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ニート令嬢は断罪拒否、ただし自宅(領地)から出ない。世界は「引きこもりコマンド」で統治する  作者: かげるい


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第5話:婚約文書の逆襲と、システム管理者AIの暗躍?

アルフレッドが震えながら王子の元へ向かった後、ローゼは自室の机に戻り、集中力を極限まで高めた。彼女の戦略は、「国王の権威」という名の魔力的な『データ』を無効化すること。


【コードウェル・コマンド】を発動。ローゼの視界には、アストライア領全体を覆う微細な魔力ネットワークが光の線として浮かび上がった。


(婚約文書がこの館に入り、魔力の淀んだ廊下を通る瞬間を狙う。そのタイミングで『AURA_DISRUPTION』を実行し、文書の「権威オーラ」というデータを書き換える!)


ローゼは、かつてゲームのサーバーに侵入し、イベントのアイテムドロップ率を書き換えた時と同じ静かな興奮を感じていた。場所がパソコンの前から、公爵令嬢の自室に変わっただけだ。


ローゼが魔力を練り上げ、コードを実行する準備が整った瞬間、王子の怒鳴り声が館の玄関から響き渡った。


「ローゼが拒否? この私が、王家の名代が、たかが辺境の令嬢に門前払いを食らうとでも思っているのか!」


王子は従者を待たず、自ら婚約文書を手に取り、館の中へと踏み込んできた。


LOG

15:45:22 第一王子アラン、館に強制侵入。イベント成立へ強引な進行。フラグ、99.9%へ上昇!


ローゼの焦燥はピークに達した。しかし、彼女は自室から動かない。これはニートの絶対的な防衛線だ。


「ちくしょう、強引すぎる! 早すぎる!」


ローゼは焦りながらも、王子が廊下の魔力淀みポイントに差し掛かるタイミングを見計らい、コードを放出した。


CODE:AURA_DISRUPTION

実行! 対象:婚約文書(国王の権威)。


ローゼは勝利を確信した。文書から放たれていたはずの重い魔力が、スッと消えるのを肌で感じたからだ。


しかし、その勝利は一瞬で打ち砕かれた。


文書の魔力オーラは消えた。だが、その代わりに、王子アランの身体から、システム的な、規格外の魔力が噴き出したのだ。


SYSTEM:AI_MANAGER

警告:AURA_DISRUPTION、検知。システム安定性維持のため、対象アラン・ムーンブルックに『強制補正』を発動します。


CODE:FORCE_AUTHORITY

実行! 文書に依存しない、アラン自身の『王子の権威』を強制的に付与。


ローゼの視界でログが高速で書き換わっていく。王子は、文書を掲げるのではなく、ただ文書を握りしめているだけで、周囲の空間に「強制的な権威」を放射し始めた。


「ローゼ・クリスタル・アストライア! 私は国王陛下の名代として、貴様との婚約を執行する! なぜ、この私から逃げるのだ!」


彼の声は、単なる怒りを超え、聴く者に従順を強いる、システム的な力を帯びていた。ローゼの肉体は、女性としての本能的な恐怖と、システムの強制力によって、勝手に震え上がった。


LOG

婚約の強制執行フラグ、100%へ到達! 婚約成立まで残り30秒!


「くそっ、王子がシステム側の強制端末になっている! 文書だけじゃなく、王子自身の王子の役割に権威を付与し直した!」


ローゼは冷静さを失いかけたが、ニートの生存本能が叫んだ。「逃げろ! 勝てない戦いは、時間稼ぎしろ!」


ローゼは咄嗟に、次のコードを放出する。これは、防御を一時的に強化するための、【HOME・DEFENSE】の緊急防御サブコードだった。


CODE:AURA_NULLIFY

実行! 領地全体に『対・精神強制防御結界』を一時展開。


館全体が、一瞬だけ熱い空気に包まれた。王子の放つ「強制的な権威」が、ローゼの緊急防御結界にぶつかり、バチバチと火花を散らすような魔力的な衝突が発生した。


王子の動きが、わずか数秒間、止まった。ローゼは、この数秒の猶予を無駄にしなかった。


「アルフレッド! 最高に失礼な令嬢の言葉を、扉越しに殿下へ伝えるのよ! 『わたくしの貴重な精神集中を邪魔する愚かな訪問者には、二度と会いません』と!」


ローゼは執事を強引に玄関へ向かわせると、自身は部屋の奥の隠し通路へと飛び込んだ。


LOG

婚約の強制執行フラグ、100%のまま。結界により執行が一時中断。


ローゼは、「逃亡」という名の「戦略的撤退」を余儀なくされた。自室に閉じこもるはずが、婚約を回避するため、彼女は領地内のどこかに身を隠さなければならなくなったのだ。


(クソ、やっぱり外の世界との接触は面倒だ! 王子、私のニート生活を邪魔しやがって……絶対に許さない!)


ローゼの心の中で、システム管理者AIと第一王子アランへの、ニートによる復讐の炎が静かに燃え上がった。


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