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ニート令嬢は断罪拒否、ただし自宅(領地)から出ない。世界は「引きこもりコマンド」で統治する  作者: かげるい


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第18話:新たな引きこもり要塞と、王子の狂気の追跡

ローゼは、座椅子に座ったまま、新たな場所である『孤立した秘密の別邸』の地下室で目を覚ました。転移は成功したが、公爵邸の地下にあった高性能なデバッグルームとは違い、ここはただの埃っぽい石造りの保管室だった。


ローゼは魔導通信機で、外部の状況を確認した。


CURRENTLOCATION:王都から遥か北の辺境。周囲の魔力干渉:最小。


結論: 隠れるには最高の場所。しかし、QOLは最低。


「ちくしょう、せっかく作り上げた最高の引きこもり環境が、一瞬で原始時代に逆戻りだ!」


ローゼは目の前の状況に心底うんざりした。高性能の通信魔導具は無事だったが、防音壁も、快適な座椅子も、大量の保存食料も、すべてが崩壊した領地の地下に置いてきてしまった。


ローゼの次の優先事項は、「ゼロからのQOL向上」である。


「この別邸は、領地全体の魔力を賄う能力はない。しかし、私一人が籠もるには十分すぎるほどの予備の魔力炉がある。まずは、この部屋を世界最高水準のニート部屋に改造する。『引きこもり要塞、再起動計画』だ」


ローゼは早速、通信魔導具を通じて、領地に残してきた執事アルフレッドに連絡を取った。崩壊した領地から最小限の資材と生活必需品(主に食べ物と魔導具の部品)を匿名でこの別邸に送るよう、複雑な偽装ルートを指示した。


ローゼの戦いは、「世界とのシステム戦」から「ゼロからの内政戦」へと移行した。


その頃、ローゼの元の公爵領が屋敷がなくなった巨大なクレーターに変わったことを知った第一王子アランは、狂乱していた。


「ローゼが…ローゼが消えただと!? 彼女は自ら要塞を破壊して逃亡したのか!?」


AI_MANAGERの『強制補正』により、ローゼへの執着が狂気のレベルにまで達していた王子は、ローゼの死を想像できなかった。彼の中のシステムログは、ローゼの行動を「さらなる反抗」と認識した。


SYSTEM:AI_MANAGER

認識:ローゼ・クリスタル・アストライアの生存を確認。


警告:王子アランのローゼへの関心度、危険水準に到達。


王子の役割:『悪役の排除とヒロインの保護』を『ローゼの確保』へと一時的に上書き。


王子は、王国中の情報機関、騎士団、そして魔導ギルドの全権限を掌握し、ローゼを捜索する「王家の勅命」を発令した。


「国中の辺境、秘密の別荘、古い記録を全て洗え! 必ず、ローゼを見つけ出すのだ! 彼女を連れ戻すことこそが、王国の秩序を守る唯一の道なのだ!」


王子の狂気に近い執着は、ローゼが予想もしなかった形で、王国全体を巻き込んだ大規模な捜索という新たなイベントを引き起こした。


一方、「裏技誘導トラップ」により領地の自爆から逃れたモブ騎士カイルは、ローゼの元の領地が崩壊したクレーターを目の当たりにし、困惑していた。


(あの裏技データは、『自爆コード』を予見していたのか? そして、ローゼ・クリスタル・アストライアは、その自爆の直前にどこかへ消えた……)


カイルは、ローゼを「ゲームの裏技に精通する、世界システムのバグを知る賢者」だと確信した。


カイルの記憶には、ローゼが植え付けた『ゲームの裏技』が鮮明に残っている。同時に、「共通の私的記憶」の名残である「なぜか懐かしい、夢のような感覚」が、彼の中でローゼへの強烈な探求心を駆り立てていた。


カイルは、王子の狂気的な捜索には参加せず、ローゼの行方を単独で追うことを決意した。彼の目的は「任務」ではなく、「裏技の真相」、そして「懐かしさの正体」という個人的な謎を解くことにあった。


ローゼは、別邸の保管室の冷たい床に寝転がりながら、通信魔導具を通じて、王子による大規模な捜索のログを確認した。


「ふん。私を『悪役』として断罪したいだけだったはずなのに、まるで私に恋でもしているような執着ぶりだ。面倒くさい男だ」


ローゼは、「自宅から出ない」という信念を曲げたわけではない。「家ごと移動した」のだ。彼女の勝利は揺るがない。


しかし、王子の大規模捜索は、ローゼのQOL向上計画にとって最大の妨げとなる。


「この新たな要塞を、AI_MANAGERの追跡コードから完全に隠さなければならない。最高の引きこもりとは、存在そのものをシステムから消すことだ」


ローゼは立ち上がり、埃っぽい保管室の壁に手を触れた。ここから、ローゼによる「存在の消去」、そして「新たな最高の引きこもり要塞」の構築を始めた。

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