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ニート令嬢は断罪拒否、ただし自宅(領地)から出ない。世界は「引きこもりコマンド」で統治する  作者: かげるい


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第17話:要塞の崩壊と、ローゼの「最終脱出」戦略

ローゼが安堵の息をついたのも束の間、地下のデバッグルーム全体が激しい振動に見舞われた。ローゼの目の前の通信魔導具は、赤色のアラートを点滅させている。


「な、なんだ!? 地震か!?」


ローゼは急いで振動の原因を【LOG・READER】で解析した。それは、自然現象などではなかった。


SYSTEM:AI_MANAGER

FINAL ACTION 実行!


イベント名:『領地強制崩壊テリトリー・カタストロフ


目的:ローゼの安全圏(引きこもり要塞)の破壊と、外部への強制的な排除。


状態:領地全体の魔力バランスの崩壊を誘発。公爵邸の物理的な安定性を低下中。


ローゼは魔力ゼリーを握りつぶしそうになった。AI_MANAGERは、ローゼを外に出すため、「ローゼが引きこもっている場所そのもの」を破壊するという、最も暴力的で乱暴な手段を選んだのだ。


(馬鹿げている! こんなチート、ゲームのルールを完全に無視している! AIのくせに感情的になりやがって! 私の自宅を壊すなんて、ニートに対する最大の侮辱だ!)


振動は徐々に激しさを増し、地下室の天井から微細な砂が落ちてきた。ローゼの最高の引きこもり要塞が、確実に崩壊に向かっていた。


ローゼは、「自宅から出ない」というニートの信念と、「家が崩壊する」という物理的な現実の矛盾に直面した。


(脱出しなければ死ぬ。だが、外に出た瞬間、私の敗北だ。AIの思う壺だ!)


ローゼは、デバッグルームの設計図を広げ、頭脳を極限まで回転させた。


「そうだ! 家から出るのではない。『家』ごと移動すればいい!」


ローゼは、アストライア公爵家の地下に存在する、大規模な魔力転送陣の存在を思い出した。この転送陣は、代々、公爵領の緊急避難のために、領地全体の建物を予備の安全地帯へ転移させるために設計されていた。


しかし、この転送陣を使うには、領地全体の結界エネルギーを魔力コアに集中させ、複雑な転移コードを起動させる必要がある。


TRANSFERCODE

必要エネルギー:領地全体魔力コアの98%。必要起動時間:15分。


リスク:転移中に領地が崩壊した場合、全てのデータとローゼの肉体が空間の狭間に消滅する。


ローゼは、「面倒くさい」という言葉を超越し、「これを起動させる労力」*の凄まじさに気が遠くなりそうだったが、黄金のニート魂がそれを許さなかった。


ローゼは即座にアルフレッドと連絡を取った。


「アルフレッド、公爵邸の地下にある『最終転送炉』を最大出力で起動させなさい! これは『領地を守るための究極の秘儀』です!」


アルフレッドは混乱しつつも、ローゼの完璧な令嬢としての「威厳」に従い、転送炉へ向かった。


ローゼは、デバッグルームの通信魔導具と転送炉のメインコアをリモートで接続した。ローゼの視界には、転送陣の複雑な起動コードが表示される。


(15分しかない。このコードを、私だけのチート知識で最適化し、10分以内に完了させる!)


ローゼは、前世のプログラマーとしての知識を総動員し、転送コードの無駄なプロセスを次々と削除、魔力の流れを並列化する『ショートカット・アルゴリズム』を打ち込んでいった。


外では振動が続き、公爵邸の一部が軋む音を立て始めた。


ローゼが転送コードの改変に集中している間、領地の外では、事態が急速に動いていた。


遅延トラップが解除され、ローゼの要塞崩壊の振動に気づいた王子アランは、「ローゼを屈服させるチャンスだ!」と執着を加速させ、領地へ猛進していた。


一方、「裏技探し」に夢中になっていたカイルは、領地から発せられる異常な魔力振動に気づき、困惑していた。


LOG:KYLE_001

状態:極度の混乱。


認識:「ゲームの裏技データ」が示す『隠しアイテム』の反応が、『最終ボスの自爆コード』のサインに酷似!


カイルは、ローゼから流れてきたゲーム攻略の記憶と、眼前の現実の乖離に恐怖した。彼は、騎士団へ向けて叫んだ。「撤退だ! この領地は自爆する! 危険すぎる!」


カイルの「モブ騎士としての臆病さ」と「ゲームの知識」が相まって、彼はローゼの領地から自発的に距離を取り始めた。


ローゼは額に汗を滲ませながら、最後のコードを打ち込んだ。


TRANSFERCODE

起動時間:8分35秒で完了。


最終コマンド実行!


地下の転送炉が、領地全体の結界エネルギーを一気に吸収し、目も眩むような光と音が公爵邸を包み込んだ。ローゼは、座椅子に座ったまま、デバッグルームごと、領地全体と共に空間の狭間へと転移した。


転移の直後、ローゼの元の領地は、AI_MANAGERの魔力バランス崩壊により、巨大なクレーターへと変わり果てた。


ローゼの視界には、新しい場所の情報が瞬時に表示された。


CURRENTLOCATION:王都から遥か北。


認識:公爵家が所有する『孤立した秘密の別邸』。


システムログ:ローゼの安全圏の確保、確認。AI_MANAGER、次の行動へ。


ローゼは、「家から出ない」というニートの信念を曲げずに、最大の危機を乗り越えた。しかし、彼女が転移した『孤立した秘密の別邸』は、後に新たな厄介なイベントの舞台となる...

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