪悪な魔王系だろ?
でも、まあ、いっか!
この方向性はそんなに嫌いじゃないから。
兜は顔全体が隠れるフルフェイスタイプなので素顔も見えないし、
素顔自体が今の俺とは全く違っている。
身長も170㎝から185cmへ大幅アップだ。
これなら今の俺、15歳の少年ケン・ユウキとは絶対に分からない。
ちなみに変装後の年齢は、22歳くらいの大人バージョンに。
俺がこの異世界へ、転生する前の年齢にしたのである。
だから顔は、転生前の懐かしい顔にちょっぴり似せた。
どうせ、兜で隠すから構わないよね。
この仕様も次回の『夜遊び』や昼間に『特別行動』する時は、
一切変える予定なのだと。
かなり面倒臭いが、ばれて大騒ぎになるよりマシだと割り切ろう。
『えっと! 次に転移魔法を使って、あの草原へ移動で良いのかな?』
『はい、正解です! 仰る通り転移魔法を使いましょう! 肉声の詠唱は必要ナッシングですが、心の中で念じるように詠唱します。ちなみに言霊は、どう言えば良いか、分かりますか?』
『多分!』
『ケン様! さすがです』
にっこり笑うクッカ。
やはり、可愛い女神の笑顔は最高に良い。
『転移!』
言霊を唱えた瞬間、ボヌール村の自宅の部屋から俺達の姿は、
あっと言う間に消え失せた。
……そして、数秒後、転移魔法で跳んだ場所には見覚えがあった。
「おう! ここだ! ここだ! 間違い無い!」
思わず肉声が出た。
転移先に到着した俺はハッと我に返り、
慌てて左右を見渡すが、当然誰も居ない。
月明かりが淡く照らす真夜中の草原に俺はひとり……
いや正確にはひとりプラス他人には見えない女神の幻影と、
ふたりだけで立っていた。
ここが昼間、リゼットを助けた場所に間違いはなかった。
草が焦げた独特の臭いと共に、あちこち俺が火炎魔法を使った、
ゴブどもの焼け焦げた痕跡が残っているからだ。
え? 何故、真夜中なのに、月明かりだけではっきり見えるか?って。
はいはい! 良くぞ聞いてくれました!
クッカに言われて暗視のスキルを発動したら、
真夜中でも昼間のように見えるんだ。
これまた、俺は感動した。
一番最初はモノクロだった映像は、
彩色を加えて現在はオールカラーで見ているから。
おお、 凄い!
夜目が利く、なんてものじゃない。
輝度を自由に変える事も出来て、昼間と同じくらいにもなる。
最初は練度1らしいが、こうやって完璧に使いこなせるスキルを、
徐々に増やして行こう。
よし! 次は飛ぶか!
え? どこへって?
当然、空さ!
転移魔法に続いて、俺は飛翔魔法を発動して飛行訓練をする事にした。
ちなみに、上空からの地形把握も兼ねている。
『ケン様、ちょっと待って下さい』
『おう! クッカ、何だい?』
『どうせなら、身体強化と気配消去も一緒に実施を! 両スキルとも使って熟練度を神レベルにしてしまいましょう』
おお、そうか!
それに、両スキルとも使用頻度多そうだし。
身体強化のスキルは、自身の肉体を頑丈にし、
視力、聴力等各機能を更にアップするスキル。
クッカに聞けば、魔法でも全く同じ事が出来るらしい。
まあ高い空って、凄く寒いと言うし、風邪ひいたらこまるものな。
そして気配消去。
一切の気配を消して飛ぶ黒い影。
まるでレーダーに機体を感知させない、どこぞの某偵察戦闘機のようである。
という事で、身体強化と気配消去のスキルを発動した上で、俺は遂に空を飛ぶ。
『飛翔!』
心の中で言霊を詠唱したその瞬間、俺の身体は恐ろしい速度で垂直に舞い上がり、
真上へ真上へと上昇して行ったのである。
いつもご愛読頂きありがとうございます。
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東導号の各作品を宜しくお願い致します。
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コミックスの第1巻、第3巻、第4巻は重版しました!
皆様のおかげです。ありがとうございます。
今後とも宜しくお願い致します。
また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。
コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。
WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。
マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が購読可能です。
お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。
最後に、
⛤『外れスキルの屑と言われ追放された最底辺の俺が大逆襲のリスタート! 最強賢者への道を歩み出す!「頼む、戻ってくれ」と言われても、もう遅い!』《連載中》
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