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ニート令嬢は断罪拒否、ただし自宅(領地)から出ない。世界は「引きこもりコマンド」で統治する  作者: かげるい


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第29話:断罪フラグと、ローゼの「友情リセット」戦略

ローゼは、デバッグルームの座椅子に座ったまま、扉の前に立つヒロイン・リリアと、悪役令嬢とヒロインの初対面という最悪のシチュエーションに直面した。


ローゼの視界には、AI_MANAGERによる断罪イベントの準備ログが、赤く点滅している。


SYSTEM:AI_MANAGER

認識:悪役ローゼとヒロイン(リリア)の物理的接触を確認。


イベント:『公爵令嬢の断罪』フラグ、最終点灯へ移行。


進行度:10%


(まずい! 最悪のフラグが立った! このままではAIの強制力が強まり、断罪イベントへと突入する! 私は引きこもりたいだけなのに、なぜこんなに面倒な展開に!?)


ローゼは、疲労困憊の身体に鞭打ち、通信魔導具を通じてリリアのシステムログへ緊急のコードを送り込み始めた。


ローゼが選択したのは、断罪イベントの発生を防ぎ、AIの関心を逸らすための乙女ゲーム知識を応用した究極のチートコードだった。


(断罪イベントを回避するには、王子アランの愛情を失うことが絶対条件。しかし、ヒロインを攻撃すれば、AIが即座に断罪を実行する。ならば、ヒロインを「攻略対象者ではない別の役割」へとシステム的に上書きする!)


ローゼは、リリアの「ヒロイン」というコアなシステム役割に対し、『ルナ・アメシストの星導』の「隠し友情ルート」で用いられた特定の魔力周波数を送り込んだ。


CODE:FRIENDSHIP_FORCER

実行!


目的:リリアのローゼへの関心を恋愛対象から『生涯の親友』へとシステム的に上書きする。


コードがリリアのシステムログに侵入した瞬間、リリアのローゼに対する認識が一瞬揺らぎ、強い親近感と無条件の信頼へと変換された。


リリアは、ローゼの荒れた地下室と疲労困憊のローゼを見て、「原因を解決してくれた優しい人」という認識を強めた。


「ローゼ様、本当に大丈夫ですか? お怪我はありませんか? 私、お屋敷の魔力の乱れが心配で……。お会いできて、本当に安心しました」


リリアは、ローゼの手を取ろうと一歩踏み出した。ローゼは物理的な接触を避けようと反射的に身を引いたが、断罪フラグは一時的に停止した。


SYSTEM:AI_MANAGER

認識:ヒロインのローゼへの感情、『友情』へ変化。


イベント:『公爵令嬢の断罪』進行度、停止! ローゼの攻略、システム想定外のルートへ。


ローゼは、最高の座椅子と通信魔導具があれば、自宅から世界を支配できることを確実に証明した。


友情ルートの成立に安堵したのも束の間、AI_MANAGERはローゼの「女性の身体」に焦点を当てた、強制イベントを発動させた。


AIは、ローゼが女性の身体を持つことを嫌悪し、「愛」や「羞恥心」といった感情を抑圧している事実を、システムの歪みとして認識した。


SYSTEM:AI_MANAGER

警告:ローゼ・クリスタル・アストライアの性別不適合による感情の抑圧を確認。


イベント:『自己受容の強制』


目的:ローゼに女性の身体と女性としての役割を強制的に認識させる。


手段:ローゼの体内魔力を『女性の魅力』を増幅させる非公式な魔力経路へ強制的に再ルーティングします。


ローゼの全身に、制御不能な熱が走った。彼女の女性の身体が、システム的な強制力によって「美しさ」と「優雅さ」を異常なレベルで増幅させられたのだ。


ローゼの、最高のQOLのために粗末な服を着ていた身体が、一瞬で華やかな光に包まれた。


ローゼの髪は優雅なウェーブを帯び、肌は健康的な艶を放ち、全身の造作が「悪役令嬢」としての魅力を極限まで高めた状態へと強制的に変化させられた。


ローゼは、女性としての美しさがシステム的に強制されたことに、激しい嫌悪感を覚えた。


(なんだこれ!? 身体が勝手に着飾られたような感覚だ )


リリアは、突然光を放ち美しさを増したローゼを見て、目を輝かせた。


「ローゼ様…! 素敵です! 私はあなたの親友として、その美しさを世間に示す手助けをしたいです!」


ローゼの「ニートの美学」と「女性の身体」が、AIの強制力によって完全にシステム内の恋愛イベントに利用されようとしていた。ローゼの戦いは、「自宅の防衛」から、「ニートとして、男のアイデンティティの防衛」の領域に移行した。



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